イナズマイレブンに似た世界に転生した件について   作:よしたろうex

12 / 18
 棚卸しが忙しかったです。許してください。
 なんとか年末までに次話を上げて西ノ宮中戦を終わらせたいところです。


西ノ宮中に苦戦する日

 俺はネットを揺らすボールを眺めながら茫然としていた。勝てる、と思っていたわけではないがこんなにあっさりと得点されるとは思ってもいなかった。見通しが甘かったか。ふと周りを見れば、才治や鶴巻も似たような表情をしていた。特に鶴巻は突破されたこともあって深刻な表情だ。薬師寺先輩も驚いていたが、その表情にはどちらかというと諦めが見て取れていた。しかしまずい、このままだと士気が下がってしまうな……。

 

 

「皆、試合に集中しろ!まだまだこれからだ!」

 

「そうよ、負けたわけじゃないのよ。切り替えていきましょ。」

 

 

 そんな状況に、新島先輩と東雲先輩が皆に発破をかける。すると、その声に感かされる様に皆の顔にも徐々にやる気が戻ってきた。やっぱすげぇな、キャプテンって。一声で状況を変えちまった。

 そんなことを考えながらポジションに戻る途中、未だ浮かない表情の鶴巻を発見する。見かねて何か言おうとした時、前のほうから声が聞こえた。

 

 

「鶴巻君!大丈夫だよ!私が何点でも決めてあげる!」

 

「加賀美さん……。」

 

「そうさ、鶴巻。今悩む暇があったら、次どうすればいいか考えるんだ。」

 

「坂上……ああ!お前の言うとおりだな!俺、頑張るよ!」

 

 

 キラからの思わぬ声援によりどうやら元気になったようで、速足で自分のポジションへと戻っていく。鶴巻はサッカーの試合はこれが初めてだしな。潰れなきゃいいんだが……。

 

 

 

「くくく……すぐにもう一回絶望に叩き落してやるよ……。」

 

 

 

 

 そして全員がポジションに着き、天竜中からのボールで試合が再開する。新島先輩を中心に積極的に攻めるという事前に決めておいた作戦をとった天竜中に対し、あまり動きを見せず不気味な西ノ宮中という対照的な試合展開となった。

 ボールを持った新島先輩は影狼先輩に2人のマークがついていることを確認し、キラにボールを回す戦法へと切り替える。

 

 

「南条!」

 

 

 南条先輩にパスを出した新島先輩だが、そのパスは陰島によって軽々とパスカットされてしまう。

 

 

「甘いんだよ!新島!」

 

「くっ、陰島……。みんな!陰島を止めろ!」

 

 

 その声に反応し南条先輩が向かっていくが、軽くいなされてしまいそのまま陰島が攻めあがってくる。

 

 

「行かせないわ!」

 

 

 東雲先輩が陰島の前に立つも、陰島は薄く笑った後FWにパスを出す。陰島ばかりに集中していた俺たちは反応が遅れ、結果的にFWをゴール前まで素通りさせてしまう。敵のFWは、ボールを浮かせながら逆立ちした後回転し、その勢いそのままにシュートを放ってきた。

 

 

「『スピニングシュート』!」

 

「今度こそ、『バーニングキャッチ』!うああああああ!」

 

 

 西ノ宮中のシュートは薬師寺先輩の『バーニングキャッチ』を再び破り、俺たちのゴールネットに突き刺さる。

 またしてもあっさりと点を決められてしまい、0-2になってしまう。その事実に俺は夢であるかのような錯覚を受けるが、嫌に目につく西ノ宮中の姿がそれが現実なんだと教えてくれる。なんにも手ごたえを感じていない中でのこの点差は、俺達を追い詰めるには十分な点差だった。周りを見ると諦めてはいないものの明らかに苦しい表情をしていた。

 

 

「分かったか、新島。これが俺たちとお前たちの差だ。」

 

 

 その言葉に対し新島先輩は軽く睨み付けるだけにとどまり、チームに発破をかけながらポジションへと戻っていった。

 

 

「まだやる気は失っちゃいねぇようだな。まあそう来なくては面白くないしな。」

 

 

 

 

(なぜこんなにも動きが読まれているのかしら?もしかしたら……。)

 

 

 

 

 試合が再開し、再び攻めあがる新島先輩達。しかしその道中、神楽に対して出したパスをまたしても陰島にカットされてしまう。

 

 

「くっ、また……。」

 

「邪魔だ!どけどけ!」

 

 

 神楽たちをを吹き飛ばしながら向かってくる陰島の前に、俺は立ちふさがった。これ以上好きにさせたらまずい、そんな直感にも似たなにかを感じながらも陰島を止めにかかる。

 

 

「邪魔だっつってんだろ!」

 

 

 しかし俺のブロックはいともたやすく抜かれ、ゴールへの道を許してしまう。

 

 

「ふん、張り合いのない奴だ。……さて、サクっともう一点いただくか!『クロスドライブ』!」

 

 

 マズい!そう思う間もなく陰島のシュートが薬師寺先輩に向かって放たれた。俺があそこで止められていたら……そんな後悔を俺がしている間に、なんと鶴巻がシュートコースに体を入れた。

 

 

「『スピニングカット』!」

 

 

 鶴巻が『スピニングカット』を使い、陰島の『クロスドライブ』と衝突する。さすがに止めるとまではいかなかったものの、かなりの勢いを殺すことに成功する。

 

 

「あとはお願いします!」

 

「ああ!『バーニングキャッチ』!」

 

 

 そうして放たれた『バーニングキャッチ』は見事シュートの威力を抑えることに成功し、その薬師寺先輩の手にはボールが握られていた。

 

 

「なんだと!?」

 

「やった、やりましたよ!薬師寺先輩!」

 

「よくやったぞ!薬師寺、鶴巻!」

 

 

 二人が止めたことに陰島は驚き、そして俺たちは喜びを隠しきれなかった。今まで全く歯が立たなかった相手からのシュートを止めたことにより、勝利への一筋の光が見えた気がしたからだ。

 

 

「坂上!」

 

 

 勢いを殺さないように、すばやく俺にボールを出す薬師寺先輩。そのまま俺は流れるように作戦通り新島先輩にパスを出そうとした時、俺を呼ぶ声が聞こえた。

 

 

「坂上!こっちよ!」

 

「え、あ、え?」

 

 

 なんと神楽からパス要請が飛んできた。突然のことに戸惑い言葉の真意を問おうとするが、体は既にパスの体制に移っておりそのまま神楽へとパスを出してしまう。

 神楽へのパスはチームで決めていた作戦とは違う行動であり、チームメイトと敵は一瞬驚き動きを止めてしまった。そう、新島へのパスカットに動いていた敵の動きさえも止まったのだ。

 

 

「やっぱり、思ったとおりね……。磯貝!」

 

「なるほどな……。そういうことか。ナイスやで、神楽はん!」

 

 

 状況がいち早く掴めたらしい磯貝にパスを出し、戸惑う敵のMFとDFを『ひとりワンツー』を使い抜き去っていく。そして流れを把握した他のプレイヤーが動き出した時にはゴール前まで迫っていた。

 

 

「新島はん!」

 

「『スパイラルショット』!」

 

 

 残りのDFを引き付け、フリーの新島にパスを出す磯貝。そして、ボールを受け取った新島が渾身のシュートを放った。そのシュートに対し敵のGKは、右手を燃やし思いっきりボールに殴りかかる。

 

 

「『熱血パンチ』!」

 

 

 『スパイラルショット』と『熱血パンチ』の勝負は互いに拮抗し……、最終的に『熱血パンチ』が勝ちボールを弾き飛ばした。

 

 

「くそっ!」

 

「ふん、ゴールはわらせんぞ!」

 

 

 そうして弾き飛ばされたボールは敵のDFに渡ると同時に影狼先輩がプレスをかけ、しばらくの間交戦し最終的にフィールドの外にはじき出された。

 今のうちに神楽に話を聞きたかった俺は神楽の元まで駆け寄ると、既に皆も駆け寄っていた。やっぱりみんなも気になっていたんだな。

 

 

「あの陰島とかいう人は新島さんのことを目の敵にしているんですわよね?」

 

「あ、ああ。そうだな、2年前に1回戦で当たっているから知らない中じゃないが、どうしてあそこまで敵意があるのかはわからんがな……。」

 

「きっと彼らは新島さん達の動きのパターンを研究し、対策しているのですわ。」

 

「そうか!だから俺のパスは先回りされてカットされていたのか!」

 

「なるほどな……。だから俺がパスした後、奴らの動きがおかしかったのか。しかし、いつ気づいたんだ?」

 

「確証があったわけじゃないわ。ただ、鶴巻が割り込んだのが予想外って反応に見えたから試しただけよ。あんなに3年生の攻撃には対応していたのに、私たち1年の攻撃には対応できていないように見えたから。」

 

 

 なんか淡々と語っているが、これ相当凄くね?鬼道かよ。あと、磯貝もよく気付いたなこれ。さすがは小学校サッカー界隈で名を馳せただけのことはあるな。

 いつまでも作戦会議をしているわけにもいかないので試合に戻ろうとするが、その前に新島先輩から作戦が伝えられる。

 

 

「いいか?ここから先は俺を中心とした攻め方と、神楽を中心とした攻め方を織り交ぜていこうと思う。」

 

「えっ?わたくし……ですの?」

 

「ああ。奴らのデータにはない1年を中心に試合を組み立てれば、さっきのようにパスカットされることなく戦えるはずだ。神楽、自信を持て。お前の戦術は通用する。」

 

「神楽ちゃん!とにかくやってみようよ!大丈夫、神楽ちゃんならきっとうまくいくよ!」

 

「才治……分かりましたわ。わたくしに任せてくださいな!」

 

 

 自信に満ち溢れた表情でそう宣言する神楽。皆も異論はないようで、ここからは2人の指示の元攻める様だ。……作戦かぶったらどうすんだ?これ。

 そんな心配をよそにこちらのスローインで試合は再開される。新島先輩が投げたボールは神楽が受け止め、どこか拙いドリブルで攻めあがる。神楽はそのままドリブルで上がりつつ、絶妙なタイミングでバックパスを織り交ぜる。その動きに西ノ宮中の奴らは対応できず、右往左往しているところを見ると、作戦は通用しているようだ。陰島が必死に指示を出すも、神楽の戦略の前では裏目に出てしまい、ついに俺達天竜中にとって最大のチャンスが訪れた。神楽が敵DFの一瞬のスキを突き、キラにボールを回す。

 

 

「今よ!加賀美さん!」

 

「ナイスパス!神楽ちゃん!『ダークトルネード』!」

 

「やらせるか!『熱血パンチ』!くうぅぅぅぅ、うああぁぁぁぁ!」

 

 

 

 

 キラが放った公式戦初の『ダークトルネード』は『熱血パンチ』を打ち破り、そのまま得点へとつながった。1-2。まだまだ負けてはいるものの、確かな手ごたえを感じた俺たちは心の底から歓喜の声を上げた。




・スピニングシュート
 原作では主に一ノ瀬が使用。円堂との顔合わせ以外で使った記憶がない。正直ゲームでも使われた記憶がなく影は薄い。頑張ったらできそうな技ランキングTOP5には入ると思う。威力は下の下。

・熱血パンチ
 原作では円堂が使用。ゴッドハンドを噛ませにするわけにはいかないので生み出された技という印象。ただ出番がないかといわれればそうではなく、特に響監督との3本勝負のシーンでは作画の良さも相まってかなり印象的なシーンとなっている。ゲームでは一転、円堂は自力取得しないので一気に影が薄くなる。威力は下の下。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。