女性しか召喚されないカルデアで貞操を保てるのか 作:雑食で節操なし
クー・フーリンに提案してきたやるべき事の3つのうち2つを現在遂行中のカルデア一向、マシュの戦闘能力の向上を目的とした敵戦力の撃破を行っている。
すでにランサー、ライダー、アサシンの撃破に成功していた。
マシュのクラスであるシールダーとしての守る事に特化した戦い方は、敵の攻撃を防ぎつつ合間合間に攻撃を挟み込むというもの。
そしてクー・フーリンの援護もあり何とかここまで戦う事が出来ていた。
その間、マスターである藤丸立香はというと、魔術師として最低以下の能力しかない彼は彼女たちの近くで魔術礼装による援護を行いながら、常に戦闘の状況把握に努めて自分に出来る事を必死に行っていた。
まあ、戦闘の近くにいるという事で管制室では「危ないっ!」「もっと離れて!」「苦悶の表情を浮かべる男の子キタコレ!」など多くの声が上がっていたみたいだ。
なお、不謹慎な発言をした職員はオルガマリー所長に叱責されていた。
これ迄の活動により、残す敵はセイバーとアーチャーの2騎のみと成った。
そこでこの特異点の大元である聖杯がある場所に向かう事にしたマスターたち。
聖杯が安置されている場所は天然の洞窟であり、その奥にあるという。
「ここで問題なのがアーチャーの存在だし、アイツてばセイバーにずっと引っ付いてるから私たちが戦ってる最中にぜっったいにチャチャを入れて来るし」
「すみませんクー・フーリンさんセイバーとアーチャーのサーヴァントはどのような英雄なのでしょうか、よろしければ教えてもらえると助かります」
「アーチャーの正体は兎も角、セイバーは「人の個人情報を勝手に語るモノではないなキャスター」ッ!マスター!マシュ!」
突然の奇襲、マスターとマシュとクー・フーリンにそれぞれ1本ずつの矢が迫り来る。
クー・フーリンは軽やかにその矢を躱し、マシュは素早くマスターと矢との間に身体を入れその矢を弾く。
「アンタが此方に出向いて来るなんて意外だし、アーチャー。
何時もセイバーにベッタリな癖にどういう風の吹き回しだし。
……コイツの相手は私に任せて、マスターとマシュは早く聖杯の下に行くし」
「けれどクー・フーリンさん!」
「心配してくれてありがとマシュ、でもこんな奴私だけで十分だし」
それでも戸惑うマシュの肩に手を置き、先を促す藤丸。
「後武運を」そう言って藤丸と共に洞窟の奥へと走り出す。
「遺言はそれで良いのか、キャスター」
「キャスターの霊基でもアンタなんて目じゃないし、アーチャー」
此処にキャスター、クー・フーリンとアーチャーの戦いの火蓋が切って落とされた。
一方洞窟の奥へと足を運ぶ藤丸立香とマシュ・キリエライト。
チラチラと後方を気にするマシュ、それも当然だろう。
この燃え盛る街で初めて出会い、これまでサーヴァントとして多くの事を教えてくれたクー・フーリンと別れ、マスターと2人で聖杯戦争において最優とも言われるセイバーのサーヴァントと相対し撃破しなければならない、それを不安になる気持ちは分かる。
だからこそ彼女のマスターである藤丸はマシュに声をかける事を決めた。
「マシュ、クー・フーリンが居なくて不安になる気持ちは分かる、でも彼女はオレたちなら出来ると思ったから送り出したと思うんだ。
だから、セイバーに勝って胸を張って報告しよう。
クー・フーリンの指導のおかげで勝てたって」
「先輩……!はい、セイバーなにするものぞ、です!」
「ほう、面白い事を言う。
ではその実力を試させてもらうとしよう」
洞窟を抜け、聖杯が安置されている空洞にたどり着いた矢先に掛けられる言葉。
その瞬間マシュに向けて黒い聖剣が振り下ろされる、何とか反射的に盾で防ぐ事が出来たマシュの前にスタッとたった今、襲撃してきた人物が降り立つ。
「あっ、あなたは!」
驚愕に目を見開くマシュ、その表情から相手が誰か知っているのかと問いかける藤丸。
その問いに首を横に振り否定するも何故か胸の奥のザワツキが晴れない。
「成る程、面白いな名も知らぬ娘。
良いだろうこの先、人類の存亡をかけた試練に挑む資格があるか確かめてやろう」
そう言うと魔力放出を利用し、ジェット機ばりの加速で突っ込んで来た。
ガンッとカン高い音を響かせながら盾と剣が交わる。
一撃毎に苦悶の表情を浮かべるマシュ、一撃を盾で受け止める度にビリビリと腕が痺れる。
その細腕でどうしてこうも力強いのか。
「防ぐだけで精一杯か娘。
存外楽しめなかったな、その後ろの男共々消し飛ぶがいい」
そう宣言すると聖剣に黒い光が集まり始める。
「エクスカリバー・モルガーン!」
そして大きく振り下ろす、一際大きく光輝きながらセイバーとマシュの対角線上にある地面を削り取りながら極光がビームと成って迫り来る。
「先輩には絶対に傷1つ付けさせません!仮想宝具展開!人理の礎(ロード・カルデアス)!」
それはクー・フーリンとの戦闘時に発動させたマシュの宝具、後にオルガマリーにより名付けられたそれはマシュの守りたいという思いに依存しその思いが強ければ強い程にその強度が上がるという宝具。
一瞬の拮抗、だが微動だにしないその様からマシュの強い思いが伝わって来る。
その宝具によりセイバーの宝具を見事防ぎきる、流石にこの結果は予想外だったのか一瞬の隙が出来る。
その隙を逃さず藤丸の魔術礼装に装備されたガンドがセイバーに直撃する。
「この程度の拘束など一瞬で解除出来る!」
「その一瞬が欲しかったんだし」
「貴様、キャスター!」
セイバーの背後から突如として現れたクー・フーリンがルーン魔術により強化したモップの毛先でセイバーの霊基を貫き砕く。
「良く合わせてくれたし、マスター」
「クー・フーリンの声が聞こえてたし、何よりマシュが攻撃を防いでくれたおかげだよ」
「そんな、私はただ先輩を守りたいと思っただけで」
「その思いがマシュの強さの秘訣だし」
「ありがとうございます、クー・フーリンさん。
それよりも彼女は」
霊基を砕かれた事によりキラキラとした粒子に成りながら退去を始めるセイバー。
「……私の名はアルトリア、アルトリア・ペンドラゴン。
アーサー王である」