私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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マジのマジで遂に始まる福音との決戦。

ようやく、ここまで来たって感じです。

まず間違いなく長くなると思うのでお覚悟を。

因みに、戦闘シーンはいつものように三人称視点でお送りします。










決戦開始

 なんか前にも言ったかもしれないけど、時間が経過すると言うのは本当に早いものでして。

 あっという間に一時間が経過し、出撃の時刻となった。

 

 私を含めた異例の出撃メンバーは、揃って旅館の近くにある砂浜にて待機をしている。

 

「ん? 佳織…そのISスーツは、もしや…?」

「あ…はい。あの時、束さんに貰った奴です。自分なりに気合を入れようと思って…」

 

 そうなのです。

 私が今、着ているISスーツは市販のやつじゃなくて、ちょい前に束さんから貰った『ゼクス仕様』のISスーツなのだ。

 どう考えても私には不釣り合いな煌びやかだけど、こーゆーのも偶には悪くは無いかな。

 

『おぉ~! 流石はかおりん! 思った通り、良く似合ってるよ~!』

「ありがとうございます。…ところで一つ質問があるんですけど…」

『かおりんからの質問? なにかな? なにかな~?』

「…このISスーツ、ビックリするぐらいにサイズがピッタリだったんですけど…一体どうやって図ったんですか?」

『え? それは勿論、画面越しにかおりんの身体を徹底的に観察して~…あ』

 

 おいおい…思わぬところでボロを出したぞ、この天災。

 ま…分かってたけどさ。

 

「束…」

『な…何かな? ちーちゃん』

「戻ってきたら…少しOHANASIをするか…」

『う…うん…了解です…』

 

 急に千冬さんの目がハイライトになったし。

 これはこれで不気味ですな。

 

「おいおい…まさか、あいつから専用のISスーツを貰ってたのか? 地味にスゲーな」

「あはは…どもです」

 

 ケイシー先輩がフレンドリーに話しかけてくる。

 ついさっき会ったばかりの人だから、流石にまだ微妙に緊張する。

 

「よくお似合いですよ、仲森さん。まるで代表候補生みたいです」

「そうだな。佳織ならば、実際に候補生…いや、国家代表にだってなれるだろう」

「大袈裟だよー…」

 

 山田先生とボーデヴィッヒさんが褒めてくれるけど、私は候補生にも国家代表にもなるつもりは無いんだよね。

 どこまで行っても、私は落語家志望ですから。

 それだけは何があっても曲げるつもりは無いからね。

 

 因みにだけど、専用機を持っていないボーデヴィッヒさんは真っ黒に塗装されたリヴァイヴに高機動仕様のパッケージを装着した機体を使用している。

 最初は態々、色を塗り替えたのかと思ったんだけど、束さんが言うには『相転移技術を応用して一時的に機体色を変えた』…らしい。

 要は、コズミック・イラのガンダムの装甲みたいな事?

 流石にフェイズシフト装甲ではないだろうけど。

 

『皆さん。お話はそれぐらいで。もうそろそろ出撃の時間ですわ』

 

 おっと。もうそんな時間ですか。

 今回、惜しくも出番が無いオルコットさんやデュノアさん、凰さん達はさっきまで私達がいた即席司令室にてオペレーターとかをやってくれている。

 なんでも、候補生として訓練を受けた時、この手の事も勉強させられたらしい。

 道理で、元候補生である山田先生が妙に分析とかオペレーティングとかに手慣れている訳だ。

 これを聞いた時、改めて候補生の皆って凄いなーって感心させられた。

 

「了解だ。皆聞いたな? では…行くぞ!」

「「はい!」」

「おう!」

「了解です!」

 

 千冬さんの言葉と同時に、皆がそれぞれにISを装着する。

 

 山田先生はデュノアさんから借り受けた『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』を。

 ケイシー先輩は、両肩の狼の頭部を模した意匠を持つ機体『ヘル・ハウンド』を。

 ボーデヴィッヒさんは、さっき説明した黒いラファールを。

 千冬さんは弟である織斑君から借り受けた『白式』を。

 そして私は、毎度お馴染みのトールギス(テンペスト装着仕様)を。

 

「オルコット。福音の方はどうなっている?」

『少し前からピタリと動きを止め、目標海域の上空に静止した状態にいます。先程まで、あんなにも飛ばしていたのに…なんだか不気味ですわ…』

「確かにな。だが、裏を返せばこれは絶好のチャンスとも取れる。そこにどのような理由があろうとも、相手が止まっているのならばこちらから強襲を仕掛ける絶好のチャンスだ。この機会を逃すわけにはいかん」

 

 全く以てその通りだ。

 デフォの状態で、高機動&高火力な機体を相手にするんだから、せめてこちらから先制攻撃を仕掛けて流れを掴むぐらいの事はしなくちゃ。

 相手は最初から複数の敵と戦うことを想定した機体。

 数の上での有利なんて全く意味が無い。

 寧ろ、原作と同様に最大限の用心をして行かないと。

 

「暫時衛星リンク確立…情報照合完了。目標(ターゲット)の現在位置を確認。よし…いつでも行けます」

「上出来だ。流石は佳織だな」

「それ程でも…」

 

 あーあ…ほんの数か月前までは、こんな事なんて全く出来なかったのに…いつの間にか普通に出来るようになっちゃってるんだから怖いよねェ…。

 

「こっちも終わったぜ」

「こちらも完了しました」

「いつでも大丈夫です」

「よし。それでは…」

 

 トールギスの腰部のサブバーニア部分だけ展開し、機体の出力を上げていく。

 やってるのは私じゃなくてゼクスなんですけどね。

 

「全機…出撃!!」

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 海の上を飛行していく五機のIS。

 その中でも矢張り、一番先頭を行くのはトールギスだった。

 

「おいおい…マジかよ…。サブのバーニアだけで飛んでるッつーのに…飛んでもねェ速度を叩き出してやがるぞ…! こっちもそれなりの速度を出してるッつーのによ…全く追いつける気配がねェ…」

「当然だ。今の佳織はこちらに合わせて速度をかなり落としている。全てのバーニアを展開すれば、並のISでは追従することすら不可能だろう」

「成る程な…噂通り…いや、噂以上の化け物って事かよ…!」

 

 アメリカの候補生として、ダリルもまたトールギスの事はある程度は知っていた。

 最初期に製造されたISにも拘らず、現行の全てのISを完全に凌駕する恐るべき性能を誇る化け物機体。

 その異常とも言うべき性能故に、次々と乗り手を殺してきたIS時代における『負の遺産』であり『黒歴史』。

 自分の後輩が、それを易々と乗りこなしているだけでなく、その全力稼働状態である『殺人的加速』にすら普通に耐えている。

 ダリルからしたら絶対に有り得ない事であった。

 

「いつもは遠くから見ているだけでしたけど…こうして近くで動いているのを見たら、改めてトールギスが規格外だって思っちゃいますね…」

「今思えば、私も無謀な事をしたものだな…。佳織とトールギスの組み合わせはまさに一騎当千。それに真正面から挑もうとしていたのだから…」

 

 過去の自分の愚行を思いだし顔を振るラウラ。

 だが、もう二度と同じ過ちは繰り返さない。

 自分を本当の意味で救い出してくれた佳織の為にも。

 

「どうした?」

「いや…なんでもない」

 

 少しだけ顔を動かして佳織がこちらを見てきた。

 正確には、顔を動かしたのは佳織自身の意志だが、声を掛けたのはゼクスだ。

 

「本当に、さっきまでとは違ってクールになってやがるのな…」

「恐らくは『スイッチ』が入っているのだろうな。トールギスに乗っている時の佳織は、恐ろしく冷静沈着で、同時にとても熱い性格をしている」

「クールで熱い…ね。まるでオレとフォルテみたいだな」

 

 IS学園に残してきた想い人の事をふと思い出す。

 彼女に再び会う為にも、こんな所では負けられない。

 

「…セシリア。福音はまだ動きを止めたままか?」

『は…はい! 未だにこれといった動きは見られませんわ!』

「そうか…」

 

 トールギスに乗っている時の佳織…もといゼクスは、友人達の事を名前で呼ぶ。

 この時のギャップが、更に彼女達の心をかき乱すのを二人は知らない。

 

「山田先生。貴女の腕を見込んで一つ頼みがある」

「仲森さん? なんですか?」

「福音の姿を確認し次第、こちらから先制攻撃を仕掛ける」

「具体的には?」

「トールギスのドーバーガンのビームを発射する。その一秒後に福音の右側に向けてミサイルランチャーを発射して欲しい」

「ビームの後にミサイルを…あ…そう言う事ですね。分かりました! 私に任せてください!」

「よろしく頼む」

 

 普段は頼りにしてしまっている生徒に頼られた。

 教師として、これ以上に嬉しいことは無い。

 真耶は自然と気合が入った。

 

「む…見えたぞ!」

「あれが…福音か…!」

 

 遠くに見えた全身が白銀に染まったIS。

 その頭部から一対の巨大な機械の翼を生やし、それ自体が大型スラスターと広域射撃武装を複合させた存在となっている。

 出撃前に何度も何度も確認をした『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』に間違いは無かった。

 

 だが、どうも様子がおかしい。

 まるで母体の中にいる胎児のように体を丸め、その場でじっと滞空しているだけで、それ以外は何にもしていない。

 普通ならば『これなら楽勝』と思うだろうが、相手は『暴走した軍用機』。

 こちらの常識に当て嵌めて考えてはいけない。

 

「山田先生! 手筈通りに!」

「了解です!」

 

 飛行しながらドーバーガンを片手で構え、空中静止している福音にロックオンサイトを合わせる。

 それが重なった瞬間、躊躇う事無く引き金を引いた!

 

「喰らうがいい!!」

 

 その細い銃身からは想像も出来ないような極太のビームが発射され、それが真っ直ぐに福音に目掛けて飛んで行く。

 このまま直撃か?

 千冬たちがそう思った瞬間、福音はこちらの想像を超える動きを見せた。

 

『!!!』

「「「なっ!?」」」

 

 なんと、一瞬で体勢を元に戻し、全身を捻りながら紙一重の所でドーバーガンのビームを右側に回避してみせたのだ。

 

「冗談だろッ!? 今のを避けるのかよッ!?」

「タイミング…速度…全てが完璧だった! それなのに…!」

「それを易々と避けてみせるか…! だがな!」

 

 避けた先には、真耶が予め時間差で発射しておいた四基のミサイルが眼前にまで迫って来ていた。

 そう…佳織は最初から読んでいたのだ。

 自分の攻撃が避けられることを。

 避ける方向が右側であることも。

 

 結果、回避をした直後故に上手く体勢を整えられなかった福音は、四基のミサイル全ての直撃を受ける事となった。

 

「先制攻撃成功! やりました! 仲森さんの作戦通りです!」

「や…やりやがったぜ…! すげぇ…!」

「やるな佳織…! あのドーバーガンを牽制に使うとは…」

「咄嗟の場合、人間は反射的に『利き側』の方向に避けようとする。幾ら暴走していても、操縦者の癖は染み付いている…ということか」

 

 佳織の見事な作戦に感心しつつも、すぐに気持ちを切り替える。

 あの程度の攻撃で福音がどうにかなるとは微塵も思っていない。

 寧ろ、本番はここからなのだ。

 

「流れは掴んだ…だが、余り時間は掛けられん! 短期決戦で決着をつけるぞ!」

「「「「了解!!」」」」

 

 佳織の激を飛ばしたと同時に、福音の周辺にあるミサイルの爆煙から光が溢れ出る。

 次の瞬間、光と共に全ての煙が吹き飛ばされ、僅かに薄汚れた福音が姿を現した。

 勿論、先程の待機状態ではなく、完全な戦闘態勢状態で。

 

「ミサイルでは掠り傷が精一杯か。ならば!」

 

 そして、決戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まずはここで一区切り。

次回から本格戦闘開始です。




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