其は明日を鎭る者   作:へっこむす

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今年もあと一月を切りましたね。どうもへっこむすです。
ゲームだと愉快な仲間達の活躍は余り触れられないですけど、嵐の一角に任命されるくらいですから絶対優秀ですよね。彼等個人個人のお話も書けたらいいなと思います。書けるかな⋯⋯。書けるといいな⋯⋯。


運命の日 4

「出口だ!!」

 

 もうすぐ長い坂も終わり。喜びに満ちた声に俺の頬も自然と持ち上がる。

 警報装置の光のみが照らす地下は暗く、強い太陽の光に目が眩む。少しの間目を窄め、明かりに慣れるのを待った。

 そしていざ、広い世界を焼き付けようと目を向けた。

 が。

 

「な、んだ⋯⋯これは!?」

 

 出口から出た兵士達が一人、また一人と足を止めていく。彼らの表情は皆一様。軽く口を開いたまま言葉を失い、まさに開いた口が塞がらないというものだった。

 無論、俺も同じ顔を晒していることだろう。

 

「ま、まだいやがった!?」

 

 外に出た途端に耳を劈く銃声と怒号。悲鳴と爆発音。そして、辺りに散らばる物言わぬ怪物と人間の身体。

 紛れもない地獄が広がっていた。

 

「おい!!空を見てみろ!?」

 

 また酸っぱいものが込み上げて来るのを必死に押し返しながら、東郷さんの言葉に釣られ空を見上げた俺は、怪物を見た時以上に己の目を信じられなかった。

 試しに擦ってみても変化はなし。何度擦っても結果は同じ。

 

「こんなこと、信じられるか⋯⋯?」

「円盤みたいなのが飛んでるぞ⋯⋯」

 

 金色に輝く巨大な円盤。

 過去、多くの人々が指を差し、論争を交わし、正体を探ってなお解明されなかった謎の存在が、今大軍となって地球の空を占拠していた。

 

「空飛ぶ円盤!?そんなバカな!!」

「地下にいる間に、映画の撮影でも始まったのかよ!?」

 

 そう考えた方がまだ自分を納得させられるだろうが、真実は十中八九違う。

 人類がこれまでの歴史の中で遭遇経験のなかった巨大生物と巨大円盤。それが同じ日にこうして出現したことが偶然であるはずがない。間違いなくあれらは同じ勢力に属する者同士。

 すなわち、我々に仇を成す敵である。

 

『装甲が融解してる!?うわああああああああ!!!』

「⋯⋯っ!しまった!!」

 

 想像もしてなかった光景に気を取られ、目の前が戦場であることを一時的に忘れていた。それ程の衝撃だったのだ。

 オープンチャンネルでの通信だったのだろう。全員の無線から聞こえて来た断末魔と共に、すぐ近くで戦っていたコンバットフレームが爆散する。どうやら怪物の酸を受けたようだ。

 乗務員は、おそらく。

 

「話は後だ!戦闘中の味方を援護する!!」

「し、しかし軍曹!我々にはもう残弾が⋯⋯」

「そうだ。だからまず弾薬を補給する為にあの格納庫を目指す!こういった非常事態に備えて、第三格納庫には大量の武器と弾薬が詰め込まれていたはずだ!」

 

 当然の疑問に対し、軍曹は案の定的確な指示を返す。

 彼の差した格納庫は向かって左手。航空機でも入っていそうなほど巨大なものだ。幸い距離はそこまで離れておらず、走ればすぐに辿り着きそうだった。

 が、それはここが戦場でなければの話だ。

 

「この中を突っ切るのかよ⋯⋯」

 

 地下同様大量の怪物が地を這い、対抗するべく兵士達が銃弾をばら撒いている。

 戦車やコンバットフレームも戦闘に参加している為、鉄と酸の雨に加え砲弾やミサイルも降り注いでいる。この渦中を弾の入っていない銃を携えて進むのは並大抵のことではない。顔を引き攣らせている者も多数いた。

 だが、並大抵では地下から生きて出られてはいない。

 

「俺が先導する!続け!!」

「ちくしょう!やってやる!!」

「怪物に、円盤なんてな!全く最悪の組み合わせだぜ!!」

「車両やコンバットフレームが奴らを惹きつけてくれている!今がチャンスだ!」

 

 軍曹以下部下三人が勇敢にも無謀にも真っ先に飛び出し、遅れないよう俺も歯を食いしばってブースターを吹かす。

 

「い、碇に続け!!」

 

 一歩遅れて、後続の兵士達も走り出した。

 

『怪物が何か吐き出しています!』

『うわぁっ!!酸だ!!これは酸だ!!』

 

 怪物が地上に現れたのは俺達より少し早いくらいだったのだろう。初めて目にする恐るべき酸攻撃に戦慄する兵士の叫びが聞こえる。

 

「こちら碇軍曹!怪物の酸は強力だ!直撃は絶対に──」

『狼狽えるな!俺達のスーツは酸を防ぐ!』

「──おい!聞いてるのか!?酸には当たるな!!絶対にだ!」

 

 軍曹は走りながらも懸命に無線の先で戦う仲間達へ注意喚起を行う。

 

『ダメです!うわあああああ!!助けてください!!ぐわぁぁぁぁぁ!!!』

「くっ⋯⋯!」

 

 しかし、無線からは注意が無意味に終わったことを示す悲鳴しか響いて来なかった。

 軍曹の顔には深い悔恨が。他の兵士達にも同様の感情に加え、恐怖が混じっている者も見られる。

 故に、全員の足取りにも影響が出た。

 

「っ!!軍曹っ!!」

「し、しまっ!!」

 

 最も近くで戦っていたAFVをスクラップにした怪物の一匹と目が合った途端、その個体が凄まじい勢いで此方へと向かって来る。

 地下での戦闘により、全員が弾薬を枯渇させた。最後、俺を助ける時に全て打ち切ってしまったのだ。

 対抗する術は彼らにはない。となれば、俺のとる行動は一つに絞られる。

 

「させねえ!!」

 

 地下とは違い、地上には壁も天井もない。ただ平面を動き回る怪物など、もはや脅威たり得ない。

 怪物と軍曹達の間に割り込み、進路を塞いだ上で左腕の槍を唸らせる。

 坂の途中で手持ち無沙汰の解消のために弾を込めておいて正解だった。もしかしたら使うことがあるかもとは思っていたが、まさかこんなに早く出番が回ってくるとは。

 スピアは怪物の頭から突き刺さり四散させた。

 仲間がやられたことを察知したのか、すぐさま奥の二匹が反応し迫って来る。

 

「二匹にやられるもんかよ!!」

 

 先程の死地に比べれば、この程度はさして問題にはならない。

 不思議と冴えた頭で動きを観察し、隙を見せた片方を一撃のもとに葬り、続いて動きを止めたもう一匹も反動を利用した二撃目で確実に仕留めた。

 一撃を放った反動を利用した追加の一撃が威力を増すことは先程の戦闘で気がついたことだった。

 

「ここは俺が引き受けます!皆さんは早く補給を!」

「⋯⋯あ、ああ、わかった」

 

 俺が三匹に対処している間に無事倉庫に辿り着いた彼らへ向け叫べば、軍曹にしては珍しく歯切れの悪い返事があった。

 

(⋯⋯?)

 

 それを訝しみつつも、視線を前に戻し格納庫の入り口を死守する体勢を取る。

 幸いにも、今の二匹以降は此方に敵意を向けて来る個体はいなかった。というよりも、もう殲滅までは時間の問題といったところか。

 後ろでは、ちょうどシャッターが開き始めていた。まあ、彼らが補給するよりも早く、怪物はいなくなりそうだが。

 

「また来たぞおぉぉ!!」

「⋯⋯!!やっぱりか!」

 

 戦闘が終わったと思う瞬間が一番危険だと地下で散々学んだ。どうやらそれは地上でも当てはまるらしい。

 基地を囲む森の中から、矢継ぎ早に姿を現す怪物。その数は生半可なものではなく、抵抗しなければここなんてあっという間に飲み込まれてしまうだろう。

 外にいる兵士達は混乱の中でも敵の勢いを削ごうと銃撃を続いている。そのおかげで少しずつ確実に数は減っているが、此処まで到達することは防げそうにない。俺も加勢したいものの、敵はスピアの射程の外。地下での最後の戦場よりも遥かに多い怪物の波に突撃するわけにもいかず、俺は手をこまねいて見ているしかなかった。

 

「待たせたな民間人!援護感謝する!」

 

 だがそんな時、格納庫の中から続々と補給を終えた兵士達が戻って来た。

 

「補給は完璧、これであと三日は戦えるぜ!」

「そんな状況は勘弁して貰いたいがな⋯⋯って、なんだあの量は!?」

「一面怪物だらけだぞ!?」

 

 彼等は戦う術と一緒に余裕も取り戻したようで冗談を交えつつ此方へ合流する。そして、砂埃を立てて距離を詰めてくる怪物達が目に入ると即座に武器を構えて射撃を始めた。

 

「な、なんて数だ!!」

「こんなことなら地下の方がマシだった!出てくるんじゃなかったぜ!!」

「外に出れば安全じゃなかったのかよぉ!!」

 

 東郷さん達は口々に不満を漏らすが、それでも着実に成果を上げていくのはさすがだと思った。

 

『くそっ!肝心なときにコンバットフレームが動かんとは⋯⋯!!』

 

 無線の向こうで悔しがる誰かのいうように、折角多数のコンバットフレームが配置されているというのに、元より動いていた機体以外は沈黙を保ったままだった。これが全て動きさえすれば、目前の敵を倒すなど造作も無いことだろうに。

 

「碇軍曹、このコンバットフレームを使うことは出来ないんですか?」

 

 地下では破壊されてしまったが、ここにはまだ無事な機体ばかり。では何故動かないのかとよく観察してみたところパイロットが不足しているようだった。なので、ライセンスを持つ軍曹が使えば良いのではと思い質問してみたのだが。

 

「起動のためのキーは持っているから動かせはする。しかし、コンバットフレームには唯一欠点がある」

「欠点⋯⋯?」

 

 それは一体。

 そう言葉を発する前に、答えが示される。

 

『此方Ι3(イオタスリー)!これより起動シークエンスに入る!』

『よし!起動には暫く時間がかかる!歩兵はコンバットフレームを守れ!』

「そういうことだ」

「なるほど⋯⋯」

 

 今から準備を始めたとしても、すぐそこまで来ている怪物達との戦闘には間に合わない。ならば歩兵として一匹でも多くの敵を駆除するべきだ、という判断なのだろう。確かに、軍曹なら一人で三人分の敵を屠れる。指揮能力も高く、フレームで味方に守られながら戦うよりも、最前線で戦況を窺いつつ一個の嵐となって駆け回る方が余程効率的に大きな戦果をもたらすだろう。

 

「というか、この声って後藤曹長だよな?」

「曹長が指揮を取っているのか⋯⋯?」

「何故だ⋯⋯?いや、まさか⋯⋯」

 

 先程悔しがっていた声の主は後藤なる人物らしい。曹長というと、軍曹よりも偉そうではあるがしかし、兵士達の反応を見るに、いつもは指揮などしない立場にいるのかもしれない。

 そんな人が指示を出している、という事実が指し示すのは。

 

『死ね!!怪物!!』

『よくも戦友を!仇を取ってやる!!』

「よし!あと少しだ!」

 

 戦力に大きな差はあれど、相手が意思のない数に対し、此方は意思のある数。不意を打たれたとしても立て直す時間は十分にあった。冷静な思考さえ戻れば、やりようは幾らでもあるのだ。

 俺達も合わせ地上にいる部隊は各々奮戦し、基地の壁は破壊されたものの、敵味方入り乱れての混戦を繰り広げる事態は避けられた。

 

「軍曹方、ご無事で何よりです⋯⋯」

 

 怪物の数が残り僅かになった隙に、部隊の一つが駆け寄って来る。一個分隊ほどの彼らは皆顔に疲労を浮かべており、短時間での戦闘とはいえどその過酷さは計り知れないことが窺える。

 そんな中で未だ戦えている自分が甚だ不可解だった。

 

「お前達もな。それよりも、状況が知りたい。少尉は何処だ?」

 

 少尉。

 軍には縁のない世界で暮らして来た手前確証はないが、おそらく軍曹より上の立場であったはずだ。

 ということは、この基地を預かる人物。または、副官と言ったところか。

 本来なら曹長ではなく少尉がこの場にいる全軍の指揮を任されるべき人材なのだろう。

 

(だから兵士達は不思議そうに⋯⋯)

 

 普段指揮をする人物が不在というのは大きな不安を招くだろう。新たに合流した兵士は残酷にも、それを肥大させる事実を述べた。

 

「戦死されました⋯⋯怪物に喰われて⋯⋯!」

「なっ⋯⋯!?くっそっ!!」

 

 指揮官戦死。それが組織にとってどれだけの不益をもたらすか、軍曹を見ていればよくわかる。

 彼の卓越した観察眼と判断力があってこそ、この分隊、いや小隊は最大限機能している。

 仮にその要が失われればどうなるか。

 現在戦場では中隊を編成可能なほどの兵士達が戦っている。指揮系統損失は混乱の加速に直結する。

 

『怪物の群れだ』

「なに!?新手か!?」

『総員、応戦せよ!!』

 

 ただEDFは無能の集まりではない。寧ろ有能な人材が揃っていると言えるだろう。

 上手く代理を立てて、一時的にとはいえ混乱を治めているのは見事の一言だった。

 

『動ける者は戦闘に参加しろ!!』

「追悼は後で必ず行う!今は指示通り、コンバットフレームを守るぞ!続け!!」

 

 機械特有の起動音を放っている機体の数は五。それらが起動シークエンスに入っているΙ(イオタ)隊。

 守護の対象だ。

 因みに、既に戦闘中だったAFVやコンバットフレームは最初の戦闘で軒並み溶かされてしまったため、戦力は歩兵のみとなる。

 

「俺の部隊と民間人で二機を担当する。後は残りの三機に回れ!おい!指揮は任せたぞ!」

「了解だ!」

 

 軍曹は同期であるというもう一人の軍曹へ指揮権を移譲。俺は再び最初のメンバーで戦うことになりそうだ。

 迫り来る第二の黒い狂濤。目算ではあるが、先ほどよりも明らかに数を増している。このままだと乱戦は必須。またあの地獄を味わうことになるだろう。

 

「へっ、こんなこともあろうかと持って来ておいて正解だったぜ」

 

 がしかし、そんな状況とは裏腹に、東郷さんの声は明るかった。その理由は、彼が手にしている武器にあった。

 

「そ、それは」

「いいだろ、ロケットランチャーだ!」

「おお!!」

 

 男子とは往々にして銃火器憧れを抱くものである。その中でも特に人気が高いのはやはりロケットランチャーだと俺は思う。

 その巨大な銃身は見るものに期待感をもたらし、弾を放つ際の咆哮は身体を内側から震わせ、敵を撃滅せし爆炎はまさに浪漫の極地と言えるだろう。

 アニメやゲームでしか見たことのなかったその浪漫を実際に見れて、俺は至極感動していた。

 そんな民間人から早々に目を離した東郷さんは、浪漫を重そうに肩へと担ぎ、銃口を敵へ向けた。

 

「俺達レンジャーは多様な戦場に即応出来るよう訓練を受けている」

 

 続いて流川さんも、背中から細く長い銃身を備えた武器、スナイパーライフルを取り出しスコープを除く。

 

「だから色々な武器を扱えるんだ。因みに俺のこれは近距離用だから、こっちで援護」

 

 空閑さんが背負うのは映画なんかでよく見る形の銃。近距離用ということは所謂散弾銃、ショットガンだろう。それでは確かに接近されるまで出番はない。なので空閑さんは腰に付けた小さいラグビーボールのようなものを俺の見やすい位置へ持ち上げた。

 見覚えのあるそれの正体は、地下では使用を避けた手投げ用爆弾、グレネードだった。

 

『こちらΙ1(イオタワン)!起動シークエンス、最終フェイズ!!』

『後少しだ!怪物をコンバットフレームに近づけるな!』

 

 最終フェイズと言うからにはもうじきコンバットフレームによる射撃が開始されるはず。そうなれば、ここは凌いだも同然だ。絶対に守り通さなければ。

 

「へいへいっと。そんじゃ、開幕の一発は俺が派手に──」

 

 曹長の指示に緩い返事を返した東郷さんは、ランチャーの引き金に指を掛けつつ意気揚々と話す。がしかし、その言葉はすぐそばから発した耳を劈く発砲音にかき消された。

 俺は咄嗟に耳を塞いでいた手を下ろしながら、音の発生源を見やる。

 

「⋯⋯ん?何か言ったか?」

「いや⋯⋯別に⋯⋯」

 

 正確無比な射撃で敵数体を撃ち抜いた流川さんになんとも言えない表情を向け、肩を落とす東郷さんであった。

 

 

 現場指揮を取る軍曹方が優秀であることもさることながら、単純に火力を増した兵士達は、怪物の群れを特筆すべき問題もなく処理。あと数匹程度というところまで減らしていた。

 

『て、敵影確認!凄い数です!!』

 

 されど、その戦果を無に帰すかの如き怪物の襲来。もはやこの報告もなんとなく予測は出来ていたけれど。

 怪物群の第三波。

 その数は、一波と二波を併せてもまだ及ばないほどだった。

 

『数が多すぎる⋯⋯!!民間人の避難はどうなっている!!』

 

 そういえば、今日は午後から一般公開の基地見学が行われる予定だったはずだ。既にその参加者がこの基地に来てしまっていたのだろう。上手く避難出来ていると良いのだが。

 まあ、避難どころか戦場の真っ只中で武器を振るっている民間人が若干一名ほどいるけれど。

 

『既に完了しているはずですが⋯⋯無事逃げ果せたかは定かではありません⋯⋯。護衛に就いていた前田伍長と連絡が取れないのです⋯⋯』

「なんだって!?」

 

 驚愕の声を上げたのは空閑さんだった。

 顔を真っ青に染め、戦闘中でありながらもそれは本当なのかと執拗に情報の確度を求める様は鬼気迫るものがある。

 通信機に向かって話しかけるというよりは、もはや怒鳴っている声を聞く限り、どうやら彼は前田伍長の安否がわからないことに取り乱しているようだ。

 俺に伍長に会えとも言っていたし、親しい間柄だったのかもしれない。

 ふと、家族の顔が浮かんだ。

 

「おい空閑!戦闘中だぞ!!今はとにかく敵を倒しやがれ!!」

「ちいっ!!くそったれえええええ!!」

 

 空閑さんが放ったグレネードは、彼の感情を汲んだかのように怪物達の中心で爆発。一度に数匹を吹き飛ばした。

 しかしながら、それは全体から見れば微々たる数でしかなく、このまま戦闘を続けていても、基地は怪物に蹂躙される。

 

「焼石に水とはこのことか⋯⋯!!」

「コンバットフレームはまだなのかよ!!」

「もう時間を稼ぐのは難しいぞ!!」

 

 一向に減らない怪物に流川さん達の気持ちが後ろを向こうとする。他の隊でも、揉めるような声が聞こえて来る。確実に兵士達の精神は限界を迎え始めている。

 だが、その刹那。

 

Ι1(イオタワン)起動した!コンバットフレーム隊、戦闘を開始する!!』

 

 心待ちにしていた福音が耳に届いた。

 

『こちらΙ2(イオタツー)!怪物を食い止める!!』

Ι3(イオタスリー)!ミサイルロックオン!!』

Ι4(イオタフォー)。射撃開始』

Ι5(イオタファイブ)!オープンコンバット!!』

 

 コンバットフレームが動いている姿をちゃんと見るのはこれが初めてであり、俺は地下で軍曹達が求めていた理由を真の意味で理解した。

 彼等が持つ武器は両手の巨大な銃と両肩に搭載されたミサイル。ランチャーともスナイパーとも違う銃は一撃で怪物を粉砕し、ミサイルは複数の敵を瞬時に破壊する。その殲滅速度は歩兵とは比べるまでもなく、それが五機あるだけで戦況は一変した。

 怪物の黒い波は瞬く間に焼かれていき、あれだけ騒々しかった基地にはものの数分で静寂が訪れたのだった。

 

「駆除成功だ⋯⋯。漸く終わったな⋯⋯」

 

 終わり。

 そう言った軍曹も他の兵士達も、銃を下げてはいる。だが、まだ現場の緊張は解かれておらず鋭い眼光で周囲を警戒し、何より誰一人引き金から指を離していない。

 誰もが思っているのだ、これで終わりなはずがないと。

 コンバットフレームもいるし、滅多なことにはならないとは思うが、不安は尽きない。未だ円盤は空に跋扈しており状況は不明。敵は未知のままなのだ。

 終わりどころか寧ろ、これは始まりなのではないか。

 そう考えられずにはいられなかった。

 

 

 




あまりにも女の子が現れないのでオリキャラが誕生するかもしれません。
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