私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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疲れが…疲れが取れない…。

季節の変わり目が原因なのかな…?

これでも一応、ちゃんと休んでいるつもりなんですけど…。







戻ってきた日常

 制服に着替えた後、部屋に戻って同じように制服へと着替えたボーデヴィッヒさんと合流し、その途中で織斑君とも出逢ったので、そのまま一緒に食堂へと向かって一緒に朝食を食べることにした。

 

「今日はなんとなくご飯な気分~」

「かおりんがご飯なら、私もご飯~」

 

 と言う訳で、私と本音ちゃんは一緒に日替わり定食を注文することに。

 今朝のメニューは焼き魚定食(納豆付き)。

 うーん…これぞ日本人の朝ご飯ですな~。

 因みに、篠ノ之さんも朝はご飯派なのか、私達と同じ日替わり定食を注文していた。

 

「おや。織斑君は今日はパンなんだね。てっきり私達と同じご飯系かと思ってた」

「別に俺はそこまで拘りとかって無いんだよな。その日の気分で決めてる感じだ」

「ふーん…じゃあ、一緒に住んでる織斑先生も同じ感じなの?」

「そうだな。千冬姉もそこまで拘ってる感じじゃないな。強いて言えば、俺と同じのを食べるって感じか。理由は『考えるのが面倒くさいから』」

「実に『らしい』理由だねぇ~…」

 

 ぶっちゃけ、織斑先生ならどっちを食べてても違和感は無いよね。

 急いでる時なんからトースト片手に出かけてそう。

 

「ドイツでも、織斑教官はそこまで食に拘っている様子は無かったな。よく酒は飲んでいたが…」

「千冬姉……」

 

 織斑先生は無類の酒好きって聞いてたけど、それは他の国に行っても変わらないのね…。

 というか、寧ろ外国に行った時の方がテンション上がるのかな?

 まだ見ぬお酒に巡り合える…的な?

 

「そう言えば、まだお前にも謝罪をしていなかったな。色々と突っかかってしまって申し訳なかった。この通りだ」

「い…いや。もう気にしてないッつーか……」

 

 だよね。やっぱり戸惑うよね。

 いきなりの態度の急変だし。皆じゃなくても驚くと思う。

 

「ねぇ…佳織」

「ん? どうしたの凰さん…わっ!?」

 

 いきなり凰さんに首根っこを掴まれて少し離れた場所へと強制連行。

 しかも、なんでかボーデヴィッヒさん以外の皆も一緒に来た。

 

「さっきの部屋でもそうだったけど、ラウラの奴…幾らなんでも変わり過ぎじゃない? 一体何があったのよ?」

「大人しくなったのは良いことだが…それでも驚いてしまうな。佳織はアイツがああなった理由を知っているのだろう?」

「うん…まぁ…一応は」

「言える範囲で構いませんので、私達にも教えてくださいませんか?」

「そう…だね。皆も少なからずボーデヴィッヒさんには関わってるし…」

 

 詳しく話していけばまた長くなって時間が無くなっちゃうので…ここは例の必殺奥義かくかくしかじか、かくかくうまうまを発動。

 

「…というわけなの」

「ちょ…それマジ?」

「候補生をクビになった上に軍も辞めさせられて…」

「その上で更に国外追放って…」

「こっちの想像を遥かに超えてたな…そりゃ落ち込みもするか…」

「らうらう…可哀想…」

 

 話せる範囲っていうか、もう殆ど話しちゃった。

 国家機密って訳じゃないし、ここにいるメンバーなら理解してくれるでしょ。

 

「確かに自業自得な部分もあるかもしれんが…それでも少し厳しすぎやしないか…?」

「ところがそうでもないかもしれないんだよ。篠ノ之さん」

「それはどういう意味だ?」

 

 頭の上にクエスチョンマークを浮かべながらこっちを見てくる篠ノ之さん。

 軍の事情とかを知らないと、こんな反応もするよね。

 

「これはあくまで私個人の推察なんだけど…恐らく、今回の処分はボーデヴィッヒさんの身を守るために行われたことだと思うんだよ」

「あいつを守る為に? どういうことだ?」

「成る程…そう言う事ですのね…」

 

 お? ちゃんとオルコットさんは言わなくても分かってくれたみたい。

 

「そこに至るまでの事情に関係なく、不祥事を起こした候補生の末路はどれもこれもが悲惨の一言に尽きますから…。しかも、ラウラさんは現役の軍人。もしも大人しくドイツに戻っていたら、どうなっていたか…」

「つまり、ラウラにとっての最悪の事態を防ぐ為に、敢えて軍と候補生をクビって形にして、国外追放までしてドイツと軍の両方から遠ざけたって事なのね」

「そゆこと。事実、軍のお偉いさんは『学園を退学』的な事は一言も言ってなかったし、それに……」

「それに? どうかしたの、かおりん」

「うん……」

 

 言うべきかどうかは迷ったけど…言わないとダメな気がする。

 今回の事に関して隠し事はしたくないから。

 

「私さ…ボーデヴィッヒさんの上官さんと通信越しにだけど実際に話をしたんだ」

「す…すげーな…モニター越しとはいえ、現役バリバリの軍人と一対一で話すって…」

「ちょっち緊張はしたけどね。で、最後にあの人はこう言い残したの。『ボーデヴィッヒ少佐を頼む』って。そーゆーことを言われちゃったら…ねぇ?」

 

 もう何も言えなくなるっていうか…卑怯だよね。

 只でさえ目の前で精神的に弱っている姿を見てるんだから、支えてあげなくちゃって気になっちゃうじゃない。

 

「そう…ですわね。お気持ちは分かりますわ」

「まぁね…。命を守るためとはいえ、表向きは何もかもを失ってるわけだし…」

「見て見ぬふりは出来ない…か。このご時世だ。私達も決して他人事ではないからな」

「だねー…。らうらうを一人ぼっちには出来ないよね…」

「けど、仲森さんだけが全部する必要はねぇよ。俺達も一緒にラウラの事を支えてやろうぜ」

 

 あはは…お人好しだなー…。

 けど…うん。皆のそーゆーとこ…普通に好きだよ。

 なんて言うのかな…居心地がいいっていうか…暖かいよね。

 

「お前達、いつまでそうやって話している気だ? 時間が無くなってしまうぞ?」

 

 あらら。言われちった。

 

「だって」

「ラウラの言う通りだな。急いで食べないと、また千冬姉の雷が落ちてくる」

「それだけは御免だな。出席簿アタックを喰らうのは一夏だけで十分だ」

「そうですわね。早く食べてしまいましょうか」

「さんせー」

「なんで俺だけ出席簿を喰らうことが前提になってるんだ?」

 

 もう、そういうキャラで定着しちゃってるんだよ…きっと。

 

 そういえば、今朝はまだデュノアさんの姿を見てないな…。

 何処に行ってるんだろ? 織斑君に聞いても『今朝から姿が無かった』って言ってたし…。

 編入し直しの件で色々と忙しいのかな?

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 なんとか朝のHR前に朝ご飯を食べ終え、準備をしてから教室へと向かった。

 成績は微妙でも、無遅刻無欠席ぐらいはしたいからね。

 

「今日の一時間目は何だったかな~っと。おや?」

 

 鞄の中から教科書やノートを出そうとしていると、教室のドアが開いて疲れた顔の山田先生がやって来た。

 なんかすっごい顔になってるんだけど…ホントに大丈夫?

 昨日の事件の事後処理で大変だったのかな?

 

「みなさ~ん…おはよ~ございま~す…」

「「「「明らかに元気が無いッ!?」」」」

 

 いつも元気な山田先生があんな表情を見せるのは本当に珍しい。

 もしや、織斑先生も似たような状態だったり?

 

「今から朝のホームルームを始めるんですけどー…その前に皆さんに報告がありまーす…」

「はい。それってデュノア君がいない事と関係があるんですか?」

 

 おっと。誰かは知らないけどズバっと聞いてきたね。

 図星な質問を言われて山田先生がめっちゃ動揺してまんがな。

 

「そう…ですね。その事で大事なお話があるんです」

 

 さてはて…どんな風な台本を用意したのかな?

 流石に原作みたいにストレートな事は言わないと信じたいけど…。

 

「実はですね、いきなりではあるんですけどデュノア君が急遽、フランスに帰国することになりました」

「「「「「え―――――――――っ!?」」」」」

 

 一番最初ほどではないけど、それでもそれなりの悲鳴が聞こえた。

 私や織斑君を初めとした『事情を知る面々』は全く驚いてないけど。

 

「なんでも、デュノア君がこちらにいられるのは『自分が搭乗した際のISの稼働データを十分なくらいに収集しきるまで』だったみたいで、そのノルマが達成されたことでこちらにいる理由が無くなった…との事です。突然ではありますけど、これに関しては最初から決まっていた事のようで、本人も『別れの言葉も言えずに申し訳ありません。皆さんと過ごした日々はとても楽しかったです』と言っていました」

 

 この後の展開を容易に想像できる身としては…全く感慨深くない。

 ぶっちゃけ『とっとと出てこいやぁ!』ってのが本心です。

 

「その代わりと言っては何ですが、彼と入れ替わる形でデュノア君の双子のお姉さんがフランスから転入生としてやって来ることになりました。彼女もまたフランスの代表候補生らしいです」

 

 成る程…そう来ましたか。

 あくまで『シャルル・デュノア』の存在を無かった事にせず、適当な理由を付けて帰国したことにして、そこに『双子』という設定を盛り込んでからご本人の登場…ってことにしたのか。

 家系図とかを調べられたら一発だけど…このクラスにそこまでして調べようと思う一般生徒は一人もいない。

 それどころか、疑うって事すらも知らない頭がお花畑の連中しかいないから勿論……。

 

「デュノア君って双子だったんだ…」

「玉の輿が~…」

「こんな事になるなら、もっと積極的に動いてればよかった…」

「デュノア君の双子ってぐらいだから、きっと美少女なんだろうなぁー」

 

 …ほらね? だーれも疑ってない。

 色んな意味で将来が心配な人達です。

 オレオレ詐欺とかに引っかかったりしないよね…?

 

「はぁ…また部屋割りとか考え直さないといけないし…その他にもトーナメントの一回戦の準備もやり直ししなくちゃだし……」

 

 …よし。今日の夜、絶対に山田先生に何か差し入れに行こう。

 私ぐらいは労ってあげないと流石に可哀想だ。

 精の付く料理とかが良いよね…となるとニンニク系?

 ニラのたっぷりと入った餃子とかいいかも。

 

「それでは、入って来てくださーい…」

 

 心なしか山田先生の目の下に隈があるような気がする。

 せめて今晩だけはゆっくりと休んでくださいな。

 なんてことを考えている内に、再び教室の扉が開いて、そこから女子の制服を着た正真正銘の『デュノアさん』が入ってきた。

 

「シャルルの代わりに日本に来ました『シャルロット・デュノア』です。弟がお世話になりました。これから、よろしくお願いします!」

 

 弟て…心にもない事を普通に言えたもんだ。

 デュノアさんにはお芝居の才能があるのかもしれない。

 それはそれとして…うん。女子の制服、凄くよく似合ってるじゃない。

 全然違和感なんて無いよ。寧ろ、こっちの方が自然なまである。

 

(あ…一瞬だけこっち見た)

 

 取り敢えず、サムズアップでもしておくか。

 良かったね、デュノアさん。

 

「姉弟揃って候補生とは…やるな。しかし、山田先生は何を疲れているのだ?」

 

 おう…流石はボーデヴィッヒさん…微塵も疑いを知らない純粋無垢な瞳…。

 私は別の意味で君の将来も心配だよ…。

 

 こうして、私達の日々に束の間の日常が帰ってきたのだった。

 

 

 




まだラウラの『ヒロイン度』が出せてませんが、それは追々魅せていこうと思います。

私の中ではもう、ラウラの立ち位置は決まりかけていまして…。

これから、佳織の周囲は今まで以上に賑やかになりますが、同時に一学期一番の難所である『臨海学校』が控えている訳で。

色々とあるけど…まずはその前にお買いものイベントじゃぁ~!!



簪のヒロイン加入フラグを立てるタイミングは?

  • 原作通り二学期
  • 少し早い一学期
  • まさかの夏休み期間中

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