私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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今回からやっと本格的に『夏休み』の話に突入していくのですが、前にどこかで言った通り、基本的に夏休みは今までずっと掘り下げられてこなかった今作の主人公である『佳織のプライベート』がメインになる予定です。

予め言っておくと、もしかしたら少し鬱な要素もあるかもしれません。
この『夏休み』で、超序盤にて立っていた『フラグ』の回収をしていきます。
大半の人が忘れているかもですけど。
その時は普通に『第一話』から読み直してください。







動き出す『運命』

 遂に来ました、一学期最後の日。

 明日から…否。

 今日の放課後から念願にして待望の夏休みに突入するのですたい。

 ま、同時に夏休みの宿題も出るのですが。

 それに関しては地道に頑張るしかない。

 私は最後の最後までやらないで絶望もしないし、七月の間に全集中して宿題を終わらせて、八月全部を遊びで消費するような根性も無い。

 何事も地道にするのが一番なのですよ。

 これこそ人類の知恵。

 

(フッ…夏休みの宿題もエレガントに…)

 

 久し振りに出たトレーズ閣下のエレガント。

 エレガントにしようがしまいが、宿題をすることには変わりがないけどね。

 

 ついでに言うと、今日は一学期最後の日であると同時に期末テストの結果発表日でもあったりする。

 人によっては、夏休み直前に『追試』という名の絶望に叩き落とされる事もある。

 

 因みに、頑張って勉強をしたお蔭か、私はなんとか全教科平均点を超える事が出来た。

 特に、ISのテストで89点を取った時は驚いた。

 思わず『えっ!?』って言っちゃったもん。

 

 オルコットさんやデュノアさんは普通に平均点越えをして、篠ノ之さんとボーデヴィッヒさんもそれぞれ苦手な教科(英語と古文)を赤点ギリギリで乗り越えた。

 凰さんもきっと、普通に90点台とか取りまくってるんだろうなぁ…。

 地味に驚かされたのは本音ちゃんで、まさか全部の教科で90点以上を取るとは思わなかった。

 なんだかんだ言っても、本音ちゃんも『暗部』の人間だってことかぁ…。

 

 そして、私達の中でも最も追試が危惧されていた織斑君はと言うと…。

 

「よ…良かったぁ…! 追試だけは乗り越えられたぁ…」

 

 …らしい。

 まだ点数は見せて貰ってないけど、割と危なかったのかもしれない。

 これに慢心せず、ちゃんと答え合わせとか後でやっておかないとね。

 

 それで今は、一学期最後のHRが行われていた。

 テストの返却はその最中にやったのよね。

 ぶっちゃけ、廊下に貼り出しとかされなくてよかったと思う。

 中学の時はテスト結果が廊下に張り出されてたからね…。

 

「…というわけで、夏休み中とはいえ節度を持った行動を心掛けるようにしろ。いいな?」

「「「「「はい」」」」」

 

 教壇に立っている千冬さんから、夏休み前の先生が言う定型文が聞こえる。

 これを聞くと『あと数分で夏休みが始まるなぁ~』って思います。

 

「それと、これは臨海学校の帰りにも一度言った事だが、念の為にもう一回だけ言っておく」

 

 ん? 臨海学校の時に言った事?

 それって…。

 

「このクラスの仲森は特殊な事情で専用機を所持している。その事は基本的には秘密となっており、口外することは禁止だ。一年限定で箝口令も敷かれている。これは夏休み中も決して変わらない。もしも口外した場合は、口外した当人は勿論、その関係者も全て学園側で拘束することになる。それが嫌なら、誰にも絶対に仲森の事を言うな」

 

 そうなんです。

 臨海学校の二日目で束さんが皆の目の前で超特大の爆発発言をしたせいで、私がトールギスを所持していることがバレちゃったんだよね。

 その後は暴走した福音のドタバタで何も言えずにいたけど、それが沈静化した三日目に改めて先生達からの注意喚起が行われた。

 オルコットさん達を初めとする専用機持ちの面々はともかく、一般の子達は安易な発言でどう転がるか分からないからね。

 教師として、ちゃんと釘を刺しておくことは大事って事ですな。

 

「それから、実は数日前から仲森の専用機を開発した研究者の方々が、IS学園の特別顧問として学園内におられる。もし会った時は失礼なことはせずに節度ある態度を心掛けるように。無論、彼らが学園にいる事も決して口外しないように」

 

 やっぱり、お爺ちゃん達の事もちゃんと言っておきますか。

 そりゃそうだよね。

 ある意味、あの人達って世界的な超絶VIPだもんね。

 仮に変な事を言われても普通に受け流しそうだけど。

 精神的な強さだけで言うなら、間違いなく束さんすらも凌駕してるでしょ。

 

「…では、これにて一学期最後のHRを終了する。日直」

 

 一年生一学期最後の挨拶が終了し、とうとう高校生活最初の夏休みが到来した。

 と言っても、特にこれといった予定は無いんだけど。

 強いて言えば、地元に戻ってマリーさん達と一緒に遊ぶぐらいかな?

 

「そうだ。仲森」

「はい?」

 

 な…なんだ?

 夏休みが始まって早々に千冬さんから直々の呼び出しですよ?

 流石にまだ校舎内だから名字呼びだけど。

 

「実は、お前宛てに荷物が届いてるんだ。突然で申し訳ないが、今から一緒に来てくれないか?」

「私宛の荷物…?」

 

 一体どこの誰がそんな物を?

 通販の類なら普通に寮の部屋に届けられるようになってるし…。

 

「分かりました。時間はタップリとありますし…行きます」

「悪いな。助かる」

 

 別に千冬さんが謝る必要はないんだけどなー。

 本当に律儀な人だなー。

 

「てなわけだから、ちょっと行ってくるね」

「分かりましたわ」

「ボク達は食堂で待ってるから」

「うん。終わったら向かうよ」

 

 皆と待ち合わせをしておいて…っと。

 さて、それじゃあ行きますか。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 外からIS学園に荷物が届けられる場合、まずはそれが危険物であるかどうかを判断する為に『荷物検査室』へと送られる。

 仰々しい名前をしているけど、要は空港なんかに良くある機械式の荷物検査をする場所のIS学園バージョンなだけ。

 やってること自体はなーんにも変わりません。

 

「ここだ」

「荷物検査室…私、初めて来ました」

「そうだろうな。普段は余り利用する機会が無い場所だしな」

 

 こういう場所に来ると、IS学園が普通の学校じゃないって実感する。

 自分は今、世間一般とはかけ離れた場所にいるんだなーって。

 

「失礼します。仲森を連れてきました」

「お待ちしてました。織斑先生」

 

 ノックの後に室内に入ると、係の人が笑顔で出迎えてくれた。

 中は見た事のない機械がいっぱいあって、普通に『ほぇー』って言ってしまった。

 

「仲森佳織さん…ですよね?」

「は…はい。そうです…」

 

 いきなり話しかけられた…。

 分かっていた事とはいえ、やっぱり完全初対面の相手と話すのは緊張する…。

 

「早速で申し訳ないんですが、荷物の確認をお願いできますか? こちらで簡単な検査はして、危険性は無いと結果は出ていますから。安心していいですよ」

「あ…分かりました…」

 

 そうして差し出されたのは、良くある中くらいの段ボールが三つ。

 ダンボールの表面には何も書いては無いけど、宅配便で送られて来たのを示す伝票が張られてあった。

 

「この住所…」

「どうかしたのか?」

「いえ…この荷物、ウチの家…実家から送られて来た物みたいです」

「佳織の家から…だと?」

 

 あ、名前呼びに変わった。

 なんて事は置いておいて。

 

(家からって…一体誰が、何を送って来たんだろう…?)

 

 伝票に書いてあるのは家の住所だけで、特定の誰が送って来たのか的な情報は書かれてない。

 送り先は『IS学園の仲森佳織』ってピンポイントで名指ししてるのに。

 可能性があるとすれば私の家族だけど…だけど…。

 

(あの人達が私に対して何かを送って来るなんて事…まず有り得ないしなぁ…)

 

 そんな余裕も無ければ、そんな事をする理由もまた無い。

 そもそもの話、私は実の両親からプレゼントの類を貰った事なんて一度も無い。

 私にプレゼントをくれたのは、いつもマリーさん達のような友人達だけだ。

 

「これって…ここで開けても?」

「はい。大丈夫ですよ」

 

 なら遠慮なく。

 貸して貰ったカッターナイフを使いテープを切って、いざ御開封…ってね。

 

「…………え?」

 

 ちょ…待ってよ…。

 は? いやいやいや…なんで…どうして…。

 

「か…佳織? どうした? 何が入っていたんだ?」

「こ…これ…」

「服…か?」

「はい…これ…私の私服です…」

「なんだと?」

 

 どうして、私の私服が送られてくるのさ…。

 いや、服だけじゃない。

 服の下にも色んな物が詰め込まれてる。

 よく聞いてた落語のCDに、よく読んでた本の数々。

 ゲーム機にソフトに漫画の単行本。

 まさかと思って別の段ボールも開けてみたら案の定、全部の箱に私の私物…より正確に言えば、実家に置いてある私物が全部入っていた。

 文字通り、一つ残らず全て。

 

「なんで…どうして…?」

「まさか…例の奴が…?」

 

 千冬さんが言う『例の奴』が誰の事を指しているのかは分からないけど、これを送ってきた相手にはなんとなくの予想が付いている。

 当たって欲しくない予想だけど。

 

「お母さん…なの…?」

「なに?」

「これ…送って来たの…ウチのお母さんかも知れません…」

「佳織の母親が…?」

 

 お父さんは、こんな面倒な事はしない…というか苦手だから除外。

 お婆ちゃんに至っては、送ると言う発想自体が思い浮かばないだろう。

 そんな事をするぐらいなら普通に捨てようとするはずだ。

 あの人、普通に私の事を毛嫌いしてるし。

 

(…さっきから心臓がドキドキして五月蠅い…。なんでか猛烈に嫌な予感がする…)

 

 無人機が来た時や、VTシステムが発動した時や、暴走した福音と対峙した時以上に激しく心臓が鼓動している。

 息が苦しくなる。視界が歪んでいく。手の震えが止まらない。

 

「大丈夫か? しっかしろ! 佳織!」

「はっ…? あ…すいません…ボーっとしてました…」

「佳織…お前は…」

 

 いつかは必ず帰らないといけないとは思っていた。

 良い思い出なんて少しだけで、殆どは碌な思い出なんて無いけど。

 それでも実家(あそこ)は私の『家』だから。

 ちゃんと『現実』と向き合う為にも…私は『家』に帰らないといけない。

 まさか、それが『今』になるとは思ってなかったけど。

 一度、この送られて来た荷物を取りに行かないといけなかったから、その時にでも…とは思っていた。

 けど、中々に心の準備が出来なかった。

 はは…情けないね…。

 人にはあれだけ偉そうな事を言っておきながら、肝心な自分自身がこんな有様なんてね…本当に情けないやら…恥ずかしいやら…。

 

「…千冬さん」

「…どうした?」

「私…実家に帰ります」

「いいのか? お前の家は…」

「分かってます。でも、こうして家に置いてた筈の荷物が届けられたってことは、その『理由』が必ずある筈なんです。私は…それを確かめたい」

「佳織…」

 

 お母さん…家にいるかは分からないけど、もし家にいたら…その時は…。

 

(どうして、こんな真似をしたのか…聞かせて貰うからね…!)

 

 場合によっては、全力で怒った上でビンタの一発ぐらいはぶちかましてやる…!

 

 




次回から完全オリジナル回『佳織編』に突入。

それと、アンケートでもあったように夏休み中に簪との出会いもどこかで盛り込んでいきます。



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