私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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前回に引き続き、かおりんの休日のお話。

けど、今回は原作でもあった一夏が五反田家に遊びに行った時のエピソードとクロスしています。







友達の友達は友達です

 ゲームセンターを出てから皆で散歩がてらに歩いていると、そのお店は見えてきた。

 

「お! あそこみたいだぞ!」

(着いちゃったか……)

 

 マリーさんが指さす場所には、少し古めかしい食堂があり、大きな文字で『五反田食堂』と書かれてあった。

 

「へぇ~…良い感じじゃん。こーゆー店、結構好きかも」

「ふる…ごほん。シックな感じが素敵だよね!」

「キグちゃん…言い方を考えたわね」

 

 少しだけキグちゃんの腹黒い一面が垣間見えた。

 昔は普通にビビってたけど、それすらも懐かしく思える日が来るとは。

 

「どんなのがあるかな~?」

「割とスタンダードな物しかないと思うけど」

「兎に角、入ってみりゃ分かるって!」

 

 よっぽどお腹が空いているのか、マリーさんはさっきからずっと入りたがっている。

 いや…空腹なのは私も同じだけど、ここは……。

 

「ん? どうかしたのククルちゃん?」

「体調でも悪いのか?」

「う…ううん。別にそんな訳じゃないんだけど…」

 

 言えるわけがない。

 クラスメイトがいる可能性があるからなんて言えない!

 いや…待てよ。これまでにも原作通りに行かなかった事は多かった。

 今回もその可能性があるかもしれない!

 私はその僅かな可能性に賭ける! さっきの運よ…もう一回だけ私に力を!

 

「なら、とっとと行こうぜ! きっと、ククルも腹減って元気が無いだけだって!」

「また勝手な決めつけを……って、もう扉を開けてるし…」

「仕方がない。行くとしよう」

「「はーい」」

 

 結局、マリーさんの強引さに負けて皆で入店する事に。

 もしも本当に彼がいたらどうしよう…。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 休みの日になり、俺は家に荷物を取りに戻ったり掃除をするついでに、中学時代の親友である『五反田弾』の家に立ち寄った。

 弾の家は食堂を経営していて、俺も千冬姉だけでなく、鈴もよく世話になった。

 昔はよく、三人で色んな場所に行って遊び回ったもんだ。

 

 そんな懐かしさを感じながら弾の家に行くと…なんでか先に鈴が来ていた。

 あいつも今日は外出するって聞いてたけど、まさか弾の家だったとは…。

 

 ゲームをしながら三人で昔話やIS学園での話で盛り上がっていると、そこに弾の一つ下の妹『五反田蘭』がやって来た。

 なんでか昔から蘭と鈴は余り仲が良くないが、今回はどうしてかそんな事が無く、鈴は余裕の態度で蘭からの話を聞き流していた。

 高校生になって鈴も成長したって事なのか?

 

 …で、もうそろそろ昼だから飯を食べようと皆で一階に下りると、そのタイミングで誰かが店にやって来た。

 時間が時間だから客が来ても不思議じゃないが、俺と鈴はその客を見て固まってしまう。

 

 そこには、見た事のない4人の女の子たちと一緒に店内へと入ってきた仲森さんがいたからだ。

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「な…仲森さん?」

「佳織? なんでここにいるのよ?」

 

 やっぱりいた……っていうか、織斑君はともかく、どうして凰さんも一緒な訳っ!?

 

(あ…そうだ。思い出した。凰さんって織斑君と小中と一緒のクラスだったんだっけ)

 

 それなら、ここにいても不思議じゃない…不思議じゃないけど……。

 

(気まずさ50%増量!!)

 

 皆…変にちょっかいとか出したりしないでしょうね…特にマリーさん。

 あと、織斑君と一緒にいる赤い髪の男の子がこっちを見てるんだけど、どうしたの?

 

「ん? ククル、アイツ等知り合いか?」

「えっと…あの黒い髪の男の子はクラスメイトで、あっちのツインテールの子は隣のクラスの…その…友達…かな…」

 

 遂に自分から凰さんの事を『友達』って宣言しちゃった~!

 やばい…これは想像以上に恥ずかしい…!

 

「あれ? IS学園って実質的に女子高みたいな所だった気が……」

「思い出した。彼の顔…知ってる。結構な有名人だ」

「私も知ってる。確か、男性で唯一ISを動かして話題になってた子だわ」

「その子とククルちゃんがクラスメイトか~…」

 

 やっぱ、皆もあのニュースを見てたんだね。

 まぁ…私も見てましたが。

 

「ふーん…あいつがククルのねぇ……」

「マ…マリーさん?」

 

 なんかずんずんと織斑君の方に行っちゃったけど?

 な…何をする気? 猛烈に嫌な予感がするんだけど…。

 

「おいテメェ…」

「な…なんだよ……」

「あたし等のククルに変な事をしてねぇだろうなぁ…?」

「へ…変なこと? つーか、ククルって誰だよ?」

 

 やっぱりぃ~! 急いで止めなきゃ!

 なんで皆は楽しそうに傍観してるのよ!

 

「ちょ…マリーさん! 私なら大丈夫だから!」

「ホントか? 尻触られたりとか胸揉まれたりとかしてないか?」

「してませんから! ほんとにゴメンね…織斑君」

「いや…俺なら大丈夫だけど。ククルって仲森さんの事を指してたのか…」

 

 はぁ~…私が想像していた最悪の事ばかりがさっきから起きまくってるんだけど……。

 もしかして、本当に運を使い切っちゃった?

 

「ねぇ…佳織。この子…誰?」

「中学時代の友達」

「あそこにいる子達も?」

「うん。今日は久しぶりに集まって遊ぼうって事になってたの」

「佳織もなんだ……」

 

 意外と皆、考えている事は同じって事なのかもね。

 凰さんが割と冷静だったことが本気で有り難い。

 

「ならさ、アタシは佳織たちと一緒に座ってもいい? 確か、6人ぐらい座れる席があったわよね?」

「こっちは別にいいけど…って、弾。さっきから黙ってどうした?」

「おいこら一夏テメェ……」

 

 な…なんだなんだ? 嫌な予感しかしないから、マリーさんを連れて皆の所まで戻ろう。

 

「あんな美少女といつの間にお知り合いになってんだこのヤロォォォォォっ!!」

「い…いや…知り合いと言うか…仲森さんはクラスメイトで……」

「その割には普通に仲良さそうだったじゃねぇかぁぁぁぁぁっ!!」

「クラスメイトと仲がいいのなんて普通だろうが……」

 

 織斑君が赤髪の彼に首根っこを掴まれてブンブンと前後に揺らされてる。

 彼の名前…なんだったっけ? 普通に忘れた。

 

「彼…どうしたのかしら?」

「気にしないで。哀れな男の哀れな魂の叫びよ」

 

 …いつの間にか凰さんが傍に来てたし…。

 このメンバーに混ざってても違和感が無いのが凄い。

 

「あいつ等の事は放っておいて、早く座りましょ? 佳織の中学の時の話とか聞きたいし。厳さんが今にも怒りで爆発しそうにしてるし」

「「「「「厳さん?」」」」」

 

 それって、ここからも見える厨房にいる筋骨隆々なおじいちゃんの事?

 確かに、眉間に皺が寄って怒り心頭って顔をしてるけど。

 

「ほらほら。巻き添えを喰らわない内に…ね?」

 

 凰さんに背中を押されながら、私達は近くにあった大人数が座れそうな席についた。

 奥から凄くいい匂いがする…急激にお腹が空いてきた…。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 結局その後、男子二人は厨房のお爺ちゃんの逆鱗に触れて『お玉ブーメラン』の餌食となっていた。哀れ。

 

「ご注文何にします?」

「あ…そっか。あたし達とは違って佳織たちはお客さんだものね」

 

 今度は確実に外出用と思われる可愛いワンピースを着た赤い髪の女の子が注文を取りに来た。

 髪の色的に、前の席に織斑君と一緒に座っている男の子の妹さんかな?

 

「何にしよっか?」

「お勧めメニューってあるの?」

「ウチの看板メニュー『業火野菜炒め』ですかね?」

「業火…いいじゃんか! 私それにする!」

「「「「マリーさん…」」」」

 

 本当に流されやすいと言うか…単純と言うか…。

 

「私は…そうね。この『焼き魚定食』にしようかな」

「なら、こっちは『カツ丼定食』で」

「それじゃあ、私は『チャーハンと餃子セット』にする~」

 

 ふむふむ…テトラちゃんは焼き魚で、ガンちゃんはカツ丼。

 キグちゃんがチャーハン&餃子…と。

 他の人のメニューは自分が選ぶ時の参考になるから良いよね。

 

「佳織はどうするの?」

「えっと…この『きつねうどんセット』で」

「分かりました。ちょっと待っててくださいね」

 

 女の子が厨房のお爺ちゃんに注文を知らせに行く。

 なんか慣れてる感じがする。一杯お手伝いをしてきてるんだろうね。

 

「…で、さっきからずっと気になってたんだけど、どうして佳織は『ククル』って呼ばれてんの? 渾名?」

「渾名ってよりは芸名かな?」

「「「芸名?」」」

 

 なんか前の男子二人も食いついてきたし。

 

「そういえば、まだお互いに自己紹介をしてなかったね」

「腹減ってたからすっかり忘れてた」

 

 私も、皆を紹介する事を忘れてた。

 こいつはうっかりうっかり。

 

「私は『蕪羅亭魔梨威(ぶらっでぃまりぃ)』ってんだ。よろしくな」

「『防波亭手虎(ぼうはていてとら)』よ。今後ともよろしく」

「『波浪浮亭木胡桃(はろうきていきぐるみ)』です。初めまして」

「『空琉美遊亭丸京(くうるびゆうていがんきょう)』。よろしく」

 

 こうして皆の芸名のフルネームを聞くのも久し振りだ…。

 長いから、普段は略して呼んでるし。

 

「ちょ…ちょっと待って。それって本名…じゃないわよね?」

「当然。芸名だって言ったろ?」

「なんで芸名なのよ…」

 

 御尤もな意見。

 こんな時のテトラちゃん、説明よろしく。

 

「中学時代、私達って『落語部』をやってたのよ」

「落語部?」

「そ。最初は私とガンちゃんの二人だけの『落語同好会』だったんだけど、そこにマリーさんが加わって、そのマリーさんがキグちゃんとククルちゃんを連れてきて『落語部』に昇格して今に至るって感じ」

「その時、折角なら自分達で『芸名』的な物を作ろうって話になって、それで今の名前を名乗るようになったんだよ」

 

 そういえば、そんな事もあったね~。本当に何もかもが懐かしいな~

 

「普段の生活でも普通にお互いの事を芸名で呼んでたら、いつの間にか学校全体に広まってて……」

「先生達も私達の事を芸名で呼び始めたよね!」

「そうそう。あの時は驚いたな~」

 

 私も、IS学園行きを担任から告げられた時、普通に『ククル』って呼ばれてたし。

 別に本名を名乗ってない訳じゃないけど、今そっちで呼ばれても誰も反応しないと思う。

 

「そ…そうなのね。それじゃ、佳織はなんて芸名なの?」

「私は『暗落亭苦来(あんらくていくくる)』だよ」

「成る程ね。だから『ククル』なのね」

「別に凰さんは『佳織』でいいからね? IS学園でそう呼ばれたら逆に反応に困る」

「でしょうね。安心しなさいな。言いふらしたりしないから」

「うん。ありがとう」

 

 こーゆー所は安心できるんだよね…。

 結構、義理堅くもあるし。

 

「あたしは凰鈴音。皆にはよく鈴って呼ばせてるわ」

「その名前…もしかして中国人?」

「そうよ」

「おぉ~…ククルにも遂に外国人の知り合いが……」

 

 そこ、感動するところ?

 

「部活で思い出したけど、ウザンヌちゃんとマスクの人は元気にしてる?」

「あいつ等ね。大丈夫、無駄に元気してるよ」

 

 ウザさと謎に満ちた二人ではあったけど、離れたら離れたで寂しくなるんだよね。

 なんとも不思議なものだ。

 

「誰そいつら?」

「ウザンヌは『宇座亭(うざってい)ウザンヌ』っていう私達の後輩で、いきなり入部して来てウザさを振り撒いてたんだよな」

「皆でボコボコにしたら大人しくなったけど」

「一体何をしたのよ…」

「そりゃもう色々と」

 

 一言では言い尽くせませんなぁー。

 いやマジで。

 

「マスクの人は、普段から覆面レスラーみたいなマスクをしている謎の人で、いつの間にか普通に部に馴染んでた」

「何を考えてるのか全く分からないけど」

 

 本気で謎だらけの人だったしね。

 未だに名前すらも知らないし。

 

「二人とも寂しがってたよ。高校に上がってからも仲良くしたいって言ってたし」

「高校に上がってからも? それってどういうことよ?」

「ククル、言ってなかったのか?」

「別にいいかなって思って」

 

 私達の中学の事なんて誰も聞きたがらないでしょ?

 

「私達の学校は中高一貫のところで、中等部を卒業すれば自動的に高等部に行けるようになってるんだよ」

「エスカレーター式ってやつね。そういう系の学校ってかなり凄いんじゃないの?」

「別にそこまでじゃなかったと思いますけど…」

 

 私もそう思う。個性的な人間は多かったけど、それでもIS学園に比べれば普通のだったと思う。

 

「佳織って…実は結構なエリートだった?」

「いやいやまさか…私は普通の女子高生だよ」

 

 主人公でもなければヒロインでもない。

 ただ『転生』しただけの人間だ。

 私は特別なんかじゃない。

 

「んじゃ、佳織の中学の時のこととか教えてよ」

「いいぞ。その代り、IS学園でのククルの話とか聞かせて貰おうか」

「全然いいわよ。と言っても、アタシは少し前に転入してきたばかりで何もかも知ってるって訳じゃないけど」

「お願いだから、余計な事は言わないでよ…?」

「「分かってまーす」」

「本当かなぁ…」

 

 凰さんとガンちゃんが揃って返事をするけど、なんか心配なんだよなぁ…。

 

 そんな事を話していると、注文した品がテーブルに運ばれてきた。

 私の頼んだうどんもそうだけど、皆のも絶品だった様子。

 特にマリーさんは凄く気に入ったみたいで、また来たいって言ってた。

 こんなに美味しいのなら、今度は一人で来るのもいいかもしれない。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 一方その頃。

 完全に蚊帳の外にされた男子二人は…。

 

「すげー…後ろのあれ、完全に女子会になってるぜ…。一気に華やいで見える気がする……」

「うん…そうかもな……」

 

 弾は全員の事を何回も見まわしているが、一夏の視線は佳織だけに集中していた。

 普段は髪を降ろしている彼女が、鈴と同じようにツインテールにしているのが珍しいのだ…と本人は思っている。

 

「なぁ…一夏。お前さ、あの『佳織』って呼ばれてた子と知り合い…なんだよな?」

「一応…。さっきも言ってたけど、仲森さんとはクラスメイトなんだよ」

「それだけか?」

「え?」

「それだけかって聞いてるんだよ。明らかに普通の知り合いって感じじゃなかったぞ?」

「えっと……」

 

 佳織と自分の関係を言えば、確実に恥を晒す事になる。

 だが、ちゃんと説明をしないとこの友人はずっと変な方向に勘違いをし続けるだろう。

 

「…仲森さんには…その…時には迷惑を掛けてしまったり、時には助けられたりする仲…かな……」

 

 学園の機密があるが故に全てを話す事は出来ないが、それでも言い方というものがるだろう。

 内容的にも間違ってないのが質が悪い。

 

「ふーん……」

「なんだよ。その『ふーん』は」

「別にぃ~」

 

 佳織と仲良さそうに話している少女達は、いずれもが見目麗しい美少女だらけ。

 弾からしたら、僅か数メートル先には楽園が広がっている事になる。

 

(蘭…あんまりこんな事は言いたくないが……今回は相手が悪すぎるぞ…)

 

 兄としては妹の恋路を応援したい気持ちはある…が、彼からしても佳織は相当な美少女だった。

 許されるのなら自分がお付き合いしたいと本気で思ってしまうほどに。

 

「にしても仲森さん…友達多かったんだな…」

「知らなかったのか?」

「あぁ。彼女ってあんまり自分の事を話したりしないし…」

 

 今にして思えば、自分は佳織の事を何も知らない。

 近い内、千冬から色々と聞けるらしいが…。

 

(…あの子の事をもっと知りたいって思うのは…別に普通の事だよな…?)

 

 これから先も同じクラスで過ごす以上、少しでも佳織の事を知っておきたいと思った一夏。

 どうしてそんな事を考えたのか。彼にはまだ分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は遂に第一期最後の二人が登場します。

それについて、またアンケートをしようと考えています。



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