地上のエースオブエースと呼ばれた騎士   作:ウィングゼロ

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第18話

第18話『ユイの心』

 

レジアスが来てから30分ほどが経過してカイル達が捕まる牢屋ではカイルは目をつぶりながら何かが起こるその時を待つように目を閉じて両隣のセレス、シリカ達もあれいこう黙りていた。

 

「私達これからどうなっちゃうんだろう」

 

アスナは先の見えない不安にかりたたれてカイルに訪ねる。

 

「わからない、けど…そう遠くない時に状況が変わるかもしれない…」

 

レジアスをすべて信じた訳ではないがこうなれば、それを待つことしかできない

 

「……あの…二人に言いたいことがあります」

 

「ユイ?」

 

「ユイちゃん?」

 

ずっと黙りこんでいたユイが口を開けてしゃべりだし、その言語などが今朝とは全く違うことからカイルとアスナは不思議に思いながら耳を傾ける。

 

「全部思い出したよ」

 

「っ!!」

 

「ソードアート・オンラインという名のこの世界は、ひとつの巨大なシステムによって制御されています。システムの名前はカーディナル、それが、この世界のバランスを自らの判断に基づいて制御しているのです。カーディナルはもともと、人間のメンテナンスを必要としない存在として設計されました。二つのコアプログラムが相互にエラー訂正を行い、更に無数の下位プログラム群によって世界の全てを調整する……。モンスターやNPCのAI、アイテムや通貨の出現バランス、何もかもがカーディナル指揮下のプログラム群に操作されています。……しかし、ひとつだけ人間の手に委ねなければならないものがありました。プレイヤーの精神性に由来するトラブル、それだけは同じ人間でないと解決できない……そのために、数十人規模のスタッフが用意される、はずでした」

 

「…」

 

「カーディナルの開発者たちは、プレイヤーのケアすらもシステムに委ねようと、あるプログラムを試作したのです。ナーヴギアの特性を利用してプレイヤーの感情を詳細にモニタリングし、問題を抱えたプレイヤーのもとを訪れて話を聞く……。メンタルヘルス・カウンセリングプログラムMHCP試作一号、コードネーム ユイ。それがわたしです」

 

「プログラム…AIか…」

 

ユイは悲しげな顔をして頷いた。

 

「プレイヤーに違和感を与えないように、わたしには感情模倣機能が与えられています。……偽物なんです、全部……この涙も……。ごめんなさい、アスナさん……」

 

「でも……でも、記憶がなかったのは……?AIにそんなこと起きるの……?」

 

「……二年前……。正式サービスが始まった日……何が起きたのかはわたしにも詳しくは解らないのですが、カーディナルが予定にない命令をわたしに下したのです。プレイヤーに対する一切の干渉禁止……。具体的な接触が許されない状況で、わたしはやむなくプレイヤーのメンタル状態のモニタリングだけを続けました。状態は……最悪と言っていいものでした……。ほとんど全てのプレイヤーは恐怖、絶望、怒りといった負の感情に常時支配され、時として狂気に陥る人すらいました。わたしはそんな人たちの心をずっと見続けてきました。本来であればすぐにでもそのプレイヤーのもとに赴き、話を聞き、問題を解決しなくてはならない……しかしプレイヤーにこちらから接触することはできない……。義務だけがあり権利のない矛盾した状況のなか、わたしは徐々にエラーを蓄積させ、崩壊していきました……ある日、いつものようにモニターしていると、他のプレイヤーとは大きく異なるメンタルパラメーターを持つ二人のプレイヤーに気付きました。喜び……安らぎ……でもそれだけじゃない……。この感情はなんだろう、そう思ってわたしはその二人のモニターを続けました。会話や行動に触れるたび、わたしの中に不思議な欲求が生まれました。そんなルーチンはなかったはずなのですが……あの二人のそばに行きたい……直接、わたしと話をしてほしい……。すこしでも近くにいたくて、わたしは毎日、二人の暮らすプレイヤーホームから一番近いシステムコンソールで実体化し、彷徨いました。その頃にはもうわたしはかなり壊れてしまっていたのだと思います。森の中で、お二人の姿を見た時……すごく、嬉しかった……。おかしいですよね、そんなこと、思えるはずないのに……。わたし、ただの、プログラムなのに……」

 

「それは違うよ、ユイ」

 

カイルはユイがいったことを否定する

 

「確かに、ユイはAIかもしれない、けど俺達と会いに来たのはユイが心のそこから会いたいと思ったからだろ?その心は作りでも誰かが与えたものでも何でもない、ユイ自信のものなんだ、ユイ、ユイの本当にしたい望みはなんだ」

 

「私は…私は…パパとママと一緒に居たいです」

 

「ずっと、一緒だよ、ユイちゃん」

 

アスナが泣きながらユイを抱きしめる。

 

「ああ、ユイは俺たちの子供だ、一緒にあの家に帰ろう」

 

カイルは必ず自分達のあの家に三人で帰ろうと約束し、もうすぐ起こると思われる出来事を待つのであった。

 

 

カイル達が収容されている基地の近く、そこには50人程の歴戦の戦士達がうまくカモフラージュしている基地を見ていた。

 

「モニカ様準備整いました」

 

「ええ、そうね…さてと、あっちはユークとステラをの残してきたけど…問題ないわね」

 

「ようやく、このときがやって来ましたな」

 

「そうね、ジョルジュ…これより!オペレーションエースリターンミッションスタート!」

 

今、基地への攻撃が開始される。

 

 

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