私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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主人公は凡人です。一般人です。等身大の人間です。

なので、何もしないし、何も出来ないし、何も成しません。

転生者=チート&ハーレム&俺TEEEEEなんて思ってる人は読まない事をオススメします。

どこまでも、複数の意味で振り回されているだけの人間です。

積極性なんてないし、勉強も努力も中途半端。

流されてばかりの人生を送っています。






ハイ死んだ

 私が一切関わっていない(当然)、クラス代表決定戦が終わった次の日、教室ではいつものように織斑君と篠ノ之さんの夫婦漫才が繰り広げられ、そこに改心(?)して主人公君に惚れてしまったオルコットさんが介入して一気に教室の中が五月蠅くなる。

 ここで間違えてはいけないのが、『賑やか』じゃなくて『五月蠅い』ってこと。

 私は何があっても絶対にこの状態を『賑やか』なんて前向きな発言はしない。

 他がどう思おうが、私にとっては『五月蠅い』だけだから。

 原作通りに『クラス代表を譲った』とか言ってるけど、本気でどうでもいい。

 

(…私には関係ない。私には関係ない)

 

 机に突っ伏しながら薄めで様子を伺っていると、教室に織斑先生と山田先生がやって来る。

 途中で何故かISの適性ランクの話に発展していたせいで、先生が二人に向かって一喝していた。

 

「バカ共が。お前達のランクなんて私からすればどいつもこいつもが嘴の黄色いひよっこに過ぎん。まだ碌に殻すらも割れていないような段階で優劣をつけようなんぞ論外だ」

 

 ん? 気のせいかな…一瞬だけ織斑先生がこっちを見たような気がしたけど。

 

(…それは無いか。色々と話はしたけど、結局は最優先するのは愛する弟君だろうしね)

 

 どうせ、来週になれば私と話したことすら忘れてるに決まってる。

 それは他の皆も同じだろう。

 昨日話した女子も、あれから一度も話しかけてこないし。

 私は自分から話しかけたりはしない。

 リア充な連中とは精神構造が全く違うんですよ。

 

 このまま授業が始まるまで、ずっと寝たふりを決め込んでおけば大丈夫だろう。

 これからは、これを基本戦術としていくことにしよう。

 

 だが、世の中はそう甘く無かった。

 

 まさか、今日が私のとっての『運命の日』になるなんて想像もしていなかったから。

 いつでもいいように、毎朝いつも部屋を出る前に心の準備をしながら精神安定剤を飲んで、あくまで『寝たふり』だけで済ませて、いつ呼ばれてもいいように意識だけは起きたままにしておく。

 小心者の私には、いきなりの事に対して冷静に対処なんて絶対に出来ないからだ。

 

 私の平穏は……もう二度と戻らない。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

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・・

 

 

 

 

 教室で騒がしくしているバカ共を大人しくさせた直後、私の携帯に着信が入ってきた。

 誰かと思いながら廊下に出て電話に出ると、相手は轡木さんだった。

 

「もしもし? こんな時間に一体どうされたのですか?」

『ついさっき私の方に電話がありました。仲森さんの専用機を輸送する準備が整ったので、今からそちらに運ぶ…と』

「遂に仲森の機体が…」

 

 一体どんなISを寄越そうというのだろうか。

 通常ならば初心者用に使いやすさ重視のISを用意するのだろうが、一夏の例もある。

 こちらの常識は通用しない事を前提に考えた方がいいかもしれない。

 

「では、到着し次第にでも整備班の連中に頼んで調査をして貰いましょう」

『それが良いでしょうね。こちらの都合で授業を休ませてしまう事になるので、参加した生徒達には特別に今回の分の単位を与えておくようにしますか』

「当然ですね。現場の監督は私がします。副担任の山田先生がいるので、多少の融通は利きますから」

『一組だけの強みですね。では、そのような形でお願いします。調査結果は…』

「後でご報告します。仲森に渡すのは調査が全て終わってからがいいでしょう」

『彼女の事も頼みます。これは非常にデリケートな問題ですので』

「はい。最善を尽くします。では、そろそろ時間ですので、これで」

『えぇ。よろしくお願いします。織斑先生』

 

 通話を切ってから、私は教室のドアを少しだけ開けてから真耶を手招きで廊下まで呼び寄せた。

 

「どうしました?」

「実は……」

 

 私は仲森の専用機の輸送準備が整い、もうすぐ学園に持ってくること。

 その調査の為に整備班を動員し、自分が現場監督をすることになった事を告げた。

 

「思ったよりも早いですね…」

「私もそれは思った。出来るだけ早く仲森に機体を渡して、一秒でも多くの時間をアイツの成長の為に使わせる気なのかもしれん」

 

 無論、仲森にそんな義務はない。

 あいつは代表候補生ではないし、ましてや一夏のように世界でたった一人という希少性も無い。

 確かにSランクは世界的に見ても非常に希少な存在ではあるが、唯一無二という訳ではない。

 ランクだけで言えば私だってSだし、他にも世界中を捜せば何人かはいる。

 だが、私もそいつらも、一度だってそんなにも専用機を無理矢理に近い形で与えられたことなんてない。

 今回の委員会の動きは明らかに異常としか言えなかった。

 

「もしかしたら、今日の授業は全て山田先生に任せることになるかもしれない。頼めるか?」

「任せてください。こんな時の為の副担任なんですから。それに、今日は実技系の授業はありませんし、問題は無いと思います」

「そうか。では、私は今から二、三年の教室まで行ってから整備班を招集しに行く。ISが来る前に準備を整えておかねばな」

「分かりました」

 

 流石に教師が廊下を走るわけにはいかないから、早歩きで二年の教室まで急ぐことに。

 

 歩いている途中、不意に教室で疲れたように机に突っ伏していた仲森の姿が頭を過った。

 

 

 

 

 

 

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「これが…そうなのか…」

 

 整備室に運び込まれた一機のIS。

 それは、今では割と珍しい『全身装甲(フル・スキン)』と呼ばれるタイプのISで、数自体は多くは無いが、これと言って特殊ではないISだ。

 これは別に何も問題ではない。問題があるとすれば、それは他の部分だった。

 

「これは…見事に真っ白…ですねー…」

 

 この場に集まってくれた整備班の女子の一人が呟いた一言。

 そう…『白い』のだ。

 しかも、普通に白いわけではない。全身の殆どが白で構成されているのだ。

 

「だよねー。しかもこれさ……」

「うん。なんか西洋の鎧っぽいデザインにも見える。これじゃあまるで…」

「『白騎士』みたいだね」

 

 白騎士。

 それは、束が一番最初に開発したISであり、原初のISとも言うべき存在。

 そして、私にとっては最も因縁深く、切っても切り離せない…原罪の象徴でもあった。

 

(認めたくはないが…確かに似ているような気がする…)

 

 左肩装甲から伸びた可動フレームに懸架されている円形のシールド。

 右肩装甲から伸びた可動フレームには巨大なキャノン砲が。

 間違いなく、これがこの機体の主武装になるのだろう。

 だが、それと同じぐらいに目立つのは、背部に設置してある黒く巨大なブースターだった。

 

(機動力重視の機体…なのか?)

 

 だとしたら、増々『白騎士』を彷彿とさせてくる。

 そんな機体がISの犠牲となった仲森の専用機となるとは…皮肉としか言いようがない。

 

「いきなり呼び出して済まなかったな、布仏。黛」

「いえ、これは生徒会としても放置しておくわけにはいかない案件ですので」

「私はネタにさえなれば何でもいいですよ?」

 

 私のクラスにもいる布仏本音の実の姉にして、現在の整備班の実質的なリーダーでもあり生徒会にも所属している三年の『布仏虚』と、新聞部副部長にして整備班のナンバー2でもある『黛薫子』。

 どちらも学生にしておくには勿体無いほどの腕前を持つ生徒達だ。

 

「言っておくが、今回のこれは他言無用だからな。もしも学校新聞に載せようとしたら…」

「わ…分かってますって。そりゃ…本当は載せたいなーって気持ちがありますけど、あんな事情を聞かされちゃ…ねぇ…」

 

 一応、ここにいるメンバーにだけは今回の目的をちゃんと伝えておいた。

 仲森の事情を。彼女に怪しい専用機が無理矢理に近い形で譲渡されようとされている事を。

 それを調べる為に彼女達を集めた事を。

 皆、何も言わずに協力を約束してくれた。本当に有り難い。

 

「機体名は分かるか?」

「はい。整備マニュアルの入ったデータカードを輸送係の人に貰いましたので」

 

 虚が手元にある小型端末を操作すると、そこには機体の全身を描いた3D映像に加え、型式番号と機体名が表示してあった。

 

「型式番号『OZ-00IS トールギス』…か」

「恐らく、『降霊術師』を意味する『トールギスト』が名前の由来かと」

「降霊術師…か」

 

 まるで、白騎士の魂をトールギスに憑依させて運用しているかのようなネーミングだな。

 全く以て気に食わない…。どこまでもIS委員会は私を不快にしかさせない。

 

「カタログスペックなどは何故か表記されていませんね。こうして整備マニュアルは用意しているのに」

「あいつ等の事だ。そこにどうしても隠したい『何か』があるに違いない」

「隠したい何か…ですか」

 

 一見するとトールギスは全身装甲という点以外は普通のISとそこまで遜色は無い。

 だが、私の勘が言っているのだ。この機体には何か大きな秘密があると。

 

「布仏」

「承知しています。正直、今回は興味も半分混じっていましたが…こんなにも露骨に怪しい代物を見てしまったら動かない訳にはいきません。この事はお嬢様にもお伝えした上で『私達』でトールギスの別方面を調査していきます」

「立て続けに頼みごとばかりだが…任せた。そっち方面はお前達の方が専門分野だからな」

「お任せください」

 

 現在の生徒会メンバーは所謂『暗部』と呼ばれる者達で構成されている。

 今回のような意図的に隠蔽された情報を調査することに掛けては間違いなくプロフェッショナルと言っていいだろう。

 

「お前達、今のところで何か怪しい部分などは見つかったか?」

「まだ何も~」

「盗聴器とか監視カメラとかはどこにも無いですね~」

「怪しいシステムがある様子も無いです」

「OSの方も問題は無いっぽいです。流石にISコアはここにある設備じゃ調べようがないんですけど……」

「そうか……」

 

 見る限りでは、トールギスにこれといった問題は存在していない。

 怪しいのはISコアの方だが…コアは完全にブラックボックスとなっているので、何かを仕込む事が出来るのはコアの製造方法を知っている束しかいない。

 少なくとも、委員会の連中にコアをどうこうする事は絶対に不可能だろう。

 もしもそれが出来ていたのならば、今頃はISコアが大量生産されて世界中に出荷されている筈だ。

 

「念の為、可能な限りで構わないから細部まで調べてみてくれ」

「「「「はーい」」」」

 

 幾ら後輩の為とはいえ、赤の他人の専用機を調査するなんて彼女達からすれば複雑な気持ちだろうに。

 それを文句一つ零さずに行ってくれる。

 …後で全員にデザートを奢るぐらいの事をしてもいいかもな。

 

 この調査は放課後まで続いたが、結局トールギスの内部からは怪しい部分は何一つとして発見されなかった。

 矢張り、怪しむべきは機体内部ではなく開示されなかった『情報』の部分。

 

 こんな状態で仲森に機体を渡さないといけないのか…。

 本当ならば、情報もちゃんと調査してから渡すべきなのだろうが、だからと言っていつまでも整備室に置いておけばトラブルの元になりかねない。

 委員会の奴らめ…その事まで見越してから学園に持ってきたな…!

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 放課後になり、私は寮にある自分の部屋のクローゼットの中から、まだ使わない筈のISスーツを取り出していた。

 というのも、実は今日の昼休みに織斑先生とこんな話をしたからだ。

 

『実は今朝、お前の専用機が届いてな。今、整備班の連中が徹底的に機体を調査している最中だ。このペースで行けば放課後には終わるだろう。なので、放課後になったらISスーツを持って第6アリーナへと来てくれ。あそこは普段から余り使われる事が少ない場所だし、念の為に生徒会が『緊急整備』という名目で人払いもしてくれる予定になっている。誰にも見られることなく機体の設定などが出来る。お前も不本意なのは分かっているが、あのまま機体を置いておくわけにもいかないんだ。本当に申し訳ないとは思っているが…分かって欲しい。頼む…!』

 

 はぁ…あんな顔されたら『イヤです』なんて言えないでしょうよ…。

 ったく…何が悲しくて、こんなスク水同然のスーツを着なきゃいけないのやら。

 この学園の生徒には羞恥心ってのは無いの?

 素っ裸にでもなって椅子に座ったままキリッとした顔をして『ワイが男塾一号生筆頭、剣桃太郎じゃい!』って感じをしてれば羞恥心を克服できるの?

 私、男塾って一度も見た事無いから全く分らないんだけど。

 

「行くしかないか……はぁ……」

 

 私、この学園に来てから何回、溜息を吐いただろう…。

 溜息を吐いたら、その分だけ幸せが逃げるって聞いたことがあるけど、それが本当なら私の幸せはもう全部無くなって完全にマイナスの域に到達してるだろうね。

 ハハハ…なにそれ、凄く面白い。

 

「…一応、手持ちバッグに入れてから行こうかな…。ISスーツをまんま持って歩くのは流石に恥ずかしすぎるし」

 

 バッグの中にスーツを入れて、廊下に出てからドアの鍵を閉めてから、制服の下にISスーツを着ていけば荷物にもならないし着替える手間も省けるという事に気が付き、自分の馬鹿さ加減に本気で泣きそうになった。

 

 

 

 

 

 

・・・・・

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・・

 

 

 

 

 

 言われた通り、第6アリーナまで来た私は、更衣室で制服を脱いでからISスーツに着替えた。

 こうして露出の多い格好になると、まぁ自分の貧相な体が露わになる。

 女としての魅力なんて微塵も無い私がこんな場所にいて、こんな姿になっている。

 割と冗談抜きで誰特だよ。

 

「……憂鬱。なんかお腹痛くなってきた」

 

 ここまで来たらもう…引き返せないよなぁ……。

 そもそも、私の専用機ってどんなのだろ?

 二次創作とかじゃ、転生者の専用機ってガンダムを初めとするロボットアニメに登場する超高性能なヤツだよね。

 あの神様の事だから、面白半分でとんでもないのを送ってきてそう。

 念の為に、寮を出る前に自販機で精神安定剤を飲んできたけど、どれだけ効果があるやら。

 

「……行こ」

 

 というか、行かなきゃ始まらない。

 アリーナの…なんだっけ。そうそう、ピットに続く自動ドアを潜って行くと、そこにはいつものスーツ姿の織斑先生と山田先生が一緒にいた。

 そして、その近くには移動式のハンガーっぽいのに固定されている大きくて白い塊が。

 あれが私の専用機? 遠目からだとよく分からないけど。

 あの形状…どこかで見た事があるような…無いような…。

 

「来たか、仲森」

「お待たせしました」

「よく似合ってますよ、仲森さん」

「はぁ…どうも」

 

 なにそれ皮肉? 二人揃ってスタイル抜群だからって皮肉ですか?

 

「これが私の専用機…です……か……?」

 

 え…? ちょ……は?

 ま…待ってよ…冗談だよ…ね?

 け…けど…これは間違いなく……あの『殺人的加速』で御馴染みの…!

 

「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!???」

 

 アイエエエエエエエエッ!? トールギスッ!? トールギスナンデッ!?

 どうして、よりにもよってトールギスなのよッ!?

 あの神様は私の事を殺す気なのッ!? 例え冗談でも笑えないんですけどッ!?

 こんなの、乗って動かした途端に私なんか一瞬でバーニィみたいに消し飛んじゃうに決まってるでしょうがっ!!

 別に私はコロニーを核攻撃から守る為にガンダムと戦う気は無いんですけどッ!?

 ミンチ肉確定だよ! ミンチ肉!! あぁ~…今日の夕飯はハンバーグが食べたいなー。

 イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤッ!! こんなの絶対乗りたくない!!

 ムリムリムリムリムリムリムリムリッ!! 私はゼクスやトレーズ閣下みたいな超人じゃないから!!

 こんなの乗りこなせるわけないでしょうが!! その前に確実に死んじゃうから!!

 ハイ死んだー! 私死にましたー! ゲームオーバー確定ー!

 だって15Gだよっ!? 15G!! 普通に考えても100%無理ゲーでしょうが!!

 幼稚園児でも一発で分かるぐらいに簡単なロジックだよっ!!

 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!! 神様のばぁあぁぁかぁぁぁ~!!

 こんなの殺人兵器じゃんかぁ~!! 私を殺すって意味での殺人兵器じゃんかぁ~!!

 もういやぁぁ~!! 誰か助けてよぉ~!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




魔改造なのは『機体だけ』。

どういう意味で『魔改造』なのかは後々に明らかに。
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