私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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今回は例の大事な話。

勿論ですが、主人公は何もしないし出来ません。

流石に話ぐらいは聞いたり、話したりはしますけどね。







なんでやねん!!(魂の叫び)

 夕闇が空を覆い始める時間帯。

 私は自分の部屋にて友人達とのんびりとしたひと時を過ごしていた。

 

「にしても、今日のアレは本当に助かったわ佳織。まさか織斑先生を連れてくるとは思わなかったけど…っと、5ね。えーっと…『宝くじで高額当選したけど、銀行強盗に遭ってから当選くじを紛失。一回休み』…って、なんでよッ!?」

 

 あらら。これはまた可哀想に。

 けれど、容赦はしないよ?

 

「本当ですわね。あの様子から察するに、佳織さんや私達の言葉では全く意味をなさなかったでしょうし……3ですわ。『困っていたお爺さんを助けたら、その人は実は大会社の社長で多額のお礼を貰った。1000万円を手に入れた』。やりましたわ!」

 

 うぉ…ここで一気に逆転ですか。

 実際にお金持ちだと、こう言ったゲームでも金運が強いのかな?

 

「緊急を要する状況であっても冷静沈着に状況を把握して、最善の一手を導く。流石は佳織だな。……6か。なになに? 『川に溺れていた子供を救出して警察に表彰されたが、体が冷えて風邪を引いてしまった。5マス進んだ後に一回休み』。…喜んでいいのか、どうなのか反応に困るな…」

 

 …最近のには意外なマスも存在するんだね。

 よくネタを思い付くもんだよ。

 

「織斑先生もかおりんをとっても褒めてたよね~。あ、私は4だ~。『地下違法カジノで大儲け。警察から逃げる為に遠くに行く。1億円を手に入れてから10マス進む』だって。これで一番だ~」

「「「えぇ~っ!?」」」

 

 い…一気に大逆転しやがりましたですことよ…!

 この強運だけは勝てる気がしない…。

 

「というかさ…さっきからずっと言いたい事があるんだけど…」

「「なに?」」

「なんだ?」

「なんですの?」

 

 凰さんってば、どうかしたのかな?

 眉間に皺なんて寄せちゃって。

 

「なんで佳織の部屋に箒とセシリアがいるのよッ!?」

 

 その通り。

 今、この部屋にいるのは五人。

 私に布仏さんに凰さん。それから篠ノ之さんとオルコットさんだ。

 

 布仏さんと凰さんは、アリーナの一件の直後から、そのまま一緒に部屋まで戻ってきて一緒に『人生ゲーム』で遊んでいたんだけど、そこに篠ノ之さんとオルコットさんがいきなりやって来て今に至る。

 前に部屋まで連れてきたオルコットさんはともかく、どうして篠ノ之さんが私の部屋の場所を知っていたんだろう…って思って聞いてみたら、普通に織斑先生に教えて貰ったんだって。

 

「佳織は私にとって大切な恩人だ。部屋を訪ねて何が悪い?」

「一体、アンタと佳織との間に何があったのよ…」

 

 それは私が聞きたい。

 彼女に対して何かしたっけ?

 

「それよりもセシリア…あんた、自分が佳織に何をしようとしたのか忘れたわけじゃないんでしょうね?」

「忘れる訳はありませんわ。私は今までも、これからもずっと己の罪と向き合っていくつもりです。あの時の私は本当に愚かとしか言いようがありませんでした。けれど、佳織さんはそんな私の事を許してくれました。本来ならば恨まれても仕方がない筈なのに。それから決意をしたのです。佳織さんの優しさとご恩に報いる為に、これから先、例え何があろうとも必ずや佳織さんの事を絶対に守り抜くと決意したのです」

 

 いや…あの時は単純に、あのまま落ち込まれたままじゃこっちも参るから自分なりに慰めようとしただけであって…。

 そこまで深く考えて行動したわけじゃないんだけどなぁ~…。

 

「なんつーか…本当にお人好しと言うか…」

「かおりんだしね~」

 

 私だしねってどういう意味?

 

「ま…あたしも、その優しさに惚れたクチなんだけど…」

「凰さん? 何か言った?」

「べ…別になんでもないわよっ!?」

 

 どうして、そこで激しく動揺するの?

 逆に気になってくるじゃないのよ。

 

「ん?」

「どうした?」

「私のスマホにメールが来た。相手は…織斑君?」

「一夏さんから…ですの?」

「そうみたい」

 

 一体全体、私なんかに何の御用があるのかしら?

 えーっと…?

 

「なんて言ってるの?」

「『緊急事態発生。今すぐに俺の部屋まで来てくれ』…だって」

 

 この文章はまさか…起きてしまったのか? 例の暴露事件が。

 いや…実際にはそこまでド派手なことじゃないんだけど。

 

「緊急事態って…佳織、もしかして…?」

「多分、凰さんの考えてるので正解だと思う。私も同じ意見だから」

「ってことは、やっぱり佳織も気が付いてたのね。流石だわ」

 

 原作じゃそんな素振りを見せてなかったのに、私の知ってる凰さんは『彼女』の正体にいち早く気が付いたのか。

 ヤバいな…普通にカッコいいと思ってしまって、少しだけ胸キュンした。

 

「二人とも、何の話をしてるんだ?」

「デュノアの事よ。恐らくだけど、アイツの件で何かが起きたのよ」

「それはもしや……」

「あの方が男装をしていた事と何か関係がありますの?」

「「……え?」」

 

 も…もしかして…この二人も?

 

「あ…あんたらも…気が付いてたの?」

「「勿論」」

 

 こんなところで息が合うお二人さん。

 何気に仲良いでしょ。

 

「仮にも私だって候補生の端くれなんですのよ? あれぐらいは一発で見抜けますわ」

「武道をやっている以上、人体の構造などには詳しいからな。頑張って隠してはいたようだが、あの体格や重心移動の仕方などは誤魔化せてはいなかった」

 

 言われてみれば、その通りだわ。

 うん。なんて絶大な説得力。

 

「じゃあ、どうして黙ってたのよ?」

「我々が気が付いているという事は、佳織たちも絶対に気が付いている筈。だが、特に言及するような様子が見られなかったのでな」

「私達もそれに合わせて暫くは傍観の姿勢でいようと思ったのです」

 

 篠ノ之さんとオルコットさんの思考が何気に織斑先生と酷似している件。

 飼い主にペットが似るように、教師に生徒も似てくるんだろうか?

 

「因みに、本音は?」

「なんとなく予想はしてたよ~」

「でしょうね…そんな気がしてたわ」

 

 布仏さんは顔に似合わず鋭い感性の持ち主だからね。

 勘だけで迷路とか突破できそうだし。

 

「確か、デュノアは一夏と同じ部屋だったな…」

「あー…何が起きたのか予想出来たかもしれない」

「凰さんも? 実は私も」

「私もですわ」

「それじゃあ、おりむーのお部屋に行ってみるー?」

 

 布仏さんの言葉に私も合わせた全員が頷く。

 皆の予想は非常に高い確率で当たっていると思うよ…。

 行きたくても、私って織斑君の部屋の場所なんて知らないし。

 あれ? それじゃあ、どうして彼は自分の部屋まで来てほしいなんて言ってきたの?

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 い…今、起こった事をありのままに説明するぜ…。

 ついさっき部屋に戻ってきた俺は、先に帰ってきていてシャワーを浴びているシャルルに、中身が無くなっていた筈のボディーソープの詰め替えパックを渡してやろうとシャワー室の扉を開けてから声を掛けようとした。

 すると、中から出てきたのはシャルルにそっくりな見た目の女子。

 頭が混乱して、彼女とシャルルが同一人物であると認識するのに時間が掛かってしまった。

 

 シャルルは今、シャワーから出てジャージに着替えてからベッドに座っている。

 物凄く気まずそうにしながら俯いているが、気まずいのはこっちも同じ。

 どうすればいいのか分からず、思わず俺は頭の中にふと思い浮かんだ仲森さんにメールでこっちに来てくれるように伝えた。

 

「い…一夏…」

「な…なんだ?」

「今さ…メールをしたでしょ? 誰にしたの?」

 

 ばれてたか。

 

「…仲森さん。彼女なら良い知恵を貸してくれると思って…」

「それって、昼間に助けてくれた、あの…?」

「そうだ。本当はこういうのはよくないと分かってるんだけどな…。俺は今までにも仲森さんに迷惑をかけたり、この前も助けられたりしたし…」

 

 なんか、言っている内にこっちの方が落ち込んでくる。

 

「本当に…俺はどこまで仲森さんに借りを作れば気が済むんだって話だよな…。まだ何一つとして礼も出来てないのに……」

 

 はぁ…仲森さんには一生、頭が上がらないなぁ…。

 

「一夏って…仲森さんの事が好きだったりするの?」

「好き…か。そうだな…前はともかく、今は割と普通に話せるようになったし、とてもいい友人だとは思う」

「いや…そうじゃなくて……」

「じゃあ、どういう意味なんだ?」

「…いや。もういいよ」

「…そっか」

 

 シャルルは一体何が言いたかったんだ?

 間を繋ぐための話だとしても、意味が分からなかったぞ?

 

 コンコンコン

 

 いきなり扉がノックされた。

 仲森さんが来てくれたのかもしれない。

 

「織斑君? 言われた通りに来たよ」

「待ってました! 鍵は開いてるから、遠慮なく入ってきてくれ!」

「…分かった」

 

 ドアが開き、仲森さんが入ってきた…と思ったら、彼女の後ろに見覚えのある人影が四つあった。

 あ…あれ? なんで一人じゃないんだ?

 

「ほ…箒っ!? それにセシリアと鈴もっ!? 布仏さんまでっ!? どうして皆が仲森さんと一緒にいるんだよッ!?」

「そんなの、あたしたち全員が佳織の部屋にいたからに決まってるからでしょうが」

「な…仲森さんの部屋にいた…?」

 

 も…もしかして、俺は物凄いタイミングで呼び出しをしちまった…のか?

 

「その通り。私の部屋でみんなで遊んでいる最中に織斑君からメールが来て、一緒に行こうって話になったんだよ」

「マジかよ……」

 

 仲森さんだけに話すつもりだったのに…まさか、こんな事になるだなんて…。

 完全に予想外だった…どうしよう…。

 

「あぁー…佳織。あの子を見て」

「…予想的中…って感じだね」

 

 よ…予想? 何を言ってるんだ?

 なんか不安な感じがする言葉だけど…。

 

「織斑君。ここで何が起きたのか。どうして私を呼び出そうとしたのか。当ててみせようか?」

「え?」

 

 あ…当てる? いきなり仲森さんが名探偵みたいな事を言いだしたぞ?

 じっちゃんの名にかけたり、麻酔針で眠ったりしなくていいのか?

 

「いつものラッキースケベを発揮して、シャワーに入っていたデュノア君…いや、デュノアさん(・・)の裸を何らかの形で覗いてしまって、そこで彼女の正体を知ってしまい、どうすれば分からなくなった結果、まずは私に相談しようとメールをしてきた…って感じでしょ」

「す…凄い…まるで見てきたかのように当ててる…! というか、今『デュノアさん』って言ったかっ!? 仲森さん…シャルルが女だって知ってたのかっ!?」

「知ってたと言うか、一目見た瞬間から気が付いたというか」

「ひ…一目見た瞬間から…?」

 

 う…嘘だろ…? 俺なんて全く分からなかったのに…?

 シャルルの裸を見た今でも信じられてないのに…?

 仲森さん…どこまで凄い子なんだよ…。

 

「ついでに言うと、他の皆もデュノアさんが男装している事に気が付いていたみたいだよ?」

「ま…マジで?」

「大マジよ。あたしは、その子が転入してきた日にあった実習で姿を見た瞬間に本当は女だって気が付いたし」

「私とセシリアも、最初から気が付いてはいた」

「ですけど、IS学園に性別を偽って入学するなんて余程の事。そう簡単に切り出していい話ではないので、何か起きるまでは静観の構えを取っていたのです」

「かおりん達が何も言おうとしなかったから、私も黙ってたんだよ~」

 

 シャルルの一番近くにいたのに俺だけが全く気が付かなかっただなんて…幾らなんでも恥ずかしすぎる!!

 どうやらシャルルも似たような心境のようで、顔を真っ赤にしてから俯いていた。

 

「一応、これも言っておくけど…多分、織斑先生も彼女が男装をしているだけの女の子だって気が付いてるよ」

「千冬姉もッ!?」

「そりゃそうでしょ。冷静に考えてみてよ。私達でさえ分かった事を、あの織斑先生が分からないと思う? もしかしたら、彼女が転入する前…書類とかに添付されてた顔写真を見た段階から気が付いていた可能性だってあるよ」

「言われてみれば確かに……」

 

 あの千冬姉なら、何をしても全く不思議じゃない…。

 これ以上ない程に説得力に溢れた言葉だ。

 

「まずは念には念を入れて…篠ノ之さん。そこのドアを閉めてくれる?」

「了解だ」

 

 あの箒が仲森さんの言う事に従ってる…。地味に凄い光景だ…。

 

「それじゃあ、デュノアさん。まずは色々と事情を聞かせて貰える? 織斑君にも分かるように簡潔かつ丁寧にね」

「うん…分かったよ。こんなにも大勢の人達にバレた以上…話さない訳にはいかないしね…」

 

 俺にも分かるようにって…いや、専門用語とか言われたら頭が確実にパンクするけどさ……。

 

「あ…その前に大切な事があった」

「大切な事?」

 

 そんなのあったか? 全く思いつかないんだが…。

 

「お茶」

「は?」

「私達は織斑君に呼ばれてきた。つまり、私達はお客さん。なら、お茶の一つでも出すのが常識だよね」

「俺が呼んだのは仲森さんだけなんだけどな…まぁいいか」

 

 仲森さんだけならともかく、他の皆にも茶を出すのはどうも納得いかないような……。

 

「一夏。あたしはオレンジジュースね」

「一夏さん。私はコーヒーをお願いしますわ」

「一夏。烏龍茶を頼む」

「おりむー。コーラおねがーい」

「注文多いなっ!? 少しは遠慮しろよなっ!? 俺の部屋は喫茶店じゃないんですけどッ!?」

 

 完全に調子に乗ってないかッ!? どうして全員バラバラなんだよッ!?

 せめて一つに絞ってくれよ!

 

「織斑君。私はドリアンジュースをお願い」

「そんなのねぇーよ!?」

「じゃあ、アイスココアで」

「最初から、そっちで頼むよ……」

 

 なんかもう…既に精神的にドッと疲れた…。

 今回の俺…何一つとしていい所が無い…。

 

 

 

 

 

 

 




次回、本格的にお話します。

勿論、途中で未来のヒロイン候補の一人でもある頼れる助っ人を呼ぶ予定です。




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