私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない)   作:とんこつラーメン

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やっと…やっと夏風邪が治った…。

本当に今年は私にとって近年稀に見る厄年ですよ…。











遊びに来たよ

「「こんにちわー」」

「「………………」」

 

 昼食後、私達は織斑君の提案の通り、彼の友人である五反田君のおうちへと遊びに行くことに。

 普通に正面にある食堂の入り口から入ると、そこでお仕事をしていたと思われるエプロンをつけた状態の五反田兄妹が目を丸くした顔でこっちを見ていた。

 

 にしても、やっぱり夏休みは稼ぎ時なのか、見事に席は全て埋まっている。

 ここのご飯って美味しいもんね。

 繁盛するのも頷けるよ。

 

「あ…あれ?」

「どした? そんな顔で固まって」

 

 私達が小首を傾げていると、五反田君が無言でこっちにやって来た。

 もしかして、来ちゃ拙かったかな?

 

「おい…一夏…」

「な…なんだよ…?」

「その子って…あの子だよな? 少し前にウチに来てた…お前のクラスメイトだって言う…」

「そう。仲森さんな。それがどうかしたのか?」

「どうかしたのか…だと…?」

 

 あ。

 五反田君の顔が般若の面になってる。

 同時に血の涙も流してるけど。

 

「こっちが家の手伝いで忙しいって時に、いきなり女同伴で友人が現れたら誰だってこんな顔になるッつーんだよ!!」

「意味が分からん…」

 

 だろうね。

 私も意味が分かりません。

 

「つーか、どうしてその仲森さんとお前が普通に一緒にいるんだよ? まさか…マジでデートとかなんじゃ…!?」

「えっ!? そうなんですか一夏さんっ!?」

「違うッつーの! 変に誤解を広げるな! 仲森さんも困ってるじゃねーか!」

 

 私は別に困ってないけど。

 寧ろ、見てて面白い。

 もうね、今の私は並大抵の事じゃ驚きませんよ?

 それこそ、どこぞの国から戦術核兵器が盗まれたりでもしない限りは。

 

「じゃあ、どうして一緒にいるんだよ? ちゃんと納得出来る説明しろ。説明」

「そ…そうです一夏さん! 私も説明を求みます!」

「蘭まで…」

 

 この兄妹、なんだかんだ言って仲良いでしょ。

 普通に羨ましいなー。

 今の私、お婆ちゃん以外の家族はマジでいないからなー。

 

「仲森さんのプライベートに関わることだから、あんまし詳しいことは言えないんだけど…色々と事情があって夏休みの間だけ、仲森さんと一緒に暮らす事になったんだよ」

「それって…」

「つまり…」

「「同棲っ!?」」

「…人の話、聞いてたか?」

 

 こりゃ絶対に聞いてないね。

 

「同棲じゃねぇよ。千冬姉もいるんだし」

「そ…そっか…そりゃ、そうだよな…」

「安心しました…」

「「なんで?」」

 

 今のどこに安心するポイントがあった?

 

「因みに、仲森さんを家に連れて来ようって言い出したのは、他でもない千冬姉なんだよ」

「「なーんだ」」

 

 何が『なーんだ』なんでしょうか。

 そこの所を詳しく聞きたい。

 

「なぁ…じーちゃん」

「おう。今日はもういいから、その二人を部屋に挙げてやれ」

「だってよ」

「「お邪魔しまーす」」

 

 無事にお爺さんの許可も出たので、改めてお邪魔することに。

 さっきからずっと出入り口の所に立ってたからね。

 流石にそれは拙かっただろうし。

 

 

(あ…そういや、男の子の部屋に入るのって、これが初めてかも…)

 

 まだ織斑君の部屋には入った事が無いし、実質的にこれが初めてって事になるね。

 別に、だからどうしたって感じだけど。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「おぉ~…」

 

 これが五反田君のお部屋ですかー。

 実に『ザ・男子高校生』って感じですな。

 

「なんか変則的ではあるけど、遂に俺の部屋に女の子がががががが…」

 

 さっきからずっとこうだけど、一体どうした?

 そんなにも私がここにいる事が珍しいの?

 

「彼…どしたの?」

「さぁ? 弾って、こんなにも女に免疫なかったっけ? つーか、普通に鈴も部屋に入れてたことがあるじゃねぇか」

「あれは例外だ! あんだけ一緒に遊んでたら、もう殆ど異性って認識できなくなってるわ!」

「「ふーん…?」」

 

 そういうもんなのかね~。

 私にはよく分からないや。

 凰さんは立派に女の子だと思うけどねー。

 だって、私よりも愛嬌あるし、私よりも頭も良いし、私よりも運動神経良いし。

 

「あ…そうだ! お茶! お茶、持ってくるから!」

「う…うん」

 

 そんなに慌てなくてもいいのに…。

 ドタバタしながら部屋から出て行ってしまった。

 

「落ち着きが無いと言うか、元気というか…」

「いつもは、そんな事は無いんだけどなー。仲森さんがいるから緊張してんのか?」

「そうなのかなー?」

 

 別に私は、そんな緊張するようなキャラじゃないと思うんだけどなー。

 それとも、見知らぬ女性全般に同じような反応をするのかな?

 だとしたら、生粋のお嬢様なオルコットさんやデュノアさんと会ったら凄いことになるのでは?

 

「お待たせしましたー!!」

「「早っ!」」

 

 本当に走って来たんだな…。

 そんなに慌てなくてもいいのに。

 

「これ、麦茶と…お茶請けのアイスです」

「あ…どうも」

 

 バニラアイスだー。

 割と久し振りに食べるかもー。

 

「ほれ。お前にはこれだ」

「モナカアイス…」

 

 しかも、まだ袋に入ってるし…。

 出してくれるだけマシ…なのかな?

 

「ったくよー。来るなら来るって、ちゃんと連絡しとけよなー」

「悪い悪い。折角だし、ちょっと驚かせてやろうと思って」

「別の意味でめっちゃ驚いたわ。っていうか…」

「ん?」

「今日の…その…仲森…さん? この前とはまたイメージが違うって言うか…」

「あー…」

 

 あの時はツインテールにしてた上に、中々にビビットな服を着てたからねー。

 今日は普通に髪は流してるし、服装も適当に白のワンピースだし。

 

「なんつーか…深窓のお嬢様みたいっつーか…超清楚っていうか…」

「清楚って…」

 

 今までにも何回か言われたことあるけど、どうして私から『清楚』なんて単語が出てくるの?

 それが一番よく分からない。

 

「清楚かー…言われてみれば、そうかもなー」

「織斑君まで?」

 

 一体私はどれだけの人間に『清楚』だって思われてるんだ?

 

「でも、同時に俺は『勇ましい』とも思ってるけどな」

「うーん…それはー…」

 

 勇ましいのは、私じゃなくて、私の代わりにトールギスを動かしてるゼクスやトレーズ閣下なんだよねー。

 閣下の場合は『エレガント』って表現した方が正しいかもだけど。

 

「いやいやいや…なんで、こんなにも清楚な女の子に『勇ましい』って感想が出るんだよ? 流石にそりゃおかしくねぇか?」

「そっかー…弾は『あの時』の仲森さんを知らないからなー」

「『あの時』ってなんだよ?」

「ISに乗った時の仲森さん。すっごい勇ましくてカッコいいんだよ。ぶっちゃけ、俺よりもずっと男らしいかもしれない」

「それ…男としてどうなんだ…?」

「事実なんだから、仕方がねぇだろ」

 

 なんか聞いててムズ痒くなるような事を話してますなー。

 少し前の私だったら、羞恥心で悶絶してただろうけど。

 本当に…慣れって怖いわー。

 アイス…美味しー。

 

 なんてことを考えてたら、いきなり部屋の戸が開いた。

 

「お兄ー。佳織さんと一夏さんに迷惑とか掛けてないでしょうねー?」

「いきなり来ての第一声がそれかよ…」

 

 やって来たのは、五反田君の妹さんの蘭ちゃん。

 どうやら、色々と心配で様子を見に来たっポイ。

 

「あ、佳織さん。ウチの馬鹿兄に何かされてませんか?」

「大丈夫だよ?」

「何かあったら、すぐに私に言って下さいね。ソッコーで締めますから」

「普通に怖いこと言うなよっ!?」

 

 カカア天下ならぬ妹天下だー。

 でも、これはお兄さん大好きな気持ちの裏返しと見た。

 ここでそれを指摘したら否定しそうだから言わないけど。

 

「心配なんで、私も一緒にいます。お兄…いいよね?」

「ここで俺が『ダメ』つっても、色々と理由を着けていようとするんだろうが…」

「良く分かってるじゃん。てなわけで、お邪魔しまーす」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 蘭ちゃんが来た事で、部屋に比率は男女二人ずつになった。

 てっきり、彼女は織斑君にべったりになるかと思いきや…。

 

「佳織さんって、普段はIS学園でどんな風に過ごしてるんですか?」

「うーんとねー…」

 

 何故か私の方にべったりになってました。

 あれー…と思う反面、やっぱり同性と一緒の方が居心地がいいのかもしれないと思ってしまうのでした。

 

「なんか蘭の奴、仲森さんにすっかり懐いてないか?」

「だよなー…なんか意外だわ」

「学園でも割と仲森さんって女子人気凄いし、俺は意外って感じでもないなー」

「え? そうなのか?」

「あぁ。いつの間にか、同級生だけじゃなくて上級生の先輩達とも仲良くなってたし」

「マジかよ…スゲー…」

 

 男子は男子で何か話してますなー。

 もう完全に男女別に分かれてますがな。

 

「IS学園の勉強は大変だよー。基本五教科に加えて、ISの事も勉強しなくちゃだしねー。その五教科もすっごいレベル高いしー…」

「噂で聞いた通り…入学するだけでも物凄い倍率ってのは伊達じゃないんですね」

「うん…ぶっちゃけ、候補生ぐらいの子じゃないと、着いて行くので精一杯って感じじゃないかなー」

 

 ま、そんな危機感なんて抱かずに暢気に構えてる子が大半だけど。

 けれど、臨海学校での束さんのお説教という名の演説が切っ掛けで意識改革した子もいるようで、私や織斑君達と一緒に補習を受けるようになった子が若干ながら増えた。

 それが普通の事なんだけどね…。

 

「放課後には、専用アリーナでISの練習をしたり、別室のトレーニングルームで体を鍛えたりしてる子もいるし、部活に励んだりしてる子もいるよー」

「部活……佳織さんは、どの部活に入ってるんですか?」

「私は生徒会に入ってるんだー」

「生徒会? 生徒会は部活じゃないんじゃ…」

「ところがギッチョン。IS学園じゃ生徒会も部活の一つに数えられてるんだって。私も初めて知った時は驚いたけど」

「そうなんですねー…。因みに役職は?」

「書記かなー。最初はなんかノリで副会長にさせられそうになったけど…」

 

 そういや、生徒会と言えば二学期から色んな意味で本格始動し始める頃では?

 文化祭や各種イベントなどで。

 私も色々と駆り出されるのかな…。

 

「佳織さんって、IS…お強いんですか?」

「え? えーっとー…」

 

 いつかは聞かれるんじゃないかとは思ってたけど、とうとう来たか―…。

 なんて答えればいいのかなー…。

 

「仲森さんは、ISめっちゃ強いぞ」

 

 織斑君ッ!?

 

「本当ですか一夏さんっ!?」

「あぁ。鈴を初めとした候補生の皆も絶賛するレベルの実力者だ。多分、俺も勝てない」

「ほわぁ……」

 

 あー…言わんこっちゃない。

 蘭ちゃんが憧れの目でこっちを見てるよ~。

 

「織斑く~ん…」

「あはは…ゴメンゴメン。つい…」

 

 つい…で済ませられる問題じゃないんですけど?

 はぁ…どうするのよこれ…。

 

「あの…佳織さん」

「ん?」

「私、実は…IS学園に進学しようって考えてるんです」

「そ…そうなんだ…」

 

 IS学園は危険も多いから、あんましオススメはしないよ…なんて言える空気じゃないんだよなぁ~。

 

「もし入学出来たら、私に色々な事を教えて貰えませんか?」

「え…っと……私で…よかったら…?」

「是非! お願いします!」

「う…うん…」

 

 はぁ~…久し振りに出たよ…押しに弱い私…。

 こーんなキラキラした目で見られたら『イヤ』だなんて口が裂けても言えないって…。

 

「おいおい…あんまし迷惑かけんなよ?」

「お兄は黙ってて」

「あ…はい」

 

 まさかの一発KOかよ。

 兄としての威厳皆無ですな。

 頑張れお兄ちゃん。

 

 この一件で完全に懐かれたようで、帰るまでずっと蘭ちゃんは私にべったりだった。

 年下の女の子に懐かれるのは、妹が出来たみたいで悪い気はしないけど…お兄さんが真横にいる所でそれをするのはどうなんだろう…。

 

 結局、最後まで微妙な空気のままだった。

 

 

 

 

 

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