私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
なので、もしかしたらどこかでエピオンも登場させるかもしれません。
ボーデヴィッヒさんにオルコットさん、デュノアさんと続いて、四番目は凰さんになった。
こっちはこっちで、かなり気まずそうな顔になってるけど…凰さんだけが。
「ふっ…向こうは向こうで盛り上がっているようだな。年甲斐も無くはしゃぎおって」
「はぁ…」
台詞だけを見れば呆れているようだけど、その顔は子供のように笑っている。
要するに、この老師Oって人も他の皆と同じようにテンションが上がっているんだろう。
「…で、鈴音よ」
「は…はい!」
「IS学園では随分と『頑張っている』ようだな」
「そ…それなりに…」
あ…これ普通に全部分かってる上で皮肉言ってるわ。
よくよく考えれば、今までの凰さんの戦績ってボロボロだしね。
クラス対抗戦じゃ初心者の織斑君に苦戦した上に、謎の無人機(束さんお手製)の乱入で試合自体が有耶無耶になってるし、ボーデヴィッヒさんにはボロ負けして、福音戦に至っては謎のおじさんのせいで戦う事すら出来なかった。
「まぁいい。大事なのは『過去』ではなく『未来』だ。これから挽回していけばいい」
おぉ~…怖そうな見た目に反して良い事を言ってる…。
伊達に凰さんの家庭教師をやってなかったってことなのかな。
「他の三人と同様に、私もまたお前の『甲龍』を強化改修するためにやって来た。政府のお偉方はかなり前から言っていたが、こっちにも準備というものがある。金勘定しか出来んバカどもには理解出来んだろうがな」
「相変わらずですね…老師の政治家嫌いは…」
「当然だ。エアコンの効いた部屋で偉そうにふんぞり返っているだけで事が全て良いように運べば誰も苦労なんぞせん」
全く以てその通り。
偉い人にはそれが分からんのですよ。
でも、ジオングには足は必要でした。
だってカッコいいから。
無くてもカッコいいけどね。
「私はアイツ等みたいに思い出話は余り好きではない。早速ではあるが本題に移るぞ」
「わ…分かりました」
「これが、私の考えた甲龍の強化プランだ」
そう言って老師Oがタブレットを手渡して甲龍の強化後の姿を表示させる。
なんとなーく予想はついてるけど、念の為に私も横から覗いてみますよ~っと。
「まず、大前提として『衝撃砲』は取り外す」
「えっ!? なんでですかっ!?」
「あんな一発限りの奇襲にしか使えん欠陥兵器なんぞ、付けている意味が無い」
気持ちは分かるけど、ズバっと言いますな…。
「不可視というアドバンテージが通用するのは、あくまで初見の相手や初心者、素人の相手のみ。二回目以降や相手が代表候補生や国家代表だった場合には全く通用しない。それどころか、簡単に弱点を看破されて逆に自分自身を危機に追い込む事にもなりかねん」
「うっ…それは…」
うわー…私も日頃から常々思っていた事を全部言っちゃったー。
この人にはマジで言葉のオブラートが存在してなーい。
「射程が短すぎる。威力も低い。射角がどれだけ広範囲でも命中しなくては意味が無い。それならば最初からライフルでも持っていた方が遥かに建設的だ」
「そ…それじゃあ、どうして甲龍には衝撃砲が…?」
「私の目を盗んで他の連中が勝手に取り付けた。全く…自国で開発した技術をすぐに他国に見せびらかしてマウントを取りたがる。中国人の悪い癖だ」
「一応、あたし達も中国人ですけど…」
「我々は例外だ」
「例外って…」
ここで『私だけは』って言わない辺り、なんだかんだ言って凰さんの事をちゃんと認めてるって証拠なんだろうな。
「衝撃砲の代わりに、全身に様々な固定武装を取り付ける」
「固定武装…ですか」
「そうだ。まずは右腕部に装着する『ドラゴンハング』」
うんうん。やっぱり『シェンロン』って言えば『コレ』だよね。
でも、やっぱり伸びないんだ。そりゃそっか。
「接近戦時にクローが展開し格闘戦用の武装になる。最初はこれに火炎放射器でも内蔵しようと思ったのだが、流石にやり過ぎだと思って却下した」
「火炎放射器ぃっ!?」
あぶなー!!
幾らなんでもISの試合で火炎放射器はないでしょー!
それって普通に反則なのではッ!?
「衝撃砲が無くなることでSEにも大きく余裕が出来るからな。そこで今までの甲龍には無かったビーム兵器を装備させる」
「アタシの甲龍にビーム兵器が…」
「その名も『ビームトライデント』。文字通り、ビームで形成された三つ又の槍だ。威力、射程共に双天牙月よりも上になっている」
実体剣には実体剣だけの良さがあるけど、威力って面で言えばやっぱりビーム兵器にどうしても軍配が上がっちゃうんだよね。
こればっかりは仕方がない。
「更に、防御力を向上させる為に左腕部に円形状のシールドを装着する」
「名称はなんて言うんですか?」
「名前? うーん…『シェンロンシールド』でいいだろう」
「て…テキトーだ…」
これ絶対に、この場で即席で考えたでしょ。
図らずも正解だから何も言わないけど。
「この盾は縁の部分が鋭利になっていて、いざと言う時は投擲武器としても使用できる」
「盾を投げるって…」
別にいいんじゃない?
世の中には盾を武器にする人なんて結構多いよ?
ファーストの時点からそうだったんだし。
「…と、ここまでが当初の予定で追加・強化の予定だったプランだ。その後にもう一つ、追加で武装を作った」
「まだあるんだ…それは?」
「先程の盾に強化ワイヤーで接続される形で追加される拡張装備。青龍刀を模した実体剣。その名も『
「タウヤー…」
見事なまでに、徹底的に近接戦に重きを置いた設計になったね。
でも…こっちの方が自然に感じてしまう。
「お前は前から銃の扱いが苦手だったからな。衝撃砲なんていう牽制にすらならんような武装を付けておくよりかは、こうしてお前の得意な距離で、得意な戦い方が出来るようにした方が良いだろう」
「そう…かもしれませんね。ありがとうございます、老師O」
ふーん…凰さんって、射撃が苦手だったんだ。
そういや、試合の時も織斑君に衝撃砲を当てられたのって、最初の不意打ちの時だけだったような気が…。
「強化後の機体は『
「それ、前と同じじゃ…?」
「漢字が違う」
「えぇ~…」
それでいいのか老師さま。
「では、機体を私に預けろ。改修後は今までよりも扱い易くはなっている筈だ」
「あ…はい。よろしくお願いします」
こうして、凰さんの機体も強化されるのでしたとさ。
『己を正しいと信じる者が強くなくてどうする! 正しいのだ! 俺達は!』
わー…もう驚かないわー。
なんで聞こえるのとかツッコむだけ野暮な気がするからー。
『フッ…また懐かしい声が聞けたな…』
そっか…閣下にとって彼は…。
これ、トールギスにとっての変なフラグとかにならないよね?
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
さて…最後は篠ノ之さんとH教授さんなんだけど…。
ある意味、この組み合わせが最も予想が出来ない。
「あの…私は他の皆のように代表候補生でもないし、専用機も持っていませんが…」
「それは知っているとも。そんな君だからこそ私は頼みたいのだ」
「私だから…?」
ん~? 篠ノ之さんだからって…どゆこと?
「箒。君は父上と同じように剣の腕に優れている。剣道の全国大会で優勝したのが、その事実を裏付けている」
「いや…あの時の私は…」
そういえば、中学の時の剣道の大会って、篠ノ之さんにとっては黒歴史になっているんだったっけ。
前に一度だけ私に教えてくれた事があった。
感情に身を任せて剣を振るった結果、相手の子を傷つけてしまった事があるって。
あの時の事は今でも凄く後悔しているんだとか。
「確かに、当時の君は精神的な意味で未熟な面もあったのだろう。だが、今の君からはそれは感じられない」
「そう…なのでしょうか。私にはよく分かりません」
「自分の変化には自分自身が一番気が付かないものだ」
そういうもんなのかな?
私もよく似たような事を言われるけど、全く自覚が無いや。
「きっと、大切な『何か』を見つけたお蔭だろうな」
「大切な…『何か』…」
いきなり意味深な事を言いましたよ?
顔に似合わず優しい事を言う人だな~。
「篠ノ之箒くん」
「は…はい!」
「君の腕を見込んで頼みたい。私の製作した試作型ISのテストパイロットをしてくれないだろうか」
「わ…私がテストパイロットを…ですか…?」
「そうだ。開発した機体の武装の関係上、君が一番適任であると判断した。無論、強制はしない。する、しないは君の自由だ」
「私は……」
この人が作る機体の武器…確実に『アレ』だよね…。
となれば、確かに篠ノ之さんとは相性が良いかも。
ある意味、デスサイズやシェンロン以上に接近戦に特化してるからね。
文字通り『近づいて斬る』を地で行くから。
「…やります。やらせてください」
「いいのか? 言い出した私が言うのもアレだが、専用機持ちになると言うことは…」
「分かっています。『力』を持つと言うことは、同時に『責任』を背負わなくてはいけなくなる」
責任…か。
私はちゃんと出来ているのかな…。
「正直、怖くないと言えば嘘になります。不安もある。でも…」
「でも?」
「私はもう『傍観者』ではいたくない。ほんの少しでも佳織の事を支えられるのであれば…私は『力』を持つ事を選びます」
篠ノ之さん…。
「…良い目をするようになった。若い頃の君のお父上にそっくりだ」
「そう…なのですか?」
「あぁ。初めて出逢った時の彼も、今の君と同じように『信念』を宿した目をしていた。どうやら、私の選択は間違ってはいなかったようだ」
そういや、私って篠ノ之さんから束さん以外の家族の話って全く聞いたことが無かったな。
ま、私も自分の家族の事なんて一度も話したことは無いんだけど。
「それでは、今この瞬間から私が君の雇い主だ。いいね?」
「はい。よろしくお願いします」
武道を嗜んでいるだけあって、普通にいい返事だ。
私も礼儀を重んじる世界を目指しているから、その辺は分かるんですよ。
「ではこれが、君に乗って貰う予定の機体だ。見てくれ」
そういうと、H教授は空いているハンガーにISの待機形態である獅子の顔を模したペンダントをセットした。
次の瞬間、私達の目の前に一体の武骨で強固そうなISが出現する。
「これは…」
「打鉄をベースに私が開発したIS。その名も『サンドロック』だ」
「サンド…ロック…岩と…砂…?」
なるへそ…これがIS版のサンドロックなのか。
カラーリングとかは『まんま』だね。
「見て分かると思うが、あのバックパックに装着されている巨大な二振りの歪曲した大剣が、この機体の主武装となる『ヒートショーテル』だ」
「二刀流の剣…だから私に…?」
「そういう事だ。この機体の力を最大限に発揮できるのは、剣の心得がある者に限定されるからな。探せば沢山いるのだろうが、少なくとも私の知り合いの中には該当する人物は君しかいなかった」
そりゃ生粋の科学者だしなぁ~。
剣士の知り合いなんて普通に考えてもいるわけないだろうし。
「刀身を赤熱化させて攻撃力を大幅に上げる事が出来る。ショーテルは本来、敵の盾を躱して相手を直接攻撃することを目的とした武器なのだが、これの場合は切れ味が鋭すぎるが故に盾ごと一刀両断できる」
「た…盾ごと…ですか…?」
そうそう。そうなんだよねー。
地味な印象が強いかもだけど、ヒートショーテルの一撃は普通に凶悪なんだよね。
「左腕部にはフラッシュ装置が組み込まれたシールドを装着してあり、これとヒートショーテルを組み合わせる事で『クロスクラッシャー』という形態にする事が出来る。これはクワガタのように二つの剣で敵を挟み込んで攻撃するというものだ」
「挟み切る…ショーテルの形状だからこそ可能なことなのか…」
あ…バックパックは必要ないんだ。
しれっと使い勝手が良くなってる。
「後は、牽制用のサブマシンガンくらいか」
「あの…私はお世辞にも射撃が上手い方ではないのですが…」
「別に問題は無い。所詮は牽制用だ。下手に命中させようとは思わず、適当に弾をばら撒くだけでも十分な効果を発揮するものだ」
「そういうものですか…」
生粋の剣道少女な篠ノ之さんには分かりにくいかもね。
その辺は追々、理解していけばいいと思うよ。
「それと、改造の際に余った打鉄の盾を再利用した増加装甲も作った。それがこれだ」
H教授が何か操作をすると、サンドロックの全身を覆うように装甲が覆われた。
ほへ~…これはまたなんとも…。
「前面に追加装甲、左右には打鉄の盾を、後部にはバックパックとシールドブースターを内蔵した『アーマディロ』だ。これでサンドロックは鉄壁の防御を誇ることになる。並大抵の攻撃ではビクともしないだろう」
「肉を切らせて骨を断つ…ですか」
「下手に避けようとするよりはいいだろう? 別に機動力が低いと言う訳ではない。その気になれば回避も容易だ。だが、仮に攻撃を受けても損傷は限りなく低くなる」
ただでさえ固いサンドロックが、更に固くなっとるがな。
ここまでガッチガチになると、普通に強そうだな。
「気に入って貰えたかな?」
「はい。鉄壁の装甲で相手の攻撃を受けつつ懐に飛び込み、二刀のヒートショーテルで仕留める。なんでしょうか…不思議と『自分に合っている』と思いました」
「それは結構。実は、密かに君が良く使っていたという訓練機の打鉄のコアを預かっていてな。後はこれを装着すれば、真の意味でサンドロックが君の専用機になる。その後に細かい調整などは必要になるがな」
「そうだったのですか…では、お願いします」
「あぁ。任せておきたまえ」
まさか、篠ノ之さんがこんな形で専用機持ちになるとは…。
紅椿とは全くコンセプトが違う機体だけど、これはこれでアリなのかな?
『この宇宙に命よりも重い物は存在しない。サンドロックは僕にそう教えてくれました。だから、今度は僕が君にそれを教える番です』
はい来た。
怒らせたら一番怖い美少年。
ある意味、篠ノ之さんの良いブレーキ役になってくれる…かも?
ま、大体の予想通り、鈴はシェンロンガンダム(EW版)になって、
箒はガンダムサンドロック(EW版)になりました。
ヒロイン五人の強化フラグが揃って立ちましたが、今作のヒロインは彼女達だけじゃありませんからね~。