アイドルマスターシャイニーカラーズ×ペルソナ5 作:フルーヴ
Noon 事務所最寄り駅
「到着だよーっ! プロデューサー! 今日のお仕事楽しかったな~」
「ああ、っとめぐる、少し電話がかかってきた。先に事務所に戻っていてくれないか?」
「わかった! 待ってるね、プロデューサー!」
彼女は八宮めぐる。283プロのイルミネーションスターズの一員。日本とアメリカのハーフでマサチューセッツ州出身。日本人には珍しい、金髪碧眼の女の子だ。
そんな彼女はプロデューサーに言われた通り、事務所に向かうその途中で声をかけられた。
「あの」
「はーい、どうしたのー?」
めぐるが振り返った先には儚げな長身の美青年。彼は言葉を続けた。
「……今見かけて声をかけずにはいられなかった」
「え?」
「君こそ、ずっと探していた人物だ! ぜひ、俺の……」
「ちょっと、いきなりこま……」
「俺の絵のモデルになってくれ!!」
「……えっと??」
「……はぁ。相変わらずだな祐介」
「その声は、蓮! おお! 奇遇だな!!」
「プロデューサー、知り合いなの?」
「ああ。……立ち話もなんだから事務所で話そうか」
「事務所? ああ、そうか。今はアイドルのプロデューサーをやってると言っていたな」
「え、それを理解した上でめぐるに話しかけたんじゃないのか?」
「そのうち行こうとは思っていたが今日は偶然だ」
「ええ……行こうとは思ってたんだね……」
彼は喜多川祐介。怪盗団のメンバー、予告状のデザイン担当。コードネームはフォックス。怪盗団が二人目のターゲットを狙う際、仲間になった。当時は美術の特待生だった彼は現在、画家になっている。
283プロダクション事務所
「紅茶とコーヒーどっちがいいですか~?」
「コーヒーでいいです。砂糖は控え目で。あと、お菓子もつけてくれると嬉しいです」
「おいおい……」
「あはは……」
「はい~、わかりました~」
はづきさんは突然の来客にもいつもと変わらない様子で対応している。はづきさんがキッチンに向かったところでめぐるから口を開いた。
「えっと、まずは自己紹介だね! わたしは八宮めぐる! 283プロのイルミネーションスターズで活動してるんだ! よろしくね!」
「……イルミネーションスターズ?」
「ほら、資料だ」
「かたじけない」
「この真ん中の子が真乃! ほわほわしててかわいいんだよー! こっちの黒い髪の子が灯織! 真面目でいい子だよー!」
「ほう。いいグループじゃないか。創作意欲が湧いてくる」
「ええっと、それで、今更だけどプロデューサー、この人は?」
「これは失礼した。僕は喜多川祐介、今は日本画を描いてる画家だ」
「それで、大体予想がつくが……めぐるに何の用だ?」
「八宮さん、君には僕の絵のモデルになってほしい」
(まあ、そうだろうとは思っていたが……)
「どんな絵なの?」
「ああ、僕は普段こんな絵を描いている」
蓮は久しぶりに祐介の作品を見た。『欲望と希望』以来見る機会が少なかったが素人目にも上達してると思った。だが……
「わぁ、すっごいきれいな絵! でも……」
「……」
「人を描いてる絵、全然無いよ? どうして?」
(やはり、そうだよな……)
「……よく気付いたね、八宮さん。実は昔、すごく魅了された絵があってそれに並ぶ美しさを持つ作品を描きたいと思っているんだけどまだ描けてないんだ。一応何回か描いてはいるが、あまり納得がいっていない」
「祐介……そうだったのか」
「蓮、ずっと思っていたことがあるんだ。俺はあの絵を……”サユリ”のように美しい絵を、別の角度から表現してみたい! 俺だから表現できる方法を! そのために今色々試してみたいんだ。だから二人ともお願いだ、俺に協力してくれ!」
なんと祐介は土下座し始めた。
「とりあえず、顔を上げて、それからソファーに座ってくれ」
「えっと、わたしは全然いいんだけど……でもこれってどうなの? プロデューサー?」
「ありがとう八宮さん! 蓮も大丈夫だよな?」
「祐介、俺は最初から断る気なんてなかった」
「かたじけない、蓮。やはり持つべきものは友だ! 八宮さん早速だけど……」
「落ち着け、祐介。めぐるにも予定があるからな……うん、そうだ。喜多川祐介から正式に仕事としてイルミネーションスターズに依頼するという形はどうだ?」
「イルミネーションスターズに?」
「そうだ。そうすればめぐるだけじゃなくて真乃や灯織にも絵のモデルを頼めるぞ」
「真乃と灯織の絵も描いてくれるの?!」
「なるほど、さすがは蓮、名案だ!」
「だが、こちらも大事なアイドルを貸すわけだ。生半可なものではこちらは満足できないぞ。何せめぐるは外見だけじゃなくて内面も本当に美しい。この美しさは世界でも珍しいぞ? 真乃も灯織も同じだ。それに見合う絵が祐介に描けるかな?」
「プ、プロデューサー……」♪♪♪
「ふっ、相変わらず俺への挑発が上手いやつだ。いいだろう、この喜多川画伯が彼女たちの美しさ、余すことなく描き切ってみせよう!」
「じゃあ打ち合わせをしよう。祐介、いつ空いている?」
「俺はいつでもいけるぞ。たまに今日みたく外に行くこともあるがさすがに蓮たちとの予定を大体優先している」
「そ、それはよかった。じゃあ、予定に関してはできるだけ早く組めるようにする。問題はどのような形にするかだが……」
「そういえば、絵のモデルだとしても俺にしか得がないな。まあ、プロデュースの仕方はお前に任せる」
「……ははっ、さすがに全投げはきついが……まあ考えておこう。めぐるは何か質問あるか?」
「……」
「めぐる?」
「ど、どうしたの? プロデューサー!」
「どうしたのって……大丈夫か? 様子が変だぞ、めぐる?」
「う、ううん! 全然平気だよ! 聞きたいことは今は何もないよ!」
「そうか、じゃあめぐるはこのあと仕事の確認をしたら今日はもう終わりだな」
「そ、そうだね!」
「コーヒーとお菓子です~」
「ありがとうございます」
「ゆっくりしていってくださいね~」
「そういえば蓮、今日の仕事はいつ終わる?」
「ん? そうだな、めぐるの仕事を確認したあと、書類を仕上げるだけだ。定時には帰れるはずだ」
「そうか、じゃあそれまでここで待っていていいか? 聞かれたらまずいことがあったらコーヒーとお菓子を頂いたあと、外でスケッチでもしてくるが」
「いや、ここで待っていてもいいぞ。仕事の確認とはいってもほとんど資料を渡すだけだから見られても問題ないし、今日は他に誰も来ないと思うから待っていてもいいぞ」
「そうか、ありがたい。久しぶりにカレーでも食べたい気分だ」
「そう言うと思ったよ。あ、めぐる、これが次の仕事の資料だ。次の仕事のコンセプトは……」
すぐに仕事の確認は終わった。
「これで終わりだ、何か聞きたいことがあるか?」
「ううん、何もないよ! ありがとう! プロデューサー!」
「そうか、じゃあ今日はもう仕事は終わりだ。めぐる、今日一日おつかれさま」
「おつかれさま! ……ねえ、プロデューサー」
「どうしたんだ、めぐる」
「学校の宿題があるからしばらくここでやっていっていいかな?」
「ああ、いいぞ。偉いな、めぐる」
「えへへ……」
「本当かい! 八宮さん! じゃあ、ここでスケッチさせてもらっても……」
「もちろん! どんどん描いてほしいな! あ、その前に! 祐介さん、もっと他の絵見せてもらってもいい?」
「もちろんだよ!」
しかし、祐介のスマホが点くことはなかった。
「……あれ? 充電ないよ?」
「今月は光熱費がピンチでな……電気代の方を節約してるんだ……」
「あははー……」
(そんなことだろうと思ったよ……さっきの時点でバッテリーゲージ赤色だったからな……)
ここで突然、雨宮Pにある考えがよぎった。
「……そういえば祐介、さっき聞き忘れたことがあるんだが」
「どうした?」
「めぐるたちで裸婦画を描くつもりじゃないだろうな?」
「?!」
「らふが?」
「確かにありのままを描くのは美しいがそれでは”サユリ”の美しさを超えられないだろう。今回俺が求めてるのはそのような美しさではないし、それでは彼女たちを表現しきれないと思っているんだ」
「だ、だよな……一応俺も同行するけど絶対やるなよ……」
「ねえプロデューサー、らふがって何?」
「ああ、要するにヌ……」
「プロデューサーさん」
話を聞いていたはづきさんは言葉を遮るように発言した。
「さすがにそれを大っぴらに言うのはどうかと思いますよ~。もしここで仕事を続けたかったら発言には気を付けた方がいいと思います~。喜多川先生もそれはやめてくださいね~」
「は、はい……」
「わかりました……」
めぐるは意味がわからず首をかしげている。
「プロデューサーさん? 早く仕事を終わらせてカレーを食べに行ってはどうですか?」
「そ、そうします」
「では、私は次のバイトがあるのでお先に失礼します~。戸締りよろしくお願いしますね~」
「了解しました。お疲れ様です、はづきさん」
「はづきさん、おつかれさまです!」
「では、俺はスケッチをしておこう。帰るときに声をかけてくれ、蓮」
2時間後……
「終わったぞ、祐介……あれ、めぐるまだいたのか?」
「プロデューサーおつかれさま! な、なかなか宿題が終わらなかったんだ!」
「いいスケッチが描けたよ。ありがとう、八宮さん」
「どういたしまして! そういえば複数描いてたけどどう違うの?」
「ああ、最初に描いたのはクロッキー、速く特徴をとらえて速く描く方法。もう一つはデッサン。クロッキーと反対に対象をじっくり見て描く方法だ」
「へえ、そうなんだ! 見せて見せて!」
「ああ、もちろん」
「ありがとー!! すっごい上手! さすが画家だね!」
「そう言ってもらえてありがたいな」
「めぐる、遅くなったが送っていこうか?」
「そのことなんだけどプロデューサー、わたしもカレー連れて行ってほしいな!」
「え?」
「さっきお父さんとお母さんから連絡があって、帰りが遅くなるんだって、だからご飯も食べておいてほしいって言われたんだ。だから、ダメ?」
「俺はかまわないぞ、蓮」
「祐介、どこに行く」
「もちろん、ルブランだ。何か都合が悪いか?」
「いや、特に……」
(祐介、ルブランは俺の家だぞ……)
「ルブラン?」
「四軒茶屋にあるレトロな喫茶店だよ。たまに雑誌に載るほどの店なんだ」
「そうなんだ! わたしとっても行きたくなった!」
「……」
「もしかして迷惑だった?」
(う、オマエさ、そんな顔すんの……反則。それは誰でも断れないだろ……)
「いや、そんなことないよ」
「本当?! やったあ! ありがとうプロデューサー!」
「さあ、行くぞ蓮! 俺は腹が減った!」
(余計な事言うなよ祐介……)
Night 純喫茶ルブラン
「おお帰ったか」
「ご無沙汰してます、マスター」
「久しぶりだな、今は画伯だったか? 今日はなんだ? カレーか? それともあの絵か?」
「両方です。あとコーヒーもください」
惣治郎は見慣れない子がいることに気づいた。
「蓮、後ろの子は? もしかして職場の子か?」
「あ、はい。わたし、八宮めぐるです!」
「ご丁寧にどうも。俺は佐倉惣治郎、ここのマスターだ。……だが今日は客もいねえし、店じまいしようと思ってたところだが……」
「えっ、そんな……」
「安心しな、あんたのプロデューサーが何とかしてくれる」
「え?」
「じゃあ、蓮、後は頼んだ。店閉めといてくれ。あと材料使いすぎんなよ」
「わかった、ありがとう」
惣治郎は去っていった。ある程度空気を読んでくれたか? 個人的には居てほしかったが……
「えっ、マスター帰っちゃったよ! いいの?」
「大丈夫だ、蓮は同じ味を提供できる。それも無料でだ!」
「おいおい……まあいいか。正直、最近はプロデュース業の方で忙しかったから久しいぞ?」
「かまわない、それでも蓮のカレーの味は保証されている」
「プロデューサーが作ってくれるの?! 食べたーい!」
「ああ、祐介はコーヒーもだったか?」
「期待してるぞ」
「めぐるはどうする?」
「ちょっと夜更かししたいから挑戦してみる!」
「そうか、早寝早起きがめぐるらしいんだけどなあ」
「それでもプロデューサーが淹れるコーヒーを飲みたいのー! 灯織もコーヒーよく飲んでるからその話もしたいなーって」
「ははっ、わかったよ。なるべく飲みやすくするからな」
そう言った後、蓮は厨房へ向かった。
「祐介さん、さっきマスターが絵を見に来たって言ってたけど、ひょっとしてあの入口の絵のこと?」
「ああ、そうだ。よくわかったね。……八宮さんはあの絵のことどう思う?」
「え? うーん……わたしは絵のことはよくわからないけど、何か惹き込まれるような、なんていうかお母さんが子どもを見る目がとっても優しいよね。綺麗な絵だなあ……」
「!」
「あの絵なんていう名前なの?」
「”サユリ”だよ。世間的には」
「”サユリ”? もしかしてあの女の人の名前なのかな?」
「いや、あの女性の名前はサユリではないよ」
「え? じゃあなんでそんな名前が……?」
「……あの絵は一度盗まれたんだ」
「!」
「それで盗まれたほうに価値が出てしまったんだ。そのときに付けられた名前が”サユリ”なんだ」
「……じゃあ本当の名前は?」
「……名前がつけられる前に盗まれてるからないんだ」
「そうだったんだ……。じゃあ、誰が描いたの?!」
「……僕の母だ。そして、あの絵は、母の自画像なんだ」
「え、じゃああの赤ちゃんって……そうなんだ……」
めぐるが”サユリ”のことを知った後、ほどなくして蓮が戻ってきた。
「二人ともできたぞ」
「わあ、おいしそうなカレーだね!」
「おお、やはりこれだな!」
「冷めないうちに食べてくれ」
「いっただきまーす!」
「いただきます」
(……めぐるの口に合うか?)
「うん! おいしい!」
「それはよかった」
「ああ、甘美な味だ! 早くコーヒーも持ってきてくれ!」
「コーヒー?」
「この店のカレーはコーヒーに合うように作られてるんだ。とても計算づくでな」
「そういえば、双葉がそんなことを言っていたな」
「へぇ~! そうなんだ! じゃあ頂戴! プロデューサー!」
「そういうと思って作っておいたぞ」
「ありがとう! プロデューサー! ……あまり苦くないね! すっごくおいしい!」
「蓮の淹れるコーヒーは年々美味しくなっていくな。マスターにもう引けを取らないんじゃないか?」
「さすがに惣治郎レベルにはなってないよ」
「それでもこのコーヒーはすっごく美味しい! これならわたしも飲めそう! ありがとう、プロデューサー!」
「どういたしまして、めぐる」
「えへへ……灯織にも飲んでほしいから今度連れてきてもいい? あ、もちろん真乃も! まずは、灯織の一日署長のお疲れ様会で来たいなーっ!」
「よかったな、蓮。常連が増えるぞ」
「……ああ、うれしいよ」
それから二人は一心不乱にカレーを食べ続けた。すぐに皿の上の料理は無くなってしまった。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまー! おいしかったよー、プロデューサー!」
「ああ、ありがとう」
「お店のカレーとコーヒーを作れるなんてプロデューサーすごいね! ……あれ、そういえばなんでプロデューサーがこの店のカレーとコーヒーを作れるの?」
(……この質問は想定している!)
「それはこの店でバ……」
「この店は蓮の家でもあるからな、もう何年も作ってるし、食べてるんだよ」
蓮はごまかそうとしたが祐介の言葉によって遮られた。
「え?」
(……祐介ェェェェ!!!!)
とうとうプロデューサーの恐れていたこと、家バレの危機が訪れてしまった。
彼はアイドルたちとは仲良くできていることは嬉しいと思っている反面、数人距離が近すぎる者が存在していることには気づいている。もし、遊びに来た瞬間を文〇砲されてしまっては彼女たちの活動に支障をきたす。少々自意識過剰かもしれないが不安の芽は摘んでおきたい。だから家を教えるわけにはいかないのだ。
「高校の頃、この店の屋根裏で下宿してたんだ、蓮は」
「へぇー、だからルブランの料理ができるんだね!」
(よし、ナイスだ、祐介。この表現だとまだこの店に住んでるのがバレたわけではない……)
しかし、危機は続く。
「ふわぁぁぁ、帰ったのか、レン。早く飯にしようぜ!」(ニャー)
(モルガナ、音からして客がいるのはわかるだろ。降りてくるなよ……)
「猫の鳴き声?」
「おお、その声は」
「お? ユースケじゃねーか! またカレー食べに来たのか?」(ニャー)
「あーっ! 黒猫ー! もしかしてモルガナちゃん? でも何でここに?」
(真乃、イルミネでモルガナの話したんだ。イルミネの情報網って怖いな、うん。だけどまだバレたわけでは……)
「八宮さんはモルガナを知っているのかい? なら、ここに蓮が住んでるからモルガナがいるのは予想できたんじゃ……」
「おい、バカ……」
「え、もしかしてここがプロデューサーの家なの?! そうなんだー! モルガナちゃん! わたしは八宮めぐる! 真乃の友達だよ!」
「お、おう。よろしくメグル」(ニャー)
(もしかして、ワガハイやらかした?)
「……」
蓮は項垂れている。家バレしてしまった。少なくともイルミネには広がってしまうなとプロデューサーは思った。そんなこととはおかまいなしにめぐるはプロデューサーに言った。
「ねぇ、プロデューサー、イルミネのみんなで遊びに来てもいい? 真乃もモルガナちゃんに会いたいって言ってたよー!」
「いや、でもアイドルがプロデューサーの家に遊びに来るのはちょっと……」
「じゃあ、ルブランのお客さんとしてカレーとコーヒーを食べに来るのは?」
「それは……」
「じゃあ、今度絶対みんなで来るねー!」
「……客として来るならな」
「やったー! ありがとー! プロデューサー!」♪ ☆彡
「もう遅い時間だぞ。レン、アイドルは家まで送って行ってやれ」(ニャー)
「そうだな、それがいい」
蓮は軽く二人を睨みつけた。二人とも意に介してないようだが。
「ユースケはどうするんだ?」(ニャー)
「蓮が帰ってくるまでは待っていようか?」
「別に戸締りはできるが、せっかくだから待っていてくれ。言いたいことがある。めぐる、もう遅い時間だから家まで送っていくよ」
「本当!? ありがとー、プロデューサー!」
「ではまた今度、八宮さん」
「はーい。またね、祐介さん! モルガナちゃんも、バイバイ!」
「またな、メグル」(ニャー)
▽▽▽
帰っている途中、めぐるはプロデューサーにあることを尋ねた。
「ねえプロデューサー」
「どうした、めぐる?」
「わたし、”サユリ”のようになれると思う?」
めぐるは真剣に悩んでいた。祐介の話を聞いて彼の絵のモデルになることの重さを感じていたからだろうか。
「……なれるさ、きっと。それよりずっと輝けるさ」
プロデューサーとしてこう答えるしかないが、それは本心から出た言葉だった。
「えへへ、ありがとう、プロデューサー」♪♪ ☆彡
「どういたしまして」
「あ、そうだ、プロデューサー! わたしのコーヒー、祐介さんのものと違ったよね? どうして?」
「よく気づいたな。それはめぐるに合わせたんだ。惣治郎が客に合わせてコーヒーを出せって教えてくれたから、俺はそれを守ってるだけ」
「へえ~、そうなんだ! わたし、あの味大好き! また飲みたいな!」♪ ☆彡
「めぐるが望むなら、いつでも。事務所じゃ器具がないから難しいかもしれないけど」
「じゃあ、絶対ルブランに行くね!」
「……ああ、客としてな」
(次はいつ行こうかな~……来週、プロデューサーが休みの日でいいかな?)
(よし、楽しく話せたな)
パーフェクトコミュニケーション
親愛度+35
▽▽▼
めぐるを送り届けて帰ってきた蓮に祐介は話しかけた。
「帰ってきたか、蓮。まずは銭湯に行くぞ! 夜はまだ長い!」
「祐介、色々言いたいことはあるが……とりあえず、まだあんなナンパ紛いのことをしていたのか?」
「そういえば、蓮たちと初めて会ったのも、杏をモデルにスカウトしようとした時だったな」
「……通報されるなよ?」
「通報されたことはないな。今まで声を掛けた人はみんな親切な人だったぞ? 場合によっては即、食事に行くことはあるぐらいだ。そういった相手とは連絡先を交換する。だが、いつも絵のモデルの予定を組むために再び連絡を取ろうとするとなぜか知らないが連絡が取れないんだ。今のところ、2回目以降連絡が取れているのは杏しかいない。代わりにモデルは断られたがな」
「……そうか、今回は仕事だから断るつもりはないぞ」
(祐介は顔がいいからな、黙っていたらイケメンなんだが……)
(まあ、中身を知ると敬遠したくなるのもわかる)
祐介は日本画の画家になっています。相変わらず絵を描くことを優先してお金を使うためそんなに懐はあったかくはない。全く知名度がなく売れていないというわけではなく知る人ぞ知る次世代の画家として注目されてはいます。ルブランによく行くようになったので蓮や双葉と会うことも他の怪盗団のメンバーに比べれば多いです。