「それで返事は?」
そう聞かれて我に返る、故郷の両親に思いをはせている場合じゃねえ。
どうしたものかと思いつつ彼女の顔を見てみると、恥ずかしそうにしつつもこちらの様子を伺い私をからかっているかのようにも見える。
嬉しいか嬉しくないかで言えば嬉しい。こんな綺麗な人に一目ぼれされ好意を伝えられるなんてなろう小説でも見ないほど都合が良い。いや、なろう小説ならありうるかもしれないけど。けれど、現実はなろう小説ではないし、いざ彼女ができる!みたいな展開になったとしても急展開過ぎてむしろ怖い。淡い期待はとうに消え去り残ったのは不安感と恐怖だけだった
そんな様子を見て彼女は「あははは」と笑った。怖い。
「ごめんね、冗談だよ冗談」
冗談…、冗談か。悪趣味すぎるだろ!けれど、怖いぐらい都合の良い現実がなくなり、からかわれていたと分かると残った不安や恐怖がなくなった。そして、憤りが湧き始めた。入学したばかりの不安だらけの学生に言ってよい冗談ではないだろう!許せねえ…。私は激怒した。必ずかの邪知暴虐な先輩を除かなければならないと決意した。私には人間関係がわからぬ。けれども自己へのからかいにに対しては人一倍に敏感であった。
「まあまあ、そんな怒らないでよ、ね!」
「いや、会ってすぐの人に言って良い冗談じゃないと思うんですけど」
「んー、それはごめんね。でも全部が全部冗談ってわけじゃないよ?君のことが気になってるのは本当!」
少し申し訳なさそうにし言う。
「…なんでなんですか?先輩みたいに容姿に優れているわけでもないですし正直怖いんですけど…」
「それは内緒!というか私の容姿が優れているって照れることを言うね君は」
ニマニマとしつつからかうように言う彼女。恥ずかしい…。恥ずかしさをごまかすように咳払いをし話を変える。
「で、結局サークル?同好会?はどうするんですか?内容も決まってないんですよね?」
「そうだねぇ、うーん、よし!思いつきました!週に何回か集まってお話しするサークルにしましょう」
えー…適当過ぎないか。そんなもので良いのか?大学は自由なイメージがあったがこれは自由過ぎるだろう…。さっきとは違った不安しか出てこない。
「そんなので良いんですか?なんか、もっとちゃんとしたのじゃないと認められないんじゃないんですか?」
「まあ、認められないかもしれないけど大丈夫だよ。二人で話すだけなのに許可とかいらないでしょ?」
そういわれてみればそれもそうな気がする。いや、というかそれはもうサークルでも同好会でも何でもないのでは?ということはそもそもこれは新歓でもないのでは?いや、サークルの内容が決まってない時点で新歓でも何でもないのは明らかだったのだけれどなどと黙々と思考だけ廻り続ける。
そんな様子を見かねてか
「どうする?入る?というか結成する?」
と彼女が私に問う。
どうしよう…。正直そこまで入りたくない!というわけでもない。だって先輩美人なんだもん!それにこういうのは少し非日常的でまるでラノベみたいでワクワクしないこともない。けれど、滅茶苦茶入りたいわけでもない。だって怖いは怖いもの。冷静に考えなくともこの先輩やばいだろ。美人なら何でも許されるわけじゃねえからな。現状をまとめるといたいけな新一年生を教室から出れなくして告白されたと思ったら内容が今決まったサークルに入るかを聞かれているとかいう意味不明な状況だ。もはやちょっとしたいじめだよこれ。
いろいろと悩んだ末出した結論は…
・・・
入学早々起きたあの意味不明な状況から数日たち、初めての履修登録やら自炊やら講義やらで忙しない日々を過ごしていた。講義も終わり、まだ見慣れない風景を眺めながら帰路に就く。目につく道路や住宅地元にもあったはずのどれもが未だに新鮮で、あぁ知らない土地に来たんだなと改めて思ってしまう。そんな新鮮で楽しくもやっぱりなんだかんだ不安で実家が少し恋しくなっていた最中スマホの通知音が鳴る。通知には先輩の名前。先ほどまでの郷愁はどこへやら。ついに来たかと身構えてしまう。
スマホのロックを外し、アプリを開き連絡の内容を確認する。内容は、初めてのサークル活動をするとのこと。場所はあの日と同じ教室で時間は明日の最後の授業が終わった後。
結局あの時だした結論は、サークルに入るというものだった。
美人な先輩と好奇心には勝てなかったよ…。
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別作品もあるので読んでいただければ幸いです。
そっちも更新したい…