アイドルマスターシャイニーカラーズ×ペルソナ5 作:フルーヴ
Noon 海水浴場
樋口円香、noctchillのメンバー。プロデューサーにスカウトされアイドルを始めた幼馴染、浅倉透のことを心配して283プロのプロデューサーに釘を刺しに来たとき、蓮にスカウトされる形でアイドルを始めることとなった。
そんな彼女は海でノクチルの仕事が終わって浅倉たちと海水浴をしていた。
幼馴染4人で過ごす時間はとても楽しい。だからこの海水浴も本当に楽しい時間……
(あの人さえいなければね)
少し前……
「なんであなたがまだここにいるんですか? 撮影は午前までで終わったので午後は自由でしたよね? あなたは仕事があるんじゃないんですか?」
「今日は午後休を取ったんだ。円香たちをしっかり家に届ける必要もあるし、何より俺もたまにはゆっくりしたいからな!」
「確かに、あなたは普段から働きすぎですが今じゃなくてもいいのでは……」
「いいじゃん、樋口。プロデューサー、この前言ってた通り遊ぼうよ」
「ちょっと浅倉……」
「あは~、たまには休まないとね~、プロデューサー!」
「それにプロデューサーさんが居てくれたら私たち安心できます!」
「……そうかもね」
(……なんで私たちの関係に割り込んでくるの。本当に、最悪)
「ちょ……思ったよりきついな……」
「えー、もう終わり? じゃあ私も」
「あは~、雛菜も疲れた~。プロデューサー、甘いもの食べよ~!」
円香が物思いに耽ていたら少し離れたところに透たちがいた。一旦海から上がるようだ。
(私も……あれ、足が動かない……?)
このとき円香は疲労が溜まっていたのが要因なのかわからないが、足を攣ってしまった。冷静でなかったこともあり、もがく形で海の中へ沈んでいった。
「なんだかんだ樋口も楽しそうだったね、ね、ひぐ……!」
「……あれ~円香先輩は?」
「円香ちゃん、どこ行っちゃったんだろう?」
透たちは円香がいないことに気づいた。同時に海面に指先が出ていることも
「プロデューサー! 樋口が!」
「円香!!」
(足が動かない……苦しい……)
円香は溺れてしまった。そのとき、走馬灯を見た。幼いころの記憶だった。
──────────
「まどか、怪盗団好きなんだ」
「なに? とおるには関係ないでしょ?」
「ふふっ、いいじゃん。いつか来てほしいね、怪盗団」
「来たらどうするの? とおるちゃん?」
「んー、じゃあ盗んでもらおうよ、日常を」
「あは~、非日常~。楽しそう~!」
「もう、ひななちゃん!」
──────────
(結局、日常は減ったけど来なかったじゃない。やっぱり怪盗団なんて……)
そこで円香の意識は途切れた。
▽▽▽
気が付けば円香は不思議な空間に居た。そこにはある男がいた。
「お目覚めのようだね」
「あなたは誰ですか?」
その男は、白い服に赤い仮面を被っていた。
「君と似たもの同士だよ さすがに君は僕ほど複雑な環境にいないだろうけど」
「そうですか」
「呼び名が欲しければ、そうだな『クロウ』とでも名乗ろうか」
「……ここはどこかあなたはご存知ですか?」
「おやおや、さっきの呼び名は気に入らなかったかい?」
「質問に答えていただけるとありがたいです」
「これは困った うーん、不思議な場所……じゃだめかい?」
「……そうですか」
「それで不思議な場所にいるわけだが、君はこの後どうしたい?」
「さあ、特に何も 強いて言うならある人だけには会いたくないですね」
「わかってるよ、君の近くにはとても大嫌いな人物がいる」
「……どうしてそう思うんですか?」
「きっと僕もそいつのことが大嫌いだからさ、ズタズタに引き裂いてやりたいほどに」
「……確かに、私たちは似ているかもしれませんね」
「わかってもらえて嬉しいよ」
「……」
この男は
「せっかく仲良くなれそうだし、何か親睦でも深めないかい? んーそうだな、好物の話でも、パンケーキ、君は好きかい?」
「それなりには」
「僕は甘党だからね、好物の一つだったさ 今じゃその言葉は大嫌いだけどね、ああ良いものだったのになあ」
「好きなものなのに大嫌い? そんなことあるわけない ……嫌いなものは嫌いでしかないはずなのに」
「まあ、苦い思い出があるってことさ 君は何か気になることはないかい?」
「……さきほどからあなたは一体何がしたいんですか?」
何か表面を取り繕っている。そんな気がした。あの人もわかりにくいけどきっとこんな感じに決まっている。
「僕かい? うーん、そうだな、僕は……」
雰囲気が変わった。
「……俺は、せっかくだから大嫌いなあいつが絶望する顔を見たいのさ、君を利用してな!」
「っ……!」
彼の服は白いものから黒い服になった。まるで
これが本性……やっぱり大人なんてこんなもの……
彼はノコギリのような刃物を手に取り、私目掛けて振り下ろした。
このとき私は死を覚悟した。透、小糸、雛菜…………プロデューサー……
……でも、プロデューサーはスーツを脱いでもきっとこんな人じゃないんでしょ。
▽▽▽
一方、透たちは溺れてしまった円香を救出しようとしていた。
「プロデューサー! 樋口が!」
「円香!! 俺が引き上げる! 雛菜は監視員を探してくれ! 小糸は急いで119番!」
「は、はい! わかりました!」
小糸と雛菜は急いで指示されたように動いた。
「透は……待て! 落ち着け! 一人で飛び込むな!」
透が冷静ではなかったことに蓮は焦ったが何とか円香を引き上げることができた。雛菜も監視員を見つけて戻ってきた。そこで間髪入れずプロデューサーが次の指示を出す。
「雛菜、円香は体が冷えているから体を拭くためのタオルを持ってきてくれ! 透はAEDを持ってきてくれ、さっき荷物の近くの自販機の下にあるのを見た!」
そう指示したあと、プロデューサーは呼吸などの確認を始めた。案の定、息をしていなかったので気道確保をした後、心肺蘇生法で円香の蘇生を試みた。
「円香……必ず助けるからな!」
▽▽▽
円香に向かってその男は刃を振り下ろした。が、その刃物は体をすり抜けた。
「!」
「っ……?」
その男はとても驚いていた。そして口を開いた。
「なんてね、冗談だよ はは、またあいつに勝てなかったか たいした怪盗だよあいつは 相変わらず盗むのが上手だよ 本当に……」
何となくだけど、わかった。彼と私は嫌いな人がいる点は同じだけど、それ以外は似ていない。あの人が感じているのはきっと自分に無い物を持ってる人に対しての嫉妬心。それと……執着? 私はそれをあの人に感じているわけではないから。少なくとも嫉妬なんてしていない……はず。私があの人を嫌っている理由は……それに怪盗……もしかしてこの男が嫌っている相手は……怪盗団?誰のことなんだろう?
「もう僕からの用は終わったよ ごめんね、引き留めちゃって」
「最後に、いいですか?」
「……何だい?」
「怪盗団はいると思いますか?」
「……さあ どうだろうね 彼らは日常に潜んでいるから」
「そうですか。すみません、突然変なことを言って」
「気にしなくていいよ ……さあここにもう用はないだろう? 君はいきなよ あいつによろしくな」
再び、円香の目の前は真っ暗になった。
▽▽▽
(……ここは?)
円香が目を覚ますと白い天井が見えた。
「気が付いたか、円香!」
円香は一命を取り留めた。
「本当に良かった、円香……また大事な絆を失わずに済んだ……」
「……」
(あなたはこんな私との関係であっても絆と呼ぶのですね)
そういうところ、本当に……暑苦しくて……大嫌いです。
▽▽▼
「もうすぐ退院できるなんて、本当によかったね、円香ちゃん!」
「ありがとう、小糸」
「あは~、円香先輩~、体治ったら甘いもの食べに行こ~! 雛菜パンケーキがいい~!」
「別のやつがいい」
「ええ~!」
「じゃあ、カレーにしよう。この前食べに行けなかったから」
「それは……ごめん」
「気にしない気にしない」
「……そういえば、なんで私は助かったの?」
「え、うーん、わからん」
「……溺れた直後に誰かが処置しないと助からないでしょ」
「ああ、そういうこと。えっと、すごかったよ、プロデューサー。えっと、確かあれ、人工呼吸ってやつだっけ? してたよ。救急車が来るまで。すごくしんどそうだった」
「……は?」
「あは~、円香先輩顔真っ赤~」
……今、体が熱いのはきっと体調が悪いせいだ。
人工呼吸のハードルはそれ自体の正しい方法よりも生理的嫌悪感の方が高いと思う。
タイトル悩んでます。