私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
少しだけ鬱な描写があるかもですがご容赦を。
いきなり生徒会室に現れた織斑先生に連れられて向かったのは今まで一度も入った事が無いエリアだった。
なんだか薄暗く、見るからに『関係者以外立ち入り禁止』的な雰囲気が漂っている。
「えっと…ここは?」
「通信室だ。普段は滅多な事が無い限りは私達も用事は無いし、基本的に生徒は立ち入り禁止となっている場所だ」
「そんな場所に私を連れてきても良かったんですか?」
「今回は特例だ。事情が事情だからな」
「はぁ……」
ボーデヴィッヒさんに関することって言ってたけど、私を禁止エリアに連れてくるほどの事ってマジで何なの?
予想が出来るような…出来ないような?
少なくとも、良い予感は全くしない。
「中には既にもうボーデヴィッヒが入っている」
「彼女…動いても大丈夫なんですか?」
「激しい運動さえしなければ問題は無い。あいつも候補生として体は鍛えているからな」
そうでした。
普段のあのロリボディからは想像もつかないけど、彼女だって立派な代表候補生なんでした。
「…入るぞ」
織斑先生が静かに通信室の扉を開けると、中は暗くなっていて、椅子に座ったボーデヴィッヒさんが大きなモニターに映し出されている軍服を着た強面のおじ様と何やら話をしていた。
「しょ…少将閣下……今…なんと…?」
『聞こえなかったのか? ならば、もう一度だけ言ってやろう』
あー…これはアレか。
今までの事に対する処分を言い渡されてる感じ?
これ…私が聞いてもいいのかな?
『転入初日に一般人に暴力を振るい』
織斑君にビンタをしたアレですな。
『クラスの和を乱すような行為を意図して行い』
うん…確かにボーデヴィッヒさんは完全に浮いてましたな。
『周囲に生徒達がいるにも拘らず砲撃をしただけに飽き足らず』
そんな事もあったねー。
あれか。私が布仏さんと一緒に織斑先生を呼びに行った時の事ね。
『挙句の果てには、他国の代表候補生を一方的に襲撃し、操縦者に重傷を与え、機体を大破させるという愚行! 例え、貴様がドイツの候補生であり【シュヴァルツェア・ハーゼ隊】の隊長とは言え絶対に許されぬ行為と知れ! お蔭で政府にはイギリスと中国からの抗議の電話が鳴り止まん日々が続いている!!』
あぁ…私が生まれて初めて『激おこプンプン丸』へとメタモルフォーゼした時の事件ね。
頭に血が上るってあーゆーことを指すんだなーって思い知りました。
『VTシステムの一件にしてもそうだ。確かに一見すると貴様は利用された被害者であるが、それでも対処のしようはあった筈だ。IS操縦者たる者、こまめに機体の整備や調整などは行って然るべきの筈。もしもお前がそれを行っていれば、その時にでも確実にVTシステムの存在を把握出来た。それが出来なかった理由は何故か。簡単だ…お前が自分の実力と機体に慢心し、整備や調整などせずとも勝てると驕った馬鹿な考えのせいだ!!』
「ひぃっ!?」
うわぁ…正論だー…。
もしもこのおじさんがいなかったら、私が言ってただろう台詞だー。
『しかも、お前が隊長になってからこっち、部隊内の空気は非常に険悪であると報告が上がっている』
「そ…それは……」
もうこれ完全に公開処刑ですな。
なんつーか…哀れだ。そうとしか言いようがない。
『よって…ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐。今この瞬間より、貴様からドイツ代表候補生としての地位を剥奪、及び除隊、国外追放処分とする。もう二度とドイツの土を踏む事は許さん。無論、専用機は回収させて貰う。レーゲンに搭載されていたVTシステムの調査をする為にもな。これはもう既に軍上層部で決定されたことであり、何があっても決して覆らない事と思え』
「あ…あぁ……」
マ…マジか…。
除隊処分ぐらいは普通にあるかもとは思っていたけど、まさか国外追放とは…。
けど…なんだろう…この処分…妙な違和感があるような………あ。そゆこと。
「少将。国外追放はやり過ぎなのではないか?」
『やり過ぎ? そいつのやった事は本来ならば銃殺刑に処されても不思議ではないのだぞ? それでもやり過ぎだと抜かすのか? ブリュンヒルデ』
「くっ…!」
ですよねー。
織斑先生には申し訳ないけど、今回だけはこの『少将さん』の意見に全面的に同意だわ。
『話は終わりだ。下がれ』
「は…はい……」
ボーデヴィッヒさんは焦点が合ってない虚ろな目をしながら立ち上がり、フラフラとした足取りで通信室を後にした。
「…織斑先生はボーデヴィッヒさんに付いててあげてください」
「仲森はどうする気だ」
「この人と少しお話がありますから。先生も、その為に私を呼んだんでしょう?」
「あぁ…聡明なお前ならば、もしかして…と思ってな…」
「聡明なんかじゃありませんって。ほら、行ってあげてください」
「…分かった。それと…今回もよくやった。お前には感謝しかないよ…佳織」
「え?」
出ていく瞬間、私の事を名前で呼んだ?
いや…まさかね。
『…ナカモリ…そうか。貴様があの噂で聞いた『
なんつー嫌なルビを振ってくれるんだ、この人は。
あながち間違いじゃないから文句も言えない。
因みに、この『殺人マシーン』ってのは『操縦者を殺す』って意味ね。
「少将さん。私と少しお話をしませんか?」
『なに?』
さーて…話を聞いていてめっちゃ気になった事があったから、思い切り聞き出してやる。
この人の真意をボーデヴィッヒさんや織斑先生にちゃんと伝えないと流石に不憫すぎる。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
さっきまでボーデヴィッヒさんが座っていた椅子に座り、今度は私が少将さんと対面するような形になる。
うーん…めっちゃ緊張するー!…って訳でもないんだよね。
無人機に殺されそうになってオシッコちびりそうになった時に比べたら大抵の事じゃ緊張なんてしないって!
…何気に私ってIS学園に来てから着実にメンタルが鍛えられていってるな…。
『それで? この私に話とは一体何だ?』
「いえね…さっきの話を聞いていて思った事がありまして」
『なんだそれは?』
「…日本語、お上手ですね」
まずはお約束のジャブ。
これは聞いておかないと、気になって話に集中出来ない。
『軍人たる者、他国の言語を学んでおくのは当然の義務だ。特に日本は今や、世界でも有数の国家となって決して無視できない存在だ。実際、外交的な意味でも日本とドイツは無関係ではない。私も過去に何度か日本に来日したことがある』
さ…流石は天下のドイツ軍人…なんつー立派な心掛け。
普通に感心しちゃったわ。
『まさか、聞きたい事とはそんな事ではあるまいな?』
「いえ…今のは単なる冗談ですよ。あなたとは肩肘張らないで話をしたいので」
本当は私の方が肩肘張りたくないだけです。
『ふん…まぁいい。では、本当にお前が聞きたい事とは何だ?』
「さっきのとは別の意味で凄く気になった事がありまして」
『ほぅ?』
さーて…今から少し喧嘩を売るぞー。
怒鳴られても泣かないように、かおりん頑張るぞ!
えい! えい! むん!
「何と言いますか…随分と
『優しい…? この私がか?』
「そうです。さっき言ってましたよね? ボーデヴィッヒさんは銃殺刑にされてもおかしくなかったって。それなのに除隊&国外追放程度で済ませている。それって物凄く優しいじゃないですか」
よし…ここから一気に畳み掛けよう。
相手にペースを握られたら駄目だ。
「候補生の地位剥奪は彼女をこれ以上、ISの深部に関わらせない為。専用機の没収も同じ理由。除隊&国外追放は、立場が弱くなった彼女を軍の玩具にさせない為。もしもあのまま軍にいさせ続けたら、まず間違いなく碌な目に遭わない。しかも、少将さんはさっきの会話の中で一度も彼女に対して『IS学園の強制退学』的な事を言わなかった。それはつまり、軍や候補生としてのしがらみを一切捨てて、遠い日本の地にて一人の少女としての人生を歩んで欲しいと思ったから…じゃないですか?」
『…参考として聞いておこう。どうして、そのような考えに至った? 貴様の言い分では、まるでラウラ・ボーデヴィッヒが特別なように聞こえるぞ?』
「いや…実際に特別でしょ」
『なに?』
今から話す事は、恐らくは原作知識なんて無くても至る考えだ。
私もボーデヴィッヒさんに付いて改めて考えた時、明らかに不審な点が多々見受けられた。
「若干『15歳』の『少女』が『軍隊』の…しかも条約で禁じられている筈の軍用ISを所持している『特殊部隊』の『隊長』をしていて、その階級があろうことか『少佐』…これだけ怪しむべき材料が揃っているのに『何も疑うな』と言う方が無理があるでしょ」
『…………』
急に黙り込んだな。
こーゆー時、沈黙は肯定とイコールなんだよ。
「それに、ボーデヴィッヒさんの体付きが更に彼女の存在の怪しさを助長させている」
『アイツの身体が…だと?』
「そうです。ボーデヴィッヒさんの身体は同年代の少女達と比べても余りにも幼い。まるで彼女が『
『…何が言いたい。回りくどい言い方は止めて、ハッキリと言ったらどうだ』
「では遠慮なく」
言ったな? 言っちゃったな?
はい。かおりん知~らない。
「…ボーデヴィッヒさんは違法な研究で生み出された『人工生命体』なんじゃないんですか? 別の言い方をすれば『鉄の子宮で生まれた子供』…ですかね。国や地域や場所などによっては『
『…お前はIS操縦者よりも探偵の方が向いているようだな』
「お生憎様。こう見えても私は探偵じゃなくて
『それこそ笑えん冗談だ』
こっちは本気なんだけどなー。
「そもそもの話、こんなにも怪しい情報と言う名の手札が勢揃いしていたら、それこそ少し勘のいい小学生ですら分かりますよ。絶対に裏に何かあるって。まるで情報のフルコース…もしくは満漢全席。ロイヤルストレートフラッシュだ」
機密だろうから絶対に言えないだろうけど、私は最初からこの人の口から真実を聞くつもりはない。
会話の中で私なりの確証さえ得られれば、それだけでこっちの勝利なのだ。
『…もし仮にお前の言っている事が真実だとして、貴様はどうする気だ? それを世間に暴露でもしてドイツの立場を地に落とすつもりか? もしくは、それをネタにして我々を脅迫でもするか?』
「まさか。私にそんな度胸はありませんし、興味も無いですよ。ただ普通に気になった…それだけですって」
『それを信用するとでも?』
「はい。信じてくれるって思ってます」
ここで再びの沈黙。
これが一番、精神的にキツいんだよなぁ…。
『…まぁいい。どちらにしろ、お前の推測したことが真実であるという証拠はどこにも無いのだからな』
「御尤も」
『それに我々も、迂闊な発言で『
「酷いなぁ…私はどこにでもいるごく普通の女の子なのに…」
『今までで最も信用ならん言葉だ』
「流石に傷つくんですけど」
どうして皆して私を超人扱いするの?
ISに関してはゼクスやトレーズ閣下が凄いだけで、私自身は何にもしてないし、考察パートでも私は単純に自分の考えを言ってるだけ。
どこにも凄い要素なんて無いと思うんだけど?
『…一つだけ聞かせろ。貴様は一体何者だ』
「IS学園一年一組の生徒にしてトールギスの操縦者。それ以上でもそれ以下でもないですよ」
『…そうか』
もうそろそろいいかな。
この一連の会話で、少将さんの真意は分かった気がするから。
もうめっちゃボーデヴィッヒさんの将来を心配してるじゃん。
頑張ってポーカーフェイスを作ってるけど全部丸分りだし。
『最後に一つだけ聞かせろ。学園側の報告によると、お前はボーデヴィッヒ元少佐に友人達を傷つけられれ、その後に圧倒的な力で奴を倒したと聞く。どうしてそんな相手を暴走したVTシステムから救い出そうと思った?』
「誰かを助けるのに理由がいるんですか? 軍人として、それこそ愚問では?」
『…そうだな。お前の言う通りだ』
あら。ここで肯定の姿勢。
「では、ここらで失礼します。疲労がピークでフラフラなんですよね。本気で休みたい。そちらもお忙しいでしょうし」
さーてと…通信機のスイッチはこれかな~?
ポチッとな。
『…ボーデヴィッヒ少佐の事を…頼む』
「へ?」
ちょ…なんで通信を切る瞬間にいきなりデレるんだよっ!?
いい歳したオッサンのツンデレなんて全く需要ないんですけどッ!?
「はぁ…最後の最後にやられたなぁ…。私が絶対に断れないタイミングを見計らってさ…本当に大人って卑怯だ…」
そんな事を言われたら…嫌ですなんて言えないじゃない…。
後でちゃんと、ここでの話をボーデヴィッヒさんと織斑先生に伝えないとなぁ~…。
これで完全にラウラのヒロインフラグが立ちました。
後は早朝にラウラが佳織のベットに忍び込むだけだ!
その前にお風呂イベントがあるけどね!