私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
日曜日は『休み気分』が大きいので書く気が起きず、逆に月曜日は純粋に怠いです。
でも、こんな時にこそ頑張れるのが凄い事だと何かの本で読んだような気がするので頑張ります。
学年別トーナメントがタッグバトルに変更され、全校生徒は急いでチームを組むことになった。
織斑君はデュノアさんと、私は布仏さんと組むことに。
ここまではいい。問題はあのドイツから来た問題児がどうなるかだ。
原作では彼女はランダムで選ばれた篠ノ之さんとタッグを組み、トーナメント一年生の部の一回戦でぶち当たるという明らかに意図的に仕組まれた試合を行った。
まぁ…私が今いる場所は原作じゃないし、もう既に私が持っている原作知識はほとんど役に立たないと身を持って思い知っているので、あくまで参考程度なんだけど。
どうなるか分からない事なんて気にしても仕方がないので、私は布仏さんと一緒にシミュレーターとやらを使って特訓をする事に。
これがまぁ凄いのなんのって。
語彙力皆無な私の説明じゃ上手く説明できないから簡単に言うと、再現力がハンパないです。
まさか、待機形態を設置しただけでトールギスの自動操縦機能まで忠実に再現するとは思わなかった。
最初から訓練をしても付け焼刃じゃねと思ってはいたけど、これでじゃあ殆ど布仏さん一人の特訓って感じだった。
因みにだけど、布仏さんはあの性格に反して意外と動ける女の子でした。
人は見かけによらないとはよく言うもんだけど、まさかそれが自分の友人が該当するとは…。
自分が出来る事。出来ない事をちゃんと把握して、状況が変化する度に今の自分が出来る最適解を頑張って行おうとする。
なんつーか…本気でビックリしました。
え? その描写を詳しく教えてくれ?
そんな事をしたらそれだけで話が終わっちゃうからダーメ。
つーことで…ボスー、出番ですよー。
キンクリお願いしまーす。
『キングクリムゾン!!』
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6月の最終週。
ここから一気にIS学園はトーナメントに備えて急激に慌ただしくなる。
生徒会なんてものに所属していると、その変化を如実に感じる事が出来た。
もう本当に忙しいのなんのって。
更識会長は勿論、虚さんだって大忙し。
普段は書類仕事の手伝いしかしていなかった私だって、勇気を振り絞って関係各所と電話のやり取りをする羽目に。
まさか、高校時代にOLの真似事をする羽目になるとは思わなかった…。
いつもはソファーで寝ている布仏さんにも今回は色々と頑張って貰ったし。
凰さんとオルコットさんは殆ど怪我も治り、いつも通りの日常を送れるようにはなったけど、まだISの方が修理できていないという事でトーナメントは普通に見学する側になった。
こればかりは仕方がないよね。
…で、そんなこんなで気が付けばトーナメント当日。
ついさっきまで生徒会主導で他の生徒達と一緒に雑務や会場の整理、来賓客の誘導とかをやっていた。
この私が誰かに指示をするようになるとは…世の中、何が起きるのか分からないもんですたい。
大体の仕事を終えた私達は、急いで更衣室へと入って試合に向けてのお着替えタイムへと突入。
無論、女子と男子でちゃんと分かれていて、織斑君とデュノアさんは二人で広い更衣室を半ば貸切状態。
では女子はどうなっているのかというと……。
「ちょっと! もう少しそっちに行ってよ!」
「無茶言わないで! どこもかしこもギュウギュウ詰め状態なんだから!」
そこの女子が言った通り、こっちの更衣室は明らかに過剰な人数が入っている。
普通に使えばそれなりの広さなんだろうが、今回はどう考えてもキャパオーバーになってる。
お蔭で、『今の私の姿』もそこまで目立ってはいない。
不幸中の幸いというか、なんというか…はぁ…。
「…布仏さん。着替えたら廊下に出よう。廊下にもモニターはあるから、ここに居続ける理由は無いよ」
「そーだねー」
こんな場所に長居したら、試合をする前にダウンしちゃうよ。
流石にそれは恥ずかしすぎるので勘弁願いたい。
「「ふぅ…」」
込み合う人の波を越えて辛うじて廊下に出て、ようやくホッと一息。
別の意味で疲れました……。
「かおりん。その『マスク』…意外と似合ってるね~」
「そ…そう?」
布仏さんが言った通り、私は今とある物を頭から被っている。
私とトールギスの存在をどうするか。
更識会長が考えたのは『逆転の発想』。
試合が始まれば嫌でもトールギスの姿は大衆に晒される。
ならばいっそのこと、トールギスの事を隠すんじゃなくて、私の方を隠せばいいんじゃないかと。
どうせ、全校生徒の顔を把握している人間なんて学園には誰もいない。
それならば、見た事の無い生徒が一人ぐらい紛れていても違和感は無い…とのこと。
最初聞いた時は『なんじゃそりゃ』と思ったけど、あろうことか織斑先生もこの案に同意をしちゃったから、さぁ大変。
一体どうやって私の事を隠そうかと考えた結果…『マスク』を被ることで私の顔を隠す事にしたというわけだ。
なんでも『演劇部』から借りて来たらしいんだけど、このマスクさ……。
完全に『ゼクス・マーキス』が被ってたマスクじゃないのよ!!
しかも、しれっと金髪ロン毛のウィッグ付きで!!
自分の長い髪は後頭部で纏めて、その状態でマスクを被り素顔を隠す。
するとあっという間に謎の金髪少女の出来上がり…という訳です。
しかも、選手登録の際に書いた名前が『ゼクス・マーキス』になってたし…。
どうしてその名前にしたのかと聞いたら、演劇部の部長さんがゼクスと同姓同名の俳優のファンだかららしい。ふざけんな。
一応言っておくと、本名は『ミリアルド・ピースクラフト』だからね。
「布仏さん。これを被っている間は私の事は『ゼクス』って呼んでね。じゃないと意味無いから」
「はーい」
ちゃんと分かってるのかな…? なんか不安だ…。
これからの事を考えて胃をキリキリさせていると、もう一つの更衣室から織斑君達が出てきた。
「お? 布仏さん…と、誰だ?」
「かおりんだよー」
「かおりんでーす」
「「えぇっ!?」」
そうだよね。そんな反応をするよね。分かります。
「ど…どうしてそんな事になってるんだ?」
「逆転の発想。機体の方は普通に晒して、操縦者の方を謎にすればいいって」
「成る程…なのか?」
「そこで疑問形にならないで。私だってすっごく恥ずかしいんだから」
確実に黒歴史確定だよね…。
これを被るのは、もう絶対にこれっきりにしよう…。
「因みに名前も変えてあったりする」
「どんな?」
「ゼクス・マーキス。だから、二人ともトーナメント中は私の事は『ゼクス』って呼ぶようにしてね。じゃないと変装した意味が無いから」
「わ…分かったよ。でも、それじゃあ……」
「うん。さっき見たトーナメント表で見た名前…だよね」
「え? もう出てたの?」
「あぁ。そこのモニターにも出てるぞ」
織斑君が指さしたモニターを布仏さんと一緒に見ると、そこには既にトーナメント表が表示されていた。
「俺達はAブロックの二組目なんだよ」
「二組目? それじゃあ、一組目は……」
もしかたらとは思っていたけど、やっぱり改変があったか。
二次創作とかだと、ここは織斑君とオリ主組んで戦ったり、もしくはデュノアさんとオリ主が組んで戦うか、篠ノ之さんの代わりにボーデヴィッヒさんと組んだりするパターンが多い。
けど、まさか丸々入れ替わるとは想像もしていなかった。
「えっと…Aブロック一回戦の一組目『ゼクス・マーキス&布仏本音』VS…えっ!?」
「おぉ~…」
私達の対戦相手は勿論『彼女達』…なんだけど……。
「『ラウラ・ボーデヴィッヒ&相川清香』…?」
な…なんで篠ノ之さんじゃないの?
まさか、ランダム要素がここに来て功を奏したって事?
にしても……。
(相川清香って……誰?)
・・・・・
・・・・
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・
試合直前。
大観衆で賑わうアリーナのステージには、既に私達の他に目の前にボーデヴィッヒさん達が待機をして試合開始を今か今かと待っていた。
布仏さんは前に実習でも使った『ラファール・リヴァイヴ』を使用し、向こうのえっと…相なんとかさんは『打鉄』を使っている。
ボーデヴィッヒさんも専用機である『シュヴァルツェア・レーゲン』を装備しているが、私が…というかトールギスが以前に与えた腕部のダメージが完全に修復できていないようで、明らかな応急修理の跡が見られた。
「おい貴様…どういうつもりだ!」
「どういうって?」
「何故まだISを展開しない! しかも、そのふざけた仮面は何だ! 私を馬鹿にしているのか!」
「馬鹿になんてしてないよ。こっちにも事情があるってだけ」
「事情…だと? その為に偽名まで使っているというのか!?」
「そうだよ。今の私は『ゼクス・マーキス』。それ以上でも、それ以下でもない」
「上等だ…! こうして一回戦で勝負することになったの何かの運命…ここでこの間の決着をつけてくれる!!」
「ご勝手に」
勝手に因縁つけてくれちゃって。
悪いのは全部そっちでしょうが。まさか、その自覚すらないワケ?
「うぅ~…なんでこんな事になっちゃったのよぉ~…」
「よーし! がんばるぞー! おー!」
「どうして本音はそんなにヤル気なのよ~!?」
「大好きな人と一緒だからに決まってるよ~」
…うん。なんか恥ずかしい言葉が聞こえたような気がしたけど、今だけは聞かなかった事にしよう。
それよりも、そろそろ試合が始まる頃かな?
私がこうして試合開始直前までISを展開しないのも織斑先生や更識会長からの指示で、こうして皆の目の前でISを展開する事で『ゼクス・マーキスこそがトールギスの操縦者である』と知らしめるため…なんだそうだ。
確かに、自分の目で見た事ってのは最高の判断材料になるからね。
「出るがいい…トールギス!!」
首からぶら下がっている待機形態を握りしめ、態と大きな声で叫ぶ。
めっちゃ恥ずかしいけど、これも後々の私の平穏の為!
今だけは羞恥心を克服する!!
(フッ…君の決意、確かに受け取った! 行くぞ!!)
え? なんかまた声が聞こえてきた?
しかも、今回はまた偉く気合いが入ってないゼクス特尉!?
なんて考えている間にトールギスが光と共に展開される。
「現れたな…白いIS!!」
「このトールギスに、私は自分の可能性を賭ける!」
なんて調子に乗ってカッコつけたりして。
もうすぐ試合が開始される。
心臓がバクバク鳴って止まりません。
『これより、学年別トーナメント一年生の部、Aブロック一回戦を開始します!』
アナウンスが流れると同時に布仏さんが拡張領域からアサルトライフルを取り出し、ボーデヴィッヒさんも腰を低くして身構える。
この中で唯一怯えまくっている相なんとかさんも、震えながらもライフルを展開した。
んで、私はというと……。
「直立不動のまま構えもしないだと…? 舐めているのか!?」
「…………」
今から試合をするのに、そんなに無駄口を叩く暇がよくあるね。
割とマジでどうして君が軍人になれたのか疑問しかないよ。
だから私は無視します。返事をする義務はないし、そんな余裕も無いから。
『試合……開始!!』
次回から本格的な戦いに。
今回の話、最後の最後までどうしようか迷ってました。
最初は原作通りに一夏達とぶつけようと思っていましたが、そうなるといざって時の介入理由が上手く思いつかないんですよね。
いや…その気になれば幾らでも理由はつけられるんですが、そうなると明らかに話の流れ自体に違和感が生まれるし、クラス対抗戦と殆ど同じような流れになる可能性が大きかったので、ならばいっそのこと最初から佳織たちとラウラをぶつければよくね? というある種の開き直りに近い考えに至りました。