私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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原作第一期ヒロインがようやく揃いました。

ここから佳織の周囲は今まで以上に賑やかになっていくことでしょう。

それと、まだまだ先にはなるかもなのですが、夏休み編にて佳織の問題にも踏み込もうかと思っています。

あくまで予定ですけどね。







もうそろそろ本気で休みたい

 ドイツ軍のお偉いさんと一対一で話をしたというのに、そこまで緊張しなかった上に普通の会話が出来てしまった私は一体何なんだろう。

 この短い間に数多くの修羅場を潜り抜けすぎたせいで、精神的マッチョになってしまったのかもしれない。

 

「ふぅ…一先ずは報告しとかないとだよねぇ…」

 

 通信室を出てから首をコキコキと鳴らしつつ廊下を歩いていると、遠くの方で織斑先生とボーデヴィッヒさんの二人が立っていた。

 案の定と言うか、ボーデヴィッヒさんは超絶落ち込んでいて、織斑先生はそんな彼女になんて声を掛ければいいのか困っている様子。

 うん。その気持ちはよ~く分かりますとも。

 

「織斑先生。ボーデヴィッヒさん」

「お…おぉ…仲森か。終わったのか?」

「はい。お話は終わりました」

 

 そういや、さっき去り際に私の事をしれっと名前で呼んでいたよね…。

 実はあれが猛烈に気になっていたりして。

 いや…恥ずかしいから聞かないけどね。

 

「えっと…大丈夫?」

「あぁ……」

 

 全身から負のオーラが滲み出てますがな。

 こりゃ、かなりの重傷ですな。

 

「…ボーデヴィッヒさん。そこまで気落ちをする必要は無いよ」

「…どういう意味だ?」

「さっき、アナタの上官…元上官か。あの人と話して分かった事がある。私の推測にしかすぎないけど、ほぼ間違いないと思う」

 

 そこから私は、あの少将さんと話して感じた事、思った事を話した。

 彼が本当はボーデヴィッヒさんの事を気遣っていた事。

 それ故に『追放&除隊処分』と言う形で合法的にドイツと軍隊と言う組織から離れさせ、彼女の命と尊厳を守った事。

 その為に、敢えて自分が憎まれ役を演じた事を。

 

「あの男がそんな事を…?」

「はい。流石に馬鹿正直に『そうだ』とは言いませんでしたけど、あの反応から察するに、まず間違いは無いかと思います」

「少将閣下が…私を…」

 

 まさか、処分を利用して自分が守られたとは想像もしていなかったのか、ボーデヴィッヒさんはさっきとは別の意味で呆然としていた。

 

「問答無用で国外追放とか除隊処分とかにしたのは、半ば無理矢理にでも上層部や軍内部を納得させる為。それと同時に、自分自身にヘイトを集中させてボーデヴィッヒさんを『悲劇のヒロイン』に仕立て上げる為でもある。『知らず知らずの内に軍の違法な人体実験に参加させられ、その犠牲になったにも拘らず上官から見捨てられてしまった可哀想な女の子』…これが彼の書いた筋書なんじゃないですかね」

 

 本当に…この世の中には不器用な人間が多すぎる。

 それには勿論、私の事も含まれているけどね。

 

「確かにボーデヴィッヒさんはもう軍人でもなければ候補生でもなくなってしまったけど、まだIS学園の生徒ではある。って事は、少なくとも三年間は時間があるってことにもなる」

「三年間…」

「そ。短いようで意外と長いよ、三年間って時間は。その間に自分の将来に付いてゆっくりと考えればいいんじゃないかな? 困ったことがあれば遠慮なく誰かに聞いたりしてもいいんだし。ね、織斑先生?」

「あ…あぁ! 仲森の言う通りだ! まだまだお前の人生はこれからなんだ! 寧ろ、心機一転するいい機会かもしれんぞ!」

「教官……」

 

 少しだけ目に生気が戻ってきた?

 いつまでも暗い表情にでいられると、こっちも落ち込んじゃうからね。

 

「とにかく、今はゆっくりと休んだ方が良いよ。まだキツいんでしょ?」

「あぁ…そうだな…その言葉に甘えさせて貰うとしよう…。教官…失礼します…」

 

 弱々しくペコリとお辞儀をしてから、ボーデヴィッヒさんは歩いて行こうとする。

 その途中で立ち止まり、急にこっちを振り向いた。

 

「仲森佳織」

「ん? どしたの?」

「…お前には沢山の大きな借りが出来てしまったな。少将閣下の真意を教えてくれたり、命まで救って貰った。私の一生を掛けても返しきれるかどうかは分からないが、それでもこの恩は絶対に返すと約束しよう」

「…別にそこまで気にする事は無いよ。こっちは好きでやっただけなんだからさ」

「フッ…そうか」

 

 今度こそ、ボーデヴィッヒさんは一人静かに去って行った。

 本当は彼女に付いていってやった方が良いんだろうけど、今は一人にしてあげた方が良いような気がした。

 

「実はさっき、一つだけ言わなかった事があるんです」

「なんだ?」

「通信を切る瞬間、あの人…私にこう言ったんです。『ボーデヴィッヒ少佐を頼む』…って」

「今日、出逢ったばかりの軍人にそこまで言わせるとは…」

 

 言われた私自身が一番驚いてますよ。いやマジで。

 

「仲森はあれだな。私などよりもずっと教師に向いている気がするな」

「御冗談を。私の将来の夢はどこまで行っても『落語家』一本ですよ」

「そうか…落語が出来てISにも乗れる教師と言うのもありな気がするがな」

「いや…流石に属性盛り過ぎだから」

 

 落語とISを組み合わせてる時点で胸焼けしてるのに、そこに更に教師なんて属性を加えたら、それこそ私の方がパンクしちゃいますから。

 

「ボーデヴィッヒもそうだが、お前もかなり疲れているだろう? 今日はもう何も無いから、ゆっくりと休んでくれ」

「言われなくてもそうしますよ。ずっと我慢してましたけど、割とマジで限界なんですよね。というわけで、私もここで失礼します」

 

 ペコリとお辞儀をしてから私も帰ることに。

 このまま寮に直行するのもいいけど、その前に食堂にでも寄ってみようかな?

 もしかしたら、生徒会室から皆が戻ってきているかもしれないし。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 食堂に足を運んでみると、やっぱり案の定、皆が何かの会話をして盛り上がっていた。

 けど、生徒達の集団に一人だけ制服じゃない人物が。

 まぁ…普通に山田先生なんだけどね。

 童顔な上に背が小さいから、私服を着てないとマジで見分けがつかない。

 

「なんか賑やかだけど、何かあったの?」

「あ! 佳織!」

「もういいのか?」

「うん。やったのはさっきと同じで通信越しのお話だけだったし」

 

 というか、しれっと更識会長も一緒なのは驚き。

 あのまま生徒会室に戻るかと思ってた。

 

「仲森さん、お疲れ様でした。今日もお手柄でしたね!」

「無我夢中だっただけですって。それよりも、何の話をしてたんですか?」

「えっとですね……」

 

 山田先生の話と言うのは、男子の大浴場使用許可が出たと言うことだった。

 そういや、そんなのもありましたね~。

 今までの出来事に比べたら本当に些細な事だけど。

 

「それで、織斑君達を呼びに来たんですけど…」

「特に疲れてない俺達よりも、一番頑張った仲森さんが先に入った方が良いんじゃないかって言ってたんだよ」

「私が?」

 

 これまた意外な展開ですな。

 確か彼は無類のお風呂好きじゃなかったっけ?

 それなのに私に譲るとは…明日は雨かな?

 

「佳織ちゃんは今日のMVPなんだから、ここは甘えてもいいと思うわよ?」

「更識先輩の言う通りよ佳織。いっつも皆の為に頑張ってるんだから、こんな時ぐらいは贅沢してもバチは当たらないし、誰も文句も言わないわよ」

「そうですわ佳織さん。偶にはご自分を労う事も大切ですわ」

「うむ。休息もまた立派な鍛錬であると言うしな」

 

 なんちゅー怒涛の畳み掛け。

 そこまでして私を風呂に入れたいのか。

 

「そう言えば…私って今までに一度も大浴場を使った事が無いんだよね…」

「「「あ…やっぱり?」」」

「やっぱり?」

 

 篠ノ之さんとオルコットさんと凰さんがシンクロしてる…。

 その『やっぱり』ってどういう意味?

 

(言えるわけないわよね…。佳織と『裸のお付き合い』をしたいが為に…)

(何度となく大浴場に足を運んで佳織さんの姿を捜していただなんて…)

(恥ずかしすぎて、とてもじゃないが口には出せん…)

 

 三者三様で別方向を向いて思い切り誤魔化しとるがな。

 あからさま過ぎて逆にツッコめないわ。

 

「なんつーか…人が多い場所で肌を出すのが恥ずかしいと言うか…」

「同じ女として気持ちは分かるけど、あの大浴場は一度ぐらいは使っておかないと損よ?」

 

 噂ぐらいで聞いたことはあるんだよねー…大浴場の事は。

 なんでも、物凄く広い湯船があるとか、それ以外にも多種多様のお風呂が用意されているとか。

 ぶっちゃけ、女の子として興味が無いと言えば嘘になるのです。

 

「俺達は仲森さん達の後でも全然構わないよ。確かに風呂は好きだけど、恩人を無下にしてまで入りたいとは思わないしな」

「そ…そうだね。僕も一夏と同意見だよ?」

 

 …デュノアさんや。同意見ならどうして冷や汗を掻きながら目線を逸らしているんですか?

 あと、どうして疑問形?

 

「って事は…私が一番風呂になるんだ…。いいねぇ…一番風呂…良い響きの言葉だねェ…」

 

 実家にいる時は一番風呂なんて本当に年に一回あるかどうかって感じだったしね。

 普段はいつも一番最後に入ってたし。

 

「あ…そうだ。どうせなら布仏さんも一緒に入らない?」

「「「「えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!????」」」」

「え? いいの?」

「勿論。だって、今日は布仏さんも試合で頑張ってくれたし、それに…パートナーだしね」

「か…かおりぃ~ん……」

 

 私だけが一番風呂を独占すると言うのはちょっとアレな気がする。

 ここはやっぱり、一緒に試合を頑張った布仏さんも一緒に労われる権利はあるでしょ。

 それはそれとして、どうして篠ノ之さん達は目を見開いてめっちゃ驚いてるの?

 

「かおりん大好き~!!」

「大袈裟だなぁ~」

 

 頬を赤くしながら抱き着いてこられても普通に困るよ?

 今の私にゃ、それを受け止めるギリギリの体力と気力しか残されてないし。

 

「それじゃあ、仲森さん達が最初に入るということでいいですか?」

「そう…ですね。それでお願いします。ちょっと申し訳ないけど」

「気にしなくても大丈夫ですよ。織斑君達も言ってましたけど、仲森さんは凄く頑張ってくれてますから、こんな時ぐらいは我儘を言ってもいいんですよ?」

「山田先生……」

 

 なんか急に山田先生が先生をし始めた。

 実力はともかく、中身も普段からこれなら普通に尊敬されていると思うんだけど。

 因みに、私は山田先生の事もちゃんと尊敬はしてます。

 

「そう言えば、織斑先生がどこにいるか知りませんか?」

「織斑先生なら、通信室近くの廊下にいると思いますけど。さっきまで一緒でしたし」

「そうですか。後で呼びに行かないと…」

 

 どうやら、先生達はこれからの時間こそが本番のようだ。

 やっぱ私達が労ってあげないと。

 

「じゃあ、私は大浴場前にいるので、準備が出来たらそこまで来てください。場所は分かりますよね?」

「一応は」

 

 入った事は無いけど、入り口前は何度も通った事はある。

 どんな場所なんだろーって思った事があるぐらいで。

 

「かおりん! 早く準備をしてお風呂に行こー!」

「うん…そうだね。遠慮なく一番風呂を堪能しよっか」

 

 そんなわけで、原作とは違って私と布仏さんの二人でお風呂に入ることに。

 うわ…どうしよ。地味にワクワクしてる自分がいるし…。

 

 

 

 

 

 

 




次回…遂に待望(?)の入浴シーン!

女の子だらけでキャッキャウフフする可能性が高いので、男である一夏の出番は皆無な可能性が高いです。



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