私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
今月中にあっちの方も絶対に書きます。
期待せずにお待ちください。
久し振りに皆と遊んだ次の日の月曜日。
老若男女問わず誰もが憂鬱になる週の初め。
それは私たち学生も例外じゃなかった。
「はぁ…また今日から一週間が始まるのね…」
「朝っぱらから憂鬱全開って感じね佳織。昨日の元気はどこに行ったのよ?」
「昨日は昨日。今日は今日だよ。はぁ…」
もし仮に私が転生者じゃなかったとしても、月曜日はこんな顔になっていたと思う。
何故って? そんな性格をしているから。
「うみゅ~…」
「…で、さっきから本音はどうしてアンタの体に抱き着いているワケ?」
「さぁ…?」
これは本気で分かりません。
朝の準備をして食堂に向かう途中で出会った瞬間からずっとこんな感じが続いている。
食事中もずっと私にベッタリだったし、こうして教室に向かう途中も同じ。
一体、布仏さんに何が起きているのやら。
「今の私は『かおりん分』を補給しているんだよ~」
「「かおりん分?」」
なんじゃそりゃ。
「『かおりん分』は、かおりんの体から漂ういい匂いから摂取できる栄養分で、これを体内に入れると私は一日ずっと幸せな気分になれるのです」
「わ…私の身体から、そんな麻薬みたいな成分の匂いが…っ!?」
「いやいやいや。なんで佳織も真に受けるのよ」
だって…布仏さんに言ってる事なら本当に有り得そうだし。
「けど、確かに佳織の近くにいると不思議と落ち着くわよね。なんでかしら?」
「私に聞かれても……」
別に私の身体からマイナスイオンが出ている訳でもあるまいし。
そんな鎮静効果があるだなんて初めて聞いたよ。
「そ…そういえば、なんだか今日は食堂が騒がしかったね。なんだろ?」
「あれじゃない? もうすぐ開催されるっていう『学年別個人トーナメント』」
「あぁー…」
そういや、そんなのもあったねぇ~…。
そして、その時期となれば必然的に『彼女達』がやって来るタイミングでもある訳でして。
「あのトーナメントって全員参加型なんだよね……」
「らしいわね。ってことは、もしかしたら佳織とも戦うかもしれないって事か」
「うぅ……お手柔らかにお願いします」
「それはこっちの台詞。代表候補生は愚か、下手したら国家代表すらも霞むレベルの実力を持ってる佳織に言われても皮肉にしか聞こえないわよ」
「あの、それは……」
アレに関しては本当に全く知らないんですってば~!
私がトールギスを駆って無人機相手に無双したって言われても、私自身が一番信じられてないんだから!
この私がっ! あの兎さんお手製の無人機に! 勝てる訳が無いでしょうが!
それ以前にトールギスに乗ってて無事だった理由が分かりません!
「ま、その時はその時か。『かもしれない』未来の事を考えても仕方ないわよね」
「そ…そうだよね…ははは……」
はぁ…やっぱ私も出場しないといけないのかな……トールギスで。
自信ないなぁ~…出たくないなぁ~…。
当日になって偶然にも風邪とかにならないかなぁ~…。
なんて話している間に教室が目の前に。
どうも賑やかみたいだけど。
「なんか一組が賑やかね。なんかあったのかしら?」
「一組は基本的にいつもあんな感じだよ?」
「…なんか、佳織が静かに暮らしたくなる気持ちが少しだけ分かったかもしれない」
そんな反応をするって事は、二組はもうちょっと静かなんだろうね。
私も二組とかが良かったよ。いやマジで。
「それじゃ、またお昼にね」
「うん。またね」
「またね~」
手を振りながら凰さんは隣の二組の教室へと入っていった。
それを見届けてから、私と布仏さんも一組の教室へと入る事に。
「あ…仲森さん。おはよう」
「ん、おはよう。織斑君」
「おはよー」
教室に入ると、いつものように女子に囲まれていた織斑君と目が合って挨拶。
けど、いつもとは違う部分もあった。
「篠ノ之さんとオルコットさんはどうしたの? いつも一緒にいたのに」
「自分の机にいるよ。こっちから話しかけても空返事しかしないんだ」
「ふーん……」
この間の事がよっぽど堪えているのかな?
それとも、織斑先生のお説教による精神的ダメージが長引いてる?
オルコットさんは昨日もなんだか元気が無かったみたいだし。
(ま…いいか。私には関係ないし)
何かあれば織斑君が解決してくれるでしょ。主人公なんだし。
「ところで、さっきから何の話をしていたの?」
「ISスーツの話」
「ISスーツ……」
あれねぇ……前にも言ったかもしれないけど、あれは苦手だなぁー…。
私にだって人並みな羞恥心はあるんだよ?
あの時の教訓を生かして、今じゃ学校がある時は基本的に制服の下にISスーツを着込むようにしている。
それをやっている時、小学生の時にプールの授業が待ち遠しくて服の下に水着を着て来た子がいたのを思い出した。
今の私は、その子達と同レベルなのか…。
因みに、マリーさんには絶対にISスーツを着させてはいけない。
何故ならば、彼女のお尻には未だに丸い蒙古斑が残っているから。
ここで佳織ちゃんからの豆知識。
蒙古斑は黄色人種独特の特徴で、余り見慣れていない西洋人のお医者さんだと虐待だと勘違いをしてしまうケースがあるらしいよ。
「仲森さんはどんなのを使ってるんだ?」
「皆と同じ学園指定の物を使ってる。特に拘りとかないし」
「私もかおりんと一緒~」
デザインが変わった程度で何かが劇的に変化する訳じゃないんだし、そこまで拘る理由って無いと思う。
私からしたらスク水と一緒だし。
スク水をお洒落にしてどうするねんって感じ。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「むむっ!? なんだか急にキュピーンと来た! トールギス専用の槍もいいけど、かおりん専用の束さん特製ISスーツを着させないといけないような気がした! よし! 槍を作るのと同時進行でやっちゃおう! ISスーツ程度なら片手間でも楽勝だし!! 待っててね、かおりん!」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「ひゃぅっ!?」
「ど…どうした?」
「なんか今…嘗て無い程の悪寒が背中を走ったような気がする…」
猛烈なまでの嫌な予感…当たらないと良いけど…。
「ISスーツは、肌表面の微弱な電位差を検知する事で操縦者の動きをダイレクトにISの各部位へと伝達して、ISはそこで必要とされている機動を行います。また、ISスーツは基本的に耐久性にも優れていて、一般的な小口径拳銃程度の銃弾ならば完全に防ぐことが出来るんですよ。流石に衝撃までは緩和できませんけどね」
「「「「おぉ~…」」」」
見事な説明をしながら教室に入ってきたのは副担任の山田先生。
皆から半ば馬鹿にされがちな人ではあるけど、やっぱり先生なんだなって実感できた。
それでも、皆からは褒められながら渾名で呼ばれているけど。
どれだけ優れていても、やっぱ身の内から出る雰囲気が駄目にしてるんだろうねぇ…。
せめて、私ぐらいは普通に接してあげないと。
補習とかで普段から織斑先生と同じぐらいにお世話になってるんだし。
「おはようございます。山田先生」
「はうぅ~…私を『先生』って呼んでくれるのは、仲森さんや織斑君達だけですよぉ~…」
山田先生…だから、それが駄目なんですってば。気付いてます?
「ところで先生。さっきのISスーツの事で一つ質問があるんですけど」
「なんですか? 何でも聞いてください! 私、先生ですから!」
そこで『先生』を強調しない。悲しくなるから。
「どれだけISスーツの耐久性が優れていても、スーツに覆われていない場所を撃たれたら意味無いですよね? その時はどうすればいいんですか?」
「あ……」
ちょ…何よ、その『あ』って…。
まるで私が悪い事を聞いちゃったみたいじゃない…。
「そんな事にならないようになるのが一番だが、もしもそのような事態になった場合は、撃たれるよりも前に回避運動を行うか、もしくは即座にスーツで覆われている場所で防御をするかのどっちかだな」
ここで山田先生のフォローをするような形で織斑先生のご登場。
今言った方法って…織斑先生にしか出来ないのでは?
「あの『じゃじゃ馬』を手足のように動かせる仲森ならば楽勝だろう?」
「えぇ~…」
絶対に無理に決まってるじゃないですかヤダー。
避ける暇も無く、防ぐ暇も無く、即座に撃たれてゲームオーバーですよー。
「そろそろ席に着け。朝のHRを始める」
「は…はい」
優しく言っている内が華ってね。
とっとと自分の席に行きましょうかね。
私が動き始めたのを皮切りに、皆も自分の席に戻り始める。
途中で布仏さんが凄く寂しそうな顔をしていたけど、流石にこればっかりはどうしようもない。
お昼休みは彼女の好きにさせようか。
「諸君、おはよう」
「「「「「おはようございます」」」」」
普段もこれぐらいしっかりしていればいいのにね。
日本中の教師が全く同じことを考えているだろう。
「本日から本格的な実戦訓練を始める事にする」
「本格的な……」
「実戦訓練?」
言葉だけを聞いても『?』だよね。
私はなんとなく内容を覚えているから、そうはならなけど。
「具体的には、学園に配備されている訓練機のISを使っての授業を始めるという事だ」
「「「「おぉー…」」」」
遂に実機を使用してのお勉強が始まるのよね。
といっても、最初は超初歩的なことからだろうけど。
「授業とはいえISを使う以上、そこには少なからず危険が伴ってくる。決して油断をせずに気を引き締めるように」
「「「「「はい!」」」」」
いつも思うけど、本当にいいお返事。
「各々に注文をしたISスーツが到着するまでは学園指定の物を使う予定なので忘れないように」
私は注文なんてしてませーん。
そんな事に割くお金なんて存在しないから。
「もしも忘れたりした者は代わりとして学園指定の水着で授業を受けて貰うからな。もしも、それすらも忘れた場合は…下着でやって貰う。それが嫌なら絶対に忘れない事だな」
さっきも言ったけど、下から着ているので忘れようがない。
もしも忘れた人はご愁傷さまって事で。
大衆の面前で羞恥プレイでも楽しんでくれたまえ。
このクラスには織斑君という男子もいるし、彼からしたら役得かもね。
「それと、今日はお前達に大事な報告がある。山田先生」
「は…はい! 実はこのクラスに転校生がやってきます。しかも二人です!」
「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」」」
はいはい来ましたよー。
普通の感性を持つ人間なら『どうして一気に二人も?』とか『普通は別々のクラスにするんじゃないの?』なんて疑問を持つ筈だ。私みたいに。
だけど、このクラスの大半の女子は織斑君と言うイレギュラーの存在によって無駄に浮かれすぎて頭の中がパッパラパーになっているので、そんな常識が全く通用しない。
なんて言ってる場合じゃない。早く耳栓を用意しないと。
昨日の帰りに密かに買っておいたんだよねー。
本当に事前準備って大事。
「それじゃあ、入ってきて下さい」
「失礼します」
「……………」
山田先生の言葉と同時に教室の扉が開かれ、そこから二人の人影が教室内へと入って来る。
一言で言えば、それは『金』と『銀』。
特に『金』の方を見た女子達は、まるで時間が止まったかのように一気に静まり返った。
だって、二人いる転入生のうちの一人が…男子の制服を着ていたから。
まずは導入から。
なんかアンケートじゃ二人をヒロインにする票が一番多いみたいですね。
それは全く構わないんですけどね…。
ラウラの方は簡単にヒロインに出来るんですけど、問題はシャルロットの方。
どうやってヒロインにするべきか…う~ん…。