私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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今年も終わりが近づいてきましたね。

といっても、年末も小説を書いているか、もしくはガンプラでも作りながら過ごしていると思います。

去年もそうでしたしね。







守りたい 守られてる

 山田先生の墜落から始まって、織斑君の伝統芸となっているラッキースケベ(私に)からの凰さんと先生との模擬戦。

 まだ授業が始まって十数分しか経ってないのに、物凄く濃密な時間を過ごしたような気がする…。

 

「織斑。そろそろ起きんか」

「ぐえ」

 

 おふ…軽く小突いたとはいえ、あの出席簿を縦にして叩いてるし…。

 あれなら一発で起きるわね…。

 

「あ…あれ…? なんで俺ってば地面で寝てるんだ…?」

 

 15連射攻撃を受けてからの記憶が無くなってるーっ!?

 どんだけのダメージを脳に与えたんですかーっ!?

 

「とっとと立ち上がってから列に戻れ」

「は…はい……」

 

 訳分からんって感じの顔をしながら、織斑君は一組の列に戻ってきた。

 元を辿れば私が余計な事を言ったせいでこんな事になったんだよね…。

 そう思うと、急に罪悪感が湧いてきた。

 けど、もし仮にあのまま山田先生が織斑君の所に墜落して来て、彼がISを展開して最悪の事態を防ぎ、そのまま原作通りのラッキースケベをしていたら…。

 

(…なんだろう。どっちにしても結果はそこまで変わらないような気がする)

 

 ラッキースケベされるのが私か山田先生かの違いだけなんじゃ…?

 

「全員注目。今いる専用機持ちは…織斑にオルコット、凰にデュノア…それからボーデヴィッヒの五人だな」

 

 やっぱり私は専用機持ちには数えないのね。そりゃそっか。

 

「では、これからそれぞれ八人ずつグループに分かれてから実習を行う。各グループのリーダーは専用機持ちが務める事。分かったな? では、早速分かれろ」

 

 分かれろ…ね。

 私は今、布仏さんと一緒にいるけど、ここは敢えて二人でこの場から動かない選択肢を取った。

 その理由はすぐに分かる。

 

「織斑く~ん!」

「そっちの班に入れて~!」

「デュノア君に色々と教えて欲しいな~」

「私も私も~」

 

 …こーゆーこと。

 見事に織斑君とデュノア君の二人に生徒が超集中しております。

 それを見て凰さんは大きな溜息を吐き、オルコットさんは髪を弄りながら俯き、ボーデヴィッヒさんに至っては無表情のまま立っていた。

 意外だったのが篠ノ之さん。

 彼女の事だからてっきり、すぐに織斑君の所に行くと思っていたのに、実際にはその場から微動だにもしていない。

 意外過ぎる事が多すぎて、なんだか頭が付いていかない。

 

「はぁ…全く…あいつらは…」

 

 ですよね。お気持ちお察しします。

 

「ところで、仲森と布仏はどうして動いていない?」

「こうなる事がなんとなく想像出来てたので」

「かおりんと同じでーす」

「賢明な判断だよ…」

 

 疲れた様子で私と布仏さんの頭を撫でた織斑先生。

 なんか…見ていて本当に不憫だな…。

 

「馬鹿みたいに一極集中なぞするな! 出席番号順に一人ずつ各グループに並べ!順番は先ほど言った通りだ! もし同じような事を次もしたら、その時はISを背負わせた状態でグラウンド百周させた上に放課後に特別補習授業を受けさせるぞ!!」

 

 ついに織斑先生の堪忍袋の緒が切れた。

 先生の怒号によって皆はすぐに言われた通りにバラバラに散って行った。

 どうして最初からそれが出来ないんだろう?

 

「やっぱ、私も普通に並ぶべき…ですよね?」

「そうだな。表向きは仲森は一般生徒扱いになっているからな」

「ですよねー。それじゃ布仏さん。行きましょうか」

「うん」

 

 さーて…出席番号順ってことは、まず間違いなく布仏さんとは離れる事にはなるよねー。

 この順番で行くと、私は……。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「あはは……よろしくな?」

「まさかの展開…」

 

 まさか、仲森さんが俺の班に来るとは思わなかった。

 さっきの事もあるし、物凄く気まずい…。

 しかも、こっちに来たのは仲森さんだけじゃなくて…。

 

「かおりんと一緒だね~」

「そうだね」

 

 …布仏さんも一緒です。

 来たこと自体は本当に偶然なんだろうけど、完全に仲森さんのお守役になってる…。

 さっきからチラチラと俺の方を見てギュピーンって目を光らせてるし。

 それをやってるのは彼女だけじゃなくて、少し離れた場所にいる鈴もしきりにこっちに目を光らせていた。

 うん…あれは完全に俺が悪かったから仕方がないんだけどね?

 

 そういや、他の皆の所はどうなってるんだ?

 

「オルコットさんか~…本当に大丈夫かな…」

 

 セシリアの所は何とも酷い感じに。

 当人も何も言い返せてないし。

 これが授業中じゃなければ、傍まで行ってフォローぐらいはするんだけど…悪いなセシリア。

 流石の俺も、今は自分の命が惜しい。

 これ以上、余計な事をしたら今度こそ千冬姉に頭蓋骨を陥没させられそうだ。

 

「さっきの凄かったよね凰さん! なんか安心できる感じがする!」

 

 鈴の方は、さっきの模擬戦の効果で見事に皆の信頼を得ていた。

 確かにあれは凄かったもんな。

 どう見ても、俺との試合の時よりもいい動きをしてたし。

 

「……………」

 

 …で、あの俺にビンタをしてきたボーデヴィッヒとかいう奴の所は、ここから見ていても気の毒なほどに空気が重苦しい。

 まるで、あの周囲にだけ重力系の魔法が掛けられているみたいだ。

 

「デュノア君と一緒だなんて…この名前で本当に良かった…!」

 

 シャルルの所は見事に大盛況。

 もしかして、あそこと鈴の所が一番雰囲気が明るいのでは?

 

「みなさーん! いいですかー! これから各班に付き訓練機を一体ずつ取りに来てくださーい! 数は『打鉄』が三機で、リヴァイヴが二機ですよー! 好きな方を皆で話し合ってから決めてくださいねー! 勿論、早い者勝ちですからねー!」

 

 山田先生が皆に向かって使うISの事について説明してくれている。

 リヴァイヴってのが、さっき先生が使ってた奴だよな?

 で、打鉄が普段から箒が訓練で使ってる奴だ。

 箒と言えば、確かあいつもウチの班に居たっけ…。

 

「…………」

 

 クラス対抗戦以降、妙に箒とは気まずい感じになっている。

 別に喧嘩をしたとかじゃないけど、向こうからコッチを拒絶しているような感じがするんだよな…。

 そのせいか、俺の方も自然と近寄り辛くなっているわけでして。

 結局そのまま、殆ど会話をすることなく部屋が別々になってしまった。

 

(この機会に何かを話せたら…って、何を話せばいいのか分からねーよ!)

 

 身近すぎたが故に、却って今まで以上に話しにくくなってる…!

 箒には本当に申し訳ないとは思うが、正直言って仲森さんと話している時の方が楽しく思ってしまうんだよな…。

 はぁ…何やってんだか…俺って奴は…。

 

「織斑君? 何をボーっとしてるの?」

「うわぁっ!? な…仲森さんか……」

「人の顔を見て驚かないでよ。普通に傷つくから」

「あ…ごめん」

 

 殆ど表情を変えない仲森さんが、少しだけ頬を膨らませて怒ったような顔になる。

 う…凄く可愛い……。

 

「それで、どっちにするの?」

「ど…どっちって?」

「訓練機。リヴァイヴか打鉄か」

「あー…そうだった」

 

 山田先生は皆で話し合えって言ってたけど…。

 

「えーっと……皆はどっちがいい?」

「「「織斑君が選んだのならどっちでも!」」」

 

 マジかよ…それが一番困るんだって…。

 

「な…仲森さん達はどっちがいい?」

「個人的にはラファールが良い。なんか見た目が好き」

「かおりんがいいなら、私もそっちー」

「ラファールか…」

 

 理由はどうあれ、こんな風にちゃんと意見を言ってくれた方が本当に有り難い。

 皆には本当に悪いけど、この班に仲森さんがいてくれて良かった…。

 もしもいなかったら本気で途方に暮れていたかもしれない。

 

「ほ…箒はどっちがいい?」

「……どっちでも」

「そ…そっか…」

 

 会話終了。仲森さんがいなかったら心が確実に折れてた…。

 

「それじゃ、リヴァイヴにするか。幸い、こっから見た限りじゃ後一体残ってるみたいだし」

「なら、早く取りに行かないとね。手伝うわ」

「私もー」

「いいのか?」

「うん。早くしないと授業が終わっちゃうし。それに…」

「それに?」

「…あの子達、さっきから『か弱い女の子アピール』しかしてない。あの感じじゃ何を言っても手伝ってくれそうにないわ」

「…確かに」

 

 別にか弱い女の子が嫌いって訳じゃないが、個人的にはいつも一緒にいて自分の事を支えてくれるような子の方が親しみやすいとは思う。

 丁度、今の仲森さんみたいに。

 

「まぁ…実際には、私の方があの子達よりもずっとか弱いんですけどね」

「ははは……」

 

 仲森さん、布仏さんを連れて山田先生の所まで行く途中、俺は昨日…千冬姉から聞かされた話を思い出していた。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 

 昨日の夕方。

 外から帰ってきた俺と鈴の二人は、いきなり千冬姉から『話がある』と言って呼び出しを受けた。

 呼ばれた場所は寮にある千冬姉の部屋。

 それを聞いた時、別の意味で凄まじく嫌な予感が過った。

 

「入れ。もう他の連中は来ている」

「他の連中?」

 

 他の連中って誰だよ?

 そう思いながら入ると、部屋の中にはセシリアと布仏さんが既に揃っていた。

 因みに部屋の中はちゃんと片付けられていた…ように見えたが、散らかっていた物を適当にそこらのクローゼットとかに押し込んだだけなのが一発で分かった。

 これを『片付けた』と言い張るんだから…我が姉は色んな意味で凄い。

 

「それで、話って何だよ?」

「仲森の事だ。あいつがどうして専用機を持っているのか。そもそも、どうしてIS学園に入学したのか。それを説明しておこうと思ってな」

「佳織が入学した理由って…。専用機の事なら前にも説明してくれるって聞きましたけど、どうしてそこまで……」

「あいつの専用機の話をするとなると、必然的にその話もしなくてはいけないんだ」

 

 鈴が皆の意見を代弁してくれたが、まさかそこまで根が深いとは思ってもみなかった。

 

「そういや、どうしてセシリアもここに来てるんだ?」

「こいつもあの時、私達と一緒に仲森が戦う姿を目撃しているからな。変に黙っているように言うよりは、ここで説明をしておいたほうが後々に手間が掛からなくて済む」

「そうだったのか……」

 

 因みに箒はあの時、ちゃんとは目撃をしていなかったらしく、ならば変に話さなくてもいいと判断されたようで、ここには呼び出されてはいなかった。

 

「今から話す事は、仲森自身も知らない事であり、同時に学園内では最高機密に触れる事でもある。そのことを肝に銘じて聞いておけ」

 

 千冬姉からの最後の忠告を聞き、俺達の間に緊張が走る。

 そして…聞かされた。仲森さんが専用機を持っている理由。

 IS学園に入った訳。そして…あの専用機『トールギス』の恐るべき性能を。

 

「あの佳織が『S』ランクで…しかも…」

「IS委員会の幹部に幼い頃からストーキングされてた…だって…!?」

「そうだ。仲森自身は自分がストーキングされているという自覚は無いようだったが、まず間違いないだろう」

 

 あの仲森さんが、まさかそんな目に遭っていたなんて。

 普段の様子からは全く想像出来なかった。

 

「かおりんを狙ってる人が誰なのか…分かってるんですか…?」

「まだ調査中だ。仲森もそいつの名前を知らないらしい」

「知らないって……」

「それだけ用意周到なのだろう。なんせ、幼少期を皮切りにかなりの長期間に渡ってコンタクトをしてこなかったらしいしな。その間はずっと…」

「佳織の私生活を覗いて辱めてたのね…!」

 

 怒りの余り、思わず握りしめた拳に力が籠る。

 聞いた限りだと、仲森さんは本当にどこにでもいる普通の女の子だ。

 彼女が一体何をした? どうしてそんな目に遭わないといけない?

 

「そして、そいつは中学二年の時にいきなりまた連絡をしてきて、仲森に『プレゼントを渡す』と言ってきた。それが…」

「佳織のいた中学で行われた『簡易IS検査』…か」

「そこで仲森さんが『S』だって判明した…んだよな?」

「あぁ。どうやってかは知らんが、ストーキングしていた奴は検査がされるよりも前に仲森が『S』ランクであることを知っていた事になる。そんな謎に満ちた奴だからこそ、こちらも思うように調査が進んでいない」

 

 そのストーカー野郎が、仲森さんの隠れた才能を無理矢理に引っ張り出して、彼女の平穏をぶち壊した。

 俺は知っている 五反田食堂で見せていた彼女の笑顔を。

 中学時代の友達と本当に楽しそうにしていたのを。

 それを見てしまったから、増々許せないと思った。

 自分勝手な理由で仲森さんの人生を狂わせた野郎を。

 

「そいつが佳織をIS学園に入学しなくちゃいけないような流れを作って…」

「あの真っ白な専用機を渡したってことか…」

「あれって一体……」

「あの機体の名は『トールギス』。調査によると、あれは第一世代機であり…全てのISの原点とも言える機体なんだそうだ」

「だ…第一世代って…そんなの、もう世界には僅か数機しか残ってないって…」

「その数機のうちの一機がトールギスだ。しかも、その機体性能は今の時代においても群を抜いている。完全に別次元と言ってもいいだろう」

 

 そこから千冬姉はトールギスの説明をしてくれたが、あんまり俺にはよく分からなかった。

 隣で聞いていた鈴や布仏さん、さっきからずっと黙っているセシリアは大きく目を見開いて驚いていたが。

 

「じゅ…15Gって嘘でしょっ!?」

「しかも…PICを全開にして使ってソレだなんて…信じられませんわ…」

「そうよ! 普通なら一発であの世行きじゃないの! あらゆる矛盾を力技で解決しようとした結果がそれだなんて……」

「け…けど…かおりんは鼻血だけですんでたよね……」

 

 そうだった。

 鈴が言うには『一発であの世行き』らしいが、実際には仲森さんは鼻血を出して鼻を押さえていただけで済んでいた。

 あれはどういう事なんだ?

 

「…考える可能性は一つ。普通に仲森が15Gという超過負荷に何事も無く耐えてみせた…という事だ」

「それは…『S』ランクだから?」

「かもしれん…」

 

 『S』ランクってのは、それだけ凄いって事なのか…。

 千冬姉も『S』ランクで、確かにめちゃくちゃ強いしな…。

 

「しかも、15Gと言うのはあくまで『初速』に掛かる負荷に過ぎん。最大加速時にはそこから更に負荷が掛かり20Gに至るという話だ」

「に…20Gって…もうそんなの…絶対に人間が耐えられる次元じゃないわよ…」

 

 仲森さんは…あの小さな体にどれだけの力を秘めているんだ…。

 本人は全くそんな力なんで望んでいないのに…。

 

「あの超人的な戦闘技術も、恐らくは無我夢中にやっている事なんだろう。あいつはISに対して謎の恐怖心を抱いていた。そんな奴が冷静にISを操れるとは思えん。戦闘後に記憶が曖昧だったのも、無意識下で動いていたからだったが故だろう。これは誰もが一度は経験したことがあるんじゃないか?」

 

 千冬姉にそう言われて思い出す。

 俺も昔は無我夢中で竹刀を振り回していて、いつの間にか時間が過ぎていたなんてことは頻繁にあった。

 で、その間の時の事は余りよく覚えていなかったりする。

 仲森さんもそれと同じだって事か…。

 

「私達の説得や本人の努力も相まって、徐々にではあるがISに対する苦手意識は克服出来てはいるが…それでも彼女が『被害者』であることには違いない」

 

 その通りだ。

 俺の場合は自分のドジのせいでここにいるが、仲森さんの場合は完全に大人の悪意によって無理矢理にIS学園へと入学させられた。

 

「前に食堂でも話したが、仲森が専用機を持っている事は機密扱いとなっている。今回の話もそうだ。下手に漏れれば、確実に仲森は表舞台へと立たされることになる。それは私達も望んではいないし、本人もまた望んでいない。だが、お前達はトールギスを含め色々と目撃をしてしまった。それに加え、凰と布仏は仲森と仲が良いようだしな。どうしても話しておかなければいけないと判断した」

 

 俺には千冬姉がいるけど、仲森さんにはIS学園で頼れる人間が本当に少ない。

 あの子の秘密を知って、あの子に迷惑を掛けてしまって、助けられもした。

 だから……。

 

「私達以外に佳織の秘密を知っているのは?」

「生徒会の二人と山田先生。それから私が個人的に信頼している教員たちと学園長。それぐらいだ」

「意外と多いんですのね……」

「かおりん……」

「言うまでも無いとは思うが、これからも仲森の事を支えてやってくれ。特にオルコット。お前はあいつに対して取り返しのつかない事をしようとした。そのことを詫びる気持ちで行動しろ。いいな?」

「はい……」

 

 仲森さんの事を守ってあげたいと思うのは…当たり前の事だよな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




思った以上に授業が長引く長引く。

私の悪い癖、全力で発揮中。
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