女性しか召喚されないカルデアで貞操を保てるのか 作:雑食で節操なし
カチャカチャっとキーボードを押す音が何回かしたかと思うと突然ピタッと止まり、続いてズズッと眠気覚ましにと淹れてもらったコーヒーを啜る音がした後、テーブルに頭を打ち付ける。
「ううっ、レポートの書き方が分からない。
誰か助けて下さい」
そう泣き言を漏らすのは先日、突然火に包まれた町の特異点に巻き込まれ、見事解決を果たしたカルデア唯一の男性マスターである藤丸立香である。
メイドクー・フーリンの助けもあり、聖杯を守護していたセイバーのサーヴァント、アーサー王の撃破に成功した、その後聖杯を取得すると同時に特異点が解消され、カルデアへと帰還する事と相成った。
カルデア所属の先輩マスターたちに「良くやったな!」「心配したぞ!」など声をかけてもらいながらもみくちゃにされた藤丸。
その後指令室から急いでやって来たと思われる、オルガマリー所長やドクターに小言と労いの言葉を藤丸とマシュに伝えられた。
そしてその場にて、後日レポートとしてまとめ提出するようにと指示を受けたのが上記の始まりである。
はぁとため息をつきレポートに改めて向かい合う、が何処か気分が乗らない。
あの時、自分たちカルデアやクー・フーリン、アーサー王以外の第三者と言っていいのか分からないが、輝くモヤに包まれた存在から告げられた言葉を思い返す。
アーサー王を倒した後、退去を始めるクー・フーリンから「縁があったら今度は正式なマスターとして契約してほしいし」との言葉を受け、もちろんと返し握手し。
マシュにも「シールダーのサーヴァントとして頑張るし」と応援して退去したクー・フーリン。
後は聖杯を確保するだけの段階でその存在は現れた。
キラキラと輝き、身体の輪郭さえも把握出来ない存在が突然現れ自分たちに声をかけて来たのだ。
「やあ、君たちはカルデアに所属するマスターとサーヴァントだね。
本当はもっと早く接触したかったんだけどね、さっきまで彼女が居たからさ。
いやぁ、今まで色んな修羅場には遭遇したけど、ここまで酷い修羅場は初めての見たよ。
……うんそうだね、私から言える事はただ一つ。多くの愛を知り、そして結論を出すんだ。
君たちが私好みの選択をしてくれると嬉しいな」
そう言うだけ言うと一際大きく輝き消えていった。
その言葉が今でも耳に残っている、そのため集中力に欠けているのは自覚している。
ガシガシと頭をかいて雑念を振り払うと、お腹が空いてきたのを自覚した藤丸は先に腹を満たそうと食堂に向かうことにした。
食堂には多くのスタッフとカルデアに帰還した後に召喚された、アルトリア・オルタとメイドクー・フーリンがマスターを迎えてくれる。
「むっ、マスターか良し隣に座るのを許そう」
「いやいや、マスターは私の隣で食事をするんだし」
お互いにメンチを切り合う二人に苦笑して二人の間に座る事にしたマスター。
それに対して、まあしょうがないと割りきり談笑を始める、今はあの人物の言葉を忘れて食事を楽しむ事を決めたマスターだった。