アイドルマスターシャイニーカラーズ×ペルソナ5   作:フルーヴ

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杜野凛世と東郷一二三

 Night

 

(プロデューサーさま……あなたさまにとって凛世はどのような存在なのでしょうか……ほかの皆様のほうが魅力的なのでしょうか……)

 

 彼女は杜野凛世。放課後クライマックスガールズの大和撫子。プロデューサーに下駄の鼻緒を直してもらい、アイドルにスカウトされたことから彼女の人生が変わった。今日は将棋アプリのCM撮影をしているが何か不機嫌な様子だ。撮影が終わったので蓮は彼女に話しかけた。

 

「撮影お疲れさま、凛世」

 

「ありがとうございます」

 

「……凛世、今日はどうしたんだ? どこか具合が悪いのか?」

 

「い、いえそんなことは……ところで、プロデューサーさま……あちらの方はもしかして棋士の東郷一二三さまでしょうか……?」

 

「おお、よくわかったな。そのとおり。今回の将棋アプリは彼女が監修しているからな」

 

「それは存じ上げておりませんでした。あのご挨拶に伺ってもよろしいでしょうか……?」

 

「ああ、もちろん。俺も同行するよ」

 

「ありがとうございます……」

 

 東郷一二三。過去に女流棋士のリーグで優勝した経験があるが、とある事情により一時プロの身から退いていた。現在はプロに返り咲いたようだ。蓮との関係は、お互いが高校生の時に蓮が一二三から戦術の考え方を学んでいた。そして一二三は蓮に人生を変えてもらったのだった。例のごとく、蓮とは交際している。

 

「蓮君……」

 

「会うのは久しぶりだな、一二三」

 

「そうですね、そちらの方はもしかして……」

 

「初めまして、杜野凛世と申します」

 

「初めまして凛世さん。私は東郷一二三です。今回、この仕事を引き受けてくださってありがとうございます」

 

「いえ、そんなことは……凛世も将棋は嗜む程度にしますので……」

 

「そうだったんですね。嬉しいです」

 

「そうだったのか、凛世」

 

 そこでふと蓮は昔、一二三と対局していたことを思い出した。一二三も暇そうだったのである提案をした。

 

「せっかくなら凛世、対局していってはどうだ? まだ時間もあるし。一二三もどうだろう?」

 

「そんな、畏れ多いです……」

 

「いえ、私は全然……えっと……2枚落ちと一手20秒の早指しなら」

 

「ありがとうございます……」

 

「……では早速、あなたに東郷王国(キングダム)を堕とすことができましょうか? 対局よろしくお願いします」

 

 一二三は将棋のときに独特な世界観を生み出すことでも有名だ。

 

「よろしくお願いいたします……」

 

(一二三さまはさきほど何か詠唱しておりました、きっと何か物語でもあるのでしょう。では凛世の場合、この軍勢は283プロダクションでしょうか……? 

 

 ふふっ、では凛世のこの玉はプロデューサーさま……。

 

 角は果穂さん……この金将は樹里さん……飛車は夏葉さん……この銀将は智代子さん……

 

 全員が283プロのみなさまのよう……全員でプロデューサーさまを守りましょう……)

 

 2枚落ちの甲斐あってか序盤は凛世が有利だった。そして……

 

「ここで夏葉さん……王国(キングダム) を貫くビーチブレイバー飛車でございます……王手」

 

(もしかして一二三に影響を受けたのか……?)

 

 先に王手をしたのは凛世だった。しかし、

 

「甘いです、凛世さん。その刃、既に見切ったり」

 

 すぐに飛車がとられてしまった。

 

(夏葉さん……)

 

 また、飛車が取られたことを皮切りに凛世の勢いは衰えていった。そして、守りに徹していた金将と銀将もとられてしまった。

 

 そして……

 

「我が手に堕ちた蒼穹の竜よ、蘇りて闇の竜王となり、闇の業火で焼き尽くせ! ダーク・インフェルノ・飛車! 王手!」

 

(……さすが一二三だ。勝負あり……か)

 

 勝負を見ていたプロデューサーだが、電話がかかってきたため席を外した。

 

(逃れる術は……)

 

 将棋盤の上を283プロに見立てていたせいで凛世はこの状況が別の風景に見えていた。

 

(あれは凛世が取られてしまった駒……金将(樹里さん)飛車(夏葉さん)銀将(智代子さん)……

 

 こちらに行けばプロデューサーさまがラーメンに……

 こちらではプロデューサーさまが映画館に……

 こちらではプロデューサーさまがビュッフェに……

 

 まるで、これは今の状況……内堀まで埋められた、大坂城のようでございます……)

 

 凛世は考えた。明らかに20秒を過ぎていたが、一二三は何も言わず待っていてくれた。が……

 

(もはや手は……)

 

「負けました……」

 

 勝負は凛世の投了で終幕した。が、そのあと少し間があった。そして一二三は声をかけた。

 

「凛世さん、どうして投了しましたか?」

 

「打つ手が……凛世には見つかりませんでした」

 

「今回はここにこれを置けば次の手につながります」

 

「しかし、そのあとこれがここに動き……3手後に凛世は詰みでございました……」

 

「いいえ、違います。凛世さん、実はそれを動かしたあとこれをこのように動かせば……」

 

「!」

 

「凛世さん、ご存じだと思いますが王手をかけることそれ自体は詰みではありません。詰みの場合、投了することが求められますが、今回はまだ手があります。一見詰みように見える状況から大逆転勝利をしたというケースもありますから」

 

「……それは、将棋の話でございましょうか?」

 

「いいえ、将棋の話だけではないです。私は現実でも同じようなことを経験し、目撃しました。どの世界でも同じことが言えるんです。あなたが何に躓いているのか私には見当がつきません。ですが、あきらめるのは早いかもしれません。最後まで頑張ってください、凛世さん。これからも応援しています」

 

「そんな、畏れ多いです。ありがとうございます」

 

「では最後に、ありがとうございました」

 

「! ありがとうございました」

 

 

 

 

 

(あ、凛世。やっぱりあそこで詰みだったようだな……だが凛世はどこか清々しい顔をしている。何か吹っ切れたみたいでよかった)

 

「一二三。今日はありがとう。おかげでいい刺激になったようだ」

 

「いえ、あなたの願いなら私は……蓮君、久しぶりに対局したいのですが、少し時間がないようです。また今度、新手研究の相手をしてもらえますか?」

 

「ああ、もちろんだよ」

 

「ありがとうございます。ではまた教会で……」

 

 一二三は名残惜しそうに帰っていった。

 

(そういえば凛世……さっきからずっと俺の方を見ているな)

 

(凛世は王を、プロデューサーさまを必ず魅了してみせます。そもそも守る玉ではございませんでした。攻めて堕とします。なので、まだ投了する時ではございません。凛世がプロデューサーさまのなんばあわんになってみせましょう)

 

「……今日は遅くなっちゃったな。一緒に何か食べて帰らないか? 吉祥寺にいいジャズクラブがあるんだ」

 

「……! はい、よろこんで……」♪♪♪ ☆彡

 

 どうやら歌手も来ていたらしい。二人の帰りは遅くなってしまった。

 

 パーフェクトコミュニケーション

 親愛度+15

 




タイトルつけ忘れてたとかある?

一二三は一度棋界から退いていましたが腕を磨き再び返り咲きました。ただ、美人であるということに変わりはないので結局将棋というよりメディアへの出演が仕事としては一番多いです。昔はそれを実力に伴わないことであったためあまり好んではいなかったが現在はある程度割り切れている様子。

蓮との交際は継続している。10股がバレてもなお人生を救ってもらった彼への好意は途切れなかった。だが自身が学生のころから忙しい身の上なので二人が直接会った回数は多くなく、連絡を取るだけの日が多い。それって付き合ってるの?とかは言っちゃダメ。本人のしあわせは本人にしかわからないです。
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