アイドルマスターシャイニーカラーズ×ペルソナ5   作:フルーヴ

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雨宮蓮と283プロ

 あらすじ:悪神との闘いに勝利した怪盗団。次の日に打ち上げをすることを約して解散するのであった。その後、蓮は急いで事務所に向かい、アイドルたちに迎えられるのであった。

 

 

 おかえりなさい! 

 

「おかえり! プロデューサー!」

 

「やは~~~♡おかえり~~~! プロデューサー~~~!」

 

 めぐると雛菜が飛びついてきたが蓮は躱した。

 

「あ、ありがとう……気持ちだけでいいよ……」

 

「もー!」

 

「え~!」

 

(視線が痛い……)

 

「おー」

 

「さすが怪盗団ですねー」

 

「すばらしい身のこなしだわ!」

 

「とても華麗でした……」

 

「はは……」

 

 みんなの声を聞き、蓮は守りたかった世界を守ることができたと実感した。激闘を終えて帰ってきた彼に社長とはづきが話しかけた。

 

「帰ったか、プロデューサー」

 

「社長」

 

「おつかれさまです~、プロデューサーさん」

 

「は……はづきさん、あ……ありがとうございます……」

 

「にしても驚いた。まさかお前が件の怪盗団だとは」

 

「はは……」

 

「あのー、こんなときにお二人にすごく申し上げにくいことがあるんですが……」

 

 はづきの言葉に社長と蓮は耳を傾ける。

「突発的にライブを行ってしまったせいでお問い合わせの連絡が多数来ています。至急、各々の対応をお願いします~」

 

 社長と蓮は驚愕した。が、そんなことおかまいなしにはづきは話を続ける。

 

「アイドルのみなさんは今日レッスンしかなかったですがキャンセルしてお休みにしておきました~。明日も同様なのでゆっくり休んでくださいね~」

 

「で、でも……」

 

「プロデューサー……あの……」

 

 甘奈と灯織が何かいいたげだった。その意思を汲み取った咲耶が社長に提案した。

 

「私たちも何か手伝ってもいいかい?」

 

「それよか!」

 

 恋鐘が賛同する。しかし、

 

「ありがたい……と言いたいところだが……」

 

「あまり見られたくない書類があったりみなさんに電話の対応を任せるわけにはいかないので……積もる話もあると思いますがそれはまた後日お願いします~」

 

「あ~、まあそうだよね~。はづきちさんにそう言われちゃ仕方ないか」

 

 結華は諦め気味に言った。そこで霧子が別の提案をした。

 

「じゃあ事務所のお掃除を……だいぶ汚れちゃったので……」

 

「わ、私も、お掃除します!」

 

「あたしも手伝います!」

 

「て、甜花も……」

 

「じゃあみんなで大掃除だね!」

 

 シャドウの襲撃でごたごたしていたため事務所の中が汚くなっていた。そのためアイドル全員で大掃除をすることにしたらしい。

 

「だいぶ賑やかになってしまったな」

 

「プロデューサーさんと社長は別の部屋で作業してはいかがですか?」

 

「ああ、そうさせてもらう。プロデューサーと話もあるからな。行くぞ」

 

「は、はい」

 

 二人は社長室にやってきた。改めて席に着いたあと社長が喋り始めた。

 

「……改めて感謝しよう。彼女たちの世界を、いや我々の世界を救ってくれたこと感謝する、怪盗団」

 

「社長……ありがとうございます」

 

「……私はあまり運命というものを信じるものではないがいささか仕組まれたものを感じる。あの時、たまたま惣治郎の店に行っていなかったらこんなことにはならなかったからな」

 

「……」

 

「まあこんなことを言っても仕方ないかもしれないがな……さて」

 

 社長が何かを言おうとしたとき事務所のインターホンが鳴った。

 

「……? どうやら来客のようだ」

 

「俺が出てきます」

 

「いや、私が行こう。お前はここで待っているといい」

 

「はい、わかりました」

 

 玄関に向かった社長。しばらくして部屋に戻ってきたが客人とともに入ってきた。

 

「……!」

 

「やあ、久しぶりだね。雨宮君」

 

「ご無沙汰してます」

 

 その人は、前職の社長だった。一瞬だが蓮の脳裏にリストラを宣告された光景がよぎった。社長の案内で部屋に通されたその男は蓮の対面に座り、話し始めた。

 

「……まずは以前の件を謝罪させてもらいたい。君に辛い選択をさせてしまったね、本当に申し訳なかった。言い訳がましいがあの時、会社そのものが忙しかったから君に碌な挨拶もできなかった」

 

 蓮は黙って聞いている。男は話を続ける。

 

「そして、それに君を退職まで追い込んだ彼だが……急に辞職したんだ。自身が犯した罪に堪えられなくなったらしい」

 

「……! そう……なんですか」

 

「おこがましいのは承知の上だがうちに復職する気はないかね。君ほど優秀で将来有望な男はいない。その……やめる原因となった彼がいなければわだかまりもなくなり君が働きやすい環境になると思うのだが……どうだろうか?」

 

 社長室の前に数人のアイドルたちが集まっている気配がしていた。この選択が事務所にとっても大きな岐路になるとここにいる全員が理解している。

 

「ですが……」

 

 蓮は社長の方を見た。社長は蓮の意図に気づき口を開いた。

 

「……私はお前をスカウトしたとき、退路を絶たれた状態だった。正直、フェアな取引だったとは言えない。選択する権利はお前にあると思う」

 

「天井社長……そうですね、……決めました」

 

 アイドルを含むこの場にいる全員が緊張している。息を整えたあと蓮は言った。

 

「この話は、せっかくですが断らせていただきます。俺はここで、283プロでやりたいことを見つけましたから」

 

 アイドルたちは静かに喜んでいる。その選択を聞いた前職の社長が答えた。

 

「……そうかい。残念だ。だけど前よりもずっと輝いて見えるよ。君の今後の活躍に期待しているよ。天井さん、今日は急にお邪魔してすみません」

 

「いえ、そんなことはありません。今後ともいい関係でいましょう」

 

「そうですね、お互いがより良い発展をするよう頑張っていきましょう。では今日は失礼しました」

 

 男は帰っていった。残念そうな顔ではあったが次世代の若者の決意に満ちた顔を見て満足しているようだった。男が帰った後、改めて社長が蓮に問う。

 

「……本当によかったんだな」

 

「はい。過去は過去ですから」

 

 社長は心なしか嬉しそうな顔だ。だがいつもの雰囲気に気合で戻してこう言った。

 

「……ふっ、だが私に言わせてみればまだまだ甘い。もっとアイドルの良さを伸ばすことができるはずだ。怪盗団のリーダーならもっとその能力を私に見せてみろ」

 

「……! はい、ご期待に応えます」

 

「さあ、作業を始めるぞ……どれどれ……むっ!」

 

 社長はPCを開くと一気にきまりが悪そうな顔になった。

 

「社長?」

 

「……私は電話の対応をするとしよう。お前はメールの対応をするといい」

 

「は、はい……ってええ?!」

 

 蓮がメールボックスを開くと受信ボックスにとんでもない数字が書かれているのが目に入った。どうやら更新する度にその数字は膨れ上がっているようだ。

 

「社長! さすがにこれは……」

 

「わ、私は甘くないぞ。これぐらい乗り越えてもらわなければ。さあはじめろ!」

 

「え、ええ……は、はい……」

 

(これは……神を相手にするよりもきついかもしれない……)

 

 蓮は半ばやけくそになりながら返信作業を始めた。一方、その様子をずっと観察していたアイドルたちはその光景を見て言った。

 

「あちゃ~、この感じじゃ、今日はプロデューサー無理そうだわこりゃ」

 

「打ち上げ、誘えそうにないですね」

 

「だな。アタシも来てほしいんだけど……」

 

「はづきも忙しそうだから私たちだけ楽しむわけにはね……」

 

「あー、じゃあ明日にしませんか? みんなレッスンも仕事も休みだから!」

 

「うん、それがいいと思う」

 

「そうしましょう!」

 

(しょーじきすっごく疲れてるからその方がありがたいわ……)

 

「プロデューサーさん、辞めなくてよかったね!」

 

「……やめるわけないでしょ。今更」

 

 ▽▽▽

 

 

 次の日 Morning 283プロダクション事務所

 

「ZZZ……」

 

 仮眠スペースで眠っている蓮。どうやら昨日は帰ることができなかったらしい。そこに凛世がやってきてプロデューサーを起こす。

 

「おはようございます……プロデューサーさま……? 朝でございます」

 

「うーん……凛世か……?」

 

「はい……プロデューサーさまはお疲れの様子。ですがそのような体勢で寝るとお体を悪くしてしまうと夏葉さんが仰っていました」

 

「はは、そうだな……よいしょ。結構遅くまで仕事してたからそんなこと考える余裕なかったよ。起こしてくれてありがとう、凛世」

 

「いえ……凛世は……」

 

「そういえば、凛世は今日休みじゃなかったか? ゆっくり休まないと」

 

「凛世は今日……あの……自主レッスンをしようと……その……高音が安定しないので……その……」

 

「ああ、レッスン室の鍵か。……あー、すまん、はづきさんが来るまで待っていてくれないか?」

 

「はい……お手数おかけしました……」

 

「……お疲れ様です」

 

「おお、円香。おはよう。レッスン室の鍵だけど……」

 

「聞いていました。ですが、おかまいなく」

 

「はは、ごめんな」

 

「いえ」

 

 そのあとも続々とアイドルたちは集まった。みんな自主レッスンをしに来ているみたいだった。他にも目的はあったかもしれないが。

 

 泊まり込みで仕事をした蓮だが今日も昨日のライブに関する問い合わせ等が次々と来ていたため起きてしばらくしてからすぐ作業を始めた。中には昨日のライブの影響から各グループ・及び個人に対しての雑誌・ラジオ・トークショー・テレビ番組・ネットドラマなどのオファーも来ていた。

 

「すごい数のオファーが来ています。あのライブの影響力の高さが見受けられますね」

 

「ああ。だが、突発的なライブだからきっと入場料が取れていない。それでも事務所の採算としては赤字だろうな」

 

「そのことなんですが……どうやら先のライブのチケット代がオンラインで清算されているようです」

 

「何? あんな短時間で誰がそんなことを?」

 

「さあ……プロデューサーさんは何か心当たりがありませんか?」

 

「……宣伝は誰がやったんですか?」

 

「えっと……確かあの時、ソフィアという方がそのようなことをやっていたと言っていたと思います」

 

「じゃあ十中八九ソフィアがチケットの販売までやってます。話すと長くなるんですが彼女の処理能力は完璧です。なのでチケットの購入数と売上が一致していればそれ以外は気にしなくていいと思います」

 

「わかりました~。それにしてもあの会場のデータだけでよくここまで……人間じゃなかったりして」

 

「えーっと、そうです。ソフィアはAIですね」

 

「え、そうだったんですか?」

 

「今更こんなことでは驚かないが……今後も彼女に協力してもらえれば我々の仕事も効率的になるかもしれんな」

 

「まあ聞いてみます」

 

 時間は流れていき……

 

「ふ~……ひと段落しましたね~……」

 

 時刻はPM5:00。丸1日かかってしまった。

 

「そうですね、いい時間ですし今日はこれで失礼します」

 

「そうだな、いつもこの量であれば残業二日目に入っている気がするが今日はずいぶんと要領がよかったじゃないか」

 

「社長とはづきさんが手伝ってくれたので」

 

「ふっ……気にすることはない。では私もこれで帰るとしよう」

 

「私も帰りますね~」

 

 3人が帰宅モードになっていたときそのタイミングを見計らったかのように声をかける者がいた。

 

「あの……」

 

「ん?」

 

「プロデューサーさん。このあとお時間ありますか?」

 

「みんなで昨日の打ち上げがしたいんだって……天井社長もはづきさんもどうかな?」

 

「お姉ちゃん行こう!」

 

「にちか……私はいいけど……」

 

「私も構わん」

 

「あー……」

 

 蓮は昨日のことを思い出す。

 

『打ち上げは明日の午後6時、ルブランで!!』

 

 珍しく彼から時間指定をしてしまったためにすっぽかすわけにはいかないのであった。

 

「せっかくの機会だけど俺はこのあとみんなで会う約束があるから……そうだ。場所は決まってるのか?」

 

「い、今他の子たちが探してくれてます」

 

「じゃあそれなら……」

 

「ほわっ? ……ほわわっ?!」

 

 

 

 

 Night 四軒茶屋 純喫茶ルブラン

 

「おー、お前らもう来たのか? 寿司はあるか?」

 

「もちろんだ。モルガナが喜ぶと思ってな」

 

「おイナリもたまには気が利くな!」

 

「選んだの私なんだけど……」

 

「まあまあ……」

 

「それよりももっと買ってきたほうがよかったかな?」

 

「いや、別にいいだろ。あーでも……」

 

「ぜ、全然大丈夫ですよ! それよりも蓮先輩遅いですね」

 

「まああいつが少し遅れるのはいつものことだろ」

 

「昨日帰ってこなかったからな」

 

「迎えに行かされた」

 

「ええ……」

 

「あ、誰か来たよ」

 

「おー、お前ら来てやったぞ……って呼んだ本人はまだいないのか」

 

「善吉も呼ばれていたのか」

 

「俺だけじゃないぜ」

 

「やあ諸君久しぶりだね。元気にしていたかい?」

 

「一ノ瀬さん! ということは……」

 

「よ、久しぶりだな。みんな」

 

「ソフィア~~!」

 

「今まで私たちに関わった人たちがたくさん!」

 

「や、やっぱりもっといっぱい買ってきたほうが……」

 

「そんなことだろうと思って用意しておいてやったぞ」

 

「おお! さすがだ、そうじろう!」

 

「マスターあざっす! ……とやっと来たな!」

 

「遅れてすまない」

 

「いいっていいって!」

 

「それと……」

 

 なんと蓮は283プロダクション全員をルブランに連れてきた。

 

「……はあ?!」

 

「これは……壮観だな」

 

「お前な……それだけは想定外だぞ」

 

「やっぱりプロデューサー、ルブランは少し無理があるかと……」

 

「わ、私やっぱり追加で買ってきますね」

 

「あ! 芳澤さん! お久しぶりです! それなら私も一緒に行っていいですか???」

 

「食べ物もそうだけど……どうやってスペースを確保しようかしら……」

 

「や、やっぱりご迷惑だったら……」

 

「ううん! そんなことないよ! あーでも……どうしよ……」

 

 スペースの問題は怪盗団が蓮の部屋(2F)、アイドルたちがルブランという形で一旦収まった。ここに怪盗団の打ち上げとライブの打ち上げの両方が同時開催となった。

 

 

 ▽▽▽

 

 ルブラン2F蓮の部屋

 

「いやあ、さすがアイドルをしているっていうだけあってかわいい子が多いな!」

 

「竜司は変わらないな」

 

「本当に……全く」

 

「でもこんなにたくさんの人が来てくれるなんて賑やかでいいね!」

 

「ああ、そうだな。それに今回は彼女たちも功労者だ。労う価値は十分あるだろう」

 

「だが少し多すぎやしないか? ……おっと失礼」

 

「電話か、善吉?」

 

「……誰だ?」

 

「もしもし……おお……え? まじかよ……じゃあ帰った時に……はあ?! いやちょっと待ってくれ……配信したいから早くって……そんなこと言われても……ちょっと待ってくれよ。確かそれは……あーあそこだ! 俺の部屋の中にあるはず……あったか?」

 

「……娘さんかな?」

 

「たぶんそう」

 

「あったか? あった? おおよかったよかった……そうだ、茜。今懐かしい面々と一緒にいるんだ。代わろう」

 

「やあ、茜久しぶり」

 

「……ひょっとして雨宮さんたち? お久しぶりです!」

 

「元気してた?」

 

「はい! おかげさまで!」

 

「ほんとに元気そうだね!」

 

「みなさんと久しぶりに話ができてうれしいです! そういえば、久しぶりに怪盗団が東京で目撃されたそうですね!」

 

「!」

 

「そ、そうなんだね」

 

「それについて今日配信で話せたらいいなって思ってて。みなさんはどう思いました?」

 

「久しぶりにコーフンした!」

 

「やっぱりそうなんですね!」

 

「本当に元気そうでよかった」

 

「えへへ……じゃあそろそろ時間なので、お父さんによろしくお願いします! あ、よければ配信アーカイブとかに残すつもりなので是非見てください!」

 

「おう! 楽しみしてるぜ!」

 

「では!」

 

「まだ配信していたんだな」

 

「怪盗団の影響力は強いな」

 

「そうだといいんだがな……さておっさんはおっさん同士で話してくるわ」

 

「なあ、わざわざこっちだけで集まる必要なくね?」

 

「ああ。せっかくだから交流しよう」

 

「そうだね! 色々聞きたいし!」

 

 

「……!」

 

 円香のスマホが鳴っている。

 

「どうしたの、樋口?」

 

「……別に何も」

 

(久しぶりにあの人配信するんだ。……アーカイブ残ってるかな?)

 

「あ、怪盗団が降りてきた」

 

「ちょっと……そんな言い方しないで……」

 

「あはは、ごめんごめん」

 

「おお、蓮。降りてきたか。手伝ってくれ」

 

「わかった」

 

「うちも手伝う~!」

 

「わ、私も……」

 

「はは、ありがとう。だけどみんなはゆっくりしておいてくれ。みんな降りてくるから」

 

 怪盗団が全員降りてきてアイドルたちの交流が始まった。

 

「あ! 杏さん! お久しぶりです!」

 

「甘奈ちゃん久しぶり! この前の記事読んだよ~!」

 

「ありがとうございます!」

 

「ちょいまち! さっきちらって見た時から思ってたんだけどもしかしてモデルの高巻杏じゃない??」

 

「うん!」

 

「うそ~! 芸能人じゃん!」

 

「め、愛依ちゃんもそうじゃないかな~」

 

「やは~♡よく雑誌で読んでま~す! 今日ってどんなリップ使ってるんですか~?」

 

「ありがとう! えっとね~、今日は……」

 

 

「あら、もしかしてあなたが福丸小糸さん?」

 

「……! は……はい……そ……そうです……」

 

「以前姉が会ったと言っていて。あ、私、新島真っていいます」

 

「えっと……新島……あ……新島冴さんの……」

 

「ええ。あれからお姉ちゃんノクチルのファンになっちゃったの。曲がロック調なのも好みだったみたい。今ではすっかり小糸ちゃん推しだわ」

 

「そ、そうなんですか……えへへ……」

 

「よかったね、小糸ちゃん」

 

「う、うん! あ、ありがとうございます!」

 

 

「まさか春が怪盗団だったなんて」

 

「ふふっ、隠しててごめんね」

 

「いえ、私も同じ立場なら隠したと思うわ」

 

「まあそう簡単に明かすわけにはいかねえけどな」

 

「昔、やたらとカミングアウトしたがっていたのは誰だったか」

 

「うっ、その話はなし……」

 

「先生らしいよ」

 

「ふふっ、本当にそうだね」

 

 

「なるほどなるほどふたばんがここにいるということは怪盗団だったわけですね」

 

「まあな。……あまり広めちゃだめだぞ?」

 

「わかってるわかってる!」

 

「私たちのなかにそんなことをする人はいないさ」

 

「摩美々~? 言っちゃいけんよ?」

 

「さすがにばらしちゃいけないことぐらいわかってるー。恋鐘こそ口を滑らせちゃだめだよー」

 

「ううっ……わ、わかっとる!」

 

「内緒……です♪」

 

「……本当に大丈夫か?」

 

 

「正直、当時の怪盗団は未成年中心のグループだと思っていた」

 

「まあ、そう思うよな」

 

「あ、私は違うよ」

 

「怪盗団は私だ」

 

「え、もしかしてソフィアさん?」

 

「そうだ。人間のよき友人だ」

 

「なんと……ライブ会場では実体化していたように見受けられたが……」

 

「まあ色々ある。説明すると長くなる」

 

「そういえばライブのチケットを売ってくれてありがとうございます~」

 

「気にするな。会場の広さと過去のライブのデータから自動的に作っただけだ。すぐ終わったぞ」

 

「なんというか……すごいな。ソフィア」

 

 

「あ……黒猫さん……」

 

「マノ、メグル、レンに言われて会いに来たぞ」ニャー

 

「!?」

 

「これは……」

 

「どうしたの、まみみん? ソファーから危うく転げ落ちるところだったね~」

 

「もしかして摩美々、猫苦手~?」

 

「……いや、別に……そういうワケじゃ……」

 

(気のせい? 今、あの猫喋ったような……)

 

「ほわっ、モルガナさん」

 

「モルガナちゃん! こんばんは!」

 

「おう、楽しんでるか? 狭くて悪かったな」ニャー

 

「そんなことないよ! とってもレトロでいい雰囲気だね!」

 

「私、とっても楽しいです!」

 

 真乃とめぐるがモルガナと会話し始めた。その一方で

 

(やっぱり喋ってるよねー……)

 

「おや、やっぱり摩美々もそうなのかい?」

 

「……! 咲耶もー?」

 

「……ああ、実はそうなんだ。どうやら恋鐘たちには聞こえてないみたいだね。真乃とめぐるはどうやら聞こえているらしいけど。……他にも」

 

「……? 今誰が喋ったっすか?」

 

「こ、こんなにいっぱい人がいるから誰かは喋ってるんじゃないかな~?」

 

「まあ、こんなに集まってたらね~」

 

「いや、知ってる人の声ならわかるっす。明らかに別の人の声っす」

 

「……? ふゆにはちょっとわかんないな~?」

 

「……? 喋ってる? あの猫」

 

「猫が喋るわけないでしょ」

 

「え、でも……」

 

「と、透ちゃん……」

 

「や……やっぱり化け猫……」

 

「しゃべる猫って本当にいるんだ……」

 

「プロデューサーさんのペットってすごいのね……」

 

「……ふーん。ほかにもいるんだ……」

 

「なになに? 三峰にも教えてほしいなー?」

 

 摩美々や咲耶たちがそれぞれモルガナに対して反応している中、真乃とめぐるはモルガナと話続ける。

 

「あの、モルガナさん。今度ピーちゃんに会ってくれませんか? もしかしたらお喋りできるのかなって」

 

「あー……それはどうだろうな……だがワガハイもピーちゃんには興味あるぞ!」ニャー

 

「ほわっ、いいんですか? じゃあ今度ピクニックに行きませんか?」

 

「わたしも一緒に遊びたーい!」

 

「ワガハイはいつでもいいぞ」ニャー

 

「えっと……真乃、めぐる、さっきからどうしたの? モルガナってプロデューサーのペットだよね……? 二人とも大丈夫……?」

 

「……?」

 

「???」

 

「え……えっと……その……これは別にボケたわけじゃなくて……」

 

「モルガナちゃんずっと喋ってるよ? 灯織こそどうしたの?」

 

「え?」

 

「あー……メグル。たぶんヒオリには本当にワガハイの言葉は聞こえていないぞ」ニャー

 

「???」

 

「メグルだって最初は理解できなかっただろう?」ニャー

 

「……? あー! 初めて来たときは確かにそうだ! ごめんね、灯織!」

 

「え? え? え?」

 

「あー……そいつの声を理解できるやつが増えるとは思わなかったな……」

 

「え?」

 

「もしかしてマスターもわかるの?」

 

「いや、俺にはさっぱりだ。双葉曰く、あっちの世界で声を聞かなきゃその猫の言ってることが理解できないそうだ」

 

「そ、そうだったんですね」

 

「そういえばわたしたちは屋上で聞いてたけど、そのとき灯織はいなかったもんね……」

 

「ご、ごめんなさい、モルガナさん……といっても私には返事は聞こえないんですが……」

 

「まあ、気にするな。その反応、ワガハイは慣れてる。……それにしてもマコトと同じ反応だったな」ニャー

 

「えっと……なんて?」

 

「気にするなだって!」

 

 交流している間、追加物資を買いに行っていた部隊が帰ってきた。

 

「お待たせしました!」

 

「追加分買ってきました! でもみなさんもう話してますね!」

 

「あー! お姉ちゃんまだ食べてないよねー?」

 

「でもみんな楽しそうでよかった」

 

「おー、帰ったかヨシザワ」

 

「……え? 嘘……?」

 

「助かったよ、──ー。ちょうどこっちの準備も終わったところだ。そろそろ食べるか。智代子、にちか、美琴もありがとう」

 

「いえいえ!」

 

「今度お願い聞いてもらいますからねー……というかみんなあれスルーなんだ……」

 

「ううん、気にしないで。……どうしたの、にちかちゃん?」

 

「い、いえなんでもないです!」

 

「じゃあ始めちゃいましょうか。先輩!」

 

「え? 俺?」

 

「ほかに誰が始めるんだよ……」

 

「さすがにそうだろ。リーダー」

 

「頼んだぞ」

 

 皆からの注目を集める蓮。

 

「はは……じゃあ、今日は集まってくれてありがとう。怪盗団も283プロのみんなも、今は関係ない。仲間として楽しんでくれ!」

 

「おう! (はい!)」

 

 

 一旦ご飯を食べるためにそれぞれの席に着いた。善吉と一ノ瀬以外の怪盗団関係者は上に行った。

 

 

 ▽▽▽

 

 ごはんを食べ終わったころ下の階では一つの話題で盛り上がろうとしていた。

 

「長谷川さん、そういえば娘さんには会えましたか?」

 

「ああ、おかげさんでな」

 

「まあ、ご結婚なさっていたんですね」

 

「……まあな」

 

「マスターも結婚しとる?」

 

「いや、してねえよ。そういうのはあまりな」

 

「え、そうだったんですか? てっきり佐倉さんと双葉さんが本当の親子だとばかり……」

 

「あー、ふたばんがそんなこと言ってました」

 

「あの、失礼かもしれませんが社長はご結婚なさっているのですか?」

 

「私はな……」

 

 社長の話が一通り終わったあとそこに降りてきたのは……

 

「みんな盛り上がっているな」

 

「!」

 

 蓮が降りてきたので果穂が駆け付けた。

 

「あ! プロデューサーさん! 今結婚の話をしてたんです!」

 

「へえ、そうなのか」

 

「そういえばお前はまだ未婚だったな」

 

「そうだったんすか?」

 

「ああ」

 

「あの、プロデューサーさんって結婚したいって思ってるんですか?」

 

 息を呑むアイドルたち、蓮の答えは……

 

「もちろん」

 

「ほわわっ……」

 

「プロデューサー……」

 

「そうなんだ!」

 

「んふふ~」

 

「そうだったんですねー」

 

「おやおや、これは興味深いね」

 

「へえ~そうなんだ」

 

「そ……その……えっと……」

 

「そうだったんですね! ……えへへ!」

 

「そ、そうなのか?」

 

「凛世の心はとうに……」

 

「あら……うふふ!」

 

「プ、プロデューサーさん……」

 

「けけ……結婚……にへへ……」

 

「プロデューサーさん……」

 

「とっても素敵ですね!」

 

「へえ、そうなんだ!」

 

「いいね、グー」

 

「……そうですか」

 

「結婚なんて、そんな……」

 

「やは~♡ほんと~~~!?」

 

「もう! そういうの相手を見つけてからにしてくださいね!」

 

「……! そうなんだ」

 

「ともあれまずは相手を探すことだな」

 

「ま、まあそうだね。頑張って……」

 

「お……おう……」

 

(前途多難だな……)

 

「……」

 

 お店の空気が一瞬にして変わった。蓮は惣治郎と少し話をした後すぐに上がっていってしまった。

 

 

 ▽▽▽

 

 打ち上げが始まってから数時間、夜も遅くなってきた。

 

「っと、もうこんな時間だ。俺明日部活の朝練あるからそろそろ帰らないと」

 

「本当だ、私も明日テレビ局で朝から打ち合わせがあるんだった」

 

「俺は特に用事はないが」

 

「聞いてねえよ……」

 

「アイドルの子たちの中にも明日学校の子がいるんじゃないかな」

 

「そうね、そろそろお開きにしましょう」

 

「むむー名残惜しいが」

 

「大丈夫。また会える」

 

「そうですね。だって」

 

「俺たちは離れていてもつながっている」

 

「おう!」

 

 ▽▽▽

 

「蓮、竜司、よければこのあと銭湯にでも行かないか?」

 

「ああ、それぐらいならいいぜ」

 

「うん、行こうか」

 

 女性陣は誰も蓮から誘われなかったのでやきもきしている。銭湯に負けてしまった自分たちを情けなく思った。

 

「ソフィア、そろそろ行こうか」

 

「ああ、またな、みんな」

 

「また連絡するよ」

 

 一ノ瀬とソフィアは去っていった。入れ違いに善吉が来た。

 

「おっと、お前ら。俺はそろそろ帰るぜ。またな」

 

「ゼンキチ、アカネのことを大事にしてやれよ」

 

「んなことお前に言われなくてもわかってるよ」

 

「今日は来てくれてありがとう」

 

「気にするな。茜も久しぶりにお前たちと話ができて楽しそうだったじゃないか。それで満足だよ。じゃ、また機会があればな」

 

 善吉は帰っていった。

 

 

「怪盗団のみなさんはもう解散ですか?」

 

「うん、みんな忙しいから」

 

「もういい時間だ。お前たちもそろそろ帰るがいい。明日は平日だろう? レッスンも仕事も再開するので各々しっかりと休むように」

 

「……はい。わかりました」

 

「そうだね」

 

「うーん、もうちょっとお話していたかったなー」

 

「めぐるちゃん、私もー」

 

「さすがに果穂やあさひがいるからこれ以上遅くなるのはだめね」

 

「名残惜しいがこれでお開きのようだ」

 

 怪盗団もアイドルたちも名残惜しみながらこの打ち上げはお開きとなり、各々帰路についた。が……

 

(……あーあー、プロデューサーさんとあまりお話できなかったなー……)

 

(プロデューサーさま……)

 

(わかっていたけど……)

 

(ま、こんな状況じゃそう簡単に二人きりになんてなれないわね)

 

(はあ~、あまり話せんかった……)

 

(プロデューサー、銭湯行っちゃった)

 

(もー、担当アイドルほったらかすとか本当にないです!)

 

(もっと話したかったなあ……)

 

(でも……)

 

(プロデューサーさんの秘密を知れたことは)

 

(本当によかったですねー)

 

(次に会ったときどんな話をしようかな……?)

 

「?!」

 

「どうした、蓮?」

 

「いや、何か寒気が……」

 

「おいおい、こんなあっつい風呂に入ってるのにか……? ってあっつー! もう耐えらんねえ!」

 

「俺も……」

 

「さ、さすがにあがろうか……」

 

(だがさっきのは一体……?)

 

 

 

 蓮の秘密を知ったアイドルたちはこれでより一層蓮との絆が深められるようになった。しかし、それは同時に激しいプロデューサー争奪戦が幕を開けることを意味するのであった。

 

 to be continued……

 

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