イナズマイレブンに似た世界に転生した件について 作:よしたろうex
……マジか。俺、『ゴッドハンド』を使ったのか。というか俺、適正GKなのか。そりゃドリブルやシュート技なんか練習しても習得できんわけだ。本当はFWがよかったんだが、まあ『ゴッドハンド』が使えるのならGKも悪くない。
そんなことを考えていたところ、例の少女がポカンとした表情でへたり込んでいるのが見えた。
「おーい?大丈夫か?」
「……はっ!あ、あなたこそだいじょうぶ!?ごめんなさい!わたし、とんでもないことを……。」
「お、おう。平気平気。とりあえずいったん落ち着いてくれよ……。」
そうやって少女を落ち着かせた後、事情を語ってもらった。
サッカーの才能があるということ。幼稚園でしでかしたこと。そのせいでクラスメイトから避けられていたこと。サッカーが嫌いになったこと。卒業した後この町に引っ越してきたこと。俺が楽しそうにサッカーしているところを見て、気持ちが抑えられなくなったこと。
そこまで話した少女は、
「ほんとうにごめんなさい。あなたをあんなきけんなめにあわせてしまって…。」
と、俺に謝罪の言葉を投げかけてきた。
うーん。まあ、別に怒ってないしな。大惨事になったかもしれなかったことは確かだが、実際大事には至らなかった訳だし。それに、子供がしでかした事件である以上、許して正しき道に導いてやるのが大人というものだろう。そもそも原作で、校舎を潰したり重傷を負わせたりしていたやつらに比べれば、こんな事件屁でもねぇ。
「気にするなよ。俺も無事だったしな。」
「うん。ありがとう……。」
そういいつつも、彼女の顔は浮かない顔だ。うーん、どうしたものか。
「じゃあさ、俺に迷惑をかけた罰として、俺の頼みを聞いてくれないか?」
「たのみ……。うん。わかった。」
「俺と一緒にサッカーをしてくれ!」
「…え?」
俺の言葉を聞いた少女は大きく目を見開いた。
「わたしと……?あんなことしたのに……?」
「気にするなって言っただろ?それに、サッカー好きなんだろ?」
「……ううん。わたしはサッカーがきらい。」
「いいや、そんなことはない。シュートを受けたから分かる。お前は口では嫌いって言ってるけど、本心じゃサッカーが好きで、やりたいんだろ?」
「……!!」
(そっか……。わたし、こころのそこではサッカーがすきだったんだ……。ぜんぜんきがつかなかった……。)
まあ本当は、錯乱していた時にサッカーをしている俺に嫉妬していたっぽいから分かったんだけどな。でもこういったほうがかっこいいだろ!
「でも、まただれかをきずつけてしまうかもしれない……。」
「ならそうならないように、力をコントロールできるように特訓したらいい。」
「コントロール……。」
「ああ。俺が手伝うよ。また力が暴走したら、俺が止めてやるさ。」
「……。」
「それに俺さ、夢があるんだ。」
「……ゆめ?」
「ああ!それは、サッカーで世界一になることさ!」
「せかいいち……。」
「日本はサッカーが弱い国さ。だからこそ、だ!弱いチームが強いチームを次々と打ち倒す。ワクワクしないか?そしてそれを実現するためには、お前の力が必要なんだ。」
「!……わたしのちからが……ひつよう……。」
「ああ!まだ小学生にもなっていないのに、あんなにすごいシュートが打てる天才ストライカー。そしてそれを止めるGK。そんな俺たちが組んだら、きっとどこまでも行けると思うんだ!」
まあ、俺の夢は今考えただけのでまかせなんだけどな。俺が本当に伝えたかったのは、君を必要としている人もいるってことだ。そのためなら内容は何でもよかった。
「わたしは、サッカーをしていいの?」
「当たり前だろ?さあ、サッカーしようぜ!」
「……うん!」
やっと笑顔を見せてくれた。……ふぅ、円堂や天馬みたいに上手いことメンタルケアできるか不安だったがとりあえず一安心だな。……そういえばまだ名乗ってねぇしこいつの名前も知らないな。
「俺は坂上和也。君は?」
「わたしはかがみきら!よろしく、かずや!」
「ああ、よろしくな!キラ!」
俺たちは互いに自己紹介し、握手をする。……自己紹介遅くね?
しかし、世界一か。適当に言い放ったことではあるが、案外いい目標かもしれない。原作でも1番目指して頑張ってたしな。それに、なんの目標もなしにただ必殺技が見たいというだけでサッカーをつづけるよりは全然いいだろう。
よっしゃ、当分の目標は世界一だ!
そのあと、俺たちは抑えていたものが溢れ出すように、すっとサッカーの話をしていた。
「へー、じゃあかずやはもともとGKじゃなかったの?」
「ああ。ずっとドリブルやシュートの特訓をしていたんだ。GKをやったのも、『ゴッドハンド』を出したのも今日が初めてだ。」
「そうなんだ。じゃあきっと、かずやにはGKのさいのうがあるよ!なんていったって、わたしのシュートをとめたんだから!あのご、ごっどはんど?ってやつもすごかったよ!」
「はは……、きっとそうだと思う。……でも、キラの『ダークトルネード』もすごかったしびっくりしたよ。キラみたいなやつを天才っていうんだろうな。」
「『ダークトルネード』……?」
「ああ、さっきの黒い必殺シュートの名前。気に入らなかったか?」
「『ダークトルネード』……。ううん、きにいった!ありがとうかずや!」
「ああ、気に入ってもらえて何よりだ。」
まあ俺がつけたわけじゃないんだけどな。しかし元気だなキラ。きっとこれが本当のキラなんだろうな。
そんなこんなで話し込んでいたら、すっかり日が暮れてしまった。
「あ、もうこんなじかんだ!そろそろかえらないと!」
「ああ、そうだな。」
「ねぇ!かずやはあしたもここでとっくんするの?」
「そのつもりだ。キラも来れるか?一緒に特訓しようぜ。」
「うん!ぜったいいく!じゃあまたあしたね!」
「ああ、また明日!」
そういって、キラは帰っていった。いやしかし、ほんとにいろいろあった日だったな。天才ストライカー、キラか……。あいつ、ほんとにすごかったな。くぅ~、ワクワクしてきたぜ!あいつが中学生になるころには、きっとすごいストライカーになってるはずだ!それに、俺も『ゴッドハンド』を使えたんだ!なら、ほかの技もきっと特訓すれば使えるはずだ!あぁ~、モチベが上がりまくってしょうがねぇぜ!
俺はウキウキで家に帰った。初めてこの世界でサッカーを続けてきて良かったと思えた。
加賀美綺羅(かがみきら)
ゲームでの名前表記は"キラ"です
イナイレのモブキャラを全員把握しているわけではないので、もし仮に名前がかぶっていても偶然です。
プロットが切れたため少し頻度が落ちるかもです。時間が欲しい……。