私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
自分でも申し訳ないと思っているんですが、この場面を利用して書きたい事が沢山ありまして…。
一年生専用機組と開発者お爺ちゃん五人組とのお話が終わり、遂に話題は私に向かう事に。
「これでワシらの『仕事』の話は終わり。本格的な回収作業は残っているが、その前にまずは『趣味』の時間とさせて貰おうかの」
「うむ。そうだな」
「我々は本来、その為に来たのだからな」
「ようやくか」
「ある意味、ここからが本番だな」
ってことは、今までのは前座でしかなかったんかい。
随分と長い前座でしたな。
「早速だが、お嬢ちゃん。お前さんの専用機であるトールギスを見せて貰えんか?」
「え? あ…はい。分かりました…」
ドクターJのお爺ちゃんに言われるがまま、空いているハンガーにトールギスの待機形態をセットしてから機体を展開した。
つーか、ちょっと空きのハンガーが多すぎやしませんか?
「えーっと…ここをこうして…ポチっとな」
はぁ…どうして普通に端末の操作が出来ちゃうのかしら…。
少し前までは普通に機械知識には疎かった筈なのに…。
何度も言うけど、慣れって怖い。
「「「「「おぉ…」」」」」
ハンガーに固定されるようにして、巨大な四対の翼を携えたトールギスFが出現する。
これ…普通に翼が干渉してません? マジで大丈夫?
「なんと優美な姿じゃ…」
「こいつは…本当にISなのか疑いたくなる美しさだな…」
「未だに信じられんな…。あのトールギスが、このような姿になるとは…」
「ISが第二形態移行する際は、それまでにコアに蓄積された経験だけでなく、操縦者の心情なども影響されると言われている。と言うことはつまり…」
「この姿は、操縦者である仲森佳織の心情が大きく影響を与えた…と言うことになるな」
え? 私の心情? そんなのが関係してたの?
んなことを言われても、私にはさっぱり分からんですたい。
「ふむ…色々と見せて貰っても構わんか?」
「は…はい。別にいいですけど…」
仮にもトールギスを作ったお爺ちゃん達ですし?
悪いようにはしないと思う…と信じたい。
邪魔しないように、少し下がって皆の元に行った。
「佳織。本当に触らせても良かったのか?」
「えぇ…空気的に『ダメ』と言えなかったってのもありますけど…」
「けど?」
「トールギスの生みの親なら大丈夫かなって思いまして」
「…そうか」
偶然にも近くにいた千冬さんに問われて素直な感想を述べると、なんか急に肩を寄せらせた後に頭を撫でられた。なんで?
「い…今の何気ない動作…」
「お…織斑先生の佳織さんに対するスキンシップが凄いことになってますわ…」
「これは…負けてられないわね…!」
「夏休みだよ…夏休みに一気に…!」
「むむむ…私も頑張るからね~…かおり~ん…」
「あ…あれ? 織斑先生と佳織ちゃんって…あんなにも距離が近かったかしら?」
な~んか知んないけど、皆揃って凄い目でこっちを見ちょります。
因みに上から、篠ノ之さんにオルコットさん、凰さんにデュノアさん、本音ちゃんに更識先輩ね。
ボーデヴィッヒさんと織斑君はお爺ちゃん達の作業を感心しながら眺めていた。
「ん? こいつは…まさか?」
「どうした?」
「何かあったのか?」
「またぞろ余計な事をしたんじゃあるまいな?」
「無駄に仕事を増やすなよ」
いや…マジでめっちゃ仲が良いな、このお爺ちゃん達。
これはあれですな。
仮に科学者を引退しても、普通にプライベートで五人揃って旅行とかに行くレベルの仲の良さだわ。
「そんなことなぞせんわい。それよりも、こいつを見てくれ」
「「「「ん?」」」」
なんだなんだ?
急に集まって端末を見始めたですよ?
私が知らないだけで、何か異常な部分があったとか?
うぅ~…そこら辺は勘弁してつかぁさいな~。
整備に関しては、まだまだ修行中の身なんですよ~。
「「「「「はっはっはっ!」」」」」
なして急に爆笑ッ!?
私だけじゃなくて、皆も目が点になってるですよ!?
「お嬢ちゃんや」
「は…はい? なんでしょうか?」
「お前さんは本当に、ワシらの期待を裏切らん子じゃな」
「…ふぇ?」
ど…どゆこと? ほわい?
「どうしてトールギスが第二形態移行をしたのか…実際に調べて見て、よーく分かった」
「そう…なんですか?」
単純に福音に勝つ為とかじゃないの?
「どうやら、お前さんの急激すぎる成長速度にトールギスの性能が追いつかなくなってきているようじゃ」
「…にゃんですと?」
私の成長にトールギスが追いつかにゃい?
それって、モロに原作のゼクスと同じじゃ…。
「ド…ドクターJさま! それはつまり、佳織さんの実力が、トールギスの性能をも凌駕し始めていると言うことですのッ!?」
「その通りじゃセシリア。各部関節の摩耗が中々に悲惨な事になっておる。それだけではない」
関節が悲惨とな?
いつの間に、そんな事になってたの…?
実際に動かしているのは私じゃないから、全く自覚が無かった…。
「そもそも、慣性の法則に真っ向から喧嘩を売るような滅茶苦茶な軌道を、さも当たり前のようにしている時点で、この結果は当然かもしれんがな」
「で…ですが…佳織は普通に乗りこなしていましたが…」
正確には『ゼクスが乗りこなしてた』ですな。
でも、実際に彼からも私は何も言われてはいないんよな…なんで?
「機体の多少の疲弊程度ではトールギスはビクともせんよ。あと、そんな摩耗なんぞ簡単に補えるほどの操縦技術が、そこのお嬢さんにはあった…と言うことだ」
「ちょっとやそっとの機体の不備なんて関係ない程に佳織が凄かった…ことなのか…」
私じゃなくてゼクスやトレーズ閣下が凄いんだけどね。
ま、それは別に今に始まった事じゃないか。
「だが、例の暴走した軍用機相手では、それすらも命取りになりかねん。だから…」
「トールギスは戦闘中に自らを進化させて、その差を埋めようとしたのね…」
それに関してはマジで英断だと思う。
実際、そのお蔭で福音を止められたんだし。
「その対価は中々の物だったようだがな。こいつは一度、全体的にオーバーホールでもした方が良いかもしれん」
「それ程までにトールギスは疲弊しきっていた…と言うことなのか…」
オーバーホールかぁ…。
やっぱ、そうしたほうがいいよねぇ~…。
受け取ってから、碌な整備をしてあげられてないからなぁ~…。
「そうじゃ。折角なら、こいつがデュノア社から持ってきたっていう予備パーツを使ってみるのはどうじゃ?」
「ふむ…それが良いかもしれんな」
「よし。そうと決まれば、とっととコンテナの中身を確かめるぞ。早く開けんか、このジジイ!」
「お前もジジイだろうが! そう急かすな!」
「はぁ…ジジイ同士の喧嘩なぞ誰も得せんぞ…」
「「うっさい!!」」
もうマジで仲良すぎ…。
ここまで来ると逆に尊くなってくるわ…。
このお爺ちゃん達の若い頃のエピソードとかめっちゃ聞きたい。
そして、その話を同人誌にしてコミケで売りたい。
絶対に世の腐女子が涎を垂らして喜びそうな本になりそうだから。
「ほれ、開けたぞ。中身は…」
「「「「ほほぅ…?」」」」
流石に私もちょっち気になるので、野次馬根性を見せて覗き見。
なんか皆も私に着いて来たけど。
「成る程。形状などから察するに、確かにこいつはトールギスの予備パーツじゃな。じゃが…」
「どうして一部の装甲が青く塗装されている?」
むむ? この色は…まさか?
「頭頂部や顔面の形状も変わっておる。アルベールめ…密かに改造したな?」
あ…これ、デュノアさんのお父さんの仕業ですか。
もしかして、あの人も『エレガント』な事が好きな人なのかしらん?
『この色…実に懐かしい』
あら、トレーズ閣下。
この人が反応した時点で、もうお察しですな。
「しかも、それだけじゃ無いようだぞ?」
「これは…デュノア社で試作した武器の数々か。手持ち式の二連装ミサイルポッドに…」
「こっちはビームライフルか? 随分と小型化に成功しているようじゃないか」
あのビームライフルって、WのOPでトールギスが持ってた謎ライフルだ!
あんなのまで持ってきたのか…。
「射撃武器だけでなく、近接武器もあるのか。これは…ヒートサーベルか。黄金の柄を持つ西洋剣…サーベルと言うよりはソードと呼称すべきかもしれんな」
「ヒートランスの次はヒートサーベルか。さっきのビームライフルやミサイルポッドも含めて、随分な重武装になってきたな」
「別に構わんだろう。手持ちの武器は全て拡張領域内に入れればいいだけじゃ」
「それもそうだな。トールギスの武装は全てアタッチメントに装着している関係上、拡張領域がガラガラになっているからな」
なんか楽しそうに、お爺ちゃん達が談笑してるんですけど。
ISを話題にして、ここまで盛り上がれるお爺ちゃんは、きっとこの人達だけだ。
「なら決まりじゃな。こいつを使ってトールギスを大改修すると言うことで」
「「「「賛成」」」」
賛成しちゃったよ。
こういう時だけ息ピッタリで少しだけ萌えた。
「あの…トールギスを改修すると仰っていますが、オルコットたちの機体も改修するのではないのですか?」
ここで千冬さんが、私も密かに思っていた事をズバッと言ってくれた。
「何を言っている。勿論、そっちの方もちゃんとするに決まっているだろう」
「いや、ですがそれでは…」
「心配は無用だ」
「この程度の作業、余裕で並行して進められる」
「ワシらにとっては日常茶飯事じゃわい」
「うむ」
「そ…そうですか…」
一般的な常識が全く通用しない超人お爺ちゃん達に千冬さんがドン引きしてる。
大丈夫。ドン引きしてるのは私達もだから。
「なぁ…今思ったのだが、元国家代表に元候補生の人間が揃っているのだから、彼女達に『アレ』の事を頼んでみるのはどうだ?」
「『アレ』とは…」
「『赤』と『青』の事か?」
「あぁ…『攻撃』と『防御』に極振りした、アレか」
んん? 『赤』と『青』で、『攻撃』と『防御』に極振りした機体?
私…それに該当する機体をめっちゃ知ってるんですが…。
「あの…さっきから一体何の話をして…?」
「なぁに。ついでだから、IS学園の優秀な教師であるお前さんらにも少し頼みごとをしようと思ってな」
「「頼みごと?」」
今度の標的は千冬さんと山田先生か…。
確かに、この人達はIS操縦者としては超優秀だけど…。
片方は元世界王者だし。
「トールギスの危険な部分を排除し、その性能を『攻撃力』と『防御力』に分割してワシら五人が開発した試作機の運用をお願いしたい」
「「えええええぇぇぇぇぇぇっ!?」」
次回、教師陣の暫定的な強化が入ります。
赤と青で、攻撃と防御。
ガンダム好きで勘が良い読者の皆さんならすぐに分かると信じます。
それと、今回で完全にトールギスⅡへのフラグが立ちました。
正解は『五人のお爺ちゃん達による改修』でした。