私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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今回でようやく、佳織はトールギスの秘密の一端に気が付きます。

意識を保った状態で乗りましたからね。








何はともあれ

 第三アリーナで起きた一件から約一時間後。

 私達は保健室に移動していて、ベッドの上には怪我をした場所に包帯を巻いて気まずそうにしている凰さんとオルコットさん。

 そして、事が済んだ直後にやって来た織斑君&篠ノ之さん&デュノア君のトリオに加え、今回の事に関する事情を聴くために織斑先生も一緒にいた。

 

「恥ずかしい姿を見せちゃったわね……ごめん」

「佳織さんをお守りすると誓った矢先に、この体たらく…自分が情けないですわ…」

「そんな事を言わないで」

 

 私は彼女達の弱音を聞くために助けたんじゃない。

 そんな理由で私は動かない。

 

「二人が無事で本当に良かった…。今はそれだけで十分だよ…」

「佳織……」

「佳織さん……」

 

 図らずも自らの意志で原作介入をしてしまったわけだけど、今回だけは全く後悔していない。

 もしも、あの場で自分の事だけを考えて何もしないでいたら、それこそ絶対に後で後悔していただろうし、それ以上に自分自身を本気で許せなかったと思う。

 だから、今回はこれで良かった。

 

「な…なぁ…一体何がどうなったんだ? 俺達は話だけを聞いて急いで駆け付けたんだけど……」

「私達が到着した時には既に事は終わっていた…」

「正直、未だによく事情を飲み込めてないんだよね…」

 

 そっか…この三人は原作とは違って、今回は遅れてやって来てるから、何にも分かってないんだ。

 まずはそこら辺を説明しないといけないのかな…?

 

「そうだな。凰、オルコット。あんな事が起きた直後で申し訳ないとは思うが、事情を説明してくれないか?」

「「分かりました」」

 

 そこから二人の口から語られる今回の話。

 原作と同じように、二人が揃って第3アリーナで訓練をしようとすると、そこにいきなりボーデヴィッヒさんが乱入。

 彼女の口から出てくる罵詈雑言の数々。

 だが、二人はそんな挑発に乗ることは無く、彼女を無視して訓練を始めようとすると……。

 

「あいつ、いきなり佳織の悪口を言い始めたのよ!」

「私の悪口?」

「そうですわ! 『あんな人形のように気持ちの悪い女と一緒にいるような連中が私と同じ候補生とは笑わせる』と言ったんですのよ! 絶対に許せませんわ!」

 

 そこは織斑君じゃないんだ…。

 別に私は何を言われても気にしないんだけどな…。

 中学時代もよく『日本人形みたい』って言われてたし。

 

「それは許せんな…!」

「仲森さんの良さを全く理解していない証拠だね…!」

 

 ちょ…どうしてそこで篠ノ之さんとデュノア君がマジ切れするのっ!?

 君達は全く関係ないよねッ!?

 

「それに頭に来たあたし達は……」

「ボーデヴィッヒと戦う事になった…という訳か」

「はい。ですが、彼女の機体と私との機体とでは想像以上に相性が悪かったようで……」

「殆ど手も足も出ずに、あのザマってわけ」

「その直後に仲森が駆けつけ、お前達を救出した…か」

「そうですわ」

 

 あの時は本当に我を忘れてたって自覚があるわ…。

 傷ついている二人を見た途端に頭が真っ白になって、気が付いた時にはトールギスを呼んでたし。

 

「流石は佳織…と言いたいが、一体どうやってアイツを止めたんだ?」

「そ…それは……」

 

 まだ篠ノ之さんとデュノア君には、私のトールギスについて話してないからな~。

 どうやって説明をしたらいいものか…。

 

「…仲森はこう見えて、天才的な操縦技術を持っている。例え訓練用の量産機であってもボーデヴィッヒを圧倒できるぐらいにはな」

 

 ここでまさかの織斑先生からのフォロー。

 咄嗟の言い訳が思いつかない私に変わって言ってくれて、ありがとうございます。

 今度また絶対にまた何かを差し入れに行きますね。

 

「そうだったんだ……」

「あの実習の時の動きを見た時から普通ではないとは思っていたが……」

「あはは……」

 

 訓練機じゃ同じような動きはまず不可能だと思うけどね…。

 

「…………」

「織斑君?」

 

 なんかさっきからずっと黙ってるけど…どうしたの?

 顔が怖いよ? 大丈夫? お腹でも痛いの? 正露丸でも飲む?

 

「許せねぇ…!」

「え?」

「鈴やセシリアを一方的に傷つけただけじゃなく、仲森さんの悪口まで…絶対に許せねぇ…!」

 

 あ…怒ってたのね。

 そうだね。凰さんやオルコットさんに暴力を振るった事は許せないよね。

 正直、幾ら原作ヒロインでもそう簡単に許す事は出来なさそうだよ…。

 彼女は決して越えてはいけない一線を自らの意志で易々と越えてしまったから。

 

「織斑…お前の気持ちは理解出来るが、今は落ち着け。ここは保健室で、目の前には怪我人がいるんだぞ」

「ちふ…織斑先生……」

「その怒りは学年別トーナメントまで取っておけ」

「…分かったよ」

 

 おぉ~…流石の織斑君も、先生からの鶴の一声には素直に従うんだね。

 やっぱり、お姉さんには敵いませんって事なのかな?

 

「そうだ。その学年別トーナメントで思い出した」

「何をですか?」

「実はな、今度の学年別トーナメントは例年とは違い特別ルールで開催される事になった」

「「「「「特別ルール?」」」」」

 

 あ~…あの事ね。

 でも、織斑先生が言っちゃうんだ。

 なんだか意外な展開ですな。

 

「より実戦的な模擬戦闘を行う為に、二人組…つまりタッグ戦での試合をする事になった」

「「「「「タッグ戦…」」」」」

「因みに、期日までにペアが決まらなかった者は、当日になって抽選という名のランダムで決定される事になっている。無論、この方法で決められたコンビは圧倒的に不利になるだろうな」

 

 そうだよねー。

 だって、ちゃんとした連携練習も出来ない状態でぶっつけ本番を迎える訳でしょ?

 それは無理ゲーってもんですよ奥さん。

 

「……………」

「どうした仲森? じーっと入口の方を見て」

「いや…これまでのパターン的に、今回のトーナメントがタッグ戦だと知った女子達が織斑君やデュノア君を目当てに一斉に保健室に殺到しそうな気がして…」

「それならば抜かりはない。こんな事もあろうかと、予め保健室の扉にこれを張っておいた」

 

 私たち全員に見えるように、織斑先生が一枚の紙を取り出た。

 そこには力強い筆跡でこう書かれてあった。

 

『現在、怪我人がいるので関係者以外は立ち入り禁止とする。織斑千冬』

 

((((((最強の抑止力だ……))))))

 

 成る程…これならば馬鹿な女子達は入って来れないわ。

 そもそも、怪我人が二人もベットに寝ているのに大勢で押し寄せるなんて常識の欠片も無い行為だもんね。

 もしも原作と同じようなことが起きたら、またもや私はブチ切れていたかもしれない。

 

「タッグ戦かー…。まだ自分の操縦でも大変なのに、誰かと連携とか出来るのかな……」

「それこそ訓練次第だな。素人でも、戦い方次第で意外と化けるものだ」

 

 なんて説得力のある言葉ですこと。

 

「分かっているとは思うが、凰とオルコットはトーナメントには出られんぞ。体の怪我もそうだが、それ以上にISの方が深刻だからな」

「「はい……」」

 

 織斑先生から言われたら、この二人も黙るしかないか。

 自分の状態は自分自身が一番よく理解している筈だしね。

 

「その通りですよ」

「山田先生……」

 

 ここで端末片手に山田先生のご登場。

 先生は破損した凰さん達のISのチェックをしていたらしい。

 でも、やって来たのは先生だけじゃなかった。

 

「かおり~ん!!」

「布仏さん?」

 

 完全に泣きじゃくっている布仏さんが入ってきて、いきなり私に抱き着いてきた。

 そういえば、あの時は何も言わずに生徒会室を飛び出して来ちゃったからな…心配させちゃったか。

 

「大丈夫ッ!? 怪我とかしなかったッ!?」

「うん。私なら大丈夫。でも、保健室だから静かにしようね」

「ん……」

 

 彼女を慰めるように頭を撫でると、大人しくなって目を細めた。

 なんつーかもうさ…まるでワンコだよね。ワンコ系女子だ。

 

「…羨ましい…」

「私も佳織さんに……」

 

 そこの怪我人二人、何か言った?

 

「佳織に抱きしめられながら頭を撫でられる…か」

「いいなぁ……」

 

 そっちもかい。

 

「んん…山田先生。そっちの方はどうだった?」

「あ…はい。案の定でした」

「矢張りか……」

 

 空気がおかしくなりそうなところを咳払いで元に戻した織斑先生は、山田先生から端末を手渡されてデータを見ていた。

 

「ブルー・ティアーズ。甲龍。共にダメージレベルがCを超えています。当分の間は修復に専念させないと……」

「後々に重大な欠陥が生じる可能性が非常に高い…か」

「はい。ISや彼女達を休ませるという意味でも、今回はトーナメント参加を辞退するべきでしょうね」

 

 こればっかりは本当に仕方がないよね。

 まずはISも凰さん達も怪我を治すことが先決…ってね。

 

「そう言えば、仲森は一体どうしてあの場に駆け付けたんだ?」

「実は……」

 

 今度は私が説明をする番になった。

 生徒会室にいきなり内線で連絡が入り、ボーデヴィッヒさんが暴れている事。

 それに凰さんやオルコットさんが犠牲になっている事を知った私は、思わず立ち上がって急いでアリーナへと向かい、そこで二人が暴力に晒されている光景を目撃して……。

 

「そのまま二人を助ける為にボーデヴィッヒと一人で戦い、制圧した…というわけか」

「そうなります……」

「フッ…流石のアイツも、仲森相手では分が悪かったか」

 

 私相手ってよりは、正確にはトールギス相手って言った方が正しいけど。

 

「ボーデヴィッヒさんはどうなるんですか?」

「まずは学園からドイツへと連絡をする事になっている。あいつ自身はトーナメントまで反省室にて反省文付きの謹慎処分だ」

「なんだか軽すぎるような気が……」

「分かっているさ。だが、今回のこれは下手をすれば国際問題にも発展しかねん。慎重に対処するしかないんだ」

 

 国と国の問題を出されたら、一国民でしかない私は黙るしかありませんな。

 こればっかりは、どうしようもないし。

 

「本当に心配したんだよ、かおりん…。いきなり陸上選手も顔負けなスピードで生徒会室を飛び出して行って…お姉ちゃんもかいちょーもびっくりしてたんだから…」

「そっか…迷惑を掛けちゃったね。後でちゃんと謝らないと……」

「かおりんは何も悪くないよ……」

 

 だとしても、心配させたのは事実だし…ちゃんと謝罪の意は示さないと。

 

「本音の言う通りよ。佳織は何も悪くないわ」

「そうですわ。佳織さんは私達を助けてくれました。私…その雄姿に見惚れましたわ…♡」

「そ…そう……」

 

 なんだろう…オルコットさんからの視線が別の意味で熱い…。

 言葉で言い表すのは難しいけど…嫌な予感しかしないとだけ言っておく。

 

「さて…これ以上、ここにいる訳にもいくまい。凰、オルコット。今日はここで休んでいけ。先生はこっちから伝えておく。仲森たちももう部屋に戻れ。いいな?」

 

 こうして、何とも言えない形で一先ずは幕を閉じたのだった。

 まぁ…こっちとしては丁度良かったけど。

 少し一人で考えたい事もあったしね。

 

 タッグ…誰にしよう?

 やっぱり布仏さんが良いかな…。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 部屋に戻り、私は特に何をすることもなくベットに寝転がってボーっと天井を見つめながら考え事に耽っていた。

 

(あの時…トールギスを使ってボーデヴィッヒさんと戦った時…完全に理解した。どうして見知らぬ所で無人機相手に無双出来ていたのか…)

 

 ゴロンと身体を動かして横になって目を瞑った。

 

(トールギスが勝手に動いていた…私の意志とは全く関係なく…体が動かされていた。恐らくは自動操縦機能的な物だろうな…。多分、トールギスの圧倒的Gに耐えられてるのも、機体自体に何らかの細工がされているに違いないね…。あの神の与えた転生特典の一つだし、それぐらいの魔改造が施されていても不思議じゃない…)

 

 全く…皮肉ってもんじゃないよ。

 少し前まで忌み嫌っていたトールギスのお蔭で、今日は大切な友達を救えたんだから…。

 

「はぁ……」

 

 これから先もトールギスの自動操縦に助けられるのかな…。

 いや、私自身は完全なハイパー素人だから有り難いんだけど…。

 

(しかも、トールギス発動の際に聞こえてきた謎の声。あれは…)

 

 絶対に気のせいなんかじゃなかった。確かに聞こえてたもん。

 こや…じゃなくて、ゼクス・マーキスの声…だった。

 ISのコアには人格みたいなものがあるって話だけど、やっぱりトールギスのコア人格はゼクスなんだろうか…。

 

「なんか…今日は色んな意味で疲れた……」

 

 瞼が重くなる…猛烈に眠たい…。

 このまま夕飯まで寝てしまおうか…。

 

 その後、私は自分の欲求に従って素直に仮眠をする事にした…のは良いんだけど、仮眠のつもりが思い切り寝てしまったらしく、目が覚めた時は次の日の朝でした。

 夕飯を食べ損ねて本気で後悔したのは内緒。

 

 

 




かおりん、ようやくトールギスの秘密に気が付く。

そして次回は学年別トーナメント…の前の話になるかも?



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