私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
思い切り休めたお蔭で、すっかり体調も良くなりました。
今日からまた頑張っていきますね。
「「ほぇ~…」」
私とボーデヴィッヒさんが一緒に同じ声を上げる。
モノレールを降りて到着した場所は、駅前にあるショッピングモール『レゾナンス』
駅前と言って侮るなかれ。
ここはちょっとしたテーマパークレベルの広さがあった。
「凄いね~…こんな所、来たのは初めてだよ~…」
「私もだ。至る所に店舗が入っているのだな」
ボーデヴィッヒさんの言う通り、所狭しと多種多様なお店が軒を連ねている。
絶対に一日だけじゃ見て回ることは不可能でしょ…。
今日が休日と言うこともあって、物凄く人で賑わっているし。
いやはや…久し振りに本気で驚きましたな…。
「佳織とラウラは、これ系の場所には来た事が無いわけ?」
「近所の商店街とかぐらいしか行ったことが無いかな~…。遊びに行く時も、滅多に遠出とかしないし…」
「私は基本的に基地内から出た事が無かったからな」
ウチの近辺ってかなりの田舎だったしな~。
ある物はあるけど、そこまで多くは無いって感じ?
分かる人には分かると思う。
「凰さんや織斑君は、こういう場所にはよく来てるの?」
「そうだなぁ~…。中学の頃はよく皆で遊びに来てたよな」
「そうね。お互いに特に用事が無い時なんかは、ほぼ確実にここに寄って遊んで帰ってたわよね」
やっぱ、中央区に住んでた子達は違うんだな~…。
オルコットさんは祖国でもショッピングモールには行き慣れているのか、そこまで大きなリアクションはしていなかったし、それはデュノアさんや本音ちゃんも同様。
逆に篠ノ之さんは、私達以上に珍しいのか、大きく口を開けた状態で固まっていた。
「なんだこれは…そこらにあるデパートよりも大きくないか…?」
「っていうか、ここには普通にデパートもあるわよ?」
「「デパートも入ってるのっ!?」」
あ。驚きの余り、篠ノ之さんと同じリアクションをしちゃった。
でも普通に驚くでしょ。駅前にデパートがあるって誰が想像する?
「んじゃ、色々と見て回る前に、まずは当初の目的を果たしましょうか」
「佳織さんの水着選びですわね」
「その通り」
あ…あれ? 私だけじゃなくて、皆の水着選びじゃなかったっけ?
どうして私だけの一極集中状態になってるの?
「確かここって、水着専門店が二階にあった筈よね?」
「そうだった…と思う。あんまし、ソレ系の店には立ち寄らないからな…記憶が曖昧だ」
「まぁ…普通はそうよね。そこまで頻繁に行くような店じゃないし、仕方ないわ。いざとなったら案内板でも見ればいいし、今は兎に角、ここから移動しましょ」
「はーい」
凰さんに先導されるような形で、私達は巨大ショッピングモール『レゾナンス』の中を進んでいくことに。
ちゃんとついていかないと、簡単に逸れて迷子になっちゃいそうで怖いな…。
この歳で迷子センターのお世話にだけはなりたくないよ…?
確実に一生レベルの黒歴史になるから。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
やっぱり都会って凄い。
水着だけの専門店があるなんて思わなかったから。
実家にある水着だって、デパートの水着コーナーで買ったやつだよ?
店の全部が水着だらけって凄くない?
右見ても水着。左見ても水着。どこを見ても水着。
「なんだか目移りしちゃうね…」
「これ全てが水着なのか…?」
「信じられん…水着だけでこれだけの種類が存在しているのか…」
私と同じように、水着専門店なんて始めて来た篠ノ之さんとボーデヴィッヒさんも、目を丸くして店の中を見渡していた。
「一夏とはここで一旦お別れね。ここって男女別で水着が売られてるから」
「そーゆーこった。買い物が終わったら、店の前で待ち合わせしようぜ」
「それが良さそうだね。じゃ、また後で」
「おう。また後でな」
そんな訳で、ここから男女別…と言っても、実際には織斑君だけが離脱した状態でお店の中へと入ることに。
「来る途中で色々と頭の中で考えてはいたけど…実際にこうしてお店まで来ると、どれにしていいか分からなくなってくるね…」
「そう? こう…『ビビッ!』と来たのを選べばいいんじゃない?」
「ビビッって…」
ニュータイプじゃないんだから…私にはそんな感応波なんて出せません。
そもそも、自分に似合う水着なんてものがあるかどうかすら不明だし…。
「う~ん…かおりんには、こう…派手な色の水着よりも大人し目な水着の方が似合いそうな気がするな~」
「本音の言う事も一理あるわね。佳織は普段から大人しい子だから、黄色とかピンクみたいな色は却って似合わないかも」
「佳織さんが今、着ていらっしゃる服のように白か…もしくは水色辺り…?」
「そうだね…佳織には清楚な色が良く似合いそうな気がするよ」
「普段は控えめにしつつも、いざと言う時には自ら剣を持って前に出る…佳織こそ、大和撫子の理想形だな」
なんか皆が勝手な事を言ってる…。
あと、私は別に大和撫子なんかじゃないからね、篠ノ之さん。
「およ? ボーデヴィッヒさん、どうしたの?」
「なぁ…佳織。私にはどんな水着が似合うと思う?」
「んー…そうだなぁ~…」
私服と同じように、水着もまた全く持っていないボーデヴィッヒさん。
最初は普通に『支給されたスクール水着でいいのでは?』なんて言っていた。
いやいや…流石にそれは勿体無いでしょ。
こんなにも綺麗な肌をして、可愛い顔をしてるんだから。
ちゃんと彼女に似合う可愛い水着で着飾ってあげないと世界の損失だ。
(原作通りにフリフリなフリルが付いた可愛い系の水着が一番似合いそうだよね~。ロリとフリルを組み合わせた時の相乗効果は核兵器に匹敵するから)
なんだろうね、あの異常なまでの相性は。
この世に『フリル』って存在を生み出した人はロリコンだって私は未だに信じてるから。
「そうだ…パレオを着させるのはどう? 絶対に佳織に似合うわよ?」
「「「「それだ!」」」」
で、そこはそこで何を意気投合してますかね。
パレオがなんだって?
「はっ!? ちょ…ちょっと待ってくださいまし!」
「どうしたんだセシリア?」
「今…私の脳裏に天啓が降りましたわ…!」
「天啓?」
「えぇ…以前、このような言葉を聞いたのを思い出しましたの…」
またぞろ嫌な予感がしてきたぞ~。
これは、ボーデヴィッヒさんの水着の心配をしている暇じゃないかもしれない。
「『黒は…女性を美しくする』…と」
「発想の転換…その手があったか…!」
「専用機の色と性格ばかりを見て、佳織には清楚系の色が似合うと錯覚していたけど…」
「それも十分にあり…だな…!」
「黒い水着を着たかおりん…絶対にセクシーだよぉ~…♡」
黒い水着ねぇ…選択肢に入れた事すらないや。
挑戦的なのは良いけど、だからと言って似合わな過ぎるのもなぁ~…。
「こ…ここで話していても埒が明かないわ。ここであたし達も一旦解散して、各々で佳織に似合いそうな水着を見繕って来て、そして本人に決めて貰いましょ」
「「「「賛成!」」」」
あー…もうそれでもいいや。
割とマジな話、私ってかなり優柔不断だから、もし仮に一人で決めようとするもんなら確実に決められない。
特に、今みたいに至る所に水着があるような空間だと特に。
「佳織もそれでいいわよね!?」
「え? あ…うん。一人じゃ決められる自信もないし…皆に任せるよ」
「よしきた! 佳織に似合う最高の水着を選んでくるからね!」
いや…私の水着を選んでくれるのは純粋に嬉しんだけどさ…ちゃんと自分用の水着も忘れずに選んでね?
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「ボーデヴィッヒさんには、こーゆー水着が似合いそうな気がする」
「こ…これか? 少し派手なような気がするが…」
皆が私の水着を選んで店の中を奔走している中、私はボーデヴィッヒさんの水着をゆっくりと選んでいた。
優柔不断人間の不思議な習性として、自分の事は中々に決められないのに、なんでか他人の事になるとすぐに決められてしまう。
…それだけ他人に対して冷淡だって証拠なのかな…。
因みに、私がボーデヴィッヒさんに対して選んだのは、原作のビキニタイプとは違う、薄い水色のワンピースタイプの水着。
勿論、足の付け根とかにフリルがちゃーんとついている。
これを見た途端、額の辺りからキュピーンって効果音と共に閃光が走って、地球連邦軍の高官に反省を促したくなりそうになる衝動を押さえ込んで、不思議と『これだ!』って思って手に取っていた。
「ボーデヴィッヒさんみたいに可愛い女の子は、これぐらいの可愛い水着が似合うんだよ」
「か…かわ…!?」
あらら。お顔を真っ赤にしちゃってまぁ。
お可愛いこと。
「しかし…水着とはこんなにも高価な物だったのだな。今まで余り買い物自体をした経験が無いので全く知らなかった」
「買い物云々はともかく、水着の値段に関しては私も同感」
そういや、ボーデヴィッヒさんって軍人時代からお給料は貰っていたけど、その使い方を余り理解していない節があったっけ?
これは色々と教えていくことが多そうで大変ですなー。
にしても、マジで最近の水着って高くね?
ボーデヴィッヒさんの水着を選んだ時も、思わず値段を見て本気で驚いたんだけど。
(まさか、この水着一着で最新ゲームと同じぐらいの値段がするとは…恐るべし…)
トールギスの危険手当が無ければ、まず間違いなくここで詰んでた気がする。
IS学園に通うようになって初めてトールギスに感謝をしたかもしれない。
「けど大丈夫。今の私は限定的ではあるけどお金持ちになってるから。これぐらいは余裕で奢れるよ」
「い…いや、流石に奢って貰う訳には…私にも一応、金はあるぞ!? 財布も持って来ているし…」
「それは、今後の自分の為に取っておいた方が良いよ。何があるか分からないんだし…ね?」
「う…うむ…そうだが…」
やばいなー…ちょっと拗ねてるボーデヴィッヒさんが可愛過ぎるわー…。
今、ちょっとだけ妹を可愛がる更識先輩の気持ちが分かった気がするー…。
(でもー…ボーデヴィッヒさんは同い歳な上にクラスメイトなんだよなー…)
何とも複雑な心境。これで良いのか仲森佳織。
「ま…まぁいいや。兎に角、これをレジまで持って行こうか」
「他の奴等は良いのか?」
「いいんじゃない? 用事があれば向こうから来るよ…きっと」
なんとなくだけど、そんな気がする。
自分で言ってて悲しくなってくるけど。
そうして私とボーデヴィッヒさんの二人でレジに向かって歩いていると、意外な人物と遭遇することになった。
「ん? 仲森と…ボーデヴィッヒ? また珍しい組み合わせだな。一緒に水着でも買いに来たのか?」
「織斑先生?」
「教官…?」
そこにいたのは、いつもと同じように黒いスーツを着て棚に飾られている水着と睨めっこをしていた織斑先生の姿だった。
原作でも水着を買いに来ていたけど、まさか私達の方で遭遇するとは思わなかった…。
次回、織斑先生のターン。