私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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少女達の『告白』

 あ…ありのままに起こったことをお話しますのぜ…!

 織斑君にマッサージをして貰っていたら、いつの間にか本音ちゃんや篠ノ之さんを筆頭とするいつもの面々が織斑先生によって部屋に入れられて正座をさせられていた。

 何を言っているのかよく分からないと思うけど、私にもよく分からない。

 ちゃちな手品やトリックとはレベルが違う。

 もっと恐ろしいものの片鱗を感じました…。

 

「…てな感じでOK?」

「OKって…仲森さんってマジで度胸あるよな~…この状況でそんな言葉が飛び出るなんて…」

「そう?」

 

 私は単純にポルナレフの真似がしたかっただけさ。

 かといって、最終的にイタリアでディアボロに倒されるつもりは無いけど。

 

「こいつら全員、廊下から部屋の様子を伺っていたようでな。盗み聞きは流石にどうかと思い、現行犯で捕まえたという訳だ」

「えっと…ドアは開けてませんでしたよね? どうやって分かったんですか?」

「気配だ」

「「えぇ~…」」

 

 よりにもよって気配って…。

 千冬さんは一体いつの間に、そんなドラゴンボールやワンピースみたいな能力を身につけたんですかぁー…。

 まさかとは思うけど、生身で空を飛んだりは出来ない…よね?

 

「一夏の奴ぅ~…幾らマッサージとはいえ、アタシの佳織の身体にベタベタと触ってくれちゃって…!」

 

 はいこらそこ。

 私の身体は一体いつ、凰さんの物になったんですかね。

 

「か…佳織! 本当に大丈夫だったのか!? 一夏に変な場所とか触られてないかッ!?」

「うん。そこら辺は本当に大丈夫だよ? 寧ろ、すっごく体が軽くなった。ほら」

 

 皆に見せつけるかのように、両腕をグルングルンとさせる。

 少し前までは、こんな芸当なんて不可能でした。

 しようとすれば肩が悲鳴を上げてたんだよね。

 

「ほっ…よかった…。どうやら、まだ佳織の貞操は無事のようだな…。もし一夏の奴が佳織に何かをしていたら…」

「し…していたら…?」

「今から急いで、ドラム缶とコンクリートの準備をしなくてはいけない所だった」

「沈める気だー!! 目と鼻の先に海があるから、思い切り俺を海の藻屑にする気満々だー!!」

「ふっ…冗談だ。半分は」

「半分は本気なのかッ!?」

 

 うーん…流石は篠ノ之さん。

 幼馴染には微塵も容赦がありませんな。

 

「それにしても…まさか、かおりんがおりむーにマッサージをして貰っていたなんてね~。そんなに酷かったの~?」

「そりゃもう。仲森さんの全身、マジで凝りまくってたぞ?」

 

 そこまでなんだ…ある程度の自覚はあったけど…。

 マッサージされながら色々と考えてたんだけど、多分これってトールギスだけが原因じゃないよね…。

 もしかしたら、勉強のしすぎかもしれない…。

 ここ最近、部屋にいる時はずっと、机に座っている記憶しかない…。

 少しばかり焦り過ぎたのかな…。

 

「矢張りな。あの声から察して、すぐに佳織がマッサージを受けていると理解したぞ」

「ほぅ…流石だな、ボーデヴィッヒ。だ…そうだが?」

「「「「「うぐ…」」」」」

 

 ボーデヴィッヒさん以外の皆がすごーく気まずい顔をしながら視線を逸らしたし。

 

「けど、本当に気分が良くなったよ。織斑君、ありがとう」

「ど…どういたしまして…。こんな事でも、仲森さんの役に立てたんなら良かったよ…ははは…」

 

 いや~…マジで超スッキリしましたわー。

 でも、同時に眠気も凄いんだよね…なんで?

 

「ふむ…佳織。眠いのか?」

「ですね…ふわぁぁ…」

 

 あ…大きな欠伸が出た。

 マッサージ中に声を出してたから疲れちったのかな?

 

「我慢は良くないな。もう部屋に戻って、ゆっくりと休むといい」

「そうしま~す…ふわぁ…みんな~…お先に失礼するね~…」

 

 かるーく手を振りながら部屋を出ていく。

 皆は『置いて行かないで―』的な顔をしてたけど、ソレ系のお願いは部屋の主である千冬さんの上告した方がいいよ。

 多分、無駄に終わるかもだけど。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 佳織が部屋から出ていくと、途端に室内が緊迫した空気に包まれる。

 そんな中でも平気そうにしているのは、一夏とラウラの二人のみ。

 両者とも、千冬のこんな雰囲気には慣れっこなので普通にしていられるのだ。

 

「一夏。お前もマッサージをして疲れただろう。かなり汗を掻いているぞ」

「え? あ…本当だ」

「寝る前にそれでは流石にな。まだ時間的には大丈夫だろうし、温泉で汗を流して来い」

「そう…だな。そうするよ。んじゃ、行ってくる」

「あぁ」

 

 そう言ってから、現状における頼みの綱その1である一夏は着替えとバスタオルを持って温泉へと行ってしまった。

 これで残されたのは、毎度お馴染みとなったヒロインズだけ。

 正直、一夏だけが最大にして唯一の希望だったりする。

 この状況でラウラに対して過度な期待はしていなかった。

 

「さて…これで部屋には私とお前達だけになったわけだが…折角だ」

「「「「「ゴクリ…」」」」」

「ん? お前達、何を緊張しているのだ?」

 

 逆に、どうしてアンタは緊張してないんだよッ!?

 全員が無言でそう訴えていた。

 

 そんな中、千冬は備え付けの冷蔵庫の中から多種多様なドリンクを取り出して、少女達の目の前に置いた。

 

「腹を割って話でもしようじゃないか。どれでも、好きなのを取っていいぞ」

「「「「「あ…ありがとうございます…」」」」」

「では、私はこのアイスココアを貰うか」

 

 お前の辞書に『遠慮』って言葉は無いのかっ!?

 またもや、ヒロインズは顔でそう訴えた。

 

「どうした? 遠慮なく取って構わんぞ?」

 

 千冬にそう言われては取らない訳にはいかない。

 なので、ラウラ以外の面々は恐る恐ると言った感じで各々にジュースを取っていった。

 

「…取ったな?」

 

 少女達がジュースを手に取ったのを確認すると、千冬はどこからか徐に缶ビールを取り出してからプシュという小気味のいい音を出し、そのままグビグビと飲み始めた。

 

「ふぅ~…」

「あ…あのー…いいんですか?」

「別に構わんさ。これは佳織にも言ったが、今は夜で勤務時間外だ。堅苦しいことは無しだ」

「はぁ…」

 

 思わずシャルロットが質問をしたが、まさかの回答が帰ってきた。

 今の千冬は完全にプライベートな状態になっていた。

 

「因みに、お前達が手にしているソレは口止め料という奴だ。誰にも言うなよ?」

 

 ニヒルな笑みを浮かべつつ全員を見渡す。

 『しまった』と思いつつも、受け取った以上は何も言えない。

 

「…で、お前達は佳織のどこに惹かれたんだ?」

「「「「「ブッ!?」」」」」

 

 会話開始1秒でブッ込んできた。

 この女教師、本当に今は遠慮をする気は無いらしい。

 

「わ…私は…その…途方に暮れていた私の手を掴んでくれたから…」

「そうなのか。そう言えば、いつの間にか佳織と仲良くなっていたな」

 

 箒と佳織が親しくなった経緯を良く知らない千冬は、話を聞いて納得したような顔になった。

 

「私も…箒さんと似たような感じですわ。一度は見捨てようともした私を佳織さんは許してくれた。その優しさに全力で報いたいと…そう思ったのです」

「実にアイツらしいな…。例え誰であっても決して見捨てない…か」

 

 普通ならば恨まれても不思議じゃないというのに、佳織はそれを許した。

 それは佳織の心が強いからだと千冬は知っている。

 

「アタシはー…そのー…いつの間にか好きになってたとしか…」

「そう言えば、転入してきてすぐに佳織と会っていたんだったな。あの時、佳織が色々と言っていたぞ」

「あはは…本当にあの時はどうかしてました…」

 

 一夏に会いたい一心で中国から戻ってきた鈴ではあったが、呆れながらも一緒にいてくれた佳織の優しさに触れ、気が付いた時には彼女に夢中になっていた。

 

「僕は…佳織に色んな意味で救われたから…。僕だけじゃなくて、お父さんやお義母さん…会社まで…。本当に、どれだけ感謝してもしきれなくて…」

「…そうだな。本人は否定するかもしれないが、結果として佳織はフランスに住む多くの人々を救った事になる」

 

 切っ掛け自体はほんの些細な事。

 だが、それによって多くの人の輪が広がり、最終的にはシャルロットだけではなく、彼女の両親、デュノア社、ひいてはフランス全土の女性権利団体に苦しめられてきた人々をも救った。

 それはとても偉大な事であり、皆から褒め称えられても決して不思議ではない。

 

「佳織は私の命を救ってくれただけでなく、新たな道を示してくれました。故に、今度は私が佳織を全力で支えると決めたのです」

「あの時は本当に大変だったな。だが、全ては佳織の尽力のお蔭…か。ドイツ軍の高官と一対一で話したと聞いた時は流石に驚かされたが」

 

 力と知。

 その両方を駆使した結果、最悪の事態を防ぐことが出来た。

 ラウラの心を救い、彼女を『大人の悪意』からも守ってみせた。

 

「布仏はどうだ? お前は最初の方からずっと佳織と一緒にいる事が多かったと記憶しているが?」

「私は…」

 

 何かを考えるように視線を巡らせ、その手に取ったオレンジジュースを口に含む。

 

「かおりんと一緒にいると、いつも楽しくて…それだけで幸せで…かおりんが戦っている姿を見てると心がキューって締め付けられるような気持ちになって…」

「それで?」

「かおりんとずっと一緒にいたいって気持ちが…日に日に強くなって…それで…」

「ふっ…もういい。お前の気持ちは十分過ぎるほどに伝わったよ」

 

 礼とか建前とか無しに、本音は純粋に佳織の事を好いている。

 どこまでも真っ直ぐに、どこまでも只管に。

 

「だが…お前達も知っての通り、佳織の今は中々に複雑となっている。それは…分かるな?」

「「「はい」」」

「「「複雑…?」」」

 

 事情を知っているセシリア、鈴、本音の三人は強く頷き、まだ何も知らされていないシャルロット、ラウラ、箒の三人は小首を傾げていた。

 

「織斑先生。箒さんたちは…」

「…そうだったな。いい機会だし…話しておくか。佳織を支える人間は、少しでも多い方が良い。無論、今から話す事は他言無用だがな」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「幼少期からずっと、謎の男によるストーキングを受け…」

「その相手が今はIS委員会の幹部になっていて…」

「佳織を半ば無理矢理にIS学園に入学させた元凶…だと…!?」

 

 千冬から話を聞いた三人は、最初は戸惑い、次に悲しそうな顔になり、最後には怒りに満ちた顔になった。

 

「その男が…佳織にあの白い機体を授けたのか…!」

「それ自体は結果オーライだけど、それ以外は…!」

「許せん…絶対に許せん! 元軍人として…いや、一人の人間として許してはおけん!」

 

 自分達を救ってくれた佳織が、実は最も大変な目に遭っていた。

 大人達の悪意に晒され続けているのに、それでも自分達に救いの手を差し伸べてくれた佳織に、今度は自分達こそが救いの手を差し伸べる番だ。

 箒、シャルロット、ラウラの三人は今、他の者達と志を同じにした。

 

「佳織自身も多少の自覚はあるようだが、そのストーカーは巧妙に自分の正体を隠しているようでな。未だにその見当すらついていないのが実状なんだ」

「委員会の幹部ともなれば、その権限の大きさは計り知れない…」

「隠そうと思えば、それこそ幾らでも正体を隠蔽できるってワケね…」

 

 考えれば考えるほどに憎たらしい。

 佳織が一体何をしたと言うのか。

 

「佳織さんがとても可愛らしいのは共感できますけど…」

「それを理由に長い間に渡ってストーキングするなんて、絶対に許せることじゃないよ…!」

 

 まだ顔もよく知らない相手に怒りの炎を燃やす面々。

 その時、ふとラウラがある疑問を口にした。

 

「幼少期の佳織か…どんな少女だったのだろうか」

「「「「「「!!!」」」」」」

 

 全員の頭上に雷が落ちた。

 

 ストーキングされる程なのだから、かなりの美幼女であったに違いない。

 だが悲しいかな。彼女達は幼い頃の佳織の姿を全く知らない。

 となれば、やることは一つ。

 

「きっと、日本人形みたいに美しかったに違いない…」

「ほっぺはプニプニで…小さくて可愛らしくて…」

「絶対に近所でも超有名な美少女だったでしょうね」

「小さな頃の佳織か~…写真とか見てみたいなぁ~…」

「ちっちゃな頃のかおりん…想像するだけで可愛いよ~♡」

「幼い頃の佳織…か…」

 

 たった一言で、話題は憎き怨敵から、幼女時代の佳織の話にシフトした。

 結局、最後まで全員で幼女の頃の佳織の妄想をしていたのだった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 一方その頃。佳織は…。

 

「うわぁ…なんか冷静になって考えたら、私ってば同い年の男の子にめっちゃ体を触られたんだよね…。ウニャ~! 急に恥ずかしくなってきたんですけどぉ~!!」

 

 布団の上で顔を真っ赤にしながらゴロゴロと転がって悶えていた。

 

(フッ…年頃の少女のように悶える君もまた可愛らしい。そして、マッサージもまたエレガントに…)

「唐突にキザすぎる台詞を言わないでください! あと、エレガントなマッサージって何なんですかトレーズ閣下~!!」

 

 その後、疲れて寝るまでずっと佳織は顔を真っ赤にしながら悶々としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




なんか、トレーズ様が想像以上にキャラとして万能だった件。

普通にカッコよくて戦闘も最強。

おまけにボケまで出来る万能っぷり。

マジであの人に欠点って無いのかしらん?



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