女性しか召喚されないカルデアで貞操を保てるのか   作:雑食で節操なし

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プロローグ

男が嫌悪感を抱くであろうムチムチとした豊満な身体の少女がその豊かな胸元に資料を抱き抱え歩いている。

肩には犬とリスを足した生物を乗せ、この施設の所長であるオルガマリー・アニムスフィアの元へと向かう途中の事である。

通路に何やらざわざわとした喧騒と人集りが形成されていたのだ。

 

興味を引かれた彼女、マシュ・キリエライトはその集団に向けて歩みを進めることにした。

近づいてみるとそれなりに多くの人が集まっているのが分かる、そんな集団のなかに一人見慣れた人物を見つけた。

マシュと同じここカルデアのAチームに在籍する人物、オフェリア・ファムルソローネである。

 

マシュとは違い男が好感を抱くであろうスレンダーなモデル体型の女性で、眼帯を着けた少しミステリアスな雰囲気の女性だ。

よく彼女からお茶会に誘われる為すっかり仲良くなった、傍から見ると友達と呼べる関係である。

まあマシュはオフェリアの事を先輩だと友人なんておそれ多いと否定するだろうが。

 

そんな彼女を見つけたマシュは声をかける事を決意したのだった。

 

「こんにちは、オフェリアさん」

「あら、マシュ。ええこんにちは」

「皆さん集まってどうしたのですか?」

 

一瞬言うべきか言わざるべきか迷ったがこの場にいる以上いずれ知られる事だと判断し話す事にしたオフェリア。

 

「……実は、男性が寝ているのよ」

「男性ですか?この場所で?」

 

改めて説明するがここはカルデアという組織の廊下である、そして女性でもこんな場所で寝るなんて危機管理の観点からずいぶん豪胆なのに、それが男性ならもはやそれは襲ってくださいと言っている様なものである。

マシュはこのカルデアで生まれ育った経歴をもっている、そして何より彼女の男性像は前所長のマリスビリー・アニムスフィアとDr.ロマンことロマニ・アーキマンしか知らない。

 

前所長のマリスビリーとは事務的な会話だけで、何より自身に向けられる目は消しゴムや鉛筆の様な消耗品だった。

逆にロマニからは親身になって接してもらった事からかなり良好な関係を築いている。

つまりマシュのなかでは男性とはマリスビリーとロマニの二極しか存在していない。

その為この男性はDr.の様に接してもらえるのか、もしくはマリスビリーの様に何も興味を抱いてもらえないのかという単純な疑問が生まれた。

 

そんな風に考えていると肩に乗っていたフォウがピョンと飛び降りると、寝ている男性へと近づいて行ったのだ。

そしてそのまま頬をテシテシと叩き始める、だがなかなか起きない、肩に両前足をかけ揺すってみてもそもそも身体が小さい為刺激が少なく起きる気配がまるで無い。

そして最後にまた顔の方に戻ってくると頬を嘗め始めた、これに慌てたのはオフェリアたち男の傲慢さを知っている女性たちだ。

 

男といえば口を開けば嫌味を言い、何かあれば雑用を押し付ける、そしてそれに感謝もせず当然だという態度を示してくる。

もしここで目が覚めたならこの集まっている女性に対して文句を言い始めるのは想像に難くない。

だから慌てて止めようとしたが時すでに遅くうめき声を上げ顔を起こそうとしている。

 

「うぅん、頭がクラクラする」

「す、すみません先輩、起こしてしまいました、ほらフォウさんも謝ってください」

「気にしないで良いですよ、それより先輩?」

「?はい、見たところ私と同年代と推測しました、なので先輩です!」

 

おや?何やらなんの問題も無さそうだ、それが一番最初にこの場にいた女性陣の胸中を占めた感想だった。

いやだが安心は出来ない、先ほど彼は頭がクラクラすると言っていた、つまり現状を把握していない可能性が高い。

現に周りを見渡してビクリと肩を震わせたのが分かる、やはり開口一番に文句が出るのだろうな、そう身構えた。

 

「……心配をおかけしてすいませんでした」

 

スッと彼が立ち上がると頭を下げた。

絶句である、男性が文句も一言も言わずむしろ謝るなんて。

大抵の男性なら文句を言う、ロマニの様な男でも眉根を歪ませ大きなため息をつくだろう。

だというのに彼はそんな素振りを一切見せずに謝ってみせた、他の男性を知っている彼女たちからするとあり得ない事だ。

 

周りからの視線がより強くなったのを感じてばつが悪くなったのかポリポリと頬をかく彼。

視線を彷徨わせマシュが持っている資料が目に止まる、それ幸いとこの場の視線から逃れる為に声をかける事にしたようだ。

 

「ずいぶん重そうだけど何処かに持っていくの?」

「えっ?あっはい。ここの所長に届ける資料です」

「じゃあ持っていくの手伝うよ」

「い、いえそれには及びません。流石に今起きたばかりの人に運ばせるのは心苦しいので」

「気にしないで、オレも挨拶をする必要があると思うから、……それでも気になるなら紹介してもらえると助かるかな」

「……それならお願いしてもよろしいでしょうか?」

「任せて!これでも腕力には自信があるんだ」

 

なんだこの男、謝るだけじゃなく荷物運びまで手伝うなんて言い出したぞ。

そのまま歩いて姿を消したマシュと彼を見送った彼女たち、そして気がついてしまった所長に挨拶に行くと言っていたことを。

まさかここでの出来事を報告するつもりではないだろうかと。

もしもこの事がオルガマリー所長に知られでもしたら怒号が飛んでくるのは簡単に想像できてしまう。

 

だが今さら追いかけて行っても不自然極まりないだろう、いや追い付いても何を言えばいいのかが分からない。

後の事を考えて戦々恐々とするオフェリアたちだった。

 

 

 

一方その頃所長室にたどり着いたマシュと彼は扉をノックして入室したところだ。

そしてマシュだけだと思って入室を許可したオルガマリーの胸中は混乱の真っ只中にいた。

 

なんで男がいるの?

そもそもそんな話一切聞いていない。

あっ意外にまつげ長い、なかなか整った顔立ちをしてる。

もし貴重な男性に何かあったらどうしよう。

 

そんな事を考えていたオルガマリーにマシュから資料が手渡される、受け取ってサッと目を通すと一つ何やら重要書類が混ざっているのに気がついた。

 

(差出人は日本でレイシフト適合者を探してたハリー・茜沢・アンダーソンから?)

 

来客がいるからチラリと目を通すだけに留めるつもりだったが思わず読みきってしまった。

一度読み、意味は理解出来るが頭が受け入れるのを拒否する。

二度、三度読み返してようやく納得がいった。

今度会ったら絶対にぶん殴る、そうオルガマリーは痛み始めた胃に対してお前の敵は取るからなそう誓う。

 

要約するとこうだ。

 

日本でレイシフト適性100%の人材を見つけたのでそちらに送ります。

事情は簡単にしか説明してないので詳しい説明はそちらでして下さい。

責任はそちらでもって下さい、お願いします。

 

そんな内容がより細かく丁寧に綴られているのだ、この場で癇癪を起こさなかった自分を誉めてあげたい。

 

「事情は把握しました、詳しい説明は皆が集まっているときにします。マシュは彼を部屋に案内してあげてちょうだい」

 

そう言うと二人に退室を促すのだった。

 

 

 

彼は知らない、この世界が滅亡の危機に瀕している事を。

 

彼は知らない、この世界では男と女の価値観が逆転している事を。

 

彼は知らない、この施設では男は彼とロマニ・アーキマンの二人しかいない事を。

 

彼は知らない、この世界では男の数が少なく、また名のある英雄たちが女性である事を。

 

彼は知らない、女性陣が男に餓えている事を。

 

彼女たちは知らない、彼はこの世界の常識が著しく薄い事を。

 

そんな彼が起こす数々の問題行動をカルデアにいる者たちはまだ知らない。




衝動的に書いてしまった。
書き始めた以上はエタらずに書き上げます。

一応一部までを予定しております。
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