私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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年末に向けての二大リメイク作品の第一弾。

最近はずっとシリアスな作品ばっかり書いていたので、久し振りにギャグ系の作品が恋しくなりました。

主人公の容姿のイメージは『じょしらく』の『暗落亭苦来』ちゃんです。

最近になって一話限定で動画が配信されていたので、久し振りに再熱しました。

因みに、単行本は五巻まで持ってます。







私はモブになりたい

 空はどうして青いんだろう。

 

 海はどうして青いんだろう。

 

 ドラゴンボールGTのGTってどんな意味?

 

 鬼滅の刃が大ヒットした理由ってなんなんだろう?

 

 幻想郷って本当にあるのかな?

 

 というか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうして私はIS学園なんて場所にいるんだろう。

 しかも、よりにもよって一年一組に。

 

「「「「…………」」」」

 

 教室内は不気味なまでに静まり返っていて、声を出す事は愚か、呼吸をする事すら躊躇ってしまいそうなほど。

 別に静かな空間は嫌いじゃないけど、何事にも限度ってものがあるだろう。

 似たような事は誰にだって一度は経験が有る筈だ。

 私だってこれが最初じゃない。これまでにも何度となく経験している。

 

 教壇の目の前の席には、この世界の中心人物にして原作主人公でもある『ダメな方のバナージ』こと『織斑一夏』が肩身が狭そうにしながら座っていた。

 そりゃ、周りの人間全員が異性なんだから縮こまってしまうのは仕方がないけど。

 

 はぁ…今までずっと順風満帆だった私の『第二の人生』、それも15年目にして遂に破滅か…。

 今なら、私一人だけで破滅の王を復活させられるかもしれない。

 

 チラッと視線だけで周囲を見渡すと、いるわいるわ絶対に関わり合いになりたくない原作ヒロイン達が。

 せめて他のクラスだったのなら、多少の妥協は出来たかもしれない。

 だが、私が今いるのは原作キャラの巣窟とも言うべき一年一組。

 このクラス配置にした奴を私は一生許さない。

 

 …一番厄介な担任が来る前に少しだけ冷静になって、どうしてこんな事になってしまったのかを振り返ってみよう。

 

 

 

 

 

 

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・・

 

 

 

 

 

 

 私は、今ではもう誰も彼もが良く知っている二次創作界隈で最もブームになっている『転生者』と呼ばれる存在であり、例に漏れずに『神様』とやらに出会って『異世界転生』をしたクチだ。

 

 別に転生自体には何も文句は無い。

 前世では本当に碌な人生を送ってこなかったし。

 もしも来世ってのがあるのだとしたら、今度こそは穏やかな人生を過ごそうと本気で思っていた。

 激しい喜びはいらない。その代り、深い絶望も無い。

 植物のように穏やかな心を持って第二の人生を全うしたい。

 それこそが私にとって最大にして唯一無二の夢だから。

 

 前世での死因は…言いたくない。

 もしも思い出してしまえば、芋蔓式に嫌なことも思い出してしまいそうだから。

 本当に…本当に…碌な思い出が無い。

 なので、前世での性別や経歴なども一切忘れることにした。

 覚えていても碌な事にならないし、私自身も忘れたいと願っていたから。

 

 転生をする時にも同じことを自称神様に言って、それを聞いて彼は聞き入れてくれた…と思っていた。少し前までは。

 なんだかんだ言っても結局、神に人間の気持ちは永遠に理解出来ない。

 その事をようやく理解する事が出来た。

 

 転生時に、神様は私がどんな世界に転生するのか、よく二次創作などにある『転生特典』とかに付いては一切言ってこなかった。

 こっちの話を聞くだけ聞いてから、呆気なく私は転生。

 

 生まれ変わってから出来た私の新しい家族は至って普通で、私自身も何不自由なく幼少期を過ごす事が出来た…あの日までは。

 

 

 『白騎士事件』

 

 そう…とあるラノベにおいて『全て』が始まって、同時に終わった事件。

 ニュースでそれを見た時、私が自分のいる世界が『インフィニット・ストラトス』の世界である事を知った。

 

 ISが誕生してから世間は一気に変貌していった…が、幸いなことに私の住んでいた地域はそこまで酷い事にならなかった。

 都会などは相当に酷い事になっているようだが。

 

 さらに幸いなのは、私が住んでいた町には原作キャラが一切いなかった事か。

 それでも決して油断は出来ないので、自宅以外ではトラブルに怯えた生活を余儀なくされた。

 それから私は幼稚園や小学校に通う事になっていくのだが……。

 

 幼稚園…原作キャラ無し。

 

 小学校…原作キャラ無し。

 

 中学校…原作キャラ無し。

 

 私は、自分自身の幸運に本気で感謝した。

 いや…この世界に転生したこと自体が不幸かもしれないけど。

 今更それを言っても仕方がないので、それについては置いておく。

 

 性格も見た目も地味な少女だった私は、思春期特有のキャッキャウフフなイベントとも無縁で過ごし、趣味の読書やゲーム、時には親孝行で家事の手伝いなどをしながら時間を使っていった。

 

 このまま何事も無く中学さえ卒業出来れば、後は本気で大丈夫。

 そう思い込んでいた私の元に一本の電話が掛かってきた。

 学校でも基本的に限りなくボッチに近く、友達は疎か会話をする相手すら碌にいない私に電話なんて誰だろう。

 呑気にそう考えていた私の頭は、受話器越しに聞いた声を聞いた途端に一瞬で凍りついた。

 

『やぁ、久し振り。元気だったかい?』

「あ…あなたは……!」

 

 それは、私を転生させた神様の声だった。

 このタイミングで神様から電話が掛かってくるだなんて誰が想像するだろうか。

 誰だって同じようなリアクションするに決まっている。

 だから、スマホ片手に自分の部屋で狼狽えてしまった私は悪くない。

 

『もうすぐ中学卒業だね。進路とかは決まっているのかな?』

「…あなたには関係ないでしょう」

『そうだね。君を転生させた時点で僕の仕事は終わり…なんていうと、本気で思っていると?』

「…何が言いたいんですか」

 

 猛烈に嫌な予感がした。

 すぐにでも通話を切ってしまいたい…というか、さっきから何度も通話を切ろうとしているが、全く反応してくれない。

 

『君がいる世界がどんな場所なのか…もう分かっているとは思うけど』

「私は何もしたくありません。自分から火に飛び込むような真似だけは絶対に御免です」

『どうして、そこまで原作を毛嫌いするかな?』

「それを私に言わせるんですか?」

『うーん…君のその『静かに過ごしたい』という気持ちが私には全く理解出来ない。どうして目の前にある楽しい事から目を背けるんだい?』

「私にとっては全く楽しくないからですよ」

『つまんない人生だね』

「詰まらなくて結構。私が一番望んでいるのは、その『つまらない人生』なんですから。その事は前にも言ったと思いますけど?」

『確かに言ったね。けど、それを理解したとは一言も言った覚えはない。だから、僕から君に向けて今更ながら色々と『転生特典(プレゼント)』を用意した。勿論、返却は不能だよ』

「ふざけないでください!! 私はあなたの玩具じゃないんですよ!!」

『ちょっとちょっと。なんでそこで怒るのさ? こっちは本気の善意でやっているのに』

「それを『余計なお世話』というんです!!」

『まぁまぁ、そう言わないで。特典が何なのかは、その時が来るまでお楽しみって事で。それと、流石にもうこれ以上はこっちから干渉はしないよ』

「信じられません」

『信用ないなぁ…』

「当たり前です。たった今から、私は無神論者になりました」

『うっわ…普通に傷つくー。ま、そーゆーことだから、さよーならー』

「ちょ…まだ話は終わって…!」

 

 こっちの意志を無視して通話は切れ、スマホは正常に戻った。

 だが、私の苛立ちは微塵も晴れなかった。

 

「あぁ~…もう!!」

 

 怒りの余り、スマホをベットに向かって投げつける。

 貧弱を体現したような私の腕力じゃ、大した威力は出なかったけど。

 

 それから少しして学校で行われた『簡易IS適性検査』によって、あろうことか私は『S』ランクを叩きだしてしまい、係の人にIS学園に進学することを強く求められた。

 それでようやく理解した。神様の言ってた『特典』の一つがこれなのだと。

 私を半ば強制的に『IS学園(原作の舞台)』へと引きずり込む為の転生特典。

 思わず怒りがこみ上げてきそうになったが、相手は神だ。

 こんな矮小な人間に出来る事なんてたかが知れている。

 

 どれだけ大金をつぎ込まれても、どれだけ好待遇を約束されても、私は全く行く気は起きなかった。

 けれど、もしここで変に抵抗とかしたら、それこそどんな目に遭うか分からない。

 私だけならばいいが、家族にも何かされる可能性だってある。

 この人達はIS委員会から派遣されてきた人間達だ。

 二次創作のイメージがあるせいか、お世辞にも私の中での委員会の印象は良くない。

 最悪の場合、両親を人質にしてくるかもしれない。

 それだけは絶対に避けなくては。

 

 大切な家族を守る為、私は渋々ながらもIS学園行きを了承するしかなかった。

 だが、それだけで終わらせない。

 物凄く緊張していたが、私は係の人達に対して私からできる精一杯の要求をした。

 分かり易く言うと取引だ。

 両親の安全を約束して欲しいとか、寮では一人部屋にして欲しいとか。

 頭の中がグルグルな状態で口を動かしていたので、その時は最も重要な事を失念していた。

 

 『私を一組にだけは絶対にしないでください』って言い忘れた…!

 

 どうして私ってばいつもこうなの…?

 肝心な時に限ってヘマばかり…。

 

 その後、担任の先生から皆の前で私がIS学園に行くことをバラされて大騒ぎになって、その日からされたくも無い注目を受けるようになったし…。

 

 結果として、私はIS委員会から『特別推薦』という形で行くことになり受験は免除。

 しかも、本来ならば掛かるであろう入学費用やその他諸々のお金は全て委員会から負担されるという事に。

 両親に金銭面での負担を掛けさせずに済んだことだけが唯一の安心だった。

 

 因みに、私がIS学園に行くことになったと知った時、両親は何故か大喜び。

 あれでも一応はかなりのエリート校なので、自分達の娘がエリートの仲間入りをしたことが嬉しかったのかもしれない。

 あの時は本当に何とも言えない感情に苛まれた。

 

 

 

 

 

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 以上、回想終わり。

 

 今ので思い出したけど、神様は私への『転生特典』は複数あるみたいなことを言っていた。

 けど、今の所それに該当するのは『S』ランクの適性だけ。

 他の特典は恐らく『専用機』に関する事だとは思うけど、どうにも嫌な予感しかしない。

 この予感が当たらない事を本気で祈りたいけど、どうせ無駄な足掻きなんだろうなぁ……。

 

 

(あ…先生が来た)

 

 あれは…山田先生か。

 そういや、原作でもまずはあの人が来て、自己紹介の途中で織斑千冬が来たんだったな。

 自己紹介か…ちゃんと出来るかな。

 ま…適当でいいか。趣味が読書とかって言っておけば。

 これから先、一体どうなるかは分からないけど、それでも私がするべき事は何も変わらないんだし。

 

 私は背景の一部…原作トラブルとは無縁のモブキャラとして生きていきたい。

 お願いだから、特典で専用機が送られてきませんように…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まずは主人公に付いて。

次回以降に名前の発表やギャグ寄りにしていく予定です。




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