私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
デュノアさんやボーデヴィッヒさんと合流した私は、二人と一緒に浜辺をぶらぶらとしていた。
「最初見た時から思ってたけど、日本の海って本当に綺麗だよね」
「そうかもしれないねぇ~。けど、ここからもっと南…沖縄の海とかは桁違いに綺麗だけどね。海水が透き通っていて、浜の砂も不純物が殆ど無いから凄くサラサラしてるって聞いたことがある」
「それ程とは…凄いな。それではもう殆ど、南国の楽園ではないか」
でも、日本の海は本当にピンキリだからね。
綺麗な所は物凄く美しいけど、汚い所は目を覆いたくなる程だから。
「にしても…こうして久し振りに海に来たは良いものの、何をすればいいのか微妙に迷うね…」
「そうなんだ?」
「うん。海に来る機会自体が非常に少ないし」
それこそ、すぐ近くに海がある環境なら色々と思い付くんだろうけど、私達のような現代の都会人には何をして遊べばいいのか分からなくなる。
何とも悲しい現実…。
「あ~! かおりん見~つけた!」
「「「ん?」」」
この元気な声は…本音ちゃん?
どこにいるのかな…って。えぇぇっ!?
「お~い! かおり~ん!」
満面の笑みを浮かべながら、手を振りつつこっちに走ってくる本音ちゃん。
そこまでは良い。何も問題は無い。
問題があるとすれば、それは彼女の『格好』だった。
「「着ぐるみっ!?」」
そう。着ぐるみだった。
フードのように頭までスッポリを覆い尽くしているキツネの形をした着ぐるみ。
似合っているし、可愛らしくもあるとは思うけど…それ以上にインパクトが凄すぎる。
明らかにこの場で目立ちまくっているよ…。
「おぉ~! かおりんの水着…セクシ~だねぇ~♡」
「本音ちゃんは…その…凄いね…」
ぶっちゃけ、それしか感想が思いつかない。
もっと国語を勉強しよう…。
「ありがと~! でもでもぉ~…この『中』はも~っと凄いんだよ~!」
「中?」
中って…着ぐるみの中身って意味?
そりゃあ…確かに本音ちゃんは、かなりのグラマースタイルだけど…。
「かおりん。ちょっと、こっちに来てくれる?」
「う…うん」
言われるがままに本音ちゃんに近づいていくと、いきなり彼女は着ぐるみの首の部分をビヨーンと伸ばしてから、中にある自分の身体を見せつけてきた。
それを見た途端、マジで心臓がドキってなった。
「こ…これって…!」
「えへへ~…」
完全に『点』と『線』じゃないか!
具体的に言えば確実にR-18になるから言えないけど、これもう殆ど裸に近いじゃん!
絶対に人前じゃ見せられない水着じゃないの!!
一体どこでこんなのを見つけてきたのッ!?
まさか…あのお店で?
こんなのまで置いてあったっていうの…?
「…本音ちゃん」
「なに~?」
「例え何があっても、人前…特に織斑君を初めとする男の子の前じゃ絶対にこの着ぐるみを脱いじゃダメだからね」
「なんで?」
「本音ちゃんの『水着』を見たら、織斑君がワンピースのサンジみたいに鼻血をジェット噴射させて出血多量状態になっちゃうから」
「佳織の中の一夏のイメージが変なことになってるっ!?」
最後になんかデュノアさんがツッコんでるけど、私の言ってることは何も間違っちゃいないでしょ。
男の子はみ~んな飢えた狼なんだよ。
こっちがほんの少しでも隙を見せたが最後。
す~ぐにエロ同人誌みたいな事をしてくるに決まってるんだから。
織斑君のようなラノベ系主人公は特に。
「そう言えば、その一夏はどこにいるのだ? さっきから姿が見えないが…」
「おりむーなら、あっちで皆にビーチバレーに誘われてたよ~」
「ビーチバレー…」
それって…いいのかな?
普通に男女で身体能力で差があると思うから、バランスが悪くなると思うんだけど…。
それとも、審判でもしているのかな?
「どうする佳織? どうせ暇だし、行ってみるか?」
「そうだね……ん?」
「どーしたのー?」
「いや…あそこ」
ふと視界の端に見えた物を指でさす。
そこには『海の家』と書かれた建物が。
「うわぁ~…海の家だ~」
「私…何気に初めて見たかもしれない」
過去にマリーさん達に連行されてきた海には、あんなのは無かったしねー。
しかも、あれはまるで漫画にありそうな海の家だ。
地味に感動しているかもしれない。
「どうせなら、あそこで何か飲み物でも買ってから織斑君の所に行かない?」
「それいいかもね。水分補給は大事だし」
「うむ。買える時に買っておくに越したことはないな。喉が渇いた時にはもう遅いと言うし」
その通り。
この季節、少しの油断が本当に命取りになりかねないからね。
こーゆーのは気を付けておかないと。
というわけで、私達は一先ず海の家に立ち寄ってから、その後に織斑君達がいる場所へと向かう事にしたのでした。
そういや、あの海の家…中で食事も出来るみたいだったけど…あそこでお昼を食べてもいいのかな…?
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
皆が作ったと思われる即席のビーチバレーコートまで行くと、女子の皆が楽しそうにキャッキャウフフとビーチバレーを楽しんでいた。
けど、その中に織斑君の姿は無い。
「あれ? 織斑君がいないんだけど…」
「おかしーなー…どこにいったんだろー?」
皆でキョロキョロと辺りを見渡していると、砂浜に突き刺さっているパラソルの下に座っている織斑君を見つけた。
なんでか、顔面が丸い形で赤く腫れてるけど。
「見つけた。あそこで休んでる」
「あ…ホントだ。…なんで顔が赤くなってるの?」
「さぁ…」
取り敢えず、まずは彼の元まで行ってみる事に。
結局、皆バラバラに行動してるな~。
夏だから良いけどね(謎理論)。
「おーりむらクン。どーしたの?」
「あ…仲森さ…ん…」
「ん?」
こっち見た瞬間に固まったんだけど。
割とマジでどうした?
「綺麗だ……」
「へ?」
今、なんつった? 綺麗? 誰が?
「あ! いや…その…別にそーゆー意味で言った訳じゃなくて…えっと…」
動揺し過ぎだぞ男の子。
「その顔はどうしたの? ビーチバレーをしてるって聞いたんだけど」
「あー…それな。確かに、ついさっきまでビーチバレーをしてはいたんだけど…」
チラッとコートの方に視線を向ける。
別に何の変哲もない普通の試合ですな。
あれがどうかしたの?
「刺激が強すぎるんだよ! 俺みたいな年頃の少年には!!」
「「「あー…」」」
「???」
なんとなくだけど分かった。
ボーデヴィッヒさんは分かってないみたいだけど。
「ただでさえ普段よりも薄着なのに、それに加えて飛んだり跳ねたり…こんな状態でまともな試合なんて出来る訳ねーだろ!?」
「「「確かに」」」
15歳の男の子には強烈な刺激だったかもしれないねー。
でも、ここで敢えて私は一言物申したい。
「けどさ、私達が普段から着てるISスーツだって似たようなもんじゃない?」
「それはそうなんだけど…ほら、ISスーツって基本的にワンピースタイプじゃないか」
「うん。そうだね」
「けど、ここにいる女子達の殆どがビキニを着ているから…普段よりも布面積が小さいんだよ…」
うーん…言われてみれば確かに。
実際、私達も着ているのはビキニだしね…。
人の事は強くは言えないわ…。
「だから、変なことになる前に俺は早々とリタイアをして、ここでのんびりとしているってわけさ」
「成る程了解相分かった」
まぁ…こればかりは仕方がないか。
下手をすれば織斑君に『変態』のレッテルが張られたかもしれないと考えると、これはある意味で妥当な判断とも言えるかもしれない。
「そういや、セシリアと鈴はどうしたんだ? 一緒じゃないのか?」
「あー…あの二人ならー…」
かくかくしかじか。
かくかくうまうま。
「てな感じで、向こうのパラソルで二人仲良く休んでるよ」
「そっか。ま、熱中症とかになったら大変だしな」
一応、変な所は誤魔化して説明しました。
流石に『さっきまで二人に体にオイルを塗られてました』とは言えない。
恥ずかしくて私が死ぬ。
「そういう一夏こそ。箒と一緒じゃなかったの?」
「あぁ…箒なら…」
織斑君が後ろを振り向くと、そこには二人分の飲み物を持っている水着姿の篠ノ之さんがいた。
やっぱ…滅茶苦茶にスタイルいいなー…。
同性ながら惚れ惚れするわ…。
「買ってきたぞ一夏。って…佳織? こっちに来ていたのか…」
「うん」
あれ? 篠ノ之さんが着てるビキニって…色や形的に私と一緒?
違うのはサイズぐらいか…。
「佳織たちが来ると分かっていれば、皆の分も買ってきたんだがな」
「大丈夫だよ。ちゃんと、こっちに来る前に自分達で飲み物は買って来てるから」
「そうか。無用な心配だったか」
これでようやく全員と会った事になる訳か。
今回は意外と、皆バラバラになっていたから妙に新鮮だった。
「しかし…あれだな。佳織の水着姿ってだけでもかなり新鮮なのに、普段とは違う髪型なのは凄い衝撃があるな…」
「そうだよね! 箒もそう思うよね!」
「あぁ。なんというか…ツインテールになった事で清楚なイメージから、一気に元気そうな感じに変化したというか…」
髪型一つでそこまで変わるもんかね?
そこら辺はイマイチよく分かりません。
「それで…本音はまたどうしてそんな恰好をしている? というか、それは水着…なのか?」
「あ…そこをツッコんじゃうんだ」
今までずっと、私以外は敢えてスルーしてたのに…流石は篠ノ之さん。やるな。
「これも立派な水着だよー。こう見えて、意外と着心地は良いし、通気性も抜群なんだからー」
「そ…そうなのか…」
それが普通のリアクションです。
何も間違ってはいませんとも。
「そう言えば…海に来たのに、まだ入ってはいないんだよね。少しぐらいは入った方がいいのかな…? カナヅチだけど」
「そうなのか? 私はてっきり…」
またかい。
凰さんといい、篠ノ之さんといい、皆の中の私ってどうなってるの?
凄いのはトールギスなだけであって、私は全く凄くは無いんだからね?
そこのところ、ちゃんと理解してる?
「今からだと時間的にも難しいだろう。入るとすれば午後からにした方が良いだろうな」
「え? もうそんな時間?」
篠ノ之さんに言われて、スマホで時間を確認すると、現在の時刻は11時55分。
いつの間に、こんな時間になってたんだ…?
それだけ色んな事が目まぐるしく起きていたって事なのかな?
「ん? お前達…まだこっちにいたのか。もう昼を食べに行ったのかと思ったぞ」
「「「「「「え?」」」」」」
後ろから聞こえてきたのこの声は…織斑先生?
反射的に振り向くと、そこには…。
「おぉ……」
真っ黒なビキニを着た織斑先生が立っていた。
なんじゃこりゃ…凄いことになってますがな…。
とてつもない破壊力だ…。
次回、大人のターン。