私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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突然の土砂降りほど驚くことはありませんね。

しかも、落雷のおまけ付き。







キラーガール

「…で、アリーナまで行ってから反省しているのか問い質してみたのよ!」

「ふーん…」

 

 今、私の目の前にはツインテールでチャイナガールの乱入者がいる。

 彼女は前と同じように憤慨していて、さっきから怒りに任せてテーブルをバンバンと叩きまくっている。

 お願いだから壊さないでね?

 

「そしたら、アイツってば全く謝ろうとしないのよ! それどころか反省する素振りすらなかったわ! 本当に信じられない!!」

「布仏さん。ほっぺにクリームついてる。拭くからジッとしてて」

「かおりん、ありがと~」

 

 恋愛系の愚痴ほど、聞いていて不愉快な物は無い。

 それが不器用な男女の恋愛ならば尚更だ。

 片方は鈍感の極みであり、もう片方は強気なのに奥手。

 

「ちょっと聞いてるっ!? あたしの目の前でイチャつくんじゃないわよ!」

「はいはい。聞いてますよー。それは美味しそうですねー」

「全然聞いてないでしょうが―!」

 

 そりゃ聞いてないですとも。だって聞きたくないし。

 

「こっちの気持ちも知らないで好き勝手言って…挙句の果てに一夏ったらなんて言ったと思う?」

「「なにー?」」

「貧乳って言ったのよ! これはマジで許せないでしょっ!?」

「そうだねー。確かに、人の体に付いて何かを言うのはよくないわねー」

「ダメダメだねー」

 

 途中まではどっちもどっちだけど、最後の一言だけは完全完璧に織斑君が悪いわねー。

 こんな世界でなくても、普通に問題発言にされると思う。

 下手すると事件に発展する可能性すらある。

 

「ところで、一つ聞いてもいい?」

「なによ?」

「あのさー……」

 

 目の前にあるジュースの入ったコップを置いて、勢いに負けてずっと言えずにいた事を言う事に。

 

「…どうして私の部屋に来るの?」

 

 そう。ここは私の寮の部屋。

 生徒会室から戻ってきた私は、布仏さんの『私の部屋に行ってみたい』という要望に応える形で彼女を私の部屋に連れて行くことにした。

 そこまではいい。もう私の中じゃ布仏さんは親友一歩手前ぐらいの人間になっているし、彼女を部屋に招くことに躊躇いは無かった。

 だけど、その途中でまたもや凰さんと遭遇し、そのまま彼女の迫力に負けて部屋に上がらせてしまった。

 私ってホントばか。

 

「仕方ないじゃない。今は自分の部屋に戻りたい気分じゃないし、かといって他に部屋を知ってる子なんていないし」

「だからと言って、なんでここに来るのよ…。この間の『ごめん』は嘘だったの?」

「あ…あの時は本当に申し訳ないって思ってたわよ! でも……」

 

 急に悲しそうな顔にならないでよ。なんかこっちが悪いみたいじゃない。

 

「確かに織斑君にも非はあると思うけど、ちゃんと説明をしない凰さんも悪いでしょ。プロファイリングじゃないんだし、僅かな言葉だけで全てを察せって言う方が無理でしょ。特に、相手はあの織斑君なんだし」

「そ…そうはそうだけど……恥ずかしいのよ! 悪いッ!?」

「誰も悪いなんて言ってないでしょ」

 

 そこで逆切れしないでよね。

 しっかし、こんな状況でも全く怯えない布仏さんって何者?

 

「けどまぁ…好きな異性に告白ってのは恥ずかしいかもね。したこと無いから分からないけど」

「べ…別にあたしは一夏の事なんて…って、佳織ってば今まで誰も好きになった事無いの?」

「しれっと名前で呼ばないで。そんなの一度も無いわよ。そもそも、恋愛自体に微塵も興味とか無いし」

「佳織って…本当に女子高生?」

「失礼ね。立派な女子高生よ」

 

 ここに入学したのは本意じゃないけどね。

 なんか最近、色んな事に疲れてきたし。

 布仏さんや織斑先生がいなかったら、とっくに潰れてたかもしれない。

 

「中学時代、何回か告白されかけた事はあるけど……」

「「あるのっ!?」」

 

 そこで食いつくんだ。

 って、なんか布仏さんも交じってる。

 

「告白されかけたって事は、ラブレターを貰ったりとか?」

「うん。直接的なのじゃないけど『放課後、校舎裏で待ってます』的なもの」

「「おぉ~! で?」」

「普通に無視して家に帰った」

「「……え?」」

「いや…会いたくなかったし興味もないし、正面から断るぐらいなら、最初から行かなくても同じかなと思って」

「うわ~…」

「佳織…アンタって奴は……」

 

 あれ? なんか呆れられてる?

 私ってば変な事でも言った?

 

「別に私の過去とかどうでもいいから。今は凰さんの話でしょ?」

「そ…そうね」

 

 代表候補生の皆さまみたいなドラマチックな過去なんて私には無いんだから。

 聞いても無駄ってもんでしょ。

 

「それで? また織斑君と喧嘩をしてから、どうしたの?」

 

 知ってはいるけど、話の流れ的に一応聞いておく。

 

「もうすぐクラス対抗戦ってあるでしょ?」

「「あるねー」」

「そこでボッコボコにしてやる事に決めたわ」

「「ガーンーバーレー」」

 

 適当な応援。だって、私はどっちの味方でもないし。

 それは布仏さんも一緒なのか合わせてくれた。嬉しい。

 

「もう泣いて謝っても許さないんだから!」

「いや…泣いて謝ったら許してあげようよ」

 

 それは流石にあんまりじゃない? よく聞く台詞だけど。

 

「勿論、二人は応援しに来てくれるわよね?」

「えー? 私はー…ひぃっ!?」

「き・て・く・れ・る・わ・よ・ね?」

「は…はい…喜んで行かせて貰います…」

「よろしい」

 

 いきなり顔を掴んで超至近距離で脅してきた。

 普通にめっちゃ怖かった。

 思わず頷いちゃったよ…しくしく。

 本当は行きたくなんてなかったのに…確実に試合は愚かイベント自体が中止になるのに…。

 だけど、ここで行かなかったら後が怖いし…。

 あれ? もしかして私って詰んだ?

 

「本音は来るわよね?」

「うん! 正直、おりむーとは同じクラスってだけだしねー。仮に勝っても、優勝できるとも限らないしねー」

「意外と淡白なのね。確か、優勝賞品って学食のデザートの半年間のフリーパス券じゃなかったっけ?」

「そうだよー。でも、デザートだけじゃねー」

「そうよね。あんまり食堂でデザートとか食べないし」

 

 この心理は、何かの賞を取った時に『図書券』を貰える時に似ている気がする。

 嬉しくはある…けど、使いどころが少ない。

 デザート半年って6か月でしょ?

 あそこにどれだけの種類のデザートがあるかは知らないけど、普通に飽きるわよ。

 

「まぁ…私も、織斑君とは特に仲がいいわけじゃないし、凰さんの応援をしてもいいかも」

「え? そうなの? 何回か一夏の口から佳織の名前を聞いたことがあるから、てっきり普通に仲がいいと思ってたけど…」

「まさか。彼とは本音ちゃんと同じで単なるクラスメイトなだけだよ」

「その割には、向こうはアンタの事を気にしていたっぽいけど?」

「気のせいじゃない?」

 

 恐らく、まだあの『織斑一夏緊急墜落飛び石脳天直撃事件』を引きずっているんだろう。

 もう一ヶ月以上も前の話だよ? 私だって忘れかけてるのに。

 

「普通に勝ち目はあると思うよ? 彼の専用機って機動力全振りで剣一本の超接近戦仕様になってるし」

「随分とピーキーな機体に乗ってるのね…」

「才能はあるっぽいけど、やっぱまだまだ素人の域は出てないと思うよ? 経験が違い過ぎるでしょ」

「普通はそうよね。…つーか、どうしてそこまで知ってるのよ? まさか…」

「前にオルコットさんと織斑君との試合を見てたからだよ。あの場にいた人間なら全員が同じ意見を言うと思うけど?」

「あ…そうなんだ」

 

 普通にアドバイスしてるのに怪しまれるって傷つくんだけど。

 やっぱり無理矢理にでも追い出すべきだったかな。

 そうなった場合、私が大怪我をしていた可能性があるけど。

 

「なーんか…あたしってば転入してからずっと佳織に頼りっぱなしよねー…」

「自覚があるのなら、もうこれで最後にしてくれる?」

「なんでよ。別にこれからもいいじゃないの」

「私にだって、頼られたいと思う人間を選ぶ権利ぐらいはあるんですよ?」

「何よ。あたしには頼られたくないって言いたいの?」

「言いたい、じゃなくて言ってるの。少なくとも、二度にも渡って無理矢理に部屋までやって来る人を助けたいとは思わない」

「…それに関しては本当に悪かったわよ」

「その言葉、あと何回聞くことになるのかしらね」

「あー…もう! 分かったわよ! いつか必ずお礼はするわよ!」

「いえ。お気持ちだけで結構です」

「どっちなのよッ!?」

 

 これ以上、関わらないでって言ってるの。

 それを真っ向から言ったらどうなるか分らないから言わないけど。

 羞恥心から言うのを躊躇っている訳じゃない。怖いから躊躇っている。

 何が起きるのか本当に予想が出来ないから。

 

「そういや、二人揃って歩いてたけど、どこに行ってたの?」

「「生徒会室」」

「せ…生徒会室ですってっ!? ってことはまさか…生徒会の役員なの?」

「「うん」」

「…因みに役職は?」

「「書記」」

「二人とも?」

「「そうだけど?」」

「……………」

 

 なんでそこで黙る?

 

「私達が生徒会に所属してるのって、そんなに変?」

「いや…変というか…普通に驚いたというか…」

「「驚いた?」」

「だって、一年生のこの時期から生徒会に入れるなんて、それこそかなりの優等生じゃないと無理でしょ?」

「言われてみれば確かに……」

 

 IS学園の生徒会は他の学校とは違って敷居がゆるゆるになってるから、言われないと気が付かなかったわ…。

 だって、生徒会長からしてアレだしね……。

 本当は凄いんだろうけど、その『凄さ』を見せる機会が少ないと言うか…。

 

「ちょっと見直したわ。凄いのね、二人とも」

「まぁ…ね」

 

 本当は全く違うんだけど、なんか説明が面倒くさくなった。

 長話なんてしたら顎が疲れちゃうし。

 

「色々と話してたら少し疲れちゃった。もうちょっとだけここにいてもいい?」

「いや、帰ってよ」

「もう一歩も動きたくなーいー」

「勘弁してよ…。布仏さんからも何か言って……」

 

 布仏さんに助けを求めて横を向くと、いつの間にか姿が無かった。

 どこに行ったのかと思って探すと、私のベッドの上で寛いでいました。

 

「なんだか眠たくなってきちゃったー」

「はぁ……」

 

 布仏さんなら別にいいんだけど、凰さんまでとなるとなぁ…。

 結局、そのまま彼女は居座り続けて、三人一緒に食堂で夕食を食べたのでした。

 なんかもう…私の力じゃ、この流れを断ち切れないような気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はクラス対抗戦。

ある意味、私が一番書きたかったシーンでもあります。

重要な部分以外は遠慮なくカットしていきますけど。




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