私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
そして、意外なキャラが乱入してくるかも…?
「「わぁ~…」」
準備を終えた私と布仏さんは、一緒に半ば貸切状態となった大浴場へとやって来た。
勿論、長い髪は後頭部で纏めて、体にはちゃんとバスタオルを巻いている。
(…やっぱり布仏さん…すんごい胸だな…)
普段の彼女からは想像出来ないけど、本当にスタイル抜群なんだよね…。
そう言えば、篠ノ之さんやオルコットさん、楯無先輩もスタイルが良いし…織斑先生や山田先生に至っては論外だしな…。
ってことはあれか。私に近いのは凰さんとボーデヴィッヒさんなのか。
よし。いつの日か三人で一緒に『貧乳同盟』を結成しよう。
「そういえば、布仏さんって大浴場初めてなの?」
「うん。来る来ないは自由だったしね~。大きなお風呂は大好きだし、皆と一緒に入るのも好きだけど、だからと言って人が多すぎるのはね~」
「あー…なんとなくその心理は分かるかもしれない」
友達数人とワイワイとしながらお風呂に入るのは確かに楽しい。
それは凄く理解出来るし共感も出来る。
けど、それが途端に多くなると今度は逆に落ち着かなくなってしまう。
それどころか、寧ろ『早く上がりたい』って気持ちにすらなってくる。
これじゃあお風呂なんて全く堪能できない。
「凄い広いねー…なんじゃこりゃ。どこかの高級ホテルかっつーの」
冗談抜きでこれは文字通りの『大浴場』だわ。
一度に相当な人数が入浴出来るように設計してありますな。
「かおりん。この大きいのだけじゃないみたいだよ?」
「ほえ?」
布仏さんが指さす場所には、大きさこそ中央にある湯船よりは小さいが、その代わりに多種多様の種類のお風呂が設置されていた。
え? ここって健康ランドとかでしたっけ?
「ね! まずはあっちのに入ってみようよ!」
「んー…そだね。滅多に出来ない体験だし、エンジョイしないと損でしょ」
「やったー!」
つーわけで、私と布仏さんは一緒に色んなお風呂に入ってみる事にした。
まずは聞いたことはあるけど全貌は全く知らない『電気風呂』から。
「ふわぁぁぁぁぁぁぁ…! し~び~れ~る~…けど…気持ちが良いかも…?」
「びりびりするね~」
電圧自体は低く設定されているみたいで、そこまで痛くは感じない。
本当に肌が微妙にピリピリするぐらいの刺激がある感じ。
慣れてくれば癖になるかもしれない。
電気風呂の次は、これまた庶民には全く馴染みのないジェットバス。
「おぉ~…。泡が破裂して肌がプルプルするでござるよぉ~」
「ほんとだ~。体全体がプルプルするよ~」
これはこれでまた電気風呂とは違った気持ち良さ。
心なしか肌の艶が良くなったような気もする。
つーか、布仏さんの身体で全身がプルプルするのは流石に刺激が強すぎ。
織斑君みたいなむっつりスケベが見たら、絶対に鼻血ブー案件だね。
三番目に見つけたのは、まさかの『薔薇風呂』。
なんでこんなのまであるねん…。
「キレイっちゃーキレイだけど…なんか落ち着かない。っていうか、想像以上に薔薇の匂いがキツイ」
「薔薇の花びらでいっぱいだねー。お湯もちょっぴりピンク色だー」
こーゆーのは私みたいなチンチクリンじゃなくて、オルコットさんみたいな美人さんが入るべきお風呂でしょ。
うん。これにはもう二度と入らないでおこう。
場違い感が半端じゃないから。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「「はぅ~…♡」」
あれからも色々な種類のお風呂を堪能し、最後に一番大きな湯船に入ることに。
やっぱこれが一番だわ~…スタンダード最高。シンプル・イズ・ベスト。
「王道こそが最強…はっきり分かるんだね…」
「結局、最後にはこれに行きつくよね~」
「どーかん」
色々と細工を施しても、やっぱり何もしないのがいい。
これはきっとお風呂だけに限らないんだろうなぁ~…。
「…かおりん」
「ん~?」
「今日はかおりん、大活躍だったね」
「大活躍かどうかは分からないけど、今日は珍しく自分でも本当に良く頑張ったって自覚はあるかなー」
トーナメントでボーデヴィッヒさんと試合をして、そこから流れるようにしてVTシステムバージョンのハイドラガンダムと戦って、それが終わってからもデュノアさんのお父さんと話をしたり、ドイツ軍のお偉いさんと一対一で対面したり…冗談抜きで滅茶苦茶長い一日だった…。
お願いだから、今日はもうこれ以上のトラブルだけは勘弁してよね…。
後はもう寝るだけにしたいんだからさ。
「私…また、なんにも出来なかったね…」
「…そうでもないよ」
「え?」
なんか落ち込んでるっぽいので、ここは友人として励ましの言葉を送るのが当然だろう。
私も…布仏さんの暗い顔は見たくは無いから。
「試合の時も私の事を何度もフォローしてくれたし、ボーデヴィッヒさんのISが暴走した時も、えっと…名前は忘れたけど、もう一人の子をすぐにステージから退避させてくれたじゃない。布仏さんの素早い行動のお蔭で、私も全力で立ち向かえたんだし。それに…」
「それに?」
「…誰かが自分を応援してくれている。無事を祈ってくれている。後ろで待ってくれている。帰りを待ってくれている。それだけで私はどんな怖いことにも立ち向かえるんだよ」
「かおりん……」
う…うわー! うわー!
私ってば一体いつから、こんなクサい台詞を言えるようになっちゃんだー!?
未来の落語家たる者、ここでひとつ面白い事を言っておかなければ…。
「ありがとう……本音ちゃん」
ちょ…私の口ー! ギャグを言うんじゃなかったのかーっ!?
そうじゃないだろー!! ちーがーうーだーろー!
「かおりん…今…私の事を名前で…?」
「え? そ…そうだっけ?」
「う…うん! 呼んでくれたよ!」
マジか…全く言った自覚が無かった。
完全に自然と口から出た…。
「これからも名前で呼んでくれる…?」
「えっと…そっちがいいのなら…」
名字で呼んでたのだって、今までの人生の中でクラスメイトとかをしたの名前で呼んだ事が無かっただけだし。
仮にあったとしても、その時は同じ苗字の人がいたりした場合だけだし。
でも…虚さんがいるんだった。
今思えば、お姉さんである虚先輩だけ名前で呼んで、妹である本音ちゃんだけを名字で呼んでたってのは中々に失礼だったかもしれない…。
これは冗談抜きで反省しなくちゃいけないかもしれない。
え? 織斑君の場合はどうなんだって?
あの場合はちゃんと『先生』呼びで判別できるでしょ。
だからノーカン。OK?
「えへへ……かおりんに名前で呼んでもらっちゃった…♡」
可愛い。
それ以外の言葉が見つからない。
しかも、満面の笑みを浮かべながら私の隣まで移動してきて、肩に頭を乗せてるし。
やヴぁい…さっきからずっとドキがムネムネしてる…。
「ならば、私の事も名前で呼んでくれないか?」
「ぴょっ!?」
「ふぇ?」
いきなり大浴場の出入り口が開く音と一緒に、物凄く聞き覚えのある声が聞こえてきた。
も…もしかして…?
「ボ…ボーデヴィッヒさん…なんで…? 部屋に戻ったんじゃ…」
そこに立っていたのは、湯気に隠れて良くは見えないけど、間違いなく全裸の状態で、しかも眼帯を外した珍しい姿で仁王立ちをしていた。
「確かに、ついさっきまで部屋いた。だが、少し喉が乾いてしまってな。廊下にある自販機で何かを買おうと部屋を出て歩いていたら、大浴場へと向かうお前達を見つけてな」
「それで後を着けた…ってこと?」
「正確には、部屋に戻って入浴の準備をしてから…だがな」
さ…流石は元軍人…尾行の技術もあるってことですか。
全く気が付かなかった…。
「ふむ…話には聞いていたが、かなり広いな。これは驚きだ。流石はIS学園と言うべきか…」
「感心する気持ちは分かるけど、いつまでもそんな所にいたら風邪を引いちゃうよ。早く湯に入った方が良いよ」
「それもそうだな。では、失礼する」
ボーデヴィッヒさんはそのまま湯船に入り、何故か私の真横にやって来た。
「えっと…どうして私の横に? こんなに広いんだから、好きな場所に行っていいんだよ?」
「ここがいい」
「え?」
「私がお前の横が良いんだ。お前は私が隣にいるのは嫌か…?」
「べ…別にそんな事は無いけど…」
捨てられた小猫みたいな顔でこっちを見るのは反則だよ~…。
何にも言えなくなっちゃうじゃないのよぉ~…。
「ボーデヴィッヒさんって、眼帯を取るとそんな顔をしてるんだね」
「変…だろうか…」
「ううん。そんな事は無いよ? オッドアイって普通に可愛いと思うし」
「か…可愛い…か……」
ありゃりゃ。顔を真っ赤にして口元をブクブクさせながらお湯に入れちゃった。
ま、私は彼女の目の色が片方だけ違う理由を知ってるから、敢えてツッコまないけどね。
「かおりんって…もしかして『たらし』?」
「なんでそうなるの?」
「だって…リンリンにセッシーでしょ? しののんにかいちょー…デュッチーにラウラウまで…」
「私は普通に仲良くしてるだけなんだけどなぁ…」
そもそも、私みたいな凡人が同性にモテるとか有り得ないし。
IS学園ではたまたま、仲のいい友人が沢山出来たってだけの話でしょ?
「仲森…いや、佳織はモテモテなのだな。流石だ」
「どこでそんな言葉を覚えたの?」
「副官…元副官に教えて貰った。実は、ついさっきまでその元副官とも話をしていたんだ。今までの詫びと、今日起きた事の報告を兼ねてな…」
申し訳なさそうにしながらも、その顔はどこかスッキリしたようにも見える。
少しだけ目が赤くなっていることから、きっと部屋で一人泣きまくったに違いない。
だからこそ喉が渇いてしまったんだろうし。
「その元副官は日本の文化にも詳しくてな。日本では『裸の付き合い』というものがあるのだろう?」
「あ…ありはするけど……」
それは女の子同士でするものなのかな…?
少なくとも私は聞いたことない。
「だから、最初の第一歩として、まずは佳織の背中を流そうと思ったんだ」
「その気持ちは嬉しいし、立派だとは思うけどね…」
なんだろう…何かが致命的に間違っているような気がする…。
これから先も日本で暮らす事になっている事が確定している以上、ここは私や篠ノ之さんのような日本人が色々と教えないといけないのでは…?
「布仏も済まなかった…。試合中、私はお前にも敵意を向けてしまっていた…」
「別に私は気にしてないよ~」
「そうか…お前も佳織と同じように強いのだな…」
そうかもね。
誰かを許すってのはそう簡単にできる事じゃない。
本音ちゃんはきっと『心』が強いんだと思う。
そういうのは普通に羨ましい。
「後で凰とオルコットにも謝らないとな…」
「そうだね。ちゃんと誠心誠意謝れば、きっと許してくれるよ。二人とも、そんなに心が狭い人達じゃないから」
「お前が言うのなら…そうなんだろうな…」
昨日までの孤独なクールビューティーはどこへやら。
完全に自信喪失&意気消沈してる。
これは相当に重傷だな…無理も無いけどさ。
心のケア…ちゃんとしてあげないと。
「ところで本音ちゃん?」
「なーにー?」
「さっきから、どうして私の首元ばかりを凝視してるの?」
「な…なんとなくだよー」
「そう…」
私の首なんか見ても何にも面白くなんて無いと思うけど。
(普段は後ろ髪に隠れているかおりんのうなじ…大人の色気たっぷりでセクシーだよぉ~…♡ 本当にドキドキする…)
ボーデヴィッヒさんが謝る時、私も一緒にいてあげた方が良いかな…?
謝るのはボーデヴィッヒさん本人がした方が良いし、その方が本人の為にもなるとは思うけど、だからと言ってそのまま一人ぼっちの状態にしたら謝る事すら出来ないかもしれない。
黙って傍にいるだけでも精神的にはかなり違うだろう。
それにしても…結局、原作ヒロイン全員と友達になってしまった。
最初、絶対不干渉を貫こうとした私はどこに消えた?
…思ってた以上に良い子達で、日常が楽しくなったから良いけどさ…。
はぁ…それにしても気持ちが良いなぁ~…。
油断してたら、このまま寝てしまいそうだ…。
そんな事をしたら風邪を引くから我慢するけどね。
お風呂上りにフカフカのベッドで寝るのが最高に気持ちが良いんだから。
それだけは絶対に譲れないよ。
(一件落着…かな?)
あくまで『一先ずは』…だけど。
ここからが本当に大変な事が起きまくる…と思う。
特にもうすぐある『臨海学校』は。
例の『機械天使』との戦いで、私とトールギスはどうなってしまうんだろう…。
ラウラ、完全にヒロイン入り。
そして、本音との仲も進展。
ヒロインレースに大きくリードしましたね。