ポケットモンスター 遥かなる高みへ 作:色即是空
ルカリオが力尽き、カグヤの手持ちは残り2体となった。
フィールドに残るワタルのキングドラは、未だに高い戦闘力を保ち、静かな威圧感を放ち続けている。
「ルカリオの想いは無駄にはしない……! 行け、ブラッキー!」
カグヤが力強く投げ放ったボールから、漆黒の毛並みに黄金のリング模様を纏ったブラッキーが降り立つ。
ドラゴンと水の複合タイプであるキングドラに対し、正面からの殴り合いは圧倒的に不利。だが、カグヤの狙いは別のところにあった。持久戦と異常状態でじわじわと削り取る、ブラッキーの真骨頂である毒耐久戦法だ。
「じっくりいくぞ、ブラッキー。『どくどく』だ!」
「小賢しい! キングドラ、一気に押し潰せ、『ハイドロポンプ』!」
ワタルの号令と共にキングドラが放った高圧の水流が迫るが、ブラッキーは驚異的な低重心と身軽さでそれをギリギリかわし、紫色の怪しい光の弾をキングドラへと正確に撃ち込んだ。
着弾した紫の毒素がキングドラの強靭な鱗を侵し、じわじわと体力を蝕んでいく。
「くっ……! 毒か!」
「ここからがブラッキーの真価だ、耐え抜け。『まもる』!」
キングドラの苛烈な猛攻に対し、ブラッキーは鉄壁の防御と「まもる」を駆使して完全にいなし続ける。攻撃を外させ、焦りを誘い、さらに毒のダメージでキングドラの息の根を確実に徐々に奪っていくカグヤの戦術。
観客席のナオが「すげえ……あんなに頑丈だったキングドラが、じわじわ追い詰められていく!」と目を見張り、マリアンヌも両手を握りしめる。
そして、毒の蓄積でついにキングドラの足元が揺らいだその瞬間を見逃さなかった。
「今だ、ブラッキー! 全力の『しっぺ返し』!」
後手を取ることで威力が倍増する闇の牙が、キングドラの巨体に強烈な一撃となって叩き込まれる。
ガツン、と鈍い衝撃音が響き渡り、耐え切れなくなったキングドラがついに大きく体勢を崩して地面に倒れ伏した。
「キングドラ、戦闘不能!」
審判のフラッグが翻り、スタジアムにどよめきと大歓声が巻き起こる。
これでワタルの残りは、ついに最後の1体のみとなった。カグヤはよくやったとブラッキーを称えるが、まだ気を抜くことはできない。勝負の本当のヤマ場がここから始まるからだ。
ワタルは静かにキングドラをボールに戻し、最後のボールをゆっくりと手に取った。その表情には焦りどころか、若き挑戦者の戦いぶりを楽しむかのような不敵な笑みさえ浮かんでいる。
「見事だ……まさか我がキングドラの耐久を、その粘り強さで完全に攻略しきるとはな。だが、ここからが真の絶望だ」
ワタルが投げ放った最後のボールから、アリーナの空気を一瞬で凍りつかせるほどの圧倒的なプレッシャーを纏い、真白の巨体が降臨する。
――ワタルの絶対的エース、カイリューだ。
対するカグヤのブラッキーは、ここまでの長期戦による毒の蓄積とキングドラとの激闘で、すでにボロボロの限界状態。それでも主人のために一歩も引かず、最後の力を振り絞って主人のもとへ立ち塞がる。
「行くぞブラッキー、最後まで耐え抜いてくれ……!」
「無駄だ。叩き潰せ、『げきりん』!」
ワタルの号令とともに、絶対王者のエース・カイリューが凄まじい逆鱗の怒涛のエネルギーを纏い、凄まじい速度で突進する。
ブラッキーは最後の力を振り絞って「あやしいひかり」でかく乱を試みたが、神速の暴風と圧倒的な質量を誇る巨撃は、限界を迎えていたブラッキーの耐久力など一瞬で軽々と超越して直撃した。
凄まじい轟音と共に弾き飛ばされたブラッキーが、カグヤの足元に力なく転がり込み、静かに目を閉じる。
「ブラッキー、戦闘不能!」
これで、場には互いの最後の1体のみが残された。
ワタルの絶対的エース・カイリューと対峙するため、カグヤはすべての想いを託した最後のボールを強く握りしめた。
【カグヤ】 【ワタル】
ゲッコウガ ✕――◯ ギャラドス
ハッサム ◯――✕ ギャラドス
ハッサム ✕――◯ サイドン
ジュカイン ◯――✕ リザードン
ジュカイン ✕――◯ プテラ
ルカリオ ◯――✕ プテラ
メガルカリオ◯――✕ サイドン
メガルカリオ✕――◯ キングドラ
ブラッキー ◯――✕ キングドラ
ブラッキー ✕――◯ カイリュー