私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
その代わりと言っちゃなんですけど、自分自身に労いの意味も込めてクリスマスプレゼントを送ろうと思っています。
主にプラモとかを。特にガンプラを。
そうでもしないと…やってられないんだぜ!!
フランス&ドイツから転入生がやって来て五日が経過した。
今日は土曜日なんだけど、IS学園は普通の学校とは違って土曜もちゃんと授業がある。
まぁ…授業と言っても午前だけだし、やるのは論理学習なのでそこまで難しくは無い。
午後からは完全に自由時間となっていて、生徒達はそれぞれに自由な時間を過ごしている。
図書室や自室にて勉強したり、部活動に精を出したり、全面開放されているアリーナを使って特訓をしたり、本当にやる事は様々だ。
勿論、私も皆と同じように『活動』をやっていたりする。
「会長。こっちの書類終わりましたよ」
「ありがと、佳織ちゃん。いやー…本当に助かるわー」
「どういたしまして」
私だって一応は生徒会メンバーの一人。
特に予定が無ければ、こうして生徒会室に顔を出してお仕事のお手伝いぐらいはしないといけない訳でして。
「私に出来る事なんてたかが知れてますけどね。書類の整理をしたり、必要事項に記入をしたりするだけで」
「それだけでも十分過ぎるわよ。ねぇ、虚ちゃん?」
「その通りですよ仲森さん。世の中にはその『たかが知れている』ことすらしようとしない生徒会長だっているんですから」
「うぐ…!」
私の前に紅茶を置きながら、会長に向かって鋭い一撃を放つ虚先輩。
見た目に反して、意外と攻撃的な人なのかな…?
「けど、生徒会室に来てよかったの? 確か、いつも一緒にいる凰さんや同じクラスの織斑君達は今、アリーナに行ってるんでしょ?」
「全然いいんですよ。ほら…私の機体は人前じゃ展開できないですし…」
「そうでしたね…」
本当は、定期的にトールギスに乗ってから、私があの超負荷にどうして耐えられたのかの疑問の答えを出さないといけないんだろうけど…。
(アリーナって殆どの場合、色んな人が頻繁に出入りして使ってるのよね…)
今じゃ『乗らない』ではなくて『乗れない』状態になっている。
これもまた皮肉な話ですよ…全く。
「かおり~ん…お仕事終わったぁ~…?」
「うん。今さっき終わったよ」
そして、今日も今日とてソファーで寝ていた布仏さん。
生徒会としての仕事をしなくても大丈夫なのだろうか…?
最近になって割と本気で心配になってきた。
「ふぅ~…この紅茶を飲んでると、疲れも吹き飛んじゃうなぁ…」
「ふふ…そう言って貰えると、こちらも淹れ甲斐がありますね」
ほんと、この紅茶があるから生徒会室に来るのも苦じゃないのよね。
これ一杯飲むだけで残りの時間を『がんばるぞ』って気になるし。
生徒会室が、そんな和やかな空気に包まれている時、いきなり更識会長のスマホに電話が掛かってきた。
何事かと皆が会長に注目する中、彼女はいつも通りに電話に出た。
「もしもし? あ…お疲れ様です。何かあったんですか? え? 第三アリーナで? 本当ですか?」
第三アリーナ? そこって確か、凰さん達が行ってる場所じゃ…。
なんか嫌な予感がしてきたんですけど。
「…分かりました。誰かを向かわせます。はい…はい。では、失礼します」
通話が終わり、会長がなんだか疲れた表情で頭を抱えている。
どうやら、私の『嫌な予感』が当たってしまったようだ。
「お嬢様? いかがなされました?」
「第三アリーナ担当の先生から電話が来たの。一年一組に来た二人の転入生の一人の、ドイツから来た子がいきなりステージのど真ん中に向けてレールガンをぶっ放したって」
「なんと……」
「で、その後にもう一人の転入生の子…例のもう一人の男子って言われてる子と一触即発の空気になってて、応援が欲しいって」
「先生がそう言ってきたのですか?」
「そうよ。どうも、そのドイツの子…完全にこっちを見下してるみたいで話を聞こうとする空気じゃないんですって」
「ドイツ軍の特殊部隊の隊長にして、あの織斑先生の教え子らしいですからね……」
「色々と言ってるけど、要は怖いのよ。だから、生徒会に丸投げしようとしてるんでしょうね」
「はぁ…いつもの事とはいえ、頭が痛くなりますね…」
「全くだわ…」
あ~…なんとなく分かった。
これはあれだ。ボーデヴィッヒさんが最初に喧嘩を売って来た時のやつだ。
「誰かが行かないといけないのなら、私が行って来ましょうか?」
「佳織ちゃんが? 大丈夫?」
「はい。第三アリーナには織斑君達もいますし、ボーデヴィッヒさんの事なら多分大丈夫です」
今こそ原作知識を最大限に活かす時なんじゃないの?
彼女の精神的な弱点はよーく知っているからね。
真正面から戦うならともかく、こういった搦め手なら私でもどうとでもなる。
「…そうね。生徒会長の私が行っても警戒されそうだし…お願いできる?」
「お任せあれ」
「かおりんが行くなら私も行く~」
「そう言うと思ったよ。布仏さん、一緒に行こ?」
「うん!」
さっきまで寝ていたのに、もうすっかり元気になった。
若いって素晴らしいわね~。いや、今は私も若いか。
「それじゃ、行ってきます」
「いってきま~す」
「いってらっしゃい。気を付けるのよ」
先輩二人に見送られながら、私達は第三アリーナへと急ぐことに。
その前にちょっと寄る場所があるけどね。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
それは突然の事だった。
俺がシャルルや鈴たちと一緒に第三アリーナで練習をしていると、いきなりもう一人の転入生であるラウラとかいう奴がやって来て、こっちに向けて大砲みたいなのを撃ってきやがった。
間一髪のところでシャルルが防いでくれたから良かったが、それでもまだ気が収まらないのか、さっきからずっとシャルルと睨み合ったまま動けないでいる。
(そういやアイツ…転入初日にも俺に向かってビンタをしてきたよな…意味不明な事を言って。本当に何なんだよ…)
叩かれる理由なんて思い当たらないし、こうして襲撃を受ける謂れも無い。
どうしてアイツはこうも俺にばかり突っかかって来るんだ?
理由を言ってくれ、理由を。
今日に限ってここは無駄に人が多い。
そんな場所で暴れたりしたら、それこそ本当に怪我人が出かけない。
どうすればいいのか考えていると、いきなりアリーナ内のスピーカーから非常に聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『はいはいそこ。こんな密集地帯で暴れたりしちゃダメですよー』
「誰だ貴様は」
『アリーナ担当の先生に呼ばれてきた生徒会の者よ』
「ふん。生徒会か何だか知らんが、関係ない者が口出しするな。目障りだ」
『へー…そんな事を言っちゃうんだー…』
この声…間違いなく仲森さん…だよな?
生徒会だって言ってたけど…まさか生徒会に所属してたのか?
『布仏さーん。先生を呼んできてー』
『どっちのー?』
『勿論、私達と一緒に来てくれた織斑先生をだよー』
え? 千冬姉も一緒なのかッ!?
よく来てくれたな…。
「きょ…教官だとッ!?」
おぉ…分かり易く動揺してやがる。
どうやら、流石のあいつも千冬姉にだけは逆らえないみたいだな。
『仲森。状況はどうなっている?』
『案の定、こっちの話は全く聞く気ないみたいです。どうします?』
『ここは私に任せてくれ』
『分かりました。お願いします』
ここで仲森さんが引っ込んで、その代わりに千冬姉が放送室のマイクを手に取ったようだ。
『ボーデヴィッヒ…貴様は何をしている!! こんな場所でいきなり発砲など…それでも代表候補生か!! 恥を知れ!! この大馬鹿者が!!』
「は…はっ! 申し訳ありませんでした!!」
千冬姉の怒りの一喝によって態度が急変。
いや…あれはアイツじゃなくても普通に委縮するわ。
自分が怒られている訳じゃないのに怖いし。
「…今日の所は教官に免じて見逃してやる。だが、次は無いと思え」
完全に悪役な捨て台詞を吐きながら、ボーデヴィッヒは去って行った。
マジで何かしたかったんだよ…あいつは。
「にしても、まさか仲森さんが生徒会役員だったなんてな…知らなかったぜ」
「でしょうね。佳織って普段から自分の事は余り話したがらないから」
鈴が腰に手を当てながらこっちに来た。
この感じ…まさか?
「鈴は知ってたのか? 仲森さんが生徒会に入ってるって」
「まぁね。前に本人から教えて貰ったし。因みに、本音も生徒会の一員よ」
「ウチのクラスから二人も生徒会メンバーが出てるのかよ…」
前々から仲森さんは凄いと思ってたけど、俺の想像以上に凄い子なのかもしれない。
「仲森はとても面倒見がいいからな。そう言った点で生徒会に抜擢されたんだろう」
「きっとそうですわね。優秀なだけでは意味が無い。他者への気遣いが出来る優しさが無ければ学園の中枢たる生徒会に属する事は出来ない…。仲森さんはまさに適任ですわ」
ここで箒とセシリアもやって来た。
今までずっと落ち込んでいた二人が、最近になって急に元気を取り戻した。
それ自体は俺も嬉しい限りなんだけど、何が原因で元気になったんだろう?
「…ほんと、佳織ってば損な性格をしてるわよね。そんな所が好きなんだけど」
ん? 鈴が何か言ったような気がしたけど…気のせいか?
声が小さすぎてよく聞き取れなかった。
「仲森佳織さん…か」
シャルルも仲森さんが気になるのか?
うーん…なんでかな。
他の子達が何か言ってても気にしないのに、同じ男子であるシャルルが仲森さんの事を口にすると、何と言えない複雑な気持ちになってしまう。
『みんなー。大丈夫だったー?』
「おー! 仲森さんのお蔭で助かったよー!」
『どういたしまして。何事も無くて良かったよ』
また仲森さんの声がスピーカーから出てきた。
ってことは、もう千冬姉は戻ったのか。
『それと、もうそろそろ閉館時間になるから、戻った方がいいと思うよ』
「もうそんな時間か」
時間が過ぎるのはあっという間だな。
それだけ集中してやってたって証拠なのかもしれないけど。
『私達も戻るね。お疲れ様』
「そっちこそ。態々、来てくれて助かったよ。本当にありがとう」
『うん。また後でね。布仏さん、行くよー』
『はーい』
今度こそ完全に声が聞こえなくなった。
きっと、生徒会室に戻って行ったんだろう。
「また…仲森さんに助けられちまったな」
一体いつになったら、仲森さんにお礼が出来るんだろうか…。
その後、皆で戻ってからシャルルと一緒に着替えよう誘ったら鈴に怒られたりしたり、妙にシャルルの機嫌が悪かったり、大浴場が使えるようになったりとしたことが立て続けに起こったが…そんな事なんてどうでもよくなるレベルの出来事が俺を待ち受けていた。
そしてまた…俺は仲森さんに情けなくも頼ってしまうのだった。
次回はもう…言わなくても分かりますよね?
さてはて…本当にどうしよう?