アイドルマスターシャイニーカラーズ×ペルソナ5   作:フルーヴ

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桑山千雪と吉田寅之助

 Night 渋谷付近

 

「少し仕事が長引いたけどおつかれさま、千雪」

 

「いえいえ、わざわざお迎えありがとうございます。甘奈ちゃんのお仕事の後でとても疲れているのに……ありがとうございます」

 

 桑山千雪。283プロのアルストロメリアの一員。道すがらプロデューサーのスーツのボタンが外れかかっているのが気になった彼女は雨宮プロデューサーに声をかけ、スーツを直すことになる。そのとき、雨宮プロデューサーにスカウトされ、雑貨屋と兼業でアイドルを始めることになった。今日は、仕事が長引いてしまったようだ。

 

「もう遅い時間だ。寮まで送るよ」

 

「ありがとうございます。あの、もう夜ごはん食べましたか?」

 

「いや、まだ食べてないけど……千雪を送ってからどこか牛丼とか食べに行こうかなって思っていたんだ」

 

「わぁ! 牛丼! 私もまだ食べていないので久しぶりに行きませんか?」

 

「うーん……でもなあ……」

 

「私も牛丼を食べたい気分なんです! もうおなかぺこぺこで」

 

「まあそこまで言うなら……牛丼食べに行こうか」

 

「はい!」

 

 こうして二人は”俺のべこ 渋谷センター街店”に来たのであった。

 

「ここの牛丼屋は初めて来ました。よく来るんですか?」

 

「このあたりで仕事があったときとかはよく来るな。まあ、ここ数か月は来てなかったが」

 

(それにしても……)

 

「前とは違うな。ワンオペは無くなったようでよかった」

 

「え、このお店ってワンオペしていたんですか? こんなにいっぱい人が来そうなのに……」

 

「ああ。高校生のときにアルバイトをしていたことがあってな。そのときやらされたよ……」

 

「そうだったんですか……」

 

 そんなことを話していたら隣から蓮に向かって唐突に話しける男がいた。

「おお、そうだったな。初めて君と遭遇したのはちょうどこの店か」

 

「え?」

 

「吉田?!」

 

 吉田寅之助。蓮の協力者。かつて蓮が高校生だったころは落選続きの政治家であったが、演説の腕はピカイチであった。その交渉術を学ぶため蓮は接触を試み、演説の手伝いをするという名目で演説を学んでいた。蓮と交流するうちに吉田は自信を取り戻していき、そして衆議院議員に返り咲くことができた。

 

「どうしたんだい。そんなに驚いて。私は君が来る前からこの席に居たんだが……もしかして気づいていなかったのか?」

 

「すまない、気づかなかった。まだここで牛丼を食べているんだな」

 

「ああ、やっぱり長く馴染んだ味は忘れられないよ」

 

「そういうものなのか……国会議事堂の中には牛丼屋があると聞いたが」

 

「はは、永田町に毎日いるわけじゃないよ」

 

「永田町……? えっと、プロデューサーさん……? その方は……?」

 

「ああ、ごめん千雪」

 

「私は吉田寅之助。自由共栄党に所属している」

 

「え!?」

 

「ああ、そんな構えないでくれ。ここにいるときはただのおじさんだ。昔はダメ寅とも呼ばれたぐらいだからね」

 

「いえいえそういうわけには……」

 

「ところであなたは?」

 

「あ、失礼しました。桑山千雪と申します。今はプロデューサーさんにスカウトされてアイドルをやってるんです」

 

「プロデューサー……? あれ、雨宮君、君は確か……いや、この話はよしておこう。君も色々あったんだろう。だが、君ならどこでも大丈夫そうだな」

 

「……! ありがとう、吉田」

 

「桑山さん、これからも彼を支えてやってくれ。彼は昔から何かと無茶をしがちなんだ」

 

「は、はい! わかりました」

 

「では私はこのあたりで失礼するよ。雨宮君、君の活躍を期待しているよ」

 

「ありがとう。吉田も頑張って」

 

 吉田は去っていった。

 

「あの……えっと吉田さんでしたっけ」

 

「ああ、現職の国会議員だよ。すごい人だよあの人は、労働法を改善しちゃったからな。そのおかげでこの店のワンオペが無くなったんだ」

 

 283プロは大丈夫なのだろうか。

 

「そうなんですか。そんなにすごい人だったなんて……どうして知り合いなんですか?」

 

「昔、吉田が演説していたときにその演説の手腕が気になって演説を手伝っていたことがあるんだ。そのときの弁論術は今でも役に立っているよ」

 

「そんなことがあったんですね……」

 

「千雪をスカウトしたときも実は吉田の弁論術を使っていたり……」

 

「えーもしかして私騙されてますー?」

 

「はは、冗談だよ。本当にアイドルになれると思ったからスカウトした。会ってすぐにわかった、素敵な女性だって」

 

「も、もうプロデューサーさん……からかわないでください……」♪♪♪ 

 

「ごめんごめん、だけどさっき言ったことは本当だよ」

 

「も、もう……早く牛丼食べちゃいましょう!」

 

「はは、そうだな」

 

 二人は牛丼を食べ終えて帰路に就いた。

 

「ところで、プロデューサーさんってもしかして転職してアイドルのプロデューサーになったんですか……?」

 

「ああ。そういうことになるな、千雪と同じだな」

 

「も、もう……プロデューサーさん……あの、よろしければお伺いしても……?」♪ 

 

「……そんなに面白い話ではないぞ」

 

「……はい、かまいません」

 

 蓮は語り始めた。自分がやりたいと思っていた職に就けたこと。職場の雰囲気も良く、上司・同僚ともに当初は恵まれていたこと。そして、とある日に信用していた上司に仕事のミスを押し付けられたこと。それが理由で会社のほうから転職を勧められたことを。

 

「そんなことがあったんですね……」

 

「正直、会社を辞めさせられたことよりもあの人があんなことをすることに驚いたよ。周りの人からもそんなことする人じゃないって言われてたから」

 

「でもその人にも何か事情があったんじゃ……?」

 

「会社の中の人たちも人が変わったみたいだと言っていた。裏もない人だったらしい。まるで何か急に……」

 

「プロデューサーさん?」

 

「……」

 

「あの……」

 

「ああ……すまない。千雪」

 

「……プロデューサーさんも大変だったんですね」

 

「まあ、それはそれ、これはこれだ。すぐに社長に拾ってもらえたから収入とかは全然問題なかったし、理不尽なことがあったけれど千雪みたいに素敵な人と巡り合えたんだ。今はみんなをどうやってプロデュースするのかってことが大切だよ」

 

「プ、プロデューサーさん……はい、その期待に応えられるようこれからも頑張ります。あなたのために……」♪♪♪ ☆彡

 

(……よし、楽しく話せたな)

 

 パーフェクトコミュニケーション

 親愛度+35

 

 ▽▽▽

 

『そうなの、まるで人が変わったみたいだったわ……あんな人だったなんて……雨宮君……その、ごめんね』

 

『あいつらしくないよな……いつもなら自分が庇ってまで部下を守るのに……』

 

『本当に別人だったな。酒が入っていてもあんなことにはならないぜ』

 

 

(精神が暴走したみたいに……人が変わった。……なぜ気づかなかったんだ)

 

『大体……ぐらいからなんだ』

 

『……それってお前がプロデューサーになったぐらいじゃないか?』

 

(偶然なのか……?)

 

 

 

 ▽▽▼

 

 283プロ寮

 

「ただいま戻りました~」

 

「千雪~おかえり~」

 

「だいぶ遅かったみたいだね。お疲れ様」

 

「ええ。もうくたくたで~」

 

「お腹空いとらん? 何か食べる~?」

 

「恋鐘ちゃん、ありがとう! だけど牛丼食べてきたから全然平気なの」

 

「なかなか珍しいものを食べてきたみたいだね」

 

「え、ええ……」

 

「千雪~?」

 

「あ、千雪さん、帰ってきてたんだな」

 

「おかえりなさいませ……あの……さきほど牛丼を食べてきたとおっしゃっていました……凛世はまだ牛丼なるものを食べたことがございません……よければ連れて行っていただけないでしょうか?」

 

「ええ、もちろん!」

 

「牛丼? なんでまた……」

 

「あ~、プロデューサーからチェイン~!」

 

「そういえば、今日はプロデューサーに来てもらって晩御飯一緒に食べようとか言ってたよな。アタシたちもう食べちゃったけど……」

 

「どうだったんだい、返事は?」

 

「ふぇ~、プロデューサー、もう牛丼食べてしもうたらしいばい!」

 

 残りの三人が千雪を無言で見つめている。

 

「きょ、今日はもう疲れちゃったからもう寝ようかしら……」

 

「もしかして千雪~? プロデューサーと牛丼ば食べたと?」

 

「……」

 

 どうやら、千雪はすぐに寝れなさそうだ。




寮組に牛丼がバレてしまった千雪!果たして彼女はどうなってしまうのか?!
このサイドストーリーは気が向いたら…
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