私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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来週から、また一段と寒くなるようですね。

なんだか泣きたくなります。









見るだけでどうにかなれば誰も苦労なんてしない

 生徒指導室にて織斑先生から私に専用機が渡される事を教えて貰い、そのついでに何故か『護る』宣言をされた私。

 途中、なんか様子がおかしかったような気がするけど、一体どうしたのかな?

 

「…ま、どうでもいいんだけどね」

 

 私の頭で考えたって分かる訳が無いんだよ。

 バカの考え休むに似たり…ってね。

 

 生徒指導室を出た後、私は当初の予定通りに図書室までやって来ていた。

 割と長い時間に渡って話していたような気がしたけど、意外と時間が経っていなかったみたいで、普通に時間に余裕があった。

 流石に、入学早々に図書室を利用しようとする読書好きな新入生はいないようで、いるのは主に二年生や三年生と言った上級生ばかりだ。

 普通ならば緊張しまくるような場面だが、こんな時は気配を消しながら端の方を歩いていれば意外とバレなかったりする。

 前世&中学時代に私が学んだ数少ない事の一つだ。

 

(ん? あれは……)

 

 IS学園の図書室はかなり広く、奥には本ではなく映像資料なんかを専用のパソコンで見られる場所があった。

 

(…近い将来、不本意であるとはいえ私も専用機持ちの仲間入りをするんだし、少しは勉強しておいた方がいいかもしれない…)

 

 どうやら、使うこと自体は図書委員の人に許可とかを取らなくても大丈夫っぽいので、私は適当に開いている席に座ってからパソコンを起動させ、何か無いかと探っていく。

 

(あ…あった。これは…過去にIS学園であった試合の映像?)

 

 ここの卒業生や今の上級生たちが行った試合が記録されてるのかな?

 じゃあ、早速これでお勉強をしますかね…っと。ポチっとな。

 

(おぉ~…)

 

 備え付けのヘッドホンを耳に付けてから動画を再生する。

 すると、動画開始から数分にして既にハイスピードな試合が繰り広げられた。

 使っているのは両者とも揃って量産機のラファール・リヴァイヴ…だったっけ?

 それなんだけど、まぁなんとも動きが速いこと速いこと。

 目で追うだけでも精一杯だった。

 

(ムリ~! こんなの私には絶対にムゥ~リィ~ッ!)

 

 運動神経皆無で中学時代の体育の成績が1だった私にこんな動きをしろと?

 そんなの、宝くじで一等と前後賞を同時に当たるぐらい難しいからぁ~!

 いや、寧ろ宝くじの方が可能性が高いまである。

 

(はは……オワタ……)

 

 別に舐めてたわけじゃないけどさ……ここまでとはね。

 やっぱ、同じ素人でも織斑一夏が初陣であそこまで活躍出来て、その後もアホみたいに上達していったのは間違いなく御都合主義によって守られているからだ。

 じゃなきゃ説明なんて出来ません。

 

(なんか急に気が重くなった……)

 

 こんな事なら見るんじゃなかった…。

 私っていつもそうだ。やってから後悔してる。

 

(…………帰ろ)

 

 完全に心が折れました。佳織ちゃんのメンタルは豆腐なんかよりも遥かに脆いのです。

 

(織斑先生は『大丈夫』って言ってたけど、やっぱ成長の度合いってのはあるでしょうに……)

 

 私のこの『S』って適性も、所詮は後付けだろうしね。

 こんなのは最初からあってないようなものだ。

 ぶっちゃけ、全くアテにはならない。

 

(部屋に帰ってから寝よう。寝て、嫌な事は忘れよう。現実逃避最高)

 

 普段は優柔不断なのに、こんな時は何故かすぐに行動をする私。

 因みに、図書室を出ようとした時に妙に気になったタイトルの本が有ったので、一冊だけ借りていくことにした。

 寝て起きたら暇潰しに読んでみる事にしよう。

 『LOVE♡マッチョダンディー☆』を。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 あれからあっという間に時間は経って、織斑君とオルコットさんの試合がある日になった。

 その間、当然ではあるが私はこれといった特別な事は全くせずに、いつもの毎日を送っていた。

 え? それでもいいから様子を教えろ?

 別になんてことの無い毎日ですけど?

 

 朝起きる→朝ご飯を食べる→学校に行く→夕飯を食べる→お風呂に入る→寝る。

 

 これだけだよ?

 夕飯の後に勉強タイムが時々入ったりはしてるけど、そこまで大きな変化はない。

 本当に詰まらない庶民の生活ですよ。全く以て面白みなんてありはしない。

 

 なので、見る価値も読む価値も微塵もないので、一気に時間を飛ばしましょう。

 

 はい。キングクリムゾン。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 一週間後の第三アリーナ。

 私は、そこの観客席にてボーっとしながらクラスメイト同士の試合を眺めていた。

 別にこの試合に興味なんてのは無かったが、なんかクラスの皆が揃って行く空気を出していたので、自分だけ行かないとは言えなくなってここにいる訳でして。

 はい…周りの雰囲気に逆らえませんでした。ヘタレですみません。

 

(凄いなー…流石は代表候補生だー。性格は好きになれそうにないけど)

 

 伊達にイギリスの代表候補生はやってないって事なのか。

 非常に正確な射撃で徐々に織斑君を追い詰めていく。

 まぁ…この後の展開なんて全部知ってるんで、なんの面白味も感じないんですけどね。

 

「ねーねー、かおりんー」

「はい?」

 

 いきなり隣の人から話しかけられてビックリした。

 表情には出してないけど。

 誰かと思って振り向くと、そこにはなんだか見覚えのある女の子が。

 

(…誰だったっけ?)

 

 喉まで名前が出かかってるんだけど、あと少しって所で思い出せない。

 けど、ここで『誰ですか?』って聞くのは流石に失礼だろうから、知っているふりをしておこう。

 

「あの…かおりんって私のこと?」

「そーだよー。仲森佳織だから『かおりん』。かわいいでしょ?」

「はぁ……」

 

 私…誰かに自己紹介とかってしたっけ?

 全く記憶が無いんですけど…。

 

「かおりん。この試合さー…おりむーとセッシー、どっちが勝つと思う?」

「えっと……」

 

 なんでそんな事を私に聞くの?

 いや…試合の結末は知ってるんだけどさ。

 

「えっと…『おりむー』ってのが織斑君の事で、『セッシー』がオルコットさんの事を言ってる?」

「うん」

「そっかー…」

 

 独特な言い回しをするんだなぁ…。

 生まれてこのかた一度も『かおりん』なんて呼ばれたこと無いよ。

 それどころか、家族以外の人間に名前で呼ばれたことすら…いや、あるわ。

 

「…オルコットさんじゃないの? 代表候補生だし」

「ふーん……」

 

 ここは適当に答えておこう。

 名前すらも思い出せない相手となんて、話すのはこれっきりだろうしね。

 

「なんか喋ってるね」

「ホントだ」

 

 ISを纏ってる状態で話してるから、思いっ切りこっちにも聞こえてきてる。

 あの二人が何を話していても私には全く関係は無いんだけど。

 

「ねぇ」

「なーにー?」

「もしも宝くじが当たったら何を買う?」

「宝くじかー」

 

 向こうから話しかけてくれたから、こっちからも話しかけないといけないような気がしたので適当な話題を作る事に。

 本当の本当に適当なんですけどね。

 

「やっぱり『貯金をする』って答える人間にだけはなりたくないよね」

「あー…私もそれはイヤかなー。夢が無いよねー」

「だよね。そーゆー人間にだけはなりたくないよね」

 

 おーお。織斑君が頑張って避けてますなー。

 けど、まだちゃんと『準備』が出来てない状態じゃ厳しいっぽいね。

 

「そーゆー人ってさー『もしも生まれ変わったら何になりたい』って質問で絶対に『人間』って答えるタイプだよねー」

「私もそう思う。『将来の夢』に『サラリーマン』か『国家公務員』って答えるタイプでもありそう」

「ダメダメだよねー」

「ダメダメだねー」

 

 あら。なんかミサイルの直撃を受けて落下しちゃった。

 けど、ここから反撃開始なんでしょ?

 ほら、煙の向こうで光ってるし。

 

「…で、何に使う?」

「私はねー…借金を返すかなー」

「そっかー」

 

 なんかまたペチャクチャと喋ってからハイパー御都合主義パワーで復活しよった。

 んで、元気百倍オリムラマンになって光る剣をビヨーンって出した。

 

「カオリンはどーするのー?」

「私はー…そうねー…」

 

 おぉー…なんか凄い勢いでビットをバッタバッタと切り落としていってるー。

 すんごいねー。流石は主人公だー。

 

「二ヶ月ぐらい前から行方不明になってるお母さんを捜すわ」

「なんだか大変だねー」

「大変なのよー」

「頑張ってねー」

「うん。頑張る」

 

 あと少しでビームサーベル擬きの切っ先がオルコットさんに触れる…ところで試合終了のブザーが鳴りましたとさ。

 理由は、織斑君の専用機のエネルギーが無くなったから。

 めっちゃ驚いた顔のまま固まったお二人さんは、何が起きたのか分からない御様子。

 後で織斑先生辺りにでも聞いたらいいんじゃない?

 

「終わっちゃったねー」

「終わったわね」

「おりむー負けちゃったねー」

「みたいね」

「かおりんの予想、大当たりだねー」

「大当たりね。今度、試しに宝くじでも買ってみようかしら」

「未成年でも買えたっけー?」

「どうだったっけ…。確か、スクラッチ系なら大丈夫だったような気がする。知らないけど」

 

 実際に買うかどうかは分からないから、別に調べる必要はないけどね。

 それよりも、試合が終わったのなら、もう帰ってもいい…わよね?

 試しに周りを見てみたら、皆それぞれに帰り始めていた。

 

「…私達も帰ろっか」

「そだねー」

 

 私が席から立ち上がると、それに続くようにして隣の子も立ち上がった。

 出口まで歩いて行こうとすると、なんでか後ろからついて来てたし。

 

(いい暇潰しにはなるかもとは思ったけど、原作の一シーンを別視点で見ているような気分になれただけで、それ以外には取り立てて勉強になりそうなことは無かったわね…)

 

 もしかしたら、二人の試合を見る事で少しは自分を奮い立たせられるかもしれない…なんて淡い期待を抱いたりしてたけど、やっぱり原作キャラは私のような貧弱女とは違うわねー。

 今まで頑張ってきたオルコットさんはともかく、織斑君は才能に恵まれてるわー。

 なんつーか、運命に愛されてるよねー。

 はははー。羨ましいなー(棒読み)

 

「はぁ……」

 

 帰ったら、また心の痛み止め(精神安定剤)を飲もう…。

 飲んでから、夕食の時間まで仮眠でもしよう。

 今日はもう勉強しようって気分じゃなくなったし、夜はのんびりとスマホでも弄りますか…。

 

 あぁーあ。明日からオルコットさんのデレ期が始まるのか―。

 それ自体は別にどうでもいいけど、それに巻き込まれるのは嫌だなー。

 …机に突っ伏して寝てたらなんとかなるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今後もどこかしらで『じょしらくネタ』を放り込んでくるかもしれません。




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