私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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戦いが終わっても、まだまだ一日は終了しないんじゃよ。

寧ろ、ここからがある意味で本番かも知れない。







疲れた時ぐらいはゆっくりしよう

「ちゅかれたぁ~…」

 

 大騒動となったハイドラガンダム(偽)暴走大事件が無事に終わり、私は織斑君や布仏さんや凰さん、篠ノ之さんやオルコットさんやデュノア君と一緒に食堂で蕩けていた。

 

「本当にお疲れさま、かおりん」

「布仏さぁ~ん…」

 

 テーブルにベターとなっている私の頭を布仏さんが優しく撫でてくれる。

 これだけでもすっごく癒されますにゃ~。

 

「しっかし、結局アレって何だったのかしらね? いきなりラウラのISが変な形になっちゃってさ」

「その辺りは先生方が調べてくれるでしょうけど…」

「まず間違いなく、この間と同じように学園内に箝口令が敷かれるだろうな」

「こればかりは仕方がないよ。外に漏らしたら色んな意味で大変だし」

 

 そーだよねー。

 もし知られたりしたら、マスコミとかが一斉にやって来てあることないこと書きまくられるに決まってる。

 それがネットにも広がって、挙句は世界中に…。

 トドメに、各国からクレームの嵐が来る可能性だって十分に有り得る。

 それらの事を考えると、ここは貝のように口を閉じておくことが一番正解だと思うでゴザル。

 

「そのラウラはどうしたんだ?」

「ボーデヴィッヒさんなら、私から織斑先生に引き渡した後に保健室に連れて行かれたよー」

「本当はかおりんも一緒にって話も出てたんだけど、かおりんが遠慮したんだよね」

「ん…まーねー」

 

 前にも言ったかもだけど、私はあの保健室独特の雰囲気や薬の匂いとかがあんまり好きじゃないのよね。

 なんつーかこう…匂いをずっと嗅いでると『トリップ』しそうになるって言うか…。

 

「ご自身もお疲れでしょうに…ラウラさんの事を考えて敢えてここは遠慮をしたんですのね。流石は佳織さん…騎士道精神に溢れていますわ。もしもここが我が祖国であったなら、絶対に佳織さんには『騎士(ナイト)』の称号が授与されていたに違いありません」

「ナイトねぇ…」

 

 私なんかよりも、今回は全面的にトレーズ閣下のお蔭なんだよね。

 個人的にも、あの人こそが真の騎士と呼ばれるに相応しいと思う。

 声や容姿もめっちゃナイトっぽいし。

 

「トールギスも、どことなく騎士っぽいデザインだしね。確かに似合ってるかも」

「あの異形のISと戦っていた時の佳織の剣捌きも見事だったしな。西洋の剣術にはあまり詳しくは無いが、それでも確実に熟達の領域に達していると感じた」

「あはは…無我夢中だっただけだよ」

 

 その辺に関するご感想も是非ともトレーズ閣下に言ってくださいな。

 私がしたことなんて、最後の最後にボーデヴィッヒさんの身体をハイドラの中から引きずり出したことだけだし。

 

(そういや…あの時、ボーデヴィッヒさんに触れた瞬間、変な夢を見たような気がする…。まるでニュータイプ同士の感応現象みたいな…そんな感じ。あれって結局は何だったのかな…?)

 

 うーん…分からん!

 疲れていなければじっくりと考えている所なんだけど、今はムリ!

 

「お腹へったー…甘いもの食べたーい…おーりーむーらーくーん…」

「はいはい。今日は仲森さんのお手柄だったしな。なんでも持って来てやるよ。何がいい?」

「私は和菓子系を所望しますでゴザル。ちゃんとお茶もセットでよろ」

「了解だ。すぐに持ってくるよ」

 

 やったー。

 今日は織斑君を好きなだけこき使ってやろー。

 歩く気力も無いから、後で部屋までおんぶして貰おう。

 

「佳織は甘い物が好きなの?」

「そりゃ、私も女の子ですし? かといって甘すぎるのは却下だけど。甘みと僅かな苦みが共存してるようなお菓子が一番好き。例えば抹茶アイスとか。宇治金時とか超大好き」

「良く分かるぞ佳織。矢張り、和菓子こそが日本文化の産み出した至高の一品だな」

「おー…篠ノ之さんとは趣味が合うみたいだねー」

「ふふん…!」

 

 共通の話題があるのは良いことだよね。

 篠ノ之さんがドヤ顔で皆の顔を見渡してるのは謎だけど。

 

「けど、今回の事で仲森さんがどこかの国にスカウトされる可能性が出てきたね」

「「そーなのー?」」

 

 あ。布仏さんと普通にハモった。

 

「あんな形で中止になったとはいえ、今回のトーナメントを見に色んな国の政府関係者や研究機関の人間達が来ていたから。最初の試合でも圧倒的な実力を示していた上に、その直後に発生したISの暴走事件すらも速やかに鎮圧してみせた。僕が政府の人間なら、こんな逸材は絶対に見逃さないよ」

 

 そういや、前とは違って今回のイベントじゃ外からも色んな人達が見に来てたんだっけ。

 顔バレを防ぐ為に仮面を被って偽名を名乗ってたんだけど、大暴れし過ぎて効果が薄かったかな?

 実際、食堂の喧騒に耳を傾けると……。

 

「さっきのさ…めっちゃ凄かったよねー!」

「うんうん! あの白いIS…ゼクスって子…だったっけ? もう何から何までカッコ良すぎ! 私、一発でファンになっちゃったよ!」

「私も! でも…何組の子なんだろ? あんな名前の子…今まで一度も見た事が無いんだけど…」

「「「うーん…?」」」

 

 あぁ…ゼクス・マーキスの名前だけが勝手に独り歩きしてる…。

 いや、実際に途中まで戦っていたのはゼクスなんだから間違っちゃいないんだけどね。

 

「もしかしたら、佳織さんも私達と同じように代表候補生になるかもしれませんわね」

「仮に候補生になっても、佳織の実力なら即座に代表にまで上り詰めそうだけど」

「現時点で既に代表クラス…いや、それ以上の実力を持っているからね」

 

 わー…皆が私の事をめっちゃ持ち上げてるー。

 色々とツッコみたい事はあるけど、今は疲れててむぅりぃー。

 

「なんか盛り上がってるな。どうしたんだ?」

「佳織があたし達と同じ候補生になるかもって話」

 

 織斑君のご帰還だー。

 手に持ってるのは…アツアツの緑茶とみたらし団子のセットでおまんがなー!

 ちみ…もしや超能力者か?

 あろうことか、私が今最も食べたいと思っていた物を持ってくるとは…。

 

「ほら。これで良かったか?」

「100点。そんな織斑君には座布団を差し上げよう…後で」

「おう…流石は元落語部…」

 

 ちゃーんと部屋には家から密かに持ってきた愛用の座布団があるのだよ。

 かなり使い古してるけど、あれが無いとどうも落ち着かない。

 

「布仏さーん…食べさせてー…」

「いいよー。あーん」

「あーん」

 

 あー…IS学園のみたらし団子…めっちゃ美味しー…。

 ここですかさず、熱ーいお茶をズズズ―と流し込む。

 

「はぁ~…♡ 日本に生まれてよかったぁ~…♡」

「そこまで言うか…」

 

 言っちゃいます。日本大好き。日本最高。

 もう私、日本無じゃ生きていけません。

 皆さんもいかがですか? 一家に一つ日本。

 

「そういや、トーナメントって中止になったけど、これからどうなっちまうんだ? あれって確か、今後の指針の為にもやっておかないといけないんだよな?」

「それなら、さっき他の方々が話しているのを聞きましたわ」

「全てのトーナメントの一回戦だけはちゃんとするつもりなんだそうだ」

「と言っても、流石にすぐって訳じゃないみたいだけど」

「日程や時刻に関しては、後で報告するらしいよ」

 

 成る程ねー。

 そりゃ、ここまで大々的に準備をしておいて『全部中止にして終わりでーす』とはならないか。

 これがトーナメントの最終戦とかならまだ話が変わってたかもだけど、一回戦の第一試合で起きちゃってるからね。

 序盤も序盤、超序盤。

 流石にそれじゃ『中止』とはいかないか。

 

「って事は、俺達も一回は試合をしなくちゃいけないって事か」

「そうなるわね。その時までにはISも修復できてると良いんだけど」

「もしも間に合った場合は、私と鈴さんも参戦いたしますわ」

「誰と当たるかはまだ分からないけどね」

 

 盛り上がりには欠けちゃうけど、そんなのは本人達次第でどうとでもなる…か。

 これが若さって奴なのね…。

 

「そーなると、私やかおりんは何にもしなくてもいいのかなー?」

「多分ね。二人はもう十分に試合をしたし。データも取れてるでしょ」

「佳織さんのデータは凄いことになってそうですけど…」

 

 言わないで…私もそう思ってるから…。

 一応、気を失ってはいなかったからずっと見てはいたけど、どれだけ安全だと分っていても普通に怖かったわ。

 だって、冗談抜きでとんでもない速度を出してるんだよ?

 ぶっちゃけ、世界一怖いジェットコースターとか目じゃないわ。

 今の私なら、どんな絶叫マシンに乗っても平気な自信がある。

 その自信がトールギスによって鍛えられてるのが皮肉だけど…。

 

「あら。こんな所にいたのね皆」

「ふぇ…? 更識先輩…?」

 

 これまたどうしてこんな所に?

 生徒会長として忙しい筈だけど…。

 あ、もしかして私達を呼びに来た感じ?

 忘れかけてたけど、私と布仏さんも立派な生徒会メンバーだしね。

 

「まずはお疲れ様、佳織ちゃん。また貴女に助けられる形になっちゃったわね」

「いえいえー…お気になさらずー。流れでやっちゃったって感じですからー」

「どれでも、佳織ちゃんのお手柄であることには違いないわ。生徒を代表してお礼を言わせて。本当にありがとう」

「どういたましてー」

 

 普段は飄々としている癖に、こんな時だけ真剣な顔でお礼とか言われると…その…照れちゃうじゃないですのよ…。

 

「にしても佳織ちゃん…蕩けてるわねー。相当に疲れてるのかしら?」

「疲れてまーす…」

 

 触れた相手を爆弾に変える、どこぞのサイコパスな猟奇的連続殺人鬼じゃないけど、今日だけは本気の本気でゆっくりと熟睡できる自信があります。

 きっと、一度でも寝たら明日の朝までぐっすりすりすり出来るでしょう。

 

「それだったら、明日とかにした方が良いかしら…?」

「何かあったんですか?」

「えぇ…実はね……」

 

 な…なんか急に場の空気が張りつめた?

 頼むから勘弁しておくれよー。

 

「ついさっき…フランスのデュノア社に派遣していた更識家のエージェントから連絡が来たの」

「「「「「「「えっ!?」」」」」」」

 

 ちょ…それマジ? よりにもよってこのタイミングで?

 なにそれ…偶然にしても笑えない…。

 

「いつでも向こうと通信できるようにはしてあるんだけど…どうする? 無理そうなら明日にして貰う事も可能だけど…」

「…行きます。こーゆーのは後回しにしたら行けないと思うし。それに…」

 

 チラッとデュノア君…じゃなくて、デュノアさんの方を見る。

 彼女はいきなりの事で驚きと緊張が混ざり合ったような顔になっていた。

 

「善は急げって言いますし」

 

 残っていたみたらし団子を全部食べてから、お茶を一気に飲み干す。

 本当はもっと味わって食べたかったけど、それはまたの機会にするとしよう。

 

「…分かったわ。他の皆はどうする?」

 

 試しに先輩が尋ねると、全員が揃って『行く』と答えた。

 こんな時の連帯感は本当に凄い。

 

「それじゃあ、今から生徒会室に行くわよ。そこで通信することになってるから」

 

 一難去ってまた一難。

 デュノアさんに関する問題に決着をつける時がやって来たのだった。

 

 

 

 

 

 




次回はシャルロットに関する話の決着。

その次は勿論、もう一人の話に…?
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