私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
前回、とんでもないことを言ってしまった彼女の心境は?
な…な…な…何を言ってんじゃ私は――――――――――――!!!
幾ら普段からお世話になってるとはいえ『お姉ちゃん』は無いでしょうよ!!
自分でも、どうしてあんな言葉を口走ってしまったのかよく分かりませんよ!
あれか? 普段とは全く状況で浮かれていた所に織斑先生と出会ってしまって頭がパニック状態になってしまったせいなのかッ!?
いや、それでもアレは普通に有り得ないわ!
お姉ちゃんはお姉ちゃんでも、織斑先生は織斑君のお姉ちゃんですから!
私のお姉ちゃんじゃ決してありませんから!!
そりゃね? 兄弟姉妹がいない一人っ子なせいで寂しい思いをしたことが無いと言えば嘘にはなりますよ?
なりますけどね! それでもこれはないわー!
あ…もう! マジで超絶ハイパー恥ずかしい!!
恥ずかしすぎて死ぬ!! マジ死ぬ!!
私の死因『恥ずか死』になるわ!!
なんだよ恥ずか死って! 意味分らんわ!!
(うぅ…数分前の自分を思い切りぶん殴ってやりたい…。バイツァ・ダストが出来るようになりたい…時間よ戻れ…)
あのー! 店内のお客様の中に吉良吉影さんはいらっしゃいませんかー!?
もしいらしたら、時間を消し飛ばして戻して貰えませんかねー!?
なーんて…いるわけないつーの。
はぁ…マジで恥ずかしい…。
いつから私は、あんな事を言うようなキャラになってしまったんだろうか…。
「…早くレジまで行こ」
とっとと買い物を済ませて、とっとと帰るのだ!
それがきっと一番なのだ!
あ…でも、さっきの会話の流れで織斑先生が水着の代金を払ってくれる的な事を言ってたような…。
一体どんな顔をすればいいんだよぉ…。
後悔先に立たずとはよく言ったもんだよ…全く…。
「佳織」
「ひゃう!?」
噂をすれば何とやらですよ…。
いや、すぐ後ろにいたんですけどね。
というか、ずっと気になってたけど、織斑先生ずっと私の事を名前で呼んでね?
「すまない…驚かせたか?」
「だ…大丈夫デスよ?」
言葉がカタコトになってしもうた…。
今日一日だけで爆速で黒歴史が量産されてますがな。
これは御大将もびっくりして髪をストレートヘアーにしちゃいますわ。
めっちゃツヤツヤになっちゃいますがな。
「その…だな…さっき言いそびれた事なんだが…」
「は…はい?」
言いそびれた事って…なに?
「えっと…プライベートでなら…私の事は『お姉ちゃん』と呼んでくれても構わない…ぞ? それで少しでもお前の寂しさを癒せるなら…な」
それは反則だよぉ~!!
恥ずかしそうに目を逸らしながら、顔を赤くしつつのその台詞は反則だよぉ~!
私じゃなくても胸がトキメキトキスしちゃうよぉ~!
ヤヴァイ…こっちもなんだかマジでドキがムネムネしてきた…。
「じゃ…じゃあ…早くレジに行くか」
「は…はい…」
結局、レジに到着して支払いを済ませるまで、私達はお互いにずっと口数が少ないままだった。
これ…意識しない方が無理あるでしょ…。
明日から大丈夫かな…色んな意味で…。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
無事(?)に支払いを終えた私達はお店の外へと出る事に。
すると、もう既に自分達の買い物を終えたと思われる皆が待ってくれていた。
「ごめんね…待った?」
「こっちなら全然平気よ。それよりも…」
「ふぇ?」
なんか凰さんの顔が近いんですけど…なに?
妙に表情が険しいような…。
「な~んか顔が赤くなってない?」
「そ…そう?」
「千冬さんと…なんかあった?」
うぐぅっ!?
す…鋭い…鋭すぎる…!
君は一体どこの名探偵さんですか…?
「別に何も無い。ただ、お互いに水着を選び合って、そのついでに私が佳織の分も水着を奢っただけだ」
「そうですか……」
織斑先生が説明してくれたけど、それでも凰さんはなにやら訝しんでいる。
これだけじゃ納得してくれなかったか…?
「全員集合」
「「「「了解」」」」
なんか急に山田先生とボーデヴィッヒさん以外の皆が集合したんですけど。
この一致団結感は一体何なの?
「さっきの…聞いた?」
「あぁ…バッチリと聞いた。この耳でな」
「織斑先生…佳織さんの事を名前で呼んでましたわ…」
「プライベートだからって言えばそれまでだけど…僕達の事はちゃんとファミリーネームで呼んでるし…」
「ぜ~ったいにあやし~よね~…」
あのー…めっちゃ聞こえてますからねー…?
あと、すっごい目立ってますからねー。
「仲森さん。どんな水着を買ったんですか?」
「えっと…こんなのを…」
「わぁ…可愛いじゃないですかー! きっと凄く似合いますよー!」
「そう…かな…?」
「はい! 間違いありません!」
こんな時に空気を読まずに話しかけてくれる山田先生がマジ尊い…。
普通に助かるわー…。
「そう言えば、ボーデヴィッヒさんもちゃんと水着を買ったの?」
「うむ。佳織に選んで貰ったやつをな。買い物自体、中々しない事なので少し緊張したが…山田先生が一緒にいてくれたお蔭で助かった」
「あの調子なら、これから先もきっと大丈夫ですよー」
なんだろう…『はじめてのおつかい』で子供がちゃんと買い物できた時のような謎の感動が私の胸を包み込んでくる…。
そうか…これが母性か…。
「というか、さっきからずっと話題に出さなかったけど、織斑君は一体どこに?」
少しだけ彼の存在を忘れかけてたけど、織斑君は確か隣にある男性用水着コーナーに行ってるんだよね?
織斑君の事だし、適当に選んで、とっとと買って、ベンチで大股開きで座りつつコーラを飲んで『ゲフー』ってゲップでもしてるのかと思ってた。
「一夏? あいつならさっきトイレに行ったわよ? もうそろそろ戻って来るんじゃない?」
「あ…そうなんだ」
なんて感動もクソも無い展開。
実にごく普通の生理現象でどっかに行ってやがりましたよ。
「ちょっと。そこのあんた」
「ん?」
なんだ? 誰か私のことでも呼んだ?
「そこのアンタに言ってるのよ。そこの男!」
私じゃないんかい。
って、なんかすぐそこで誰かが誰かに絡まれてる。
いや…ちょい待ち。あの絡まれてる方の人物って…。
「あ? いきなりなんだよ?」
織斑くんだ――――――!
知らない間に普通に喧嘩売られとる―――!
「そこの水着、片付けといて」
「なんでだよ。これ、やったのアンタだろ」
完全に売り言葉に買い言葉状態。
気持ちは分かるけどねー。
「へぇ…そんな事を言うんだ。どうやら自分の立場が良く理解出来てないみたいね」
それはそっちだっつーの。
あの女の人…さてはニュースとか見てないタイプだな?
もしちゃんと見てたら、彼が世界で唯一の男性IS操縦者の『織斑一夏』だってすぐに分かる筈だもん。
未成年なのに普通にニュースで顔出ししてたし。
多分、無許可で。
「仕方がない…」
「佳織?」
織斑君じゃ、あの人を口で負かすのは難しいでしょ。
ここはこの佳織ちゃんがお助けしますか。
偶にはトレーズ閣下やゼクスに頼らないで頑張りたいしね。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
突然だけど、トイレから戻って爽やかな気持ちになっていると、いきなり変な女に絡まれた。
道端で絡まれるのは野良ヤクザと野良ポケモントレーナーだけで十分だッつーの。
「ほら。とっとと片付けないと警備員呼ぶわよ?」
別に呼んでも良いよ。
その時は普通に今起きた事を話すだけだし。
「はいはい。そこまでですよーおばあちゃん」
「誰がおばあちゃんじゃゴラァッ!! こちとらまだピチピチのさ…二十代じゃ!!」
今、確かに『三十代』って言い掛けたぞ。
って、割り込んできたのは、まさかの仲森さん!?
もう買い物終わったのか…どんな水着を買ったのかな…。
「大丈夫だった? 織斑君」
「俺なら平気だよ。ありがとな、仲森さん」
「いやいや。これぐらいお安い御用だよ」
はぁ~…やっぱ仲森さんは優しいなぁ~…。
こんな女とは比較にすらならねーよ。
「というか、幾らなんでも世間知らずすぎやしません?」
「どういう意味よ?」
「そのまんまの意味ですけど。女尊男卑主義者の人達が馬鹿丸出しで威張り散らしてるのって『男がISに乗れないから』なんですよね?」
「そうよ! だから、男なんて全員が私達の足元に跪いて…」
「じゃあ、その相手が『ISを動かせる男』だった場合は何にも言えないって事になりますけど?」
「……え?」
あ~…そういうことか。
流石は仲森さん。考えたな。
「ってことで、まずは手初めてに生徒手帳を見せたげて」
「はいよ…っと」
「な…!? ア…IS学園ですってっ!? それじゃあ…まさか…!」
「ついでに本名も言ってあげて」
「織斑一夏だ」
「その名前…は…あの噂の…!」
この反応を見る限り、俺ってもしかして自分が思っている以上の有名人になってる?
割と人並みにはニュースとか見ているつもりだったけど、俺の名前を見ないのって単に俺が見逃してるだけだったのか?
「あ。因みに織斑君の名前はIS関連のニュース記事のページに飛べば腐るほど見れるよ」
仲森さんが俺の心を読んでなんか言ってきた。
気のせいか、段々と仲森さんが千冬姉に近づいているような気がする。
このまま行けば、仲森さんからの出席簿アタックとか喰らうかもしれない。
うーん…それはそれでありだな。寧ろ大歓迎だ。つか、して欲しい。
いや、してください。
「ここらでトドメの一撃と参りましょうか」
「トドメの一撃?」
「うん。つーわけで世界最強の召喚獣をお呼びします」
あ…なんかそれだけで分かったわ。
「私の弟がどうかしたのか?」
「お…お…お…織斑千冬!? どうしてこんな所にッ!?」
「私がどこで何をしていようと、そんなの私の勝手だろうが。なぁ佳織」
しれっと仲森さんの肩を抱き寄せてる千冬姉。
ここに千冬姉がいる時点で驚きだけど、それ以上に仲森さんと二重の意味で急接近していた事実に驚きが隠せねぇよ。
「おばあちゃんが喧嘩を売ったのは、実は織斑千冬さんの弟にして世界で唯一のISを動かせる男性でしたとさ。この時点で貴女は織斑君に威張り散らすことは不可能になりましたね」
「うぐぐ…!」
「ついでに言うと、女だからと言って誰も彼もがISを動かせるとは限らないんですよ?」
「な…なんですってッ!?」
「その脳みそ空っぽそうな頭にも分かるように説明すると、ISには操縦適正ってのがあって、それが低すぎたりすると上手に動かせないし、それ以前に適正自体が存在しない女性だって決して珍しくないって授業で習いました。ところで、おばあちゃんは実際にISに乗った事があるんですか? それ以前に自分の適性を検査とかしたことがあるんですか? 何にも知らない癖に分かった振りをしている人って見ているだけで滑稽すぎて笑えるんですけど。ねぇねぇ、教えてくださいよー。そんなに威張り散らすって事は、さぞかし上手にISを乗りこなせるんでしょうね? 適性値はどれぐらいなんですかぁ~?」
「う…うがぁ~!!」
うを…なんつー怒涛の言葉のラッシュ…。
ゴールド・エクスペリエンスも思わず真っ青になっちまう勢いだな…。
「そういえばー…最近は非常に便利なアプリがあるの知ってますかー? その名も『ボイスレコーダーアプリ』って言うんですけどー」
「それって……!?」
「勿論、今までの一連の会話は全て録音させて貰いました。証拠としては十分過ぎますよねー。警備員さん…呼びましょうか? 呼んで不利になるのはそちらになると思いますけど」
「このガキ……! 言わせておけばぁ…!」
やばい…このおばあちゃんがマジ切れしそうだ。
仲森さんが危ない…いや、大丈夫かもしれない。
下手したら仲森さんって生身でも俺よりも強い可能性あるしな…。
「警備員さーん! こっちですよー!」
「なぁっ!? お…覚えてなさいよー!!」
「絶対に嫌でーす」
まるで昔のアニメの悪者みたいな捨て台詞だったな…。
冗談抜きでなんだったんだよ…。
「あれ? 警備員は?」
「来ないよ。だって、言っただけだし。そう都合よく近くに警備員さんがいたら、誰も苦労とかしないよね」
ブ…ブラフだったのかよ…。
あの状況で堂々とそれを言えるって…仲森さん…度胸あり過ぎだろ…。
伊達にラウラの一件でドイツの偉い軍人さんとタイマンで話をしてないってことか…。
それにしても、また仲森さんに助けられちまったな…。
借りばかりが増えていく一方だ。
必ずどこかで返したいと思ってるけど…機会に恵まれないんだよなぁ…。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
一方その頃。
束のラボにて。
「お姉…ちゃん…! その発想は無かった…! 完全に盲点だった…!」
いつもの通り、監視カメラをハッキングして覗き見…もとい監視をしていた束は、ショッピングモールの一件を見て頭を抱えていた。
「確かに私は箒ちゃんのお姉ちゃんではある…。けど、それはちーちゃんも同じ事…。それなのに敢えてかおりんに『お姉ちゃん』と呼ばせる背徳感…! これはもう…やるしかないね…!」
拳を強く握りしめ、束は勢いよく立ち上がった。
「私も…かおりんのお姉ちゃんになる!!」
なんか急に変な決意を勝手に固めてしまった天災さま。
誰も見ていないからこそ出来る事なのかもしれない。
「そしていつか…かおりんと禁断の姉妹姦を…ぐへへ…♡」
仲森佳織。知らない所で貞操消失の危機。
そんな彼女と束が出会うまで…あと少し。
かおりん、下手したら大人女性キャラ全員の義妹になる可能性があり?
最悪の場合、そこに楯無も参戦してくるかもしれない。