私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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取り敢えず、連投はここまで。

次回以降はまたいつものように気紛れランダム更新に戻ります。









疲れた時にぐっすり寝る。これ人類の知恵。

 福音との戦いが終わり、私達は旅館に向かって飛んで行く。

 そういや、なんかしれっと中の人を救出したけど…この人って何て名前だったっけ?

 福音が操縦者の人を入れたまま暴走してたのは知ってたけど、その名前までは覚えてないんだよね。

 ま…別にいっか。

 原作みたいに誰も傷つかずに作戦を無事に終わらせて、しかも要救助者も保護出来た。

 作戦内容的には100点満点でしょ。

 

「あ…見えてきた」

「そんなに時間は経ってない筈なのに、何時間も戦ってた気がするぜ…」

「それだけ緊張状態だったんだろう。ん?」

「浜辺に…誰かがいる?」

「あれは…セシリアに鈴…シャルロットに一夏か」

 

 こっちにもハイパーセンサーで見えましたですよ。

 きっと、そのまま旅館の中で待ってられなかったんだろう。

 実に皆らしいよ。

 

 なんて話してたら、もう浜辺に着いちゃった。

 これでも一応、腕に抱えてる操縦者さんに気を使って超絶速度を落としてるんだけどなー。

 流石に、超鈍足飛行ならゼクスたちの助けなしでもなんとかなる。

 『門前の小僧、習わぬ経を読む』とは良く言ったもんだ。

 

「佳織! 皆!」

「千冬姉! 仲森さん! 無事でよかった…!」

「本当に…本当に…御無事で何よりですわ…」

「全くだね…って、あれ?」

 

 浜辺にゆっくりと降り立つと、皆がこっちに向かって全力ダッシュ。

 四人のうち三人は普通に私達の帰還を喜んでくれたけど、デュノアさんだけはちゃんと気が付いたみたい。

 

「えっと…一つずついいかな?」

「どーぞ」

「まず…その腕に抱えてる人は?」

「福音の操縦者さん。倒したら中からドロップした」

「「パイロットをドロップアイテムみたいに言ってるっ!?」」

 

 織斑君と凰さんのダブルツッコミ。

 これだよこれ。

 戻ってきたって感じがするわー。

 

「お前達、誰でもいいから人を呼んできてくれ。まずは彼女を寝かせてやりたい」

「そ…そんじゃ、俺がひとっ走り行って来るよ!」

「頼むぞ、一夏」

 

 流石は男の子。

 あっという間に旅館まで走って行ってくれた。

 

「あの…さ。もしかしてだけど…トールギス…第二形態移行(セカンドシフト)…した?」

「うん。した」

「あっさりと言うね!?」

 

 だって事実だし。

 

「あっ!? 言われてみれば確かに、トールギスの形が変わってるっ!? っていうか、なんかでっかい翼が生えてるっ!?」

「この翼…形が違うのが後ろにもあります。つまり、二対四枚の翼があるんだよね」

「まさか…あの巨大なバーニアが翼に変化して…?」

「多分ね」

 

 今まではシンプルだったけど、一気にド派手な姿になってしまった。

 これはこれでカッコいいから良いけどさ。

 

「織斑君…まだですかね? 私達は良いとして、このままじゃ仲森さんがISを解除できませんし…あ」

「来たみたいだな」

 

 こっちに手を振りながら、織斑君が担架を手に持った教員の人達を連れて来てくれた。

 ま、旅館の人達に手間を掛けさせるわけにはいかないもんね。

 

「はぁ…はぁ…お待たせ! 先生達を連れて来た!」

「助かる。すみませんが、佳織が抱えている彼女の事をお願いします」

「了解しました。仲森さん、その人をこっちに」

「分かりました」

 

 やって来た先生の一人に福音の操縦者さんを渡すと、彼女は広げられた担架の上にそっと寝かされてから、先生達によって運ばれていった。

 ふぅ…これでやっと降りられる…。

 

「あれ? なんかトールギス…凄いことになってね?」

「「「今更?」」」

 

 ヒロインズから冷たいツッコミ。

 ま、これも主人公の宿命だ。

 

「はぁ…疲れたぁ…」

「お疲れさん。今回のMVPは間違いなくお前だよ。良くやったな」

「ど…どもです…」

 

 私がISを解除するのに合わせて、他の皆もISを解除する。

 までは良かったんだけど、降りた途端にケイシー先輩がニコニコ笑顔で私の頭を撫でてきた。 

 

「「「………」」」

 

 んで、オルコットさんと凰さんとデュノアさんが、めっちゃ目を丸くして私達の事を見てた。

 

「えっと…? これは一体…?」

「予想外の所から予想外の伏兵が来た…?」

「なんか最近…次々と強力なライバルが出現してない…?」

 

 ライバルって何の?

 ポケモンか?

 

「一夏。お前の白式…返すぞ」

「おう。で、どうだったんだ?」

「暴走した軍用機と言うのは、私達の想像を遥かに超えていたよ。ケイシーと同時に放った渾身の一撃を簡単に防がれた時は地味に焦った」

「千冬姉と先輩の同時攻撃を防いだって…マジかよ…」

 

 一度は世界最強の座にまで上り詰めた人と、三年生の専用機持ち。

 それを呆気なく防御してみせた福音の性能は推して知るべきだね。

 原作でも皆が死ぬほどに苦戦するのも頷けたもん。

 

「デュノアさん。リヴァイヴ・カスタムⅡ…ありがとうございました」

「礼を言われる程じゃありませんよ。山田先生には、出られないボクの代わりに出撃して貰ったようなものだし…」

 

 今回改めて思ったけど、やっぱ山田先生とラファールの組み合わせが一番合ってるような気がする。

 いつの日か、山田先生専用にラファールのカスタム機とか作られたりしないのかな?

 

「一先ず、これで作戦は終了だ。佳織」

「はい?」

「疲れている所申し訳ないが、念の為に体を検査して貰え。お前の事だから大丈夫だとは思うが、もしかしたらと言う場合もある」

「そうですねー…別に痛い所とかは無いんですけど…了解です」

 

 ま、すぐに終わるだろうから別にいいんだけどね。

 検査が終わったら全力で休もう…。

 

「それとケイシー」

「なんだ?」

「今日は旅館に泊まって行け」

「いいのか?」

「あぁ。予想外だったとはいえ、お前がいなかったら作戦自体が成立しなかった上に、最悪の場合は佳織一人を出撃させていたかもしれん。それぐらいは許されても良いだろう。旅館と学園には私から話しておく」

「マジかよ! よっしゃ!」

 

 おぉ~…先輩も今日は一緒にお泊りですかー。

 でも、どこの部屋に泊まるんだろ?

 空いてる部屋とかあるのかな?

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「もきゅもきゅ…」

 

 あー…昨日に引き続き、今日もまた旅館の御飯が美味しいなー。

 お刺身サイコー。魚介出汁たっぷりの味噌汁ウマー。

 

「うっめー! ハンバーガーも悪くはねぇけどよ、やっぱ日本にいる時は和食に限るよなー! 特に刺身とか、アメリカじゃ日本食の専門店にでも行かねーと絶対に食えねーもんな!」

 

 …で、私の隣で浴衣を着た状態で100万ドルの笑顔を浮かべながらパクパクと食事を食べているケイシー先輩がいるんですよ。

 しかも、浴衣はめっちゃ着崩してて、胸の谷間が丸見え状態。

 先輩…一応、男の子がいるって自覚してます?

 

(つーか先輩…箸の使い方が上手じゃね?)

 

 やっぱ、日本滞在も三年目に突入すると自然と上手くなるもんなんだろうか?

 

「お…おい…お前達…」

「何よ?」

「か…佳織の隣に座っている、あの人物は一体誰だ…?」

「「「あぁ~…」」」

 

 そうそう。

 作戦はもう終わったから、普通に篠ノ之さんや本音ちゃんと合流出来た。

 内容は話せないけど、でもこうして顔を見れただけでも普通に嬉しい。

 

「私…あの人知ってるよー」

「本当か本音?」

「うん。お姉ちゃんに聞いたことがある。三年生にアメリカの候補生の人がいるって。多分、あの人だと思う…」

「アメリカの候補生…どうして、そんな人がここにいるんだ…?」

 

 どうしても言われてもな…。

 素直に白状したら、普通に作戦の内容の話に飛び火するしね…。

 

「そうねぇ…濁しながら、かつ簡単に説明すると…」

「「すると?」」

「…助っ人よ」

「「え?」」

「空より高くて海よりも深い事情により、学園側が寄越してくれた助っ人…そうとしか説明できないのよ」

 

 おっふ…流石は凰さん…凄まじくテキトーな説明で切り抜けおったで…。

 

「そう言えば、さっきから周りの皆…静かじゃない?」

「恐らくは…昼間の『アレ』が原因だろうな…」

「アレと言えば…」

「篠ノ之博士のお説教…ですわね」

「かなりの劇薬だったからねー…」

 

 なーるほど。道理で私達以外の皆の顔が意気消沈モードになってる訳だ。

 あれからもう何時間も経過してるのに、まだ落ち込んでるって事は『こうかはばつぐんだ!』だったって証拠だね。

 あそこまで言われてもまだ能天気に騒いでたら、マジで救いようも擁護のしようも無かったし。

 

「ん? どうかしたのかよ?」

「あ…いや。実は…」

 

 ここで説明上手なデュノアさんがケイシー先輩に昼間の事を話してくれた。

 それを聞いた先輩は納得したように何度も頷いた。

 

「そっか。ま、そりゃ篠ノ之束の言ってる事が全面的に正しいわな。言い方は厳しいけどよ」

 

 最上級生の候補生も同意見となると、こりゃマジで頑張らないと今年の一年生の殆どが落第しちゃうのでは?

 IS学園で留年するってのは…どうでしょ。

 

「オレらから見ても、今年の一年はどうも浮かれすぎてたからな。ま、その原因は分かってるけど」

「え?」

 

 その『原因』である男の子は、エビの天ぷらにお塩を付けようとしている所で視線に気が付いてこっちを向いた。

 そのエビ天、美味しかったなー。

 

「先輩が一年生の時は、どんな感じだったんですか?」

「オレらか? そーだなー…少なくとも、こいつ等みたいに浮かれては無かったな。そんな暇も余裕も無かったってのが本音だけど」

「呼んだー?」

「「呼んでないよ」」

 

 そっか…そうだよな。

 二年前はまだ織斑君は普通の中学生だったんだし。

 織斑先生はー…どうだったんだろ? もう既に在籍してたのかな?

 

「それは今の二年連中も同じだ。だからこそオレら上級生は割とマジで呆れてんだよ。『今年の一年は本当に大丈夫なのか』って」

 

 先輩達が心配する気持ち…めっちゃ分かるなー。

 実技の授業中にいきなり織斑君に自分をアピールし始める時点で、微塵も真面目さなんて感じられないし。

 

「先輩個人から見て、今年の一年生はどうですか?」

「んー…佳織みたいにスゲー奴もいれば、候補生連中みたいにマシな奴等もいる。けど、それ以外との差が激しすぎるな。中間が殆どいねェ。『上』と『下』にハッキリと分かれてやがる。IS学園の本質である『実力主義』ってのを正しく理解してない証拠だ」

 

 この『実力主義』ってのは、何も『ISで強い』ことだけを指している言葉じゃない。

 本音ちゃんみたいに整備能力が優れている子も十分に評価の対象になっているし、今のボーデヴィッヒさんや篠ノ之さんのように『一芸』が優れている子も評価される。

 逆を言うと、どれだけ元の成績が優秀でスポーツ万能でも、IS学園に入学してから浮かれ捲って努力を怠ったら、その時点で落第への道を踏み出し始めている。

 IS学園は決して『テストで良い点を取れるだけの人間』や『テストは出来ないけど勉強だけは頑張っている人間』は必要としていない。

 『勉強や努力も出来て、テストでも良い点を取れる人間』を求めている。

 今の彼女達は、まさに『テストで良い点が取れるだけの人間』だ。

 どれだけ授業についていけても、普段から織斑先生以外の教師を基本的に見下していたり、学園唯一の男子にアピールすることしか考えないような人間に居場所は無いし、学園側も居場所を与えようとは思わないだろう。

 そんな人間は、本気で真面目に頑張っている人間にとって邪魔にしかならないから。

 

「…この中で果たして、どれだけの人間が学園に居続けるのかな…」

「仲森さん…しれっと怖い事を言うな…」

「言い回しが完全にホラー映画の台詞になってるわよ?」

「え? そう? 全く自覚無かった…」

 

 学園に戻ってから、もしくは二学期が始まってから。

 心機一転頑張ろうとするのか、それとも全てを諦めて現実から逃げるのか。

 少なくとも私は、もう目の前の現実から逃げるのを止めた。

 逃げても無駄だって理解したし、今の私は一人じゃないって自覚したし。

 一人じゃ無理でも、皆と一緒なら頑張れる。

 果たして、この中のどれだけの子が、私と同じような考えに至るのやら…。

 

「ふわぁ…」

「ん? 佳織…もしかして眠いのか?」

「まぁ…流石に疲れがドッと来たと言いますか…」

「流石に、メシを食ってる最中に寝るなよ?」

「大丈夫ですよ。少なくとも、ご飯を食べて、温泉に浸かって疲れを取るまでは寝ないって決めてますから」

「おぉー…良いじゃねぇか。なら、オレも後で一緒に温泉に行くとするか」

「「「「「え?」」」」」

 

 先輩と一緒に温泉かー…それもいいですにゃー。

 で、どうして織斑君以外の皆はギョって顔でこっちを見てるの?

 

「わ…私も一緒に行くぞ佳織!」

「このセシリア・オルコットも同席しますわ!」

「勿論、あたしもね!」

「僕も一緒だからね佳織!」

「皆も行くのか? なら、ついでだし私も一緒に行くか」

「かおりんが行くなら私も入る~!」

 

 なーんだ。結局、いつもの皆で入るんじゃン。

 そっちの方が賑やかだし良いけどね。

 問題は…それまで私が眠気に耐えられるかどうかですな…。

 頑張れ…私…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は、千冬さんと束さんとのお話から。

二人は今回の事件をどんな風に考察しているのでしょうか?




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