私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
本当に色んな事がありましたね。
と言っても、ちゃんと明日も投稿するつもりなんですけど。
まだ私の2021年は終わりません。
デュノアさんに関する諸々の問題が取り敢えず、良い意味で前進してから週を跨いだ月曜日。
私はいつものように皆と一緒に登校をしていた。
少し前までは布仏さんだけだったのに、最近では凰さんだけじゃなくて篠ノ之さんやオルコットさんも一緒になっている。
最初は原作キャラに関わりたくないと思っていたのに、変われば変わるものね。
自分自身に一番驚いてる。
「なんだか学園全体が賑やかになってるような気がするんだけど…」
「多分、もうすぐ学年別トーナメントが開催されるからですわ」
「トーナメント開催自体は知ってるけど、もうそんな時期になってるの?」
「確か…今月末ではなかったか?」
「月末……」
そっか…今月の末にあるのか…。
んで、途中から個人戦からタッグマッチに変更されるんだよね。
まぁ…私は最初から布仏さんと組むって決めてるんだけど。
それなら一回戦に起きる『例の事件』に巻き込まれないで済むだろうし・
…と思っているけど、無人機の例があるからなぁ…。
あの一件で、こっちが原作介入を望んでいなくても、なんらかの理由で半ば無理矢理に近い形で強制介入させられる可能性が出てきてるんだよね…。
油断は禁物。慢心ダメゼッタイ。
「あれってさ…全校生徒強制参加なんだよね…」
「流石に強制じゃないでしょうけど…成績には大きく影響すると思いますわ」
「うへぇ~…」
「がんばろうね! かおりん!」
「う…うん…」
布仏さんの笑顔が眩しい…。
これ見たら『本当は出たくなんてありません』なんて言えないよね…。
「な…仲森さん!」
「ん?」
後ろから私の名を呼ぶこの声は…あの子か。
「お…おはよう…仲森さん」
「ん。おはよう、デュノア
これまでと同じように、男子の制服を着たデュノアさんが挨拶をしてきた。
昨日までのカラ元気な顔から一変して、今日の彼女はなんだか表情に余裕がある。
偶然とはいえ、誰かに自分の秘密を話したことで心が軽くなったのかもしれない。
「織斑君は?」
「一夏なら後ろから来てるよ」
そう言われて振り向くと、早歩きでこっちまで来た織斑君が。
どうやら、途中までは一緒に来ていたけど、私達の姿を見た途端に彼女がこっちまで急いだって感じっぽい。
「ったく…仲森さんの背中を見つけた途端に急いで行っちまうんだもんな…」
「あはは…ごめんね」
なんか織斑君が振り回されてる?
彼らしいと言えば彼らしいかも。
「あ、仲森さん。おはよう」
「おはよう、織斑君」
私に挨拶をした後、二人は他の皆にも挨拶をした。
一周回ってから、いつもの日常に戻ってる?
トーナメントの後には、デュノアさんの服装が女子の制服に変わるんだけどね。
「ところで織斑君。土曜日の三時間目に出された課題はちゃんと終わった?」
「な…なんとか…シャルルに教わりながら頑張ったよ…。仲森さんはどうなんだ?」
「ここにいる皆で勉強会的なことをしながら無事に終わらせた」
主に教わるのは私と篠ノ之さんで、教えてくれるのがオルコットさんと凰さん、そして布仏さんだった。
入試首席で候補生でもあるオルコットさんはともかく、布仏さんの意外過ぎるスペックを目の当たりにして、本気で驚かされました。
整備班志望ってのは伊達じゃないんだね…。
「んじゃ、あたしはこっちだから。またお昼にね」
「うん。またね」
教室を目の前にして、二組の凰さんと一旦別れる。
そしてから一組の教室を開けてから適当に挨拶をしてから席に向かおうとすると、いきなり名も知らぬ女子生徒数人から手を引っ張られて教室の端の方まで連れて行かれた。
「ちょ…仲森さん! こっち来て!」
「あーれー」
色んな意味で『こんな事』には慣れっこだったので、そこまで驚いたりはしなかったが、それでも一応はそれっぽいリアクションをする。
なんでこんな事をされているのかは本当に分からないしね。
「いきなり何? 言っておくけど、お金なら持ってないよ」
「べ…別にカツアゲをしようとしてるんじゃないよッ!?」
「じゃあパシリ? いいよ。何を買ってくればいいの?」
「それも違うから!」
「あぁ…分かった。特に理由も無く私の事がムカついたからボコボコにしたいんだ。まだ先生は来てないし、顔さえ殴らなきゃ問題無いもんね。大丈夫。殴られるのは慣れてるから」
「私達は何もする気は無いって! どうしてイジメをすることを前提に話をしてるのッ!?」
「いや…いきなり手を引っ張られて教室の端とか…普通に考えてもまず間違いなくイジメの前兆でしょ」
「仲森さん…今まで、どんな人生を送ってきたのよ…」
「ごく普通の人生ですけど?」
全く以て話が見えない。
彼女達はマジで何がしたいの?
「私達は、ただ話が聞きたいだけなのっ!」
「話?」
こんな私から聞きたい話って…本気で何?
全く想像が出来ないんですけど。
「仲森さんってさ…織斑君やデュノア君と仲良いよね?」
「仲がいい…ね。それを言ったら篠ノ之さんやオルコットさん達もそうだと思うけど?」
「あの子達はなんていうか…私達とは違うじゃない!」
「違うって何が?」
「代表候補生だったり、篠ノ之博士の妹だったりとか…」
…これ、私が嫌いな話だ。
一刻も早く、この場から立ち去って自分の席に戻りたい。
「でも、仲森さんは私達と同じじゃない? だからこそ聞きたいって言うか…」
「いや…同じじゃないでしょ」
「「「え?」」」
「私は私。あなた達はあなた達じゃない。一般生徒ではあるけど、同じ人間じゃない。だから、その表現は不適切だよ」
「そう言う意味じゃなくて……」
じゃあ、どういう意味だよ。ちゃんと説明しなさい。
出来れば原稿用紙10枚ぐらいに纏めて。
提出は明日ね。
「そもそもさ…オルコットさん達の事を『違う』って言ってる時点で間違ってるって気付いてる?」
「へ?」
「篠ノ之さんは好きで篠ノ之博士の妹になった訳じゃない。オルコットさんや凰さんは必死に努力をして代表候補生になった。確かに普通とは立場が違うかもしれないけど…だから何? 誰だって事情の一つや二つは抱えているもんでしょ? なのに、それを理由に彼女達を『差別』するの?」
「べ…別に私達は差別なんて……」
「してるじゃない。さっきの発言がいい証拠。無意識下で言ったんだとしたらさ…相当に質が悪いよ。分かってる?」
なんか今、納得してしまった。
これはボーデヴィッヒさんがキレるわけだわ。
織斑先生に対する執着は理解出来ないけど、この学園の一般生徒達に対する憤りに関しては物凄く共感できる。
「多分、あなた達が聞きたいのって『どうやったら織斑君達と仲良くなれるか?』ってことなんでしょ?」
「う…うん…」
「あのさ…それを私に聞くこと自体が間違ってるって、どうして気が付かないの?」
「ま…間違ってる?」
「そうでしょ。この学園において数少ない男子生徒ではあるけど、それでも彼らはクラスメイトなんだよ? クラスの仲間と仲良くするのに理由がいるの? 普通に話しかければ、それで済む話じゃない」
「それが出来れば苦労しないって!」
「織斑君もデュノア君もカッコいいし…なんだか遠い存在って言うか…」
「はぁ……」
…この子達、本気で彼らと仲良くなる気…無いな。
「あの二人と仲良くしたいのは、彼らが『カッコよくて希少な男性操縦者』だから? それとも『彼ら』だから?」
「え? そりゃあ…なんたって片方は織斑先生の弟で、もう片方はデュノア家の御曹司だし? もしお付き合いとか出来れば皆にも自慢できるし…ねぇ?」
「う…うん。私達みたいのには数少ないチャンスだし?」
…論外だ。ふざけ過ぎてる。
聞いているだけで胸糞が悪くなってくる。
「昨日、見かけたんだけどさ…仲森さんってあの二人と仲がいいじゃない? 織斑君とは前からだったけど、デュノア君ともよく話してたし…」
(彼女の裏事情を知っちゃってるからね)
「その仲森さんからなら、あの二人と仲良くなれる秘訣みたいのを聞けるかな~って思って……」
もう自分の席に着いてもいいですか?
いや…どうせなら、自分の言いたい事を言ってから席に着こう。
「どうして私が彼らとよく話をするのか…教えてあげようか?」
「「「是非っ!」」」
「…あなた達みたいな『差別意識』を持ってないからだよ」
「「「はい?」」」
「分かり易く言ってあげる。あなた達は彼らの事をどこまでも『世界的にも希少な男性IS操縦者』としてしか見ていない。だけど、私にとっての彼らはどこまで行っても『普通のクラスメイト』なの」
あぁ…なんかもう止まらなくなってきた。
このひと時だけで凄くストレス溜まったし、一気に発散させて貰おうか。
「デュノア君はともかく、織斑君はISを動かす前まではどこにでもいる普通の男の子だったんだよ? それがいきなりISを動かしたことで一気に時の人になって、挙句の果てに女しかいないIS学園に入学させられた。その時のプレッシャーは半端じゃなかっただろね。それに加えて、周りの女子達が自分に対して媚を売るように近づいてくる。彼はそんな事なんて全く望んでないのに。ごく普通の高校生活さえ満喫出来れば満足なのに。よりにもよって、それをクラスメイトがぶち壊す。私がもしも彼らのような立場だったら迷わず『ウザい』って思ってただろうね」
「「「あ…う……」」」
なに黙りこくってるのよ。
そっちが聞きたいって言ってきたんでしょうが。
だったら、ちゃんと最後まで聞きなさいよね。
「本当は織斑くん達だってみんなと仲良くしたいと思ってる筈だよ。でも、それは『異性』としてじゃなくて『友人』として。なのに、そっちがそれを拒絶してる。だって、アナタ達が欲しているのは『クラスメイトとしての織斑一夏やシャルル・デュノア』じゃなくて『織斑千冬の弟にして男性IS操縦者としての織斑一夏とデュノア家の人間にしてフランスの代表候補生としてのシャルル・デュノア』なんだから。立場が立場だから多少の意識はして仕方がないけど、それでもクラスや学園にいる間ぐらいは、そんな事を忘れさせて『一人の友人』として接してあげるのが本当の優しさなんじゃないの? 織斑君と仲良くなりたい? ふざけないで。彼らのことを一人の人間として見ずに、自分を輝かせるアクセサリー程度にしか見ていない人間に、彼らと仲良くする資格なんてありはしないよ。あの二人の優しさを馬鹿にしないで」
言ってしまった…とうとう言ってしまった。
完全にお口のブレーキが外れてしまっていた。
かおりん…一生の不覚…。
「これ以上、何も話す事は無いよ。彼らと本気で仲良くなりたいのなら、まずはそのふざけた先入観を捨てる事をお勧めするわ」
「「「………」」」
「それと、最後に一言だけ言わせて貰うけど…」
ヤバい…これは完全にトドメになるやつだ。
でも、もう止まらない。止められない。
私はかっぱえ○せんか。
「あなた達のそれ…完全に『女尊男卑』の思考だよ」
「「「!!!?」」」
ちょっとだけ腹の虫が収まった…かな?
って…なんかクラスの皆がこっち見てる?
もしかして、思ってるよりも大きな声で話してた?
うぅ…今更ながら、めっちゃ恥ずかしい…!
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
仲森さんがいきなり女の子たちに教室の端まで連れて行かれて、そこで何かを話していた。
最初はヒソヒソ声だったけど、徐々にヒートアップしてきたのか声が大きくなってきた。
話の内容は『ボク達と仲良くなる方法』について。
それ自体は別に何も問題は無いと思う。
問題があるとすれば、それは彼女達の思想の方だった。
あの子達は、ボク達が『男性操縦者』だから仲良くなりたいと思っているようで、それを聞いた仲森さんが静かに激高して、怒涛の口撃で完全論破してみせた。
しかも、見事にボクが思っている事を代弁してくれた。
それだけでも十分過ぎるのに、彼女はボクの心に向かってとっておきの一撃をお見舞いしてくれた。
「あの二人の優しさを馬鹿にしないで」
仲森さん…その言葉は完全に反則だよ…。
ボクの隣で一夏も両手で顔を隠しながら、顔を真っ赤にして無言で悶絶してるし。
多分、ボクの顔も同じように真っ赤になってるに違いない。
君は分かってないかもしれないけど…それは完全に殺し文句だよ…!
そんな事を言われたら…友達以上の関係になりたいって…思っちゃうじゃないか…。
あ…あれ?
最後の最後までかおりんが勝手に動いて喋ってました…?
もっとスマートにするつもりだったのに…。