ポケットモンスター 遥かなる高みへ 作:色即是空
ギャラドスの圧倒的な「破壊光線」の前に、カグヤの先鋒・ゲッコウガが倒れた。
スタジアムの観客席からは、絶対王者の底知れぬ実力に対する歓声とどよめきが入り混じって響き渡る。
「おいおいマジかよ……! あのゲッコウガが一撃で……!」
「さすがカントー・ジョウトの絶対王者だわ。ワタルにとって、この若きチャンピオンすら通過点に過ぎないって感じね……」
ナオが冷や汗を流しながら頭を抱え、シオンもワタルのギャラドスの強さに唸り、マリアンヌも「ああっ、やっぱり相手が悪すぎますぅ……!」と震え上がる。しかし、フィールドに立つカグヤの表情に迷いはなかった。
「上等だ。……行くぞ、ハッサム!」
カグヤが繰り出したのは、真紅の装甲を纏う鋼の闘士――ハッサム。
ワタルのギャラドスはすでにゲッコウガとの激闘で体力を削られ、先ほどの破壊光線の反動による硬直の隙がわずかに生じている。カグヤはその刹那の隙を見逃さなかった。
「逃がすか! バレットパンチ連撃、叩き込め!」
キィィィン……!
音速を超えるハッサムの双腕が、凄まじい軌跡を描いてギャラドスの急所へと殺到する。
ガキン、ガキンと凄まじい金属音が連続し、満身創痍だった色違いのギャラドスがついに耐え切れず、大きく体勢を崩して地に崩れ落ちた。
「ギャラドス、戦闘不能!」
審判のフラッグが翻る。
ワタルはわずかに眉をひそめたが、すぐに不敵な笑みを浮かべ、戦闘不能となったギャラドスを静かにボールへと戻した。
「ほう……ゲッコウガが削った隙を、見事に鋼の拳で貫いてみせたか。だが、ここからが我が真骨頂だ」
ワタルが二つ目のボールをゆっくりと掲げ、フィールドに投げ放つ。
ドォン!!
大地を揺るがす地響きと共に現れたのは、頑強な岩と地面の巨体を誇る重戦車――サイドンだった。
圧倒的な物理防御と攻撃力を誇るサイドンに対し、ハッサムの鋼の拳は相性が良いとは言えない。さらに、ワタルの操るサイドンは一撃の重さが尋常ではなく、放たれた「じしん」の余波だけで、ハッサムの足元のフィールドが大きくひび割れていく。
「くっ……! 動きを止められるな、ハッサム、回避しつつシザークロスだ!」
ハッサムが俊敏な機動力を活かしてサイドンの懐へ潜り込もうとするが、ワタルは微動だにせず冷徹な指示を飛ばす。
「無駄だ。叩き潰せ、ロックブラスト!」
サイドンの巨体が放った無数の岩の弾丸が、網の目のようにハッサムの退路を完全に塞ぎ、凄まじい爆発の中でハッサムを弾き飛ばした。
連続する激闘のダメージが蓄積し、ついにハッサムが膝をつく。
「ハッサム、戦闘不能!」
「よくやった、ハッサム。ゆっくり休んでくれ」
カグヤは素早くハッサムを回収し、次の手を思考する。
ワタルの手持ちはまだ5体も残っている。サイドンのような重量級を相手に、これ以上の消耗は避けたい。カグヤが選んだ3体目のポケモンは――。
「行け、ジュカイン!」
鮮やかな緑の疾風の如く、ジュカインがフィールドに降り立った。
ワタルのサイドンに対し、草タイプの圧倒的な相性優位。しかし、ワタルは慌てるどころか、不敵に鼻を鳴らした。
「草のスピードか。だが、私の布陣はそれだけでは崩せん。――戻れ、サイドン!」
ワタルは瞬時にサイドンを引っ込め、驚くべき手持ちを繰り出した。
赤く燃え盛る翼を広げ、空を焦がす炎の化身――リザードンの登場だ。草タイプのジュカインにとって、炎を纏うリザードンは最悪の相性と言っていい。
「ここでリザードンを出してきたか……!」
「ふっ、若き王よ。私の前に立ち塞がる壁は、ただのドラゴンだけではないわ!」
絶対王者ワタルが繰り出す次なる一手。
相性不利を覆すため、カグヤとジュカインが選んだ起死回生の戦術とは――!?
【カグヤ】 【ワタル】
ゲッコウガ ✕――◯ ギャラドス
ハッサム ◯――✕ ギャラドス
ハッサム ✕――◯ サイドン