イナズマイレブンに似た世界に転生した件について 作:よしたろうex
いやまいったね。まさか原作と違う世界にいるとは想像もしてなかった。原作キャラと会えないのはヒジョーにショックではあるが、世界が違うとなると俺にはどうしようもない。逆に潔く諦めがつくというものだ。むしろ必殺技がある分だけマシというものだな。
とにかく、ボールを買ってもらった以上特訓あるのみだ。原作キャラに会えないのは悲しいが、それはそれとして超次元サッカーはしたい。というか必殺技が打ちたい。ゲームをプレイしていたころから必殺技には憧れており、時代が経つにつれてリアルになっていくエフェクトに感動していた。そんな必殺技をリアルに体感できる機会など、そうそうあるものではない。俺にサッカーをしない選択肢などなかった。
幼稚園の帰りや休みの日は、いつも河川敷で特訓をしていた。ちなみに、この河川敷は偶然見つけた場所だ。サッカーコートなどあるはずもなく、ただ広い空間があるだけだったが、イナイレの特訓場所といえば河川敷という俺のポリシーが働き、ここで特訓をするようになった。
必死になって特訓を続け、そして1年半が過ぎた。今日は幼稚園の卒業式だ。周りの園児は泣いて別れを惜しんでいたが、俺はさっさと立ち去りたかった。なぜかって?
………ずっとボッチだったからだよ!!
まさか人生2週目にしてボッチを食らう羽目になるとは思わなかった。いや、まて。俺に問題があるように思うかもしれないが、そうじゃない。俺はこの世界について思わぬ誤算があったんだ。
この世界ではサッカーがマイナーなスポーツであることだ。
まさかイナイレの世界観でサッカーがマイナーなスポーツであるとは思わないだろう?俺もそう思った。
「サッカーやろうぜ!」
ゆえに、幼稚園のみんなにそう呼びかけたのは当然のことだろう。しかし、返ってきた返事は、
「さっかー?なにそれ?」
だった。俺は耳を疑ったよ。俺をからかっているのかとも思った。だから俺はしつこいくらいに何度も何度も誘った。必殺技のことばかり考えて、浮ついていた気持ちのせいもあったのだろう。気が付けば俺は周りから孤立していた。当然だ。彼らからしてみれば、知らない何かをやろうやろうとしつこく誘われていたのだから。俺も彼らの立場なら距離を置いていただろう。そんなこんなで俺はボッチになってしまった。
ちなみに海外でのサッカー人気はすごく、知名度が低いのは日本だけだそうだ。日本にもサッカープレイヤーはいるにはいるが、外国と比べるとその規模はとても小さい。2021年現代でいうeスポーツのような扱いだといえばわかりやすいだろうか。
そんな俺が卒業式など楽しめるはずもなく、気が付けばいつもの河川敷に来ていた。ああ、やっぱり特訓する時間が一番至福だ。何も考えずにひたすら体を動かすことがこんなに楽しかったとは。
ただ、今日はそんな至福の時間にも影が差す。とあることで悩んでいたからだ。それは、
「必殺技が全然使えねぇ……。」
そう。俺はFWをしたいがために今までドリブルやシュートの特訓をしてきたが、一向に必殺技が使える兆しが見えない。比較的簡単そうな『グレネードショット』や『スパイラルショット』や『ひとりワンツー』などを試してみたものの、似たような何かになるだけで必殺技とは到底呼べるような出来ではなかった。
俺のレベルが足りないのだろうか?いや、そもそも小学1年生になる前のような子供に必殺技など使えないのだろうか?
そうやってうんうん悩んでいると、背後から声をかけられた。
「なにしてるの?」
振り返ると、薄水色の長い髪をし、整った顔立ちをした少女が立っていた。同じくらいの身長なので同い年だろうか。この辺りでは見たことがないが。
……というか、少女……か?いや、イナイレの世界観であんなに可愛い子が女の子なわけないか。極端に可愛い子はみんな男の娘ってイナイレから教わったからな。
「ん?サッカーだよ。……あー、ごめん。サッカーってわかる?」
「!……サッカー……。」
「もしかしてサッカー知ってるのか?」
「う、うん。しってるけど……。」
「マジか!なぁ、一緒にサッカーやらないか?」
サッカーをやっている人間をこの世界で初めて見たからか、自然と声が弾む。というか今冷静に見ると、普通に女の子だった。ごめんね。……俺のイナイレの常識が壊れた瞬間だった。
「……ごめん。サッカーはもうやらないってきめたの。」
「えー。なんでだよ?楽しいぜ、サッカー。ほら。」
そういい、リフティングを始める。いくら特訓したとはいえ、まだリフティングも集中しないと続かないレベルだが。そんな状態だから、俺は彼女の変化に気が付かなかったのだろう。
わたしはもともとサッカーなんてしらなかった。サッカーをしったのはクラスのみんなとあそんでいたとき。
「なあ、サッカーってしってるか?」
「さっかー?なにそれ?」
「なんか、あしだけでボールをうごかしてあそぶんだってよ。」
「へー。」
さいしょはみんなあんまりたのしそうじゃなかった。でも、やりかたをおぼえていくうちにみんなどんどんはまっていった。
いちばんはまったのは、たぶんわたしだろう。わたしはいままでなにもとくいなことがなかった。だからじぶんのことがきらいだった。そんなとき、
「君にはサッカーの才能がある。」
といわれた。うれしかった。わたしをみとめてもらえたようなきがしたから。
それからも、わたしはサッカーをつづけた。やるたびにうまくなっていっているのがわかった。いつしかわたしはてんさいとよばれていた。じぶんのことがはじめてすきだといえた。
そんなあるひ……。
わたしがけったボールが、クラスのみんなをふきとばした。じぶんのちからをせいぎょできなかったから。わたしからすれば、ちょっとちからかげんをしっぱいしただけ。でもみんなには、きょうふというかたちでのこりつづけることになってしまった。
そのひからわたしは、みんなにむしされるようになった。だれもわたしとサッカーをしてくれなくなった。げんいんはきっとあのひのできごとだ。
どうしてわたしにはさいのうがあるんだろう。あのひもっとじぶんのちからをつかいこなせていれば。あのひボールをけらなければ。あのひサッカーをしなければ。わたしがサッカーをすきにならなければ。
いつしかわたしは、わたしのさいのうと、サッカーじたいをきらいになっていた。きっとこれは、ただしいおもいじゃない。でも、わたしのこころをなっとくさせるには、これしかなかった。そしてわたしは、にどとサッカーとかかわらないときめた。またひとをきずつけてしまうから。またひとりぼっちになってしまうから。
なんとかようちえんをそつぎょうしたわたしは、おかあさんにたのんでとおくにひっこしてもらった。ようちえんのみんなとあいたくなかったから。
あたらしいひっこしさきについたわたしは、まちをたんけんしていた。そしてかわぞいにきたわたしは、そこでひとりのおとこのこをみかけた。ふつうならなんともおもわないそのこうけいに、わたしはひかれた。かれもひとりぼっちだとおもったから。きづいたらわたしはかれのちかくまでいきこえをかけた。
はなしかけてこうかいした。かれはサッカープレイヤーだった。にどとサッカーとかかわらないしようとおもっていたのに、わたしからかかわってしまった。なるべくはなしをはやくおわらせようとしたわたしはかれのめがかがやいていることにきづいた。そのめをみたときわたしのおもいはおさえきれなくなった。
どうしてかれはたのしそうにサッカーをしているの?
どうしてわたしがすてた、だいすきなサッカーをそんなにいきいきとできるの?
きっとそのめはわたしのちからかげんがうまくいっていたみらいでしていためなのだろう。そうおもった。わたしがしっぱいさくで、かれがせいこうさく。そんなふうにおもうようになった。かれがうらやましかった。かれがにくかった。
「ほら、ボール。」
わたしのこころにやみがうずまいているときに、あしもとにボールがころがってきた。きっとかれがわたしたものだ。わたしはこのおもいをボールに、そしてかれにぶつけることしかできなかった。
……リフティングを見ているだけでもつまらないと思いボールを彼女に渡したんだが、なぜか彼女はうつむいたまま動かない。
「……おーい?聞こえてるかー?」
その声に反応したのかは知らないが、彼女はゆっくりと顔を上げた。その眼は親の仇を見るような眼だった。………なんで?
「なんで……。なんであなたはサッカーをしているの?わたしがあきらめたサッカーを……なんで!!」
そう言い放ち、彼女は俺に向かってシュートを放つ。
……いや、ちょ、えぇ!?まってまって、いきなりかよ!
とっさに手を出してボールを受け止めようとするも、彼女の鋭いシュートに徐々に押し込まれていく。
「……くっ、このぉ!」
なんとかシュートをはじき返した俺だが、ボールは再び彼女のほうへと飛んでいく。
「ふっ!」
彼女はそのボールを、再び俺に向かって蹴りこんできた。どうやら正気を失っているようで、なんとかはじいても錯乱した様子で三度俺にシュートを打ってくる。
「いきなりなにすんだよ!」
「あなたが……あなたがにくい!わたしのまえでたのしそうにサッカーをしないで!」
「なんじゃそりゃ!?無茶苦茶にもほどがあるだろ!?」
よどんだ眼、ハイライトが入っていない敵意のある眼で俺をとらえている彼女は、しかしどこか泣きそうな表情を浮かべながら語りかけてくる。
「にどとわたしのまえでサッカーをしないで!」
「断る!サッカーは今の俺のすべてだ!誰にも俺のサッカーを止めさせはしない!」
「……そう、くちでいってもわからないようね……。」
そういうと、彼女は俺がはじいたボールをとり、そのまま真上に高く上げた。そして、彼女自身も体を回転させながら、ボールまで跳んでいく。その足には黒いオーラがまとわりついていた。やがてボールまでたどり着いた少女ははっきりとこちらを睨み付け、回転の勢いそのままにオーラをまとった足でボールを蹴りこんだ。
「じゃあ、サッカーができないからだにしてあげる!」
黒きオーラをまとったボールは、今まで体験したことのない威力で俺に向かってきていた。
『ダークトルネード』じゃん!マジか!お前必殺シュートが使えたのか!はぇ~、同じくらいの年代のやつでも必殺技が使える奴は使えるのか。良いことを知ったな。
……なんて言ってる場合じゃねぇよ!どうすんだよこれ!ノーマルシュートすら止められてないんだぞ!ダークトルネードなんて食らったら幼いこの体じゃ吹き飛んじまうぞ!避ける時間もねぇしマジでどうすんだこれ!
『ダークトルネード』を放ち、幾分かスッキリし冷静になった彼女は改めて彼を見る。そして、彼の慌てている表情と、自分が打ったシュートを見て、自分が何をやってしまったのかを今更ながらに理解する。
(……ダメ!あれをうけたらただじゃすまない!)
「にげて!」
とっさに彼女はそう叫んだ。
(なにやってるのよ!わたしのバカ!かんけいのないひとをまきこんで!)
一度冷静になった彼女は自分のしてしまった過ちをひどく後悔する。
(そうだ。わたしはこんなヤツなんだ。かんけいのないひとにやつあたりして。そのひとをきけんなめにあわせて。やっぱりわたしはサッカーなんてやるべきじゃなかったんだ。)
自責の念に駆られながらも、彼女は彼を救おうと走り出す。間に合わないとわかっていながらも、彼女は走ることをやめなかった。頭の中が後悔と懺悔で埋め尽くされ真っ白になった時、
彼女は光を見た。
「にげて!」
逃げろっつったって間に合わねぇよ!クソ、俺はここで死ぬのか……?
……いやだ、死にたくねぇ。まだだ。まだ俺は超次元サッカーをしていない。
超次元サッカーをするまで、死んでも死に切れん!
受け止める!なんとか『ダークトルネード』を受け止めるしかねぇ!
そう決めたとき、右手に違和感を感じた。
「これは……?」
右手を見て俺は驚いた。目に見えて分かるくらいに右手にエネルギーがたまっていたからだ。それを見た瞬間、俺は自分が何をすべきかを悟った。
「いいぜ、やってやる!」
そう叫ぶと、俺は右手を広げ勢いよく上にあげる。すると、俺の頭上に光をまとった巨大な右手が浮かび上がった。
「『ゴッドハンド』!!!」
そのまま、その巨大な右手を目の前に突き出す。その巨大な右手は、やがて『ダークトルネード』と激突し…………。
やがて巨大な右手は割れ、その奥には右手でボールをキャッチしてる俺が立っていた。
俺FW希望やったんやが、もしかしてGKやれって言われてるんかこれ?
・ダークトルネード
原作で主にシャドウが使っていた技。アニメ勢からすると、シャドウ自体の登場回数が少なく、覚えている人は覚えている程度だと思う。ゲーム勢は、無印の有名な隠しキャラということもあって知っている人も多いのでは?威力は下の中。
・ゴッドハンド
原作では我らが円堂が使っていた技。イナイレの代名詞とも呼べる技であり、知らない人はいないだろう。威力は下の中。
なんか長くね?1話との文字量の差がえぐい……。
少女の年齢で考えると漢字は使えないと思ったので全部ひらがなで書いたのですが、後から見返すとめっちゃ見にくかったです。皆様の見にくいという意見が多ければ漢字を付け加えて見やすくします。