私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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マジで一気に寒くなりましたね。

にしても、幾らなんでもこれは急激すぎるのでは?

普通に体調を崩してもおかしくはありませんよ。







薬はいつも飲む癖に病院とかは苦手という矛盾

 私が専用機『トールギス』を受け取ってから少しだけ時間が経った。

 あれから一度も機体を展開なんてしてはいない。

 だって、一度でも動かしたが最後、その日が私の命日確定ですから。

 というか、冷静に考えると今の私って、常日頃から死亡フラグをぶら下げているようなものなのでは?

 死亡フラグと一緒に暮らす学園生活って何よ。一体どんな地獄?

 勿論だけど、原作メンバーのように訓練なんて以ての外。

 練習で死ぬとか洒落にもなってないでしょ。

 もしも、そんな事が起きたらIS学園の評判が地の底まで下がってしまうわ。

 いや…最初からそこまで高い方とは言い難いけどさ。

 それでも、仮にも自分が通っている学校の評判を下げてしまうのは罪悪感があると言いますか…。

 

 …と、意味不明な話をゴチャゴチャと話して文字数を稼いだところで、今の私達が何をしているのかを話しておかないといけないわね。

 えー…現在、我々が何をしているのかと申しますとですね…。

 

「よし、飛べ」

 

 グラウンドにて実技の授業の真っ最中でございます。

 織斑君とオルコットさんが専用機を展開して、今からお空へと向かってピョーンと飛ぼうとしているのですね。

 勿論、私はそこには加わっておらず、列の真ん中辺りの中途半端な場所でポケーとしながら、その光景を眺めている訳でして。

 

(あ…飛んだ)

 

 白と蒼の塊が凄い勢いで、あっという間に上空まで昇って行った。

 わー…凄いなー。

 

「速いねー」

「そうねー」

 

 私の隣にいる布仏本音さん(授業前に向こうから名乗ってきた)がのんびりとした口調で話しかけてきた。

 この子のこの雰囲気は決して嫌いじゃない。

 何故だか知らないけど、不思議な安心感があるんだよね。

 けど…こんな子、原作に居たっけ?

 他のキャラのインパクトが強すぎて印象に残ってないや。ごめんね。

 

(…もし仮にトールギスが同じことをしたら、どんな風になるんだろう)

 

 少なくとも、あんな程度じゃ済まないんだろうな…。

 最大出力でぶっ飛ばせば、文字通り一瞬で上空まで到達するんじゃなかろうか。

 

 あ、何か織斑先生が言ってる。

 もしかして、急降下と急停止のやつか。

 ってことは、まず最初に降りてくるのは…。

 

「あふ…」

 

 オルコットさん…と。

 綺麗に着地をしては見せたけど、その際に起きる風だけはどうしようもない。

 お蔭で、私の髪が一瞬だけ凄く逆立ったし。

 なんか変な声まで出してしまった。恥ずかしい。

 

「今度はおりむーだねー」

「そうねー。布仏さん」

「なにー?」

「ちょっと離れてた方がいいかも」

「え?」

 

 彼女の手を引いてから少しだけ後ろに下がることに。

 今から起きるのは急降下からの急停止なんて生易しいものじゃない。

 単なる『落下』だ。

 周りの女子達も私達の様子を見て、真似をするように少しだけ下がっていった。

 集団心理って、こんな時には便利だよね。

 

「「あ」」

 

 何かを言う暇も無く、織斑君が見事に落ちてきた。

 ズドーンって音が響いて、さっき以上の土煙に皆が顔を覆い隠す。

 それは私と布仏さんも同じなのだけど、私の場合は腕を動かそうとした瞬間に目の前に何か小さい物が飛んできていた。

 

「へ?」

 

 人間の脳ってのは不思議な物でして。

 本当なら一瞬の出来事の筈なのに、なんでか完全にまで迫って来ていた『ソレ』のことが鮮明に見えていた。

 極限状態のボクサーの目には相手のパンチが止まって見えたり、交通事故とかで撥ねられた人が見ている光景がスローに見えている的な現象の類なのだと思う。

 名前は忘れてしまった。誰か知ってるなら教えて。

 

 それは『石』だった。

 多分、織斑君が落下した衝撃でこっちまで飛んできてしまった物だろう。

 当たり前だけど、私には飛んできた石を回避できるような反射神経なんて持ち合わせていない。

 ってことは、この結末はもう決まっている。

 

「ぴにゃっ!?」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 一夏がド派手に墜落をして、グラウンドに巨大なクレーターを作ってしまった事を叱っていると、いきなり誰かの叫び声が聞こえてきた。

 

「キャーッ!? かおりーんっ!?」

「布仏?」

 

 この妙に間延びした声は、布仏本音か。

 以前、トールギスの調査に参加してくれた布仏虚の二つ下の妹。

 あいつが叫んだ『かおりん』とは、まさか…?

 

「どうしたっ!?」

「せ…先生! 仲森さんが!」

 

 他の生徒が指さしたところには、必死に叫ぶ布仏と……。

 

「かおりん! かおりん! しっかりして!」

「はぅ~…」

 

 額から血を流して地面に倒れ、目を回している仲森の姿があった。

 

「仲森っ!」

 

 私も急いで彼女の元まで駆けつけてから容体を確かめる。

 確かに血を流してはいるが、そこまで傷は深くは無いようだ。

 だからといって、このままにしておいていい理由は無い。

 

「布仏、一体何があった?」

「た…多分ですけど…」

 

 若干の混乱が見られたが、それでも布仏はゆっくりと仲森の身に起きた事を説明してくれた。

 一夏が墜落した時の衝撃で飛んできた石が仲森の頭に命中し、そのせいで血を流し倒れてしまったことを。

 

「あのバカが…!」

 

 後で徹底的に言っておかねばならないようだな…!

 今回はこの程度で済んでいるが、今度もこれで済む保証はどこにも無い。

 下手をすれば死人が出ていた可能性だってあるのだ。

 

「山田先生!」

「は…はい!」

「私は今から仲森を保健室まで連れて行く! ここを頼んだ!」

「分かりました! では授業は…」

「中止に決まっている!」

 

 念の為、私は仲森に体を出来るだけ揺らさないようにしながら横抱きにし、未だにクレーターの中にいる一夏に一言言う為に、クレーターの外周まで近づいた。

 私が仲森の元に行っている間に、いつの間にかオルコットと篠ノ之までもがクレーターの中に入り込んで口喧嘩をしていた。

 全く…どいつもこいつも…!

 

「織斑!!」

「ち…ちふ…じゃなくて、織斑先生…?」

「授業は中止だ! とっとと上がって来い! 篠ノ之! オルコット! 貴様たちもだ!!」

「ちゅ…中止っ!? なんでだよっ!?」

「お前がバカをやったせいに決まっているだろうが!!」

「え…?」

 

 そこで初めて、あいつは私が抱きかかえている仲森の存在に気が付いたようで、一気に驚きの表情が青く染まった。

 そのタイミングで、仲森の顔が横向きに倒れ、一夏にも見えるようになる。

 

「お前が派手に墜落した衝撃で石が飛んできて、それが頭にぶつかったせいでこうなっているんだ!!」

「そ…そんな……」

 

 言いたい事は言った。急いで保健室まで行かなくては!

 

「織斑…後で生徒指導室まで来い。今回、お前がどれだけ危険な事をしたのかをたっぷりと教えてやる」

「は…はい…」

 

 走ってしまっては却って危険かもしれん。

 怪我をしているのは頭なのだ。ここは慎重に行動しなくては!

 もう少しの辛抱だからな…仲森!

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 あ…ありのままに私の身に起きた事だけを話すぜ…!

 授業中におでこに大きな衝撃が起きて意識が真っ黒になったと思ったら、いつの間にか保健室に移動していてベッドの上に寝かされていた…!

 何を言っているのか分らないと思うが、私にも何が起きたのか全く分からない…。

 

「仲森…大丈夫か?」

「なんとか…」

 

 ガーゼが貼ってあるおでこを擦りながら、私は織斑先生と一緒に保健室を出る。

 どうやら、先生が私を此処まで運んでくれたらしい。

 大した怪我じゃないとは思うのに、そこまでしてくれるとはねぇ…。

 もしかして、私は織斑先生の事を誤解してた?

 

「…今回は本当に済まなかった。うちの愚弟が……」

「いや…もう過ぎた事ですから。この怪我も、痕は残らないって話ですし…」

 

 まぁ…残ったら残ったで少しだけカッコイイと思ったりなんかして。

 おでこに傷跡とか、フェニックス一輝みたいでカッコいいじゃない。

 あんなお兄ちゃんだったらマジで欲しいよ。

 

「あいつには、後で私からしっかり言っておく」

「そうですか…」

 

 織斑君…ご愁傷様。

 けど、授業が中止になったって聞かされたのには驚いたなぁ…。

 山田先生が私の制服やら荷物やらを持って来てくれて、その時に時間も確認したんだけど、まさかもう放課後になっているとは思わなかった。

 道理で、お腹が空いて、妙に眠い筈だよ…。

 さっきからずっと欠伸を噛み殺してるし。

 

「私は今から生徒指導室まで行かなければいけないのだが…一人で帰れるか?」

「それぐらいはなんとか……ん?」

 

 廊下を歩いていると、向こうから布仏さんが焦った顔で近くまで来ていた。

 もしかして…私の事を迎えに…? いや、まさかそんなこと…。

 

「か…かおりんっ!? もう大丈夫なのッ!?」

「うん。この通り」

 

 おでこを指差すと、彼女は心から安心したかのように私に抱き着いてきた。

 うぉ…この子…見た目に反して大きい代物を持ってるじゃないのよ…!

 

「よかった…よかったよぉ…!」

「布仏さん…」

 

 まさか、ここまで心配してくれるとは。

 これまた意外過ぎる展開ですこと。

 

「…どうやら、無用の心配だったようだな」

 

 織斑先生? それはどーゆー意味ですか?

 

「布仏。仲森の事を頼めるか?」

「はい! かおりん、私に掴まって!」

「う…うん。ありがとう…」

 

 こうして、私は布仏さん同伴で寮へと帰ることになりました。

 意外な交友関係が生まれてしまった予感…?

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 佳織と本音が寮へと向かって校舎の中を歩いていると、廊下の向こうから非常に見覚えのある顔がやって来た。

 いつもの元気はどこへやら。IS学園唯一無二の男子『織斑一夏』その人だった。

 

「あ…おりむー…」

「布仏さん…それに、隣りにいるのは……」

「ん…?」

 

 顔色が悪く、目汁に涙を貯めている佳織を見て、一夏の表情は更に暗くなる。

 彼にとって女生徒は須らく守るべき対象であり、その相手の顔に傷を付けて詩うなんて言語道断だった。

 

(私…保健室の匂いって苦手なんだよね…。あの独特の匂いを嗅いでると気分が落ち込むというか…。はぁ…なんか眠いし、とっとと部屋に戻りたいな…)

 

 目の前にいる一夏は佳織にしてしまった事に対する罪悪感で今にも潰れそうになっているが、そんなことは佳織の知った事ではない。

 彼女にとって一夏はどこまで行っても赤の他人であり、彼がどうなろうと全く関係が無いからだ。

 

(な…泣いてる…!? そう…だよな…。俺のせいで顔に怪我をして、授業まで中止になって…その元凶が目の前にいるんだもんな…)

(どうでもいいけど、とっととそこをどいてくれないかな…)

 

 佳織が本音に『早く行こう』と声を掛けようとした瞬間、いきなりいつもの本音とは思えないような低い声が出てきた。

 

「おりむー…かおりんに何か言う事があるんじゃないの?」

「あ…あぁ……」

(え? なに? 布仏さんってブチ切れるとこんな声を出すの? マジで?)

 

 【普段から大人しい人間ほど、本気で怒った時は非常に怖いものである】

            民名書房刊【神山高志の清き一票!】より抜粋。

 

「仲森さん! 今日は本当に済まなかった!!」

「あ…うん」

 

 なんと、いきなり廊下のど真ん中で土下座。

 遠まわしに謝れとは言ったが、誰もここまでしろとは言っていない。

 言った張本人である本音も、思わず固まってしまった。

 

「俺が変に調子に乗ったせいで…仲森さんに取り返しのつかない事をしちまった!!」

「いや…この怪我ならもう気にしてないって言うか…。保健室の先生も『傷跡は残らない』って言ってくれたし…」

「そ…そうなのか…? よかった…じゃない! 全然よくない!! 傷跡が残る、残らないの問題じゃないんだ!」

 

 真っ直ぐ過ぎる性格も考えものだ。

 彼の態度から本気で謝っているのは理解出来るが、佳織的にはこれ以上の余計なトラブルを回避する為にも、一刻も早く自分の部屋に避難をしたかった。

 

「仲森さん…何でも言ってくれ! 今の俺に出来る事なら何でもする!」

「あぁ…もう……」

 

 流石にイライラしてきた。

 ここは適当に流して済ませてしまおうか。

 まだ頭が正常に戻っていない佳織は、短絡的思考に至ってしまった。

 

「そこ…どいて」

「え?」

「何でもするって言ったじゃない。だから、そこをどいて」

「あ…そうだよな。邪魔してゴメン…」

 

 またやってしまった。

 佳織は怪我人なのだ。それなのに、自分勝手な都合でその相手を足止めしてしまった。

 本当は速く部屋に戻って休まないといけないのに。

 

「布仏さん…行こ?」

「そうだね」

 

 いつもならば『じゃあね』の一言ぐらい言いそうな本音が、一夏の事を軽く一瞥するだけで何も言わずに傍を通り過ぎる。

 その時の彼女の視線は、まるで別人のように鋭かった。

 

「織斑君…」

「な…なんだ?」

「私の事はさ…もう気にしなくていいから。だから…」

 

 その一言は、彼の心に深く突き刺さった。

 

「もう私に構わないで」

 

 それだけを言い残し、佳織と本音は静かに立ち去って行った。

 残された一夏は、最後に言われた一言の意味を噛み締めていた。

 

「構わないで…か」

 

 それは拒絶の言葉。拒否の言葉。

 自分のやってしまった事の大きさを改めて理解した一夏は、意気消沈のまま千冬が待っている生徒指導室まで行くことに。

 無論、そこで行われた姉による大説教によって更に激しく落ち込んだのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




とうとう原作主人公と本格接触。

それとは別に、千冬と本音に対する好感度が上昇。

ヒロイン候補が増えました。



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