ポケットモンスター 遥かなる高みへ   作:色即是空

141 / 141
世界大会本戦開始編
圧倒の絶対王者、怒濤の初戦


 

 シュートスタジアムの巨大なメインフィールド。

 観客席を埋め尽くす数十万人の大歓声が、まるで怒濤のようにアリーナを揺らし続けていた。

「ワールド・チャンピオンズ・トーナメント、決勝トーナメント1回戦!

 ブロックA第1試合――これより試合を開始する!!」

 実況の絶叫と同時に、審判のフラッグが鋭く振り下ろされる。

 対するフィールドの反対側、深紅のマントを翻して悠然と立っていたのは、カントー・ジョウトの絶対王者、ワタルだった。その傍らには、圧倒的な威圧感を放つ真紅の巨獣――色違いのギャラドスが、静かに凄まじい殺気を漂わせている。

 

「よくぞここまで勝ち上がってきたな、マホロバの若き王よ。だが、世界の頂点の壁がどれほど分厚いか……ここで思い知らせてやる!」

 ワタルの号令と共に、ギャラドスが天を突くような咆哮を轟かせ、周囲の空気が一瞬で歪む。

 観客席で見守るナオが、冷や汗を流しながら頭を抱えた。

「おいおいおい、冗談だよね……! 初戦の相手がワタルさんだなんて!? 相手はあの『破壊光線』の絶対王者だ。まともにやり合ったら一瞬で粉々に吹き飛ばされるって……!」

 マリアンヌも両手を頬に当てて「ああっ、カグヤはんが海の藻屑に……!」と青ざめ、ディランすらも腕を組みながら「流石に初戦としては凶悪すぎるな」と険しい表情を浮かべている。誰もが「勝てるわけがない」と絶望視する、圧倒的な力の差。

 しかし、当のカグヤは、その猛烈なプレッシャーを全身で受け止めながらも、むしろ口の端をニィッと不敵に歪めていた。

「勝てない? ……ふっ、面白いこと言わないでよ」

 カグヤはベルトから最初のボールを取り出し、力強く投げ放つ。

「行くぞ、ゲッコウガ!」

シュウッ!

 鮮やかな水色の軌跡を描いて飛び出したゲッコウガが、地面に軽やかに着地する。

 

 しかし、ワタルのギャラドスが放つ「威嚇」のプレッシャーが、フィールドの温度を数度下げた。

「ほう、先鋒はゲッコウガか。小賢しい変化技で攪乱するつもりか?」

「生憎、変化技だけじゃないですよ。行くぞ、先手必勝だ!」

 カグヤの合図でゲッコウガが疾走し、変幻自在の体躯から繰り出される水流の刃を叩き込む。だが、絶対王者ワタルのギャラドスは一歩も引かない。圧倒的な巨体から繰り出される「アクアテール」の重撃が、ゲッコウガの足場を粉々に砕き飛ばした。

「ぐっ……! 耐えろ、ゲッコウガ!」

 一撃の重さが、これまでの相手とはケタ違いだった。まともに正面からぶつかり合えば、間違いなくすり潰される。

 それでもカグヤの瞳から光が消えることはない。肌で感じる絶対王者の壁の厚さに、むしろ闘志の炎が激しく燃え上がっていた。

「なら、スピードと手数はこっちが上だ! 変幻自在で翻弄してやる、水手裏剣連打!」

 ゲッコウガが凄まじい身なりで跳躍し、無数の鋭い水手裏剣を浴びせかける。ギャラドスの巨体を削っていくが、ワタルは微動だにしない。

「小手先の技では、我がギャラドスの装甲は破れん。――見せつけてやろう、我が王者の波動を!」

 ワタルの腕が大きく振るわれる。ギャラドスの口元に凄まじいエネルギーの光球が収束した。

 ――「破壊光線」だ。

「避けろ、ゲッコウガ――っ!」

 だが、放たれた光線は津波のような圧倒的な質量を伴い、回避しようとしたゲッコウガの退路を完全に塞ぎ、凄まじい爆発とともに吹き飛ばした。フィールドに巻き上がった砂煙が晴れた時、ゲッコウガは戦闘不能となり、静かに地面に倒れ伏していた。

 

「ゲッコウガ、戦闘不能!」

 審判のコールが響き渡り、観客席からどよめきが起こる。

 初戦から、絶対王者ワタルがその圧倒的な暴力――「破壊光線」の威力をまざまざと見せつけたのだ。ナオが「うそでしょ……一撃って……!」と顔面を青ざめさせる中、カグヤは静かにゲッコウガのボールを回収し、労いの言葉をかける。

「よくやった、ゲッコウガ。あとは任せろ」

 カグヤの顔に焦りはない。ゲッコウガが削ったギャラドスのわずかな隙、そして相手の手の内を見極めた上で、カグヤは次のボールを手に取る。

「お前の圧倒的なパワー、ここで完全に受け止めてやるよ。――行け、ハッサム!」

 赤く輝く鋼の巨躯がフィールドに降り立ち、ワタルのギャラドスを鋭い眼光で睨み据える。

 絶対王者ワタルに対し、若き王カグヤの反撃の狼煙が今、上がる――!

 




【カグヤ】      【ワタル】
ゲッコウガ✕ ―― ◯ギャラドス
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

俺、サトシになってました(笑)(作者:黒ソニア)(原作:ポケットモンスター)

気がついたらアニポケの主人公:マサラタウンのサトシに転生した平凡な一般人。▼転生憑依したものの、アニポケと全く異なる展開に戸惑ったり、様々なトラブルに遭遇したり……甘酸っぱい青春を送ったりする。▼そんな彼が頑張って『ポケモンマスター』を目指す物語だ。▼作者はポケモンにわか初心レベルなので、ご了承下さい。


総合評価:11540/評価:8.54/連載:116話/更新日時:2026年09月11日(金) 06:00 小説情報

サトシ君(転生者)の目指せ、ポケモンマスター!!(作者:DestinyImpulse)(原作:ポケットモンスター)

▼ 転生したのはオリ主でもモブでもなく紛れもなく主人公。▼ 定期的に世界を救わなくてはならない大役を背負いながらも、ポケモンとの出会いと冒険に胸を躍らせる。▼ ▼「通りすがりのポケモントレーナーだ、覚えておけ!ピカチュウ、君に決めた!!」▼「ピカチュウ!!」▼ コレはアニポケ主人公のサトシに転生した少年が、時にポケモンと絆を深め、時に女の子とのフラグを作り、…


総合評価:8402/評価:8.6/連載:69話/更新日時:2026年09月04日(金) 19:30 小説情報

ニューサトシのアニポケ冒険記(作者:おこむね)(原作:ポケットモンスター)

もしサトシ君に前世の記憶が蘇って、アニポケやゲームの知識を持ったニューサトシになったらこうなっちゃったというお話。▼世界観はアニポケですが、ゲーム、ポケスペ、独自解釈、オリジナル要素を含みます。▼アマゾンプライムビデオでアニポケ見たら書きたくなったのですが、作者は小説を初めて書くので文章がおかしい所があるかもしれません。▼作者はポケモンにわかです。▼【挿絵表…


総合評価:31084/評価:8.97/連載:349話/更新日時:2026年06月25日(木) 20:00 小説情報

転生サトシの旅路(作者:ナノブ)(原作:ポケットモンスター)

これは、アニポケのサトシが一生を終えた記憶と、アニポケを見ていた人の記憶両方を持った転生者サトシが、波導と呼ばれるチートを駆使して行く旅路を記したもの。▼サトシ至上主義が書くポケモン小説です。▼作者はポケモンライト勢であり、にわかです。


総合評価:4029/評価:9.15/連載:36話/更新日時:2026年06月27日(土) 18:00 小説情報

幼馴染にフラれたので旅に出ることにした(作者:イグアナ)(原作:ポケットモンスター)

ポケモンバトルが強い人が好きという幼馴染(オリキャラ)に振り向いてもらうために何年も死ぬほど特訓したけど、その幼馴染が強すぎてポケモンバトルに一度も勝てずに振られてしまったので、すっぱりと諦めた後に旅に出ることにしたお話。▼なお振り向いてもらうために特訓しすぎてとんでもなく強くなっているが、本人にその自覚はない模様。▼※追記1▼何故かこの作品の三次創作を書い…


総合評価:45489/評価:8.82/連載:132話/更新日時:2026年08月13日(木) 17:57 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>