女性しか召喚されないカルデアで貞操を保てるのか   作:雑食で節操なし

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初めての特異点攻略 その2

この日指令室は荒れに荒れていた、急にレイシフトが発生したと思ったら藤丸立香とマシュ・キリエライトの2名がカルデアからその姿を消したのだ。

 

通信を試みるも魔力の乱れが激しくノイズ音が聞こえてくるだけ、二人の安否すらも不明のまま時間だけが過ぎていく。

 

「まだ繋がらないの!?ロマニ!ダ・ヴィンチ!」

「そう焦らないでくれ、オルガマリー。

二人の生命は平常値なんだからここで焦っても何も生まれないよ、冷静にね。」

 

そう言いオルガマリーを落ち着かせようとするダ・ヴィンチだが一つ気になる事がある、それは何故かマシュと藤丸の興奮値が上昇しているのだ。

戦闘中なら恐怖値も上昇しているはずなのに何故 興奮値だけなのか、それが気掛かりだ。

 

「良し、映像が繋がった!今からモニターに映す、頼むぞマシュ、藤丸君どうか無事でいてくれ」

 

そうして僅かな間がありモニターに映し出された映像を見ていたAチームやスタッフ、他のマスター候補たちは絶句した。

 

モニターにはモップで出来た触手に絡めとられた藤丸立香とそれに立ち向かうマシュが映っていたのだ。

 

胸元で巻き付いているため服がめくれ上がりヘソが見えている状態でどこか感激している様にも見える。

 

それもそうだろう。

藤丸は現在、人体浮遊と目の前で繰り広げられる超常バトルという男心を2つも3つもくすぐる事が行われているのだから。

しかも自分の安全は確保されている状態で、だ。

さながらプロレスの最前列の観客だ、これで興奮しない訳がない。

 

突然映し出された映像に理解が追い付いていなかったがしだいに理解が追い付くと、鼻血を出してしまいトイレに向かう者やグッと拳を握りしめる者、謎のサーヴァントに感謝を捧げる者、真剣に戦闘を見届ける者今後の参考にという名目でこの映像のダビングを頼む者までいる始末。

ロマニは急いでモザイクをかけたがより卑猥になってしまったっと泣く泣くモザイクを外した。

 

「よし繋がった、藤丸君聞こえるかい?どうしてそうなったのか教えてほしいんだけど」

 

 ええっとそれが。

 →実は、ほわんほわんぐだぐだ。

 

この特異点にレイシフトし骸骨兵に襲われピンチに陥ってしまった、その時に助けてくれたのがこのクー・フーリンと名乗るメイド服を着た彼女だという。

普通はランサークラスでの召喚なのだが今回は何故かキャスタークラスでの召喚だったという。

通常とは異なるクラスだった事も災いし何とか聖杯戦争を戦っていた、が一体のサーヴァントの暴走でこの惨劇が起きてしまった。

 

ランサークラスならどうにか出来たと言うが、キャスタークラスでしかも一人ではどうしようもないとヤキモキしていた所に、いつの間にか知らないサーヴァントが召喚され骸骨兵と戦っている。

現状打破のために手助けする事を決めたのだと。

 

そして助けてもらった事と目的が一致している為、一緒に行動する事を決めた。

話をしていくうちにマシュがサーヴァントとしての切り札、宝具を使えないと知りこうして訓練をつけてくれている、という事を説明し終えた藤丸立香。

 

その間もマシュとクー・フーリンが操るモップとの戦いは続いている、自身に向かってくるモップの毛先を盾で弾き反らし何とかマスターを奪還しようとするがいくら頑張ってもたどり着けない。

 

「この程度なんて拍子抜けだし、お兄さん彼女との契約を切ってあたしと契約を結ばない?」

「彼女よりもあたしの方が頼りになるし」

 

そうクー・フーリンに提案される藤丸立香、だが少しも迷うことなく自分のサーヴァントはマシュだからと言い切る。

そう、とだけ呟いて藤丸をマシュの側へと下ろす、すると今まで抑えていたであろう魔力が噴き上がる。

 

「契約してくれるなら命に変えても守るつもりだったけど、してくれないならこの先この程度の実力なら二人とも殺されるだけだし」

 

せめて苦しまない様に此処で殺してあげるし、そう言うと、今まで以上の圧力と圧倒的な殺意が身体に杭の様に突き刺さる、これがケルトの大英勇クー・フーリンなのだと理解させられる。

その威圧感と殺意をもってモップの毛先が迫りくる。

ああ、守れない。

そう思ってしまった、自分の身を呈してもこの人を守る事が出来ないとそう思ってしまったのだ。

 

守る為のシールダーだというのに、初めて会った時から私に優しい笑顔を向けてくれる先輩。

今までカルデアの中にも優しくしてくれる人はいた、だが彼の様に側に居るだけで温かい気持ちにさせてくれる人はいなかった。

だからこそ彼を守りたいのに悔しくて悲しくて涙が滲む。

せめて少しでも彼への被害が少ない様に。

 

「先輩、お願いです。少しても遠くへ離れて「マシュ、信じてる」…くだ……え」

「俺はマシュを信じてる」

 

たったそれだけの言葉でこの胸にこみ上げる感情をなんと言い表せばいいのか。

信頼してくれている高揚感とも違う、その身を守る事を任された使命感とも違う。

まだこの感情の名前は知らない、けれども胸の内を駆け回る感情の奔流が心地よく感じる。

 

「はい!任せて下さい、先輩!」

 

そしてマシュの得物の巨大な盾を地面に勢いよく立てる、次いで現れる巨大な陣。

毛先がその陣に弾かれる様に反らされる様にしていく、そして遂に現れた一筋の光明。

クー・フーリンまでの道が出来る。

 

「マシュ、思いっきり叩き込め!」

 

その直後マスターである藤丸立香の右手から漏れ出す赤い燐光、それこそがサーヴァントを従える者全員に等しく与えられる令呪。

 

彼の令呪はある特異性が存在する、それは強制力の低下である。

他のマスターであるならばもしもサーヴァントがマスターやその周りの者に危害を加え様としたならば強制的に自害させ身を守る手段となる、それが令呪である。

 

だが藤丸立香の令呪は違う、強制的に何かをさせる力が弱く例えば令呪を3画使っても自害させれるかは怪しいだろう。

だが令呪による強化は他のマスター同様に通常の魔力強化は出来る、つまり今この瞬間、藤丸立香は令呪を用いた魔力ブーストを発動したのだ。

 

マシュの身体に令呪による魔力が注がれる、そして令呪で得た推進力で宝具の発動により出来た隙間に全力で突撃していく。

そして遂にその瞬間がやって来た、腹の奥に響く音を立てて吹き飛ばされるクー・フーリン。

地面を二回三回とバウンドしそのまま動かなくなる。

 

ビリビリと腕から伝わる痺れからクー・フーリンに一撃を入れた事をゆっくりと理解していく。

 

「やっ…た、やりました、先輩!」

「やったね、マシュ!」

「はい!いえ喜んでいる場合ではありません、早くこの場を離れなくては」

 

そう言って早々にこの場を離脱しようとするマシュと藤丸立香の耳に呟く様な声が届いて来た。

 

「本気を出してないとはいえまさかこんな事になるなんて思ってもなかったし」

 

ゆっくりと、しかし両足で確りと立ち上がるクー・フーリン、令呪を用いたマシュの一撃はまるで何てことも無い様子が伺える。

実際に身体には先ほどの一撃で地面を転がった事で付いた土が付着しているがそれだけである。

 

「あっ…ああっ…そんな」

 

ゆっくりと歩みを進めマシュの前に立つクー・フーリン、まだある程度離れているとはいえ既にその位置は射程圏なのだという事が伺える。

 

「マシュにお兄さんよくもやってくれたし」

 

凄絶な笑みを浮かべ二人をジロリと睨み付ける、徐々に広角が上がり犬歯をむき出しにして笑うクー・フーリンのなん足る恐ろしさか。

 

「マシュ、お兄さん……合格だし!」

 

一転見惚れるほどの良い笑顔でサムズアップしてくるクー・フーリン。

頭にクエスチョンマークを浮かべる藤丸立香。

事態に着いていけずしかし先ほどまで身体に突き刺さる様に向けられていた威圧感や殺気が霧散した事に安堵し腰を抜かすマシュがそこに居たのだった。

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