私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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今回は、トールギス無双の影にあった真実の一片をお見せします。

あの時、佳織はどうしていたのでしょうか?







ライトニング・カウント(後編)

 時間は少し遡り、無人機襲来直後。

 

 突如として出現したもう一機の無人機の襲撃を受けた佳織。

 絶体絶命の危機に陥った…その時、彼女に与えられた専用機『トールギス』が緊急展開をして彼女の身を守った…までは良かったのだが、当の本人はその事に全く気が付いていなかった。

 何故なら……。

 

「は…はぅぅ~……」

 

 無人機に狙われる&トールギスの起動という死亡フラグがダブルで立ってしまったせいで、佳織はトールギスの中で白目を剥いて気絶していた。

 そんなトールギスのコックピット内部では、ある音声アナウンスが流れていた。

 

『トールギスの起動および登録搭乗者『仲森佳織』の存在を確認。これより、超高性能自動戦闘操縦殲滅成長システム『ゼクス』(CV子安武人)と…』

『搭乗者絶対完全完璧安全防護生命健康維持システム『トレーズ』(CV置鮎龍太郎)を起動します』

 

 当然だが、気絶をしている佳織には全く聞こえていない。

 

『『ゼクス』は、搭乗者に変わり全自動で全ての操縦と戦闘を行う代替システムであり、戦闘を繰り返すごとに成長をしていきます。(CV子安武人)』

『『トレーズ』は、搭乗者の体を完全完璧に防護し、例え全ブースターを最大出力にして超高機動戦闘をしたとしても、搭乗者には一切のGや揺れを感じさせずに快適な乗り心地をお約束します。(CV置鮎龍太郎)』

 

 くどいようだが、佳織には聞こえていない。

 

『なお、この両システムはISコアの最深部に秘匿されているシステムであり、外部からの解析では一切検知出来ないようになっています。(CV子安武人)』

『両システム稼働中はトールギス内は完全防音状態となっており、中から外部への会話手段はプライベートチャネルのみに限定されます。(CV置鮎龍太郎)』

 

 何度も言うようで申し訳ないが、佳織には聞こえていない。

 

『それでは、これより自機前方に存在する生命反応無検知の無人の敵機の破壊を開始します。ドーバーガン…セット。(CV子安武人)』

 

 もう一度言うが、佳織には以下略。

 

 一通りの説明を終えた後にアナウンスは終了し、佳織の意志とは全く関係なくトールギスは勝手に動き出し、右肩に懸架してあるドーバーガンを装備してから、その銃口を目の前にいる無人へと向け、そのまま容赦なくトリガーを引いた。

 

「!!!!!」

 

 少しでも距離が離れていれば回避も出来ていたかもしれないが、ほぼゼロ距離に近い今の状況ではそれも不可能であり、凄まじいまでのビームの一撃によって上半身を呆気なく消し飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 その後も自動操縦によるトールギスの無双は続いた。

 凄まじい速度でアリーナへと駆けつけ、圧倒的な戦闘力をまざまざと見せつけた。

 因みに、管制室から抜け出して密かに放送室へと向かい、愛しの一夏へと向けて激励の言葉を送ろうとしていた箒ではあったが、トールギスの圧倒的な力を目の当たりにして文字通り言葉を失って立ち尽くしていたという。

 

 無人機との戦闘が終了し、後は安全な場所へと退避してから専属パイロットである佳織を降ろすだけとなった。

 だが、そこで千冬や一夏、鈴の声によって引き留められる。

 

『ま…待ってくれ! もう大丈夫だ! 仲森っ!!』

「な…仲森って…もしかして仲森さんなのかッ!?」

「嘘でしょ…? なんで佳織があんなのに乗ってるのよッ!?」

 

 その疑問は尤もではあるのだが、未だにトールギスの中で気を失ったままでいる佳織には答えようがない。

 結果として三人の言葉を無視する形となり、そのままトールギスは最初出てきた場所へと戻って行き、一夏と鈴の二人はそれを追いかけていくこととなった。

 

 最初に襲われたトイレ付近に着地をしたトールギスは、膝立ちの状態から自動的に機体が解除され、半ば地面に放り出されるように解放された。

 その際に着地に失敗をして、そのまま床に向かって顔面アタック。

 流石に待機形態では安全機能も働かないのか、起き上がった時には鼻から血を流していた。

 皮肉にも、その衝撃で彼女は目が覚めたのだが。

 

 そして、その直後に一夏と鈴が駆けつけて今に至る。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 あ…あれ? 私今まで何をして…あれぇ~?

 なんか鼻が痛いし、激しい運動をした後みたいに全身が疲れてるし…本当にどーゆーこと?

 全く状況が把握出来ないんですけど?

 

「はぅぅ…お鼻ぶつけた…」

 

 って…うわぁッ!? ちょ…鼻血出てるんですけどッ!? なんでっ!?

 さっき顔面に何かがぶつかるような衝撃があったけど、もしかしてそれが原因…?

 

「か…佳織っ!」

「仲森さんっ!」

「はわっ!?」

 

 い…いきなり後ろから声を掛けないでよ! 本気でビックリするじゃない!

 ん? よく見たら凰さんと織斑君?

 しかも、ISなんか装備しちゃって、一体どうして……。

 

「……あ」

 

 お…思い出した…!

 今日はクラス対抗戦で、私がトイレに行っている間に原作通りに無人機が襲い掛かってきたんだけど、なんでか無人機がもう一体あって、それがどうしてか私の事を目の敵にしてて、そして……。

 

(そして…どうしたんだっけ?)

 

 そこからの記憶が妙に曖昧な気がする。

 すっごく怖い思いをしたことだけは覚えてるんだけど…。

 

「ちょ…大丈夫? 鼻…血が出てるわよ?」

「あ…うん。大丈夫。問題無い」

「で…でも、制服にも血が付いてるぞ?」

「うそ……」

 

 はぁ…後で洗濯しないと…。

 血の染みって洗剤で落ちるのかな…?

 

(手が震えてる…。まだ頭がボーっとしてるからあれだけど、もう少しして冷静になったりしたら、一気にあの時の恐怖が襲い掛かってきたりするのかしら…。それは…イヤだな…)

 

 ポケットの中にティッシュとか無いかなと探してみたけど、そんな物はどこにも無かった。

 仕方ないので、ダメ元で目の前の二人にも聞いてみよう。

 

「ねぇ…どっちかかティッシュって持ってない?」

「この格好で持ってると思う?」

「ですよね……」

 

 寧ろ、ISスーツ姿で持ってたら凄いって思うわ。

 普通にビックリ仰天人間だよ。

 

 仕方がないので、膝に手を付きながら立ち上がろうとすると、立ち眩みなのかフラっとして体勢が崩れそうになった。

 その時、誰かが私に向かって走って来て優しく抱きしめてくれた。

 

「仲森っ!!」

「ふぇ…?」

 

 それは織斑先生だった。

 全力疾走をしてきたようで、肩で息をしていた。

 なのに、私の事を第一に考えてくれているようだった。

 

「すまない……お前を守ると言っておきながら…何も出来なかった…!」

「あぁ~…」

 

 それってもしかして、あの無人機の事を言ってる?

 いや、あれに関しては殆ど事故…いや、犯人はハッキリとしてるんだし人災か。

 どっちにしても先生は何も悪くないでしょ。

 

「大丈夫ですよ」

「仲森…?」

「何も出来なかったって言ってるけど、こうして私の事を支えてくれてるじゃないですか。私的にはそれだけで十分過ぎますよ。ありがとうございます、織斑先生」

「それはこちらの台詞だ…ありがとう…仲森…。お前の勇気に私達は助けられた…」

 

 勇気? なにそれ?

 別に私はGストーン内蔵のサイボーグじゃないし、かといってエヴォリューダーでもないし。

 どこにでもいる普通の女子高生ですよ?

 

「そ…そうよ! 佳織! さっきのあの白いISはなんだったのっ!? アンタが専用機を持ってるだなんて全く聞いてないわよっ!?」

「あー…それはー……」

 

 言っていいのかな~? 私からじゃ上手に説明出来る自信もないし…。

 

「仲森が専用機を持っている事は学園内でも機密扱いとなっている。仲森は何も悪くない」

「機密って…どうして佳織がそんな……」

 

 そうだよね。そりゃ意味不明ですよね。

 つーか、トールギスの事って機密扱いなんだ。初めて知った。

 

「だが、見られてしまった以上は説明をしない訳にもいくまい。無論、誰にも話さないと約束して貰うがな」

「いいんですか?」

「こうなったら仕方があるまい…」

 

 それもそっか。

 ここから下手に誤魔化しても逆効果なのは目に見えてるもんね。

 

「ところで仲森。お前からも少しだけ聞きたい事がある。お前がトールギスを展開して戦うまでの間、何をしていた。トイレに半ば閉じ込められるような事になっていた事は更識から聞いていたが…」

 

 あぁー…会長さんからそこまでは聞いているんだ。

 だったら話は早いかも。

 

「えっとですね……」

 

 そこから私は、トイレの中でジッとしている最中に廊下が静かになって、少しだけ様子を見ようと扉を開けたら例の無人機がいた事、そこから必死に逃げた事を説明した。

 

「それは、お前の事を追い駆けてきたんだな?」

「は…はい。混乱してて記憶が曖昧なんですけど……」

「無理もあるまい。あんな不気味な奴に生身の時に追い掛けられたら、誰だって混乱で頭が真っ白になる」

 

 私の場合は真っ白じゃ済まないんだけど。

 下手したら真っ赤に染まってたかもね。あっはっはっ……はぁ…。

 

「だが、まさか仲森があそこまで戦えるとは想像していなかった。あの動きはまるで国家代表クラスを彷彿とさせたぞ?」

「そ…そうなんですか…?」

「覚えてないのか?」

「なんか…全身を滅茶苦茶に動かしてたような感じはあるんですけど…それもまた曖昧と言いますか…」

「そうか……」

 

 実際にはそんな『感覚がした』ってだけなんだけど。

 だって、本当はいつの間にか全部が終わってて、壊れたトイレの前で鼻血を出して倒れてたんだから。

 冗談抜きで何があったのかマジで知りたい。

 

「佳織ちゃん! 無事だったのね!」

「更識先輩…」

 

 今度は更識先輩と虚先輩がやって来た。

 二人もまた汗を掻いていて、ここまで走ってきたのが伺えた。

 

「あの…布仏さんは…」

「本音なら無事に避難しました。最後まで仲森さんの事を心配していましたよ」

「そうですか…よかった…」

 

 後でちゃんと謝らないとね。

 一人で怖い思いをさせてゴメンって。

 

「取り敢えず、今日の所は解散して休め。分かっているとは思うが、今回の事は口外するなよ? 一応、念の為に箝口令が出されるとは思うが」

「「「分かりました」」」

 

 織斑先生に支えられながら、なんとか立ち上がってから、更識先輩からティッシュを貰って鼻血を拭く事が出来た。

 先生のスーツに血が付いてないか心配したけど、どうやら大丈夫だったみたい。

 

「あの…織斑先生。実は報告することが…」

「どうした?」

 

 なんか後ろで織斑先生と更識先輩がコソコソ話をしてるけど、私には聞こえてますからねー。だからといって何も言わないけど。

 

「ここに来る直前、実は本家の方から連絡が来て…トールギスの事に付いての調査が完了したと」

「なに…?」

 

 トールギスに付いての調査が終わった?

 一体アレの何を調べたのかしら?

 

「もしよろしければ、この後にでも……」

「分かった」

 

 まぁ…ここは気付いてない振りをしたほうがいいよね。

 変な厄介ごとには巻き込まれたくはないし。

 

 布仏さんの所に行った後、ゆっくりと休みましょー。

 

 因みに、管制室に置いてきぼりにされたオルコットさんは後でトボトボと一人で帰ってきたらしく、原作通りに放送室に無断で行った篠ノ之さんは織斑先生にめちゃくちゃに怒られたらしい。自業自得だね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は、トールギスの秘密(?)と例の兎さんが…?




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