私…生まれ変わったらモブキャラになりたいな(なれるとは言ってない) 作:とんこつラーメン
本当の本当に偶然なんだけど、図らずも原作ヒロイン最後の一人である更識簪と買い物先で出会ってしまった私。
喫茶店で休憩がてらに色々と話した後、その場の流れで一生に行動をする事に。
「それにしても、なんだか意外だった」
「な…何が?」
「だって、噂じゃあなたっていつも織斑一夏や専用機の女の子たちと一緒にいるって聞いてたから。てっきり、夏休みもあのメンバーと遊び回ってるとばかり思ってた」
「いやいやいや…流石に夏休みの間までずっと一緒じゃないよ?」
流石の皆も、そこら辺ぐらいはちゃんと弁えてる…と思いたい。
最近になって思ったんだけど、実は最も常識的なのって織斑君だったりする?
今日も私の事を思って一人で買い物に行かせてくれたし。
「ふーん…そうなんだ。でもまぁ…それが普通か。それに、代表候補生の子達は国に戻って色々とやることがあるだろうし」
「そうそう。だから、いつもそんなにベッタリって訳じゃないんだよ」
「でも、本音とは仲良いでしょ?」
「え? 本音ちゃん? うん…私はそう思ってるけど…」
夏休み中も、よくメールのやり取りとかしてるしね。
そのお蔭か、全く本音ちゃんと離れてるって気がしない。
「…もし今日の事を本音に話したら、どんな反応をするだろう」
「…ちょっと怖いかもだねー…」
本音ちゃんみたいな天真爛漫っぽい子ほど、本気で怒らせたら怖そうなイメージがあるからねー。
「でも、お姉ちゃんには絶対に話そう」
「…なんで?」
「あの人の悔しがる顔を見たいから」
「うわぁ…」
なんて見事な姉嫌い…。
一応、原作知識として更識姉妹が仲違いしてしまったエピソードは知ってるけど…そんな事であの人が悔しがるかなぁ…?
「そう言えば、さっきは本屋にいたけど、今日は本を買いに来てたの?」
「本を…って言うか、色々な物を…かな? ここ最近は本当に忙しくて、碌に買い物も出来てなかったから」
トールギスを受領してからこっち、ずっと何かのトラブルに巻き込まれているような気がする。
ホント…恐ろしく濃密な一学期だったよ。
こんなにも充実した一学期なんて生まれて初めてだと思う。
「そうなんだ。でも、そうかもね。候補生でも企業所属でもないのに専用機なんて持ってたら、それだけで嫌でも注目されるだろうし、アナタの場合は高い実力も兼ね備わってるし、二学期になったら一気に色んな国や企業からのスカウト合戦になったりして」
「嫌なフラグを立てないでほしいなぁ…」
それがガチで現実になりそうだから怖いんだよぉ~…。
でも、今や篠ノ之さんも私と同じような立場になってるから、大変なのは彼女も一緒?
いや…篠ノ之さんの場合はH教授に選ばれたテストパイロットでもあるし、束さんの妹でもあるから、そう簡単には手が出せないか。
となると…やっぱり私に向かっての一点集中砲火?
勘弁してよ…今の私はトールギスだけじゃなくて、ウィングゼロっていう最上級のじゃじゃ馬が一緒にいるんだからさぁ~…。
「んー…あのさ…ちょっとお願いしたい事があるんだけど…いいかな?」
「お願い? なに?」
「私の事は『簪』って呼んでほしい。お姉ちゃんと同じ名字呼びじゃ紛らわしいし。その代り、私もアナタの事は『佳織』って呼ぶ。いい?」
「え? あ…うん。別にいいけど…」
あ…あれ?
この子って、こんなにも積極的な女の子だったっけ?
私の中じゃ大人しくて引っ込み思案なイメージがあったんだけど。
「じゃあ佳織。次はどこに買い物に行くつもりだったの? 引き留めてしまったお詫びに付き合う」
「いいの? えっと…本の次はゲームを見に行こうかなーって思ってた。ここ数ヶ月で出た最新ゲームを見ておきたかったから」
「成る程。私もゲームは見に行こうと思ってた。佳織はどんなジャンルのゲームが好きなの?」
「んー…頭を使う系かなー。シミュレーション系とか、RPG系とか」
「じゃあ、アクション系は苦手なんだ?」
「苦手ってってよりは、あんましやらないかなー。自然と自分の好きなジャンルの方に目が行っちゃうから」
「その気持ち、なんとなくだけど分かる。無理に別のジャンルに挑戦する必要はないもんね」
「だよね。ゲームぐらい好きなのをやりたいもんね」
なんだ…自分の興味あることなら、かなり饒舌になるんだ。
更識さん…じゃなくて、簪さんの意外な一面を垣間見た気がする。
「ところでさ…佳織は私の専用機について何か聞いてたりする?」
「専用機…?」
聞いてはいないけど、知識としては知ってるから…なんて答えればいいのかなー…?
「その感じだと、何も聞いてないみたいだね」
「う…うん」
なんだろう…変な胸騒ぎが…。
「実はね、私の専用機…開発中止になったんだ。織斑一夏の専用機を優先するって名目で」
「え?」
よりにもよって、今ここでそれを言っちゃうの―――っ!?
それって本当は二学期に入ってから言うべき言葉なんじゃないの―――っ!?
「あ…勘違いしないでね? 別に、その事で織斑一夏の事を恨んでるとか、そんな事は無いから。私だって馬鹿じゃない。彼だって巻き込まれた側だってのは重々承知してるし」
「そう…なんだ…」
びっくりした…。
てっきり、今から彼への恨み辛みを吐かれるかと思った…。
「だから、佳織が彼と仲がいいからって何かを言うつもりはないから。その辺は安心して」
「う…うん」
最初は、今の私が織斑家にお世話になってる事を黙ってようと固く心に誓ったけど、その心配は無用だったみたい。
だからと言って、自分から言おうとは思わないけど。
「一番悪いのは、開発元の『倉持技研』だから」
「倉持技研…どこかで聞いたことがあるような…?」
「日本で一番のISの研究所。私の専用機も、織斑一夏の専用機もそこで造られたって聞いてる」
でも、白式って束の手も入ってるんだよね…?
って事は、白式の原型となる機体が倉持技研で製造されて、その後に何らかの形で束さんの元へと渡り、そこで白騎士のコアと零落白夜が内蔵されたってことか。
そう考えると、白式も中々に大変な目に遭ってるんだなぁ…。
「開発が中断されたって言ってたけど…それからどうなったの?」
「本当なら、そこで終わりなんだろうけど、私が無理言って引き取って、自分でなんとか組み上げてる」
「え? そんなの出来るの?」
「一応、途中までは組み上がってたから。でも、流石に難航してる」
「そっか…」
うーん…お爺ちゃん達に頼んだから、どうにかなるかなー?
いや…止めておいた方が良さそうだな。
あの人達が悪い人じゃないのは理解してるけど、同時に童心も併せ持ってるからな…。
下手に頼んだりしたら、とんでもない魔改造をしそうだ。
実際、オルコットさん達のISが魔改造されてガンダムWの主役五人の機体になっちゃったし。
「佳織のISはどこで造られたの?」
「良くは知らない。ただ、物凄く昔だってのは知ってる」
「物凄く昔って…どれぐらい?」
「白騎士事件の直後だって。白騎士以外で初めて世界で生み出されたISだって話」
「それって…もしかして…」
「うん。トールギスは第一世代らしいよ」
「信じられない…あの性能で第一世代って…下手な第三世代なんか比較にならないレベルの性能をしてたのに…」
「だよねー…私もそう思う…」
だけど悲しいかな、事実なんだよなー。
トールギスは基本コンセプトとして、操縦者の安全性を犠牲にして超性能を獲得してますからねー。
それに不通に乗っている私も今じゃ普通じゃなくなってる訳で…表向きは。
実際には全く違うけど。
「佳織って…実はめちゃくちゃに凄い子だったりする?」
「いや…私自身は別に凄くないつもりなんだけど…」
殆ど振り回されてるだけだしなー…。
なのに、周りが勘違いしまくって、それが連鎖して、今じゃ本当の事を告白しても信じて貰え無さそう…。
完全に言うタイミングを逃してるよね…。
「最近さ…IS学園に知らないお爺ちゃん五人組が来たのは知ってる?」
「うん。私はよく整備室に行くから。なんか見かけない人たちがいるなーってのは…まさか?」
「…実は、あの人達がトールギスの生みの親です。五人それぞれに、色んな分野のエキスパートなんだって」
「そうだったんだ…」
なんか流れで話しちゃったけど…大丈夫だよね?
口外しちゃダメとは言われてるけど、簪さんはIS学園の生徒だし。
「なんて話してたら、ゲームショップに着いたね」
「あ…ほんとだ」
マジで気が付かなかった…。
こんなに夢中で誰かと話したのって久し振りかも。
「佳織って、予算はどれぐらいあるの?」
「具体的な数字は…ちょっと。とにかくいっぱいとだけ」
「そっか。今の佳織ってテストパイロット的な立場だもんね。IS乗ってるだけでお金は入って来るのか」
「まぁ…そゆことで」
二学期に入ったら、また私の預金通帳に見たことも無いような額のお金が振り込まれてるんだろうなぁ…。
特に、福音暴走事件後に見た通帳にはマジで驚かされた。
トールギスが第二形態移行したせいなのかは知らないけど、今まで以上の額が入ってたから。
もうね…ギャグ漫画時空なら確実に目玉が飛び出してたね。
「その気になれば、最新ゲーム機も余裕で買える。重たくて持ち帰れないけど」
「その時は宅配にして貰えばいいんじゃない?」
「だね…もし欲しいのが有ったら、そうする」
基本的に私っ携帯ゲーム機ばかり買ってるんだけどね。
寝ながらするゲームが止められない。
「何か面白そうなのが有ればいいんだけどなぁ…」
「情報とかはチェックしてないの?」
「するのを忘れた。こっちに来てから思い出した」
「良くあるよね、そーゆーの」
後になってから思い出すんだよなー。
私って本当に馬鹿。
「あ…あのシリーズの最新作が出てる。どうしようかな…」
「でも、人気シリーズだからって神ゲーばかり出すとは限らないよね」
「だよねー…。私、こういうのはレビューを参考にする派なんだよなぁ…」
「分かる。私も」
「昔の神ゲーのリメイクとかなら迷わず買うんだけど」
「なら、こっちのとかは良いかも。HD-2Dリメイクだけど」
「面白そう…これを買おうかな」
共通の趣味を持つ相手との買い物というのは本当に盛り上がる。
結局、私はその後もずっと簪さんと一緒にレゾナンスを歩き回って買い物をしたのでした。