私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
前回までのは年末年始特番的なのだったので。
「「「「終わったぁ~…」」」」
ガンダム開発おじいちゃんズ改め、IS開発おじいちゃんズと出会ってから数日後。
私達は、なんとか頑張って無事に(?)一学期の期末テストを終わらせることが出来た。
流石にまだ結果は出てないけど、それなりにやれた…とは思う。多分。
「ふわぁ~…複数の意味で疲れたぁ~…」
「俺も~…」
「私もぉ~…」
「右に同じだ…」
私と本音ちゃんと篠ノ之さんは、織斑君の席に集まって互いを労っていた。
候補生と言うエリートじゃない私達にとって、IS学園のテストは恐ろしく高い関門だった。
「なぁ…三人共…古文のテストの問10の選択問題さ…何にした?」
「えっと…私は①だったかな?」
「私も佳織と同じだ」
「私もだよ~」
「マジか…俺も①にしたんだけど…これなら安心出来るかもな」
怖い時の友人同士の答え合わせ。
ここで自分だけ答えが違った時の絶望感と、皆と答えが同じだった時の安心感は物凄い。
実際、今の私は心から安心した。
「そ…それじゃあさ、英語のテストの問7の英文を日本語に訳するやつは『私はジョンの家で一緒に宿題をします』であってるよな?」
「え? 私は『私はジョンと一緒に家で宿題をします』にしたけど…」
「順番が違うねー。私はかおりんと同じにしたかな~」
「私は一夏と同じ感じだ…」
これ…どっちが正解なんだろ…。
同じようで微妙に違うしな…。
「うーん…ここで考えても埒が明かないな…。もういっそのこと、考えるのを止めて結果が出るのを待つか…」
「それが良いかも。考えれば考えるほどに不安になってくるし」
「そだねー。今更、後悔しても意味無いしねー」
「そういうのは結果が出てからでも遅くは無い…か」
篠ノ之さんの言う通り。
今は自分達の勉強の成果を信じるしかありません。
「取り敢えず、今はテストから解放されたって事実を堪能した方がいいね。もうすぐ夏休みなんだしさ」
「「「賛成」」」
学生にとって最大の楽しみである夏休み。
それがもうすぐ傍まで迫ってきている。
色んな事があったせいか、物凄く長く感じた一学期だったけど。
「まずは…今日の放課後はどうしようかなー…」
ISの練習…は今はしたくは無いかなー。
テストで疲れてるし…。
「それならば、皆さんで博士たちの所に行きませんこと?」
「オルコットさん?」
話しかけて来たのはオルコットさん。
流石は学年主席。
一学期のテストぐらいでは動揺すらしませんか。
その後ろには、これまた余裕な顔のデュノアさんと、ちょっぴり不安そうなボーデヴィッヒさんもいた。
「そうだね。あれから結構時間も経ってるし。もしかしたら、もう機体の方も仕上がってるかも」
「う…うむ…我々の為にやってくれているのだ。差し入れぐらいは持って行った方が良いだろうな…うん」
なんだろうか…ボーデヴィッヒさんが微妙に挙動不審。
「ボーデヴィッヒさん…もしかして、テストやばかった?」
「さ…流石は佳織だな…その通りだ…」
やっぱり。
そんなイメージが無かったから意外だ。
「英語や数学などは余裕だったのだが…古文と歴史が…な」
「そっち方面かー…」
そういや、ボーデヴィッヒさんと一緒に勉強をして分かった事なんだけど、この子ってどうやら典型的な理系みたいで、文系の教科が極端に苦手みたい。
逆に篠ノ之さんは典型的な文系で、理系の問題が苦手だった。
「一応…答えは全部埋めたのだがな…」
「それだけでも上等だと思うよ?」
「「「うんうん」」」
私の横にいる三人が大きく頷いてた。
こんな事で共感できるのって…ある意味、学生らしいね。
私達、立派な高校生なんだけど。
今までに起きた事件のせいで地味に忘れかけてたけど。
「それじゃあ、オルコットさんが言った通り、お爺ちゃん達の所に行ってみようか」
皆が揃って頷いてくれたので、放課後の予定は決定。
途中で凰さんも合流して、私達は差し入れを購買部で買ってから、整備室へと向かうのでした。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「おじゃましまーす」
形だけのノックをしてから、私達は整備室へとやって来ていた。
すると、そこには意外な先客が。
「おぉ…お主たちも来たのか」
「なんだ。まさか、テストが終わってから直行してきたのか?」
「ちふ…織斑先生に山田先生?」
え? なんでこの二人が?
テストの採点とかしなくてもいいの?
「なんで私達がここにいるのかって顔だな」
ばれてーら。
「本当は私達も今からテストの採点を行おうとしていたんだがな…」
「その直前に、博士たちから連絡を貰いまして…」
「連絡って事は…まさか?」
「そのまさかだ」
老師Oのお爺ちゃんが前に出て説明をしてくれた。
この人…いつ会っても迫力凄いな…。
「お前達全員の機体の整備及び回収改修作業が全て終了した。今から連絡しようと思っていたのだが、まさかそっちから来てくれるとはな。手間が省けた」
割といいタイミングだったみたいね。
整備室に来ようと思ったのは大正解だったわけだ。
「あ…これ。私からの差し入れなんですけど…」
「おぉ…! これは有り難いわい」
「慣れてる事とはいえ、それでも老骨に鞭を打っとることには違いないからな」
まるで子供のように喜んでるプロフェッサーGとドクトルSのお爺ちゃんが、私の手から差し入れの入ってるビニール袋を受け取る。
いや…ある意味じゃ中身は子供なのかもしれない。
よく言うしね。『男はいつまで経っても子供みたいなもんだ』って。
「取り敢えず、先にこの二人にはメリクリウスとヴァイエイトは渡してある。後はお前さん達だけじゃ」
ドクターJのお爺ちゃんに言われ、私達はハンガーの方に視線を向ける。
そこには……。
「「「「「「おぉ…」」」」」」
見事に完成した、私達六人の専用機が並べられていた。
「これが…生まれ変わった私の…『ウィング・ティアーズ』…」
うん…モロにウィングガンダム(EW版)とブルー・ティアーズを融合させてますな。
色合い的にも全く違和感が無いのが凄い。
「シュヴァルツェア・デスサイズ…。不思議と、禍々しさよりも力強さを強く感じる…」
こっちもまたガンダムデスサイズ(EW版)とレーゲンが合体してる。
どんな形になってもデスサイズってやっぱりカッコいいなぁ…。
「ラファール・リヴァイヴ・ヘビーアームズ…。こうして実物を見ると改めて思い知らさせるよ……何この動く武器庫は」
いや…これはもう武器庫なんて可愛い表現じゃ済まないでしょ。
元となったヘビーアームズの時点で既に過剰すぎる火力を持ってたけどさ。
「これがサンドロックか…。巨大な二振りの剣に武者を彷彿とさせる鎧…。まるで武士道を形にしたようなISだ…」
その言い方だと某ソロモンの悪夢さんみたいだから。
でも実際、割とサンドロックと篠ノ之さんの組み合わせは相性が良さそうな気がする。
「うっわ…あたしのシェンロンが見事に超近接仕様に生まれ変わってる…。っていうか、なんか色も変わってません? 白主体のトリコロールカラーになってるんだけど…」
ある意味、最も変わったのがシェンロンですな。
色が変わったせいで原形が分からなくなってるし。
名前の呼びだけは微塵も変わってないのに。
「そして、これが…」
「うむ。お主のトールギスを改修した姿じゃ」
私の目の前にあったのは、肩や胴体部、両脚部にあるブースターやシールドが蒼く染まり、頭部がまるでガンダムみたいになったトールギスFの姿だった。
「ワシらが言うのもアレじゃが、元のトールギスとは大きく変化した姿になったな」
「なんなら、名称も変えてみるか? お嬢ちゃんが良ければ…だがな」
いや…名称も何も、今のこの姿はもう完全に…。
「トールギスⅡ…」
あ。思わず口に出しちゃった。
「ほぅ…トールギスⅡか。ストレートでいいんじゃないか?」
「そうだな。それぐらい分かり易い方が良い」
なんか採用の流れっぽい。
私的には別に構わないけど。
「ならば、こいつの今後の名前は『トールギスF・Ⅱ』だな」
略すと短いけど、ちゃんとカタカナにすると『トールギス・フリューゲルⅡ』になるから、地味に長くなってる。
でも…カッコいいから許す。
呼びにくくはあるけど、ロボット系の長い名前っていいよね。
ストライクフリーダムガンダムやインフィニットジャスティスガンダムや、ガンダムバルバトスルプスレクスやガンダムグシオンリベイクフルシティとか。
「では、こいつ等を待機形態にしよう」
お爺ちゃん達がそれぞれの機体のハンガーに向かって、コンソールを操作する。
すると、全ての機体が眩く光り出し、一瞬で姿を消した。
「ほれ。受け取るがいい」
「「「「「ありがとうございます」」」」」
へー…ティアーズは白い羽根のイヤーカフスになってるんだ。
デスサイズは、まるで蝙蝠の羽と死神の鎌を模したような形状になってる。
ヘビーアームズは…やっぱり半分になったピエロの面の首飾りだった。
サンドロックは、ライオンの顔の付いた腕輪だった。かなりお洒落。
シェンロンに至っては、普通に東洋の龍の顔の付いた物になってた。
「…で、私は特に変化なし…と」
そりゃ、そこまで劇的には変わってないしね。
強いて言えば色だけだけど。
(姫。ゼクス。君達に頼みたい事がある)
ん? トレーズ閣下からの頼みとな?
一体なんじゃらほい?
(機体がトールギスⅡになったのならば、暫くは私が動かしても構わないだろうか?)
私は別に構わないけどー…ゼクスはどう?
(こちらも一向に構わん。元々、トールギスⅡはトレーズの機体だ。好きにするといい。今後は私が二人のフォローをするとしよう)
(感謝する。姫よ。君の事はこの私が全力で守ると誓おう)
あ…ありがとうございます…。
閣下に言われると、本気で照れますな…へへへ…。
「佳織? なんだか顔が赤いわよ? どうかしたの?」
「え? 別になんでもないよ、凰さん」
まさか、ガンダム界屈指の超天才に守るって言われたなんて言えないしな…。
「これで、我々はちゃんと機体を受け取った訳ですが…皆さんはこれからどうなさるおつもりですか?」
あ。私達がずっと気になってたことを千冬さんが聞いてくれた。
「それなんじゃがな…仕事をしながらワシらの間で話し合ったんじゃが…」
「このまま、IS学園に居座らせて貰おうと思っておる」
…………にゃんですと?
「「「「「え――――――――――――っ!?」」」」」
そりゃ驚きますわ。
私だってめっちゃ驚いてます。
織斑君と本音ちゃんも口がポカーンってなってるし、先生達に至っては目が点になってる。
「もう分かっているかもしれんが、ワシらも敵が多い身でな。色んな輩に狙われておるのだよ」
「今まではずっと、なんとかして逃亡をしたり、身を隠したりしていたが…それもそろそろ限界でな」
「そんな時に、仲森佳織嬢とトールギスの噂を聞いたのだ」
「あのトールギスがIS学園に属していると聞き、更にはその学園長が我等の古い知り合いでもあった」
「このチャンスを活かさない手は無いと思ってな。無論、ちゃんと許可は貰っているし、タダ飯食らいをする気は無い」
えーっと…つまり…どゆことだってばよ?
「ワシら五人をここにおいて守ってくれるのならば、その見返りにISの整備や修理、改修を全力で手伝ってやる。なんなら授業をやっても良いぞ? ワシら全員、教員免許ぐらいは持っておるしな」
ぐらいって…それ取るのがどんだけ大変なのか知ってます?
さも当然みたいに言ってるけどさ。
「許可を取っている時点で、もう我々は何も言えないじゃないか…」
「この人達…悉く私達の先手を打ってますね…」
そりゃ…ガンダム開発者のお爺ちゃん達だしね…。
私達の常識で測っちゃダメだよ…。
「なんなら、ここの警備システムをワシらで強化してやろうか? 蟻の子一匹入れんようにしてやるわい」
「「…程々にお願いします」」
この人達に掛かったら、IS学園が要塞みたいになっちゃいそうな気がする。
そうなったらもう『学園』じゃなくなるでしょ。
見た目学校な軍事基地だよ。
こうして、夏休み直前にまさかの、頭脳面で超強力な味方が出来たのでした。
本当にいいのかなぁ…。
お爺ちゃん五人組、まさかの完全味方に。
佳織の周囲がとんでもないことになっていってます。