私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
ここから明確に佳織と周りとの関係性がハッキリとし始めますね。
勿論、鈴ちゃんも。
「ずずず……ふぅ~…」
さっきまでの騒動が嘘みたいに、私達は食堂でのんびりとしている。
いや、だからこそ…なのかもしれない。
緑茶を飲みながら、目の前にはおはぎが小さなお皿に乗っている。
控えめに言っても最高だね。異論は認めない。
色んな意味で滅茶苦茶になった第二アリーナから戻った私達は、体を休める為に一先ずは食堂へと向かう事にした。
その途中で布仏さんとも電話をして、食堂で落ち合う約束をした。
私の声を聞いた途端、いきなり泣き出すから本当に驚いた。
それだけ心配させちゃったってことなんだよね…。
「やっぱ、人影は疎らになってるわね…」
「無理ないさ。あんな目に遭っちまったんだ。誰だって部屋に引き篭もりたくなる」
現在、私の隣には布仏さんがいて、目の前には織斑君と凰さんが並んで座っている。
凰さんはともかく、ついこの間まで一般人だった織斑君はメンタル強すぎなのでは?
原作主人公は伊達じゃないってか? だったら今すぐにでも落下しそうな隕石を押し返すぐらいの奇跡を見せて欲しい。
「うぅぅ…かおり~ん…無事で本当に良かったよぉ~…」
「うん。布仏さんも無事そうで安心した…けど、そろそろ離れてくれない?」
「ヤダ! 今日はずっとこうしてかおりんと一緒にいるって決めたもん!」
「えぇ~…」
まさかとは思うけど、このまま一日ずっと一緒って事は無いよね?
いや…布仏さんなら良いんだけど。
「今日ぐらい我儘を聞いてあげたら? その子、本気で佳織の事を心配してたみたいだし」
「…そうだね。私にはそれぐらいしか出来ないし…」
私の身体に抱き着く布仏さんの頭を撫でつつ、首からぶら下がっているトールギスの待機形態にそっと触れる。
遂にこれに乗っちゃった…んだよね…? よく覚えてないけど。
なんで普通に無事だったんだろう?
私の記憶が正しければ、ゼクスは乗る度に大怪我をしていたし、部下のオットーって人はGに耐えきれずに死んでいた。
最終的にはゼクスの超絶的な急成長にトールギスの方がついていけなくなるという『なんじゃそりゃ』な事になってたけど、それでもトールギスが完全に十分に化け物機体であることには変わりはない。
そんな機体に乗った…らしいけど…私の身体はこの通りピンピンしている。
さっきまで鼻血を出してはいたが、それだってもう完全に止まってるし。
強いて言えば、少しだけ体が疲れた感じがするだけ。
骨だって折れてないし、内臓だって破裂してない。
これ…マジでどういうこと?
まさかとは思うけど…あの有り得ないGの過負荷に私の貧弱ボデーが耐えたと?
いやいや…それだけは絶対に有り得ないから。
(あの神様が転生特典として私に無理矢理送ってきた機体だし…本来は存在しない機能とかが密かに付与されているのかもしれない…)
現状、考えられる可能性があるとすればそれぐらいか。
しっかし…あの時はマジで怖かったぁ~…(泣)
先にトイレに行ってなかったら本当にチビってたかもしれない。
この歳でのお漏らしだけはマジで勘弁。
そんな特殊なプレイを好む佳織ちゃんではありません。
「そうだ。人が少ないから言っちゃうけどさ…」
「なに?」
「なんなのよ佳織。あの真っ白な全身装甲の専用機は」
「そうそう! めちゃくちゃ速かったよな! 見た目もカッコよかったし!」
「なんなのよと言われても、私も詳しくは分からないと言いますか…」
神様から貰った転生特典ですなんて言えるわけないし。
表向きはIS委員会から私に向けて送られてきたらしいけど……。
織斑先生も『私が専用機を持ってる事は機密扱いだ』的な事を言ってたしね…。
そう簡単に言っていいのかしら…?
「それに関しては機密だと、さっき言った筈だが?」
「「織斑先生」」
「ちふ…織斑先生」
途中で言い直したね。偉い偉い。
もしもそのまま言ってたら、またもや超合金Z製の出席簿が振り下ろされていたね。
「仲森は表向きは他の者達と変わらない一般生徒だ。それが実は専用機を持っていたなんて事が知られたらどうなるか…分からないお前達ではあるまい?」
「え? えっと……」
「「はぁ……」」
どうやら、織斑君は本気で分かっていない御様子。
この分だと、自分がどれだけ特殊な存在なのかも理解してないんだろうね。
「専用機は誰もが喉から手が出るほどに欲しがる物だ。それを何の苦も無く手に入れてしまったと知れたら…」
「最悪の場合、イジメに発展するわね」
「イ…イジメッ!? なんでっ!?」
「なんでって…そんなの決まってるじゃない。嫉妬よ」
「嫉妬……」
「そ。一夏は知らないかもしれないけど、女の嫉妬ってアンタが想像している以上に怖いのよ。それを未然に防ぐために佳織の事を秘密にしているんですよね?」
「その通りだ。お前も少しは凰を見習ったらどうだ?」
「う……」
ハイ論破。織斑くんの負けー。
流石の私もそれぐらいは分かったんだけどね。ホントだよ?
「そんな訳だから、知っている者同士で話すのは良いが、決して口外なんてするなよ? 勿論、今回の襲撃騒ぎもだ。そっちの方は後で正式に全校生徒に通達がある筈だ」
ってことは、明日のHRとかで発表するのかな?
「…織斑先生」
「どうした?」
「後でちゃんと、佳織の専用機について説明してくれるんですよね? 本人から聞こうと思ったけど、なんかよく分かってない風だったし…」
「…そうだな。仲森も巻き込まれた側の人間だしな。こいつよりも私から説明をした方がいいだろう。だが、今は流石にダメだ。事後処理などで忙しいからな」
「それは分かってますって」
そっか…あんな事があった直後だもんね。
先生達も凄く忙しくて当然か…。
「仲森。あれから体のどこかが痛くなったりはしてないか?」
「大丈夫…ですけど」
「気分が悪くなったりは?」
「してません。なんか妙に疲れた程度です」
「そうか……」
この反応…トールギスの性能を知っちゃったな?
それで私の身体が心配になったのか。
どうして無事なのか、私自身が一番意味不明なんですよね…。
「あんな事があったからな。今日はそのまま休校にするそうだ。お前達も、休んだら寮に戻れよ」
「「「はーい」」」
休校…ね。この事件が切っ掛けで学校を辞めようとする子達が出てこなけりゃいいけど…。
「…ところで、どうして布仏は仲森に引っ付いているんだ?」
「なんか、私の事をずっと心配してくれてたみたいで、それで今日はもうずっとこのままでいるって…」
「そ…そうか。まぁ…今日ぐらいは別の部屋に泊まる事を特別に許可してやるか」
「ホントですかッ!? やった~!」
うぉ…いきなり布仏さんが超元気になった。
どんだけ私の部屋に泊まれるのが嬉しいの?
「そういえば、アイツ等はどうしている?」
「あそこ」
織斑君が指さすと、ここから少し離れた場所にある席に篠ノ之さんとオルコットさんが並んで座っている。
二人揃って意気消沈って感じの顔をして俯いてるけど。
「あのさ…ずっと気になってたんだけど、あの人達…どうしたの? いつもの覇気が無いと言うか…」
「俺も詳しくは知らないんだけど、二人してなんかをやらかしちまったみたいなんだよな……」
戦場にいた織斑君が知らないのも無理は無いか。
いや、篠ノ之さんに関してはなんとなく想像つくけど、オルコットさんは何で?
原作でも別に悪い事とかしてないよね? 普通に援護してたよね?
「篠ノ之は一人で勝手に飛び出した挙句、まだ避難が完了していない放送室に飛び込んだらしい」
「なんでまたそんな……」
「本人が言うには『マイクを通じて一夏に激を送ろうとした』とのことだ」
「…マジでバカじゃないの? あんな状況でそんな目立つ事をしたら、真っ先に自分が狙われるって思わないのかしら?」
「気持ちは嬉しいけどさ……これは俺も擁護できねぇわ…」
凰さんは本気で呆れて、まさかの織斑君も否定している。
彼も少しは成長しているってことなのかしら?
「結果としては未遂で終わっているが、それでも決して許されていい事ではない。あのような緊急時の自分勝手な行動は、結果として自分だけでなく周りすらも危険に晒す事に繋がるのだからな」
おぉ~! 流石は織斑先生…めっちゃ分かってらっしゃる。
思わずパチパチパチと小さく拍手をしてしまった。
「だから、今回は厳重注意という名の説教と反省文100枚を書かせるだけにしておいた」
「だけって……」
それでも相当に大変なのでは? 特に反省文。
「じゃあ、オルコットさんは……」
「最初は、トイレに閉じ込められた挙句『例の機体』に襲われていた仲森を救出させに行こうとさせたのだが、あろうことか奴は私達の話を全く聞いていなかったばかりか織斑たちの方に行こうとした」
「ま…待ってくれよちふ…織斑先生。ってことは、セシリアは一度は仲森さんの事を見殺しにしようとしたって事なのか?」
「そうなるな。無論、すぐに私が『説得』してから行くように促したが、それでも気乗りしないと言っていた」
「うわ…それ、代表候補生が一番言っちゃいけない台詞でしょ…」
うーん…結果論ではあるけど、それで良かったと思うよ?
もしもオルコットさんが本当に来てたら、それはそれで別の意味で危なかったと思うし。
「その後、仲森がトールギスで戦ってくれた事で結果としては事なきを得てはいるが……」
「それが無かったら佳織は死んでたかもしれないってことよね…。人には偉そうに言っておきながら、普通に最低じゃない。冗談抜きで軽蔑するわ…」
「今回の事は学校外には漏らせないのでイギリスにも報告は出来ないが、それも今回だけだ。二度目は無い」
「でしょうね。『仏の顔も三度まで』とはよく言うけど、あたしたち代表候補生には『二度目』なんて無いのよ。そんな甘さが通用するような世界じゃない」
なんか凄く実感が籠ってるな…凰さん。
確かこの子って、物凄い短期間で代表候補生になってるんでしょ?
しかも、総人口が世界でも1~2を争う中国で。
きっとあたしなんかじゃ想像も出来ないような苦労をしてきたんだろうな。
「オルコットにも私からちゃんと言っておいた。反省…していると良いのだが…」
それは怪しいかも…。
今の所、オルコットさんが原作キャラ以外のクラスメイトと絡んでいる姿って一度も見たことないし。
まだ、その辺の確執がありそうだよね。
「では、私はそろそろ行く。織斑、凰…そして仲森。今回の最大の功労者は間違いなくお前達だ。…よくやったな」
…褒められた。誰かに真正面から褒められるのって久し振りかも…。
なんか少し照れる。
「あの千冬さんが褒めるなんてね…」
「意外だった…」
織斑先生…普段どんなキャラをしてるんですか…。
あ。去り際に篠ノ之さんとオルコットさんの事を無言で睨みつけてた。
二人して超ビビってたし。
「ねぇ…佳織。さっき千冬さんが言ってたわよね? 今日は特別に他の部屋に泊まる事を許可するって」
「言ってたね。それがどうかしたの?」
「もしもアンタが良かったらなんだけどさ…あたしも行っていい?」
「何故に?」
「嫌とは言わないんだ?」
「…凰さんとも色々あったしね。流石にもう開口一番に否定的な言葉は使えないでしょ」
「無表情でのデレっても、なんだか新鮮ね」
「デレてません」
別に私はツンデレキャラじゃありませんし。
「まぁ…今日は一人で寝たい気分じゃないのよね」
「同居人は?」
「ティナも他の友達の部屋で寝るってメールで言ってた。だから、戻ったらアタシ一人なのよ。だから…ね? お願い」
私は別に平気だけど、凰さんはきっと寂しいんだろうね。
そんな事を聞かされたらNOなんて言えませんよ。
「…いいよ。今日だけね」
「ありがと! ついでに、今後も定期的に遊びに行ってもいい?」
「ちゃんと私に連絡をしてくれたらね」
「分かってるわよ。もう二度と、勝手に部屋まで行ったりしないって」
「その言葉…信じてるから」
何気に約束は守りそうだし、これで大丈夫…だと思う。
思ったよりも冷静な子だったしね。
決して問題が無いわけじゃないけど、根は良い子だってのは分かったし。
「なぁ…俺も…」
「いや。流石に織斑君はアウトでしょ。男の子が簡単に女の子の部屋に遊びに行くとか言っちゃダメだよ」
「だよな…」
「けど、なんでまた急に?」
「いやさ…前に俺のせいで仲森さんに怪我させちまったし、今回に至っては助けて貰っちまった。まだ前の怪我の事も何の詫びも出来てないってのに…」
「気にしないでって言ったでしょ?」
「仲森さんが気にしなくても俺が気にするんだって!」
真っ直ぐと言うか、頑固と言うか。
こんな所だけお姉さんに似なくてもいいんだよ。
「…織斑君の力が必要になった時になったら遠慮なく頼らせて貰う。それでいい?」
「あ…あぁっ! 何でも言ってくれ!」
「う…うん。その時はお願いね…」
テーブルに乗り上げてグイグイ来ないでよ…普通にビビるからさ。
結局、転生者である以上は原作キャラからは逃げられない…か。
過度な付き合いでさえなければ問題は無いと信じたい。
この日の夜。
私は布仏さんや凰さんと何気ない話をして盛り上がり、一つしか無いベッドに三人で並んで川の字で寝る羽目になった。
しかも、なんでか私が真ん中で。
朝起きたら左右の二人が私に抱き着いていたので地味に寝苦しかった。
アンケートの結果……鈴ちゃんもヒロイン候補にノミネートしました!
これで佳織のヒロイン候補は千冬さんと本音ちゃんと鈴ちゃんの三人に。
楯無さんはまだ未定ですが、こっちは普通にアンケート関係無しに流れに任せようと思います。
いつの間にか自然とヒロイン候補に名を連ねてそうですが。
問題は、次に来る残り二人と簪ちゃん。
簪ちゃんは似た者同士だから大丈夫かもだけど…本当にどうしよう?
またアンケートでも取ろうかしら?